何だってー!オスプレイは生産中止だと!コレは大変なことだ(棒)
オスプレイ生産終了へ 米国、事故多発で調達伸びず 2026年に製造ライン閉鎖予定
2023年12月9日 11:26
米国防総省が輸送機V22オスプレイの新規調達を終了することが8日までに分かった。2026年予定で生産ラインを閉鎖する。
沖縄タイムスより
なんだ、沖縄タイムスの記事か。終了ー、解散!
次世代機は未だ
予定通り生産
おっと、コレでは話が終わってしまう。
先ずは別のソースでの報道を引用しておこう。
オスプレイ26年生産終了へ 運用は50年代まで 米メディア報道
2023/12/9 13:08
米メディアは8日までに、国防総省が輸送機オスプレイの調達を終了する計画を進めていると報じた。生産ラインを2026年に閉鎖する。調達数を満たしたためとみられ、機体の運用自体は50年代まで継続する方針。
産経新聞より
はい、やっぱり解散!
米軍は2050年代までオスプレイを運用する方針だ。複数の関係者によると、生産終了は調達数を満たしたためだが、機体の不具合や事故の多発などで米国外からの調達数が伸びなかったことなどが影響した。
沖縄タイムスより
一応、沖縄タイムズも「生産終了は調達数を満たしたため」と書いているが、「機体の不具合や事故の多発」という事実は無いし、当然、今回の事故も無関係だ。
なお、V-22を採用している国は、現時点ではアメリカと日本のみ。このことが「日本はアメリカのポチだから、不良品を買わされた」などという荒唐無稽な主張に繋がるのだが、余り関係がない。
一応、採用を検討した国としてはUAE、イスラエル、カナダ、インド、インドネシアの5カ国のみ。
国防総省の5月の発表では、ベル・ボーイング社が海軍向けの4機の生産を受注し、26年に生産を完了する予定としている。
産経新聞より
そして、今年5月に既に2026年に生産を完了する予定という報道を出していた。
コスト高が影響
おそらく、他国でオスプレイの導入に至らなかった要因がこちら。
米国防総省は当初、米国外から400~600機の受注を見込み、1機当たりのコストを抑えられると予想していた。しかし実際には日本が17機購入したのみで、イスラエルなどオスプレイ導入に高い関心を示していた国々は次々と導入を見送り、最終的な単価は1機当たり約9千万ドル(約130億円)となっていた。
沖縄タイムスより
機体価格が高いのである。
ベストセラーになったUH-60「ブラックホーク」などは、4,000機以上が生産されたが、これはユニットコストが590万~1020万ドルと安かったことが大きい。V-22オスプレイはユニットコストが7210万ドルと高価な割に、メンテナンスが難しく飛行条件にも制約のある機体であり、導入にはなかなか勇気がいる。
日本のように離島があっちこっちにあって、足の長いヘリコプターを欲しているような国はさほど多くない。
ブラックホークで足りるのであれば、寧ろブラックホークを数機買うという選択をするのが当然である。わざわざオスプレイを買うだけの理由がある国はさほど多くはないのだ。
あと、言及は無いのだが、整備が難しい機体であるという点も関係しているとは思われる。プロペラが2つあるヘリコプターは存在するが、可変機構を採用している機体はコイツだけ。その分、ギヤボックスやら何やらと、機構が複雑になる。
だが、日本の場合は様々な事情で、オスプレイの運用は望ましい。主に、速度と航続距離とが理由なんだが。
危険な機体?!
なお、沖縄タイムズはどうしてもオスプレイが危険な機体だってことにしたいらしい。
「命を奪う危険機の運用を許すな」 オスプレイの撤去求め怒りの声 嘉手納基地前で抗議集会
2023年12月11日 14:50
鹿児島県屋久島沖の米空軍輸送機CV22オスプレイ墜落事故を受け、沖縄県内に駐留するオスプレイの撤去を求める抗議集会が11日午後、同県の米空軍嘉手納基地第1ゲート前で開かれた。主催者発表で約200人が集まり、国内初の死亡事故後もオスプレイが県内の基地周辺上空を飛行していたことに触れ、「命を奪う危険機の運用を許すな」などと怒りの声を上げた。
沖縄タイムズより
なお、読む価値はない。
集会では、嘉手納基地に配備されている無人偵察機「MQ9」の撤去も求めた。同基地に隣接する北谷町の野国雅春前町長は「住民への説明もないまま、常駐配備を強行することは基地機能の強化。これは絶対に許してはならない」と力を込めた。
沖縄タイムズより
いや、最後の1行だけは価値はあるとすべきか。無理にでも関係させるつもりですよと、自白したも同然である。平和を唱える団体が、無人偵察機に反対を唱えるのは意味が分からないよ。
来月から運用開始 米軍無人偵察機が嘉手納基地に着陸
10月14日 10時16分
アメリカ空軍の無人偵察機「MQ9」の運用が来月から沖縄のアメリカ軍嘉手納基地で始まることになり、13日夜、1機目が着陸しました。
~~略~~
この無人機は東シナ海などでの警戒監視体制の強化を目的に鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地に去年11月から1年間の期限付きで配備されてきました。
日米両政府は警戒監視活動のさらなる強化のためだとして嘉手納基地に移転することを決め、来月から期限を設けずに運用を開始することにしています。
NHKニュースより
無人攻撃機MQ9「リーパー」は名前こそ不吉ではあるが、無人飛行を行い、長時間監視出来るという意味では非常に有用性の高い機体である。名前は違うが、日本では海上保安庁も導入を決めて、運用を開始している。
運用主体は海上保安庁だけど、実際に運用しているのは海上自衛隊なんだけどね。
アメリカ陸軍はV-280を採用
なお、アメリカ海軍が採用したV-22だが、アメリカ陸軍が採用しなかったことが、生産終了に影響はしていると思う。
異形のオスプレイ? 新型ティルトローター機 ベル「V-280」米陸軍が採用へ
2022.12.06
アメリカの航空機メーカーであるベル・テキストロン社は2022年12月5日(現地時間)、アメリカ陸軍の新型機にV-280「バロー」が採用されたと発表しました。
アメリカ陸軍は、既存のUH-60「ブラックホーク」多用途ヘリコプターの後継を、FLRAA(フローラ:将来型長距離強襲機)という計画名で選定していました。
乗り物ニュースより
とはいえ、アメリカ陸軍も似たコンセプトの機体の採用を決定した。
V-280「バーローバロー(valor)」である。
オスプレイと違ってシャープな感じのシルエットではあるが、結局、航続距離が長く、速度の出る垂直離着陸機が欲しいという点は同じであった。
また、V-280「バロー」は前出したようにUH-60「ブラックホーク」ヘリコプターの後継として開発されたため、V-22「オスプレイ」よりも小型で、収容人員数や最大積載量などもV-22「オスプレイ」より少ないです。
乗り物ニュースより
それでいて、V-22よりも整備性が改善されるなど、注目すべき点が幾つもある。
と言うわけで、確かにオスプレイの生産中止が正式に発表されたが、既に分かっていた内容で取り立てて言及すべき内容もない。更に、今回の事故とは何の関連性もないので、「事故多発で調達伸びず」というタイトルは悪意すら感じる誤報である。予定通り生産し、予定通り生産終了するだけの話。
ただ、日本としては部品の調達が面倒になるので、ちょっと頭の痛い話ではある。
追記
ちょーっっと、タイミング悪くこんなニュースが出てきちゃったね。
オスプレイ、製造過程で不正か 米司法省とボーイングが9月和解
2023/12/10 19:22(最終更新 12/10 19:36)
米航空大手ボーイングによる米軍輸送機オスプレイに使う複合材の製造過程で、必要な基準を満たさない不正があったと司法省が訴え、同社が810万ドル(約11億7400万円)を支払う内容で9月に和解していたことが10日までに分かった。不正は内部告発で発覚し、AP通信によると80機以上に影響すると指摘されていた。米航空大手ボーイングによる米軍輸送機オスプレイに使う複合材の製造過程で、必要な基準を満たさない不正があったと司法省が訴え、同社が810万ドル(約11億7400万円)を支払う内容で9月に和解していたことが10日までに分かった。不正は内部告発で発覚し、AP通信によると80機以上に影響すると指摘されていた。
毎日新聞より
内部告発で、複合材の製造過程で「必要な基準を満たさない不正」があったらしい。どんな話なのかは全く言及がないので、続報を待ちたいと思う。
ただ、ネットでは既に「欠陥機だ!」と吹き上がっている話もある。いや、未だ何も分かっていないから、騒ぐのは分かってからで良いんじゃないだろうか。
コメント
おはようございます。
木霊様の記事内でv-280バローが、
「バーロー」になてますよ😁
冗談はさておきバロー格好良いですね。スパルタンになった感じたが、小型なぶん、積載量や輸送人員数に限界あると。
それは島嶼侵略への即応から考えてどうなんだろう? v280を潤沢に数を揃えられるなら構わないかもしれないけど😮💨
やはり侵略に立ち向かい、出かけてゆく兵士には、武器弾薬医薬食料燃料……ちゃんとした数と補給線は整えねばなりませんから。そこがクリアならたくさん欲しい機体ですね。
こんにちは。
バーローになっていましたか。コレは失礼。
V-280は現状では陸軍仕様ですから、海軍仕様にするために改造が必要ですね。
こんにちは
V-280のほうが操縦、整備はしやすいらしいので恐らくこちらが主流になっていくと思いますね。
ただ、ドローンが脅威の発展を遂げていますので攻撃能力としてのヘリは求められなくなるような。
また同じヘリでもUH-60Jは廃止できないっぽいですね。
救助メインだと道の駅や山間部にあるヘリポートでは小さすぎてUH-60じゃないと降りられないらしいです。
東日本大震災時に大活躍したような普通のビルの屋上に着陸して救助なんてものは物理的にUH-60じゃないとできないですし。
限られた予算でどの方向に振っていくのを見守りたいですね。
こんにちは。
「整備性は高い」ということになっているV-280ですが、実際、運用してみないと分からない感じですよね。構造は単純になったと言う事は素晴らしいですが。
UH-60J、ロクマルですか。使い勝手の良い機体みたいですから、老朽化してもなかなか手放せないんでしょうかね。
こんにちは。
ティルトローターは、性能的には「夢の飛行機」なんですが、コストも整備性も……
そして、速度と航続距離で劣るけど、ヘリの方がその分ホバリング~微速領域では使いやすく、安全性も高い。
※オスプレイのセットリングウィズパワー問題とか、オートローテーション問題とか。
バローも同じ問題を持ってるけど、後発の分改善されている……と思いたいですね。
※タンデムローター&コンパウンドヘリのSB-1 ディファイアントも是非見たかったのですが……むしろこっちのが整備性は悪いかも。
要は、適材適所であると。
その意味で、空力的に問題山積みの「空飛ぶクルマ」なんか、とっとと止めちまえ!とも思うのですが。
※市街地の頭の上を低空で飛ぶこっちの方が、百万倍危ない。
※その用途なら、小型ヘリ(ロビンあたり https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%97%E3%82%BF%E3%83%BC)で充分なはず。電動モータより航続距離もあるはず。
こんにちは。
適材適所という感じで使い分けていくしかないでしょう。
オートローテーション問題は、構造的に回避が難しいので運用でカバーというのが、V-22での回答だったと思いますが、V-280も同じじゃないでしょうかね。
小型ヘリコプターの運用はコストがかかるのでなかなか。メリットがデメリットを上回るシーンは、日本では余り多くない気がします。
上のコメント書いてから気付いたのですが。
・現時点のヘリは、ほぼ全てタービンエンジン駆動≒整備性、騒音、起動の問題
「空飛ぶクルマ」は電気モータ≒整備性、騒音で有利、即時起動
・ヘリはギヤボックスとローターヘッドの構造が複雑
「空飛ぶ(略)」はほとんど直結固定ピッチペラ、ギヤボックスとアナログコントロールの代わりに直接回転数をソフトで制御する
・そうはいっても、空力的にはヘリの方が効率が良い、航続距離も取れる
「空(略)」にはそんなに航続要求されない、空力もクルマに毛の生えた程度で良い
このような違いがあって、要するにヘリは「空(略)」にはオーバースペックなのかな?と。
ロビンクラスで、メインロータを二重反転か交差反転式にしてテールロータとブームを無くして、エンジンの代わりに電気モータで最低限のギヤボックス、ローターヘッドはリジッドにして……でも制御にスワッシュプレートは必須だから、やはり構造と整備性その他でマルチコプタにはかなわないか……残念ではあります。