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岸田政権の奇策、多子世帯の大学無償化案

政治
この記事は約6分で読めます。

個人的には非常にありがたい政策なんだけど……、だけど、一般論としては反対だな。

多子世帯の大学授業料 無償化へ 2025年度から 政府方針

2023年12月7日 5時00分

「異次元の少子化対策」をめぐり、政府は3人以上の子どもがいる多子世帯について、2025年度から子どもの大学授業料などを無償化する方針を固めた。所得制限は設けない。教育費の負担軽減で、子どもをもうけやすくする。「こども未来戦略」に盛り込み、月内に閣議決定する。

朝日新聞より

ハッキリ言うが、大学は誰でも彼でも行くような機関ではない。「大学に行きたい」という子供を応援したい側面はあるんだけど、そもそもその大学に何をしに行くのか?という話である。

大学授業料の無償化は「少子化対策」ではない

それって日本人が対象ですか?

こんな当たり前のことを書くのはどうかと思うが、大学に行くのは勉強をしたい人だけで良い。

対象は子どもが3人以上の世帯。大学生のほか、短期大学や高等専門学校などの学生も含める方針。入学金なども含む方向で調整している。子どもとしての数え方も今後詰める。

朝日新聞より

確かに、大学の入学金や授業料の負担というのは、子育て世帯にとっては非常に大きい負担となる。

しかし、本当に勉強をやりたい学生以外に大学に入学して貰っても、日本社会としては困る。そもそも入学するのは日本人ですか?税負担は本当に日本人に対してですか?などの疑念は残ったままである。

それ故に優秀な学生が勉学に励む形にすることが、望ましいと思う。

年収380万円未満の世帯では現在、授業料を減免したり、給付型奨学金を出す支援制度がある。政府は今春、少子化対策として、24年度から、年収600万円までの中間層の多子世帯などに対象を広げ、授業料を減免すると発表した。

今回は多子世帯は原則、所得制限なく無償化すると踏み込んだ。戦略原案では「学業の要件について必要な見直しを図る」とも記した。授業に出席していない場合は対象外とすることなどを想定している。

朝日新聞より

現状では、随分と留学生にも便宜を図っているようなんだけど、そもそも誰のための制度ですか?と言うところが不明瞭な状態になりつつあるように思えるね。

もちろん、留学生を受け入れることそのものは、悪いことではないと思う。だが、そこに日本の税金を使う意義はあまり感じない。優秀な学生であればいいが、アホを日本に招いてもねぇ。

倍率が下がる入試

さて、少し話は変わるが、現状の日本は少子化問題に悩まされている。冒頭のニュースも、だからこその少子化対策ということに繋がるようだが、政策としてはかなり短絡した話だ。

【大学入試直前情報】河合塾分析「少子化と入学定員増で競争率緩和、女子は理工系、医療系の志願者増える」

2023.12.07

11月に実施した共通テスト模試の受験者数は前年比96%でした。18歳人口が2018年度から減少期に入っており、24年度は前年からさらに約3万4千人減る(前年比97%)という人口減少とほぼ同じ傾向でした。国公立大では志望者数は前年並みを維持していて、模試受験者のうち国公立大を志望した人の割合である記入率 は前年より上昇しているので、実質的に人気は高まっていると言えます。一方、私立大は年内入試(総合型選抜、学校推薦型選抜)への流出に加え、近年の競争緩和が要因となってやや減少率が高くなっています。中でも私立専願者は共通テスト離れがさらに進み、前年比89%と大きく減少しています。

EduAより

傾向としては、少子化の影響で定員割れする大学も増えてきている。つまり、受験生に対しては優しい環境になりつつある。そして、この傾向は今後一層加速するだろうと言われている。

つまり、人を集められない大学は淘汰されていく流れになっているし、そうあるべきだ。

そもそも、日本には文系の大学が多すぎる。この記事では理系大学が人気だと言う分析が為されているけれども、逆に文系大学に行く価値を見いだせなくなっている学生が増えているという風にも分析できる。

理系が良いとか文系が良いとか、そういう話ではないことにご注意頂きたいが、そもそも大学で高度な学問を追究するという意義が失われつつあるということが問題なんだと思う。特に文系はその流れが顕著だ。現存する大学の文系:理系の比率は7:3だと言われている。7割も文系大学である必要が本当にあるの??

大学の授業料無償化は、そういった「淘汰」に対して悪影響を及ぼす。そういう観点から言って、僕は大学の授業料無償化には反対なのである。

給付制度の拡充を図るべき

では、どうすべきか?と言えば、高校無償化の時にも触れているんだけど(記事は残っていない)、大学は成績優秀者に給付できる奨学金制度を拡充して、返済はしなくて良いけど、成績を維持しろという形にしていく必要がある。

中学校までで学ぶべき事と、高校で学ぶべき事は違う。九九も満足に出来ないようなアホ学生を高校に通わせる必要はないし、それは別の方向で長所を活かせるような社会に変えていくべきである。

況してや、大学に行く学生がアホとか洒落にならない。単なる金の無駄では。

北欧のケースで言えば、大学入試などはなく、成績優秀者が大学に行けるシステムを採用しているのだとか。アメリカは入学しやすく卒業が難しいシステムを採用していて、コレも興味深い。

ところが普段は「オウベイガー」と言う方々も、そういった話には言及しないのが不思議である。

〈社説〉大学の無償化 子の人数で差別する愚策

2023/12/09 09:31

大学の授業料を2025年度からただにする。所得制限はなし。ただし子どもが3人以上いる世帯に限る―。

~~略~~

ちょっと待ってほしい。制度の発想がおかしい。公平性に欠け、少子化対策の理念をゆがめる。根本から考え直す必要がある。

信濃毎日新聞より

なお、信濃毎日新聞はもっとおかしな方向に振り切った社説を書いているので、ご一読……、いや、読む価値は無いな。

「不平等だから全体的に大学を無償化しろ!」と言っているだけだ。平等が聞いて呆れる。

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扶養控除は縮小

なお、「異次元の少子化対策」などと言いながら、扶養控除は縮小する方向だという。

高校生扶養控除縮小「どこが異次元の少子化対策か」 与党に異論

2023/12/10 08:30(最終更新 12/10 14:56)

政府・与党は、高校生(16~18歳)の子どもがいる世帯の扶養控除について、2024年度税制改正に向けて控除額を縮小する案を議論している。少子化対策の一環として児童手当の対象を高校生まで広げるのにあわせ、手当と控除の二重の優遇となるのを避ける。

毎日新聞より

意味が良く分からないのだが、扶養控除を縮小する理由は、児童手当拡充の財源にする目的だという。

それは単なる予算の付け替えなんだが……。

政府が与党税制調査会に示した案では、控除額を所得税は現在の38万円から25万円に、住民税は33万円から12万円に縮小する。一方で、児童手当の対象を現在の中学生までから高校生までに拡大し、所得制限なく子ども1人あたり年間12万円が支給される。児童手当から扶養控除の縮小による負担増分を差し引いても、すべての所得層で手取りはプラスになるとしている。

毎日新聞より

毎日新聞の記事内容を鵜呑みするのはアホのやることだが、「すべての所得層で手取りはプラスになる」などという詭弁を政府与党が言っているのだとすれば、国民を馬鹿にする話ではある。

そして、「少子化対策」という枠組みでこんなことが語られることが、バカバカしいというか。

これも、大学の授業料無償化と似た考え方なんだろうと思う。それって本当に少子化対策なんですか?

岸田政権、評価できる政策はもちろんあるんだけど、どうしてこんなポンコツな事ばかりに力を入れるのか。

コメント

  1. アバター 山童 より:

    とりあえずFランク大学は全て駆逐しませう。また名前だけ留学生で生き延びてる地方の低レベル大も全て潰す。
    まぁ昔の農村じゃないんですから、とりあえず子供でも肉体労働させときゃ戦力になった時代とは違う。とはいえ高校より上って皆が行く必要ないでせう。
    全入など資源の無駄遣い。
    あと私は文系て大学、理系で専門学校から国試うけましたが。むだな文系大杉!

    • 木霊 木霊 より:

      低レベルの何やっているのか良く分からない大学が存続しているのは問題ではありますが、「大学に行けば良い会社には入れる」という幻想が長く日本に蔓延っていた時代がありましたから、間違ってはいなかったと思います。
      ただ、変な大学を出ても使えない人間がゴロゴロという状況が明らかになってしまいましたから、相対的に大学の価値が落ちてしまいました。

      今や、定員を守るために留学生を大量に受け入れるような大学も少なくなく、それを税金で支援するというおかしな構造になっています。
      そういう大学は淘汰されていくべきだと、そう思いますよ。

  2. アバター 砂漠の男 より:

    子どもたちが、真摯に競争するその意味を知らなければ、将来「社会の負け犬」になりかねない。ためにならない政策を打とうとするチョロ岸田政政権は社会悪といえよう。
    そのチョロ岸田、先ごろ派閥会長をようやく退いたかと思いきや、同派閥の政治資金集めパーティーでは『多数の支那人がパー券を購入』しているとSNSに暴露される。
    だめだこりゃ。

    • 木霊 木霊 より:

      何に付けても競争の原理は働きますから、それに晒されていない人間は弱いんですよね。
      少子化対策って、子供の数が増えれば成功だと思っている節がありますが、そこが先ず違う。岸田君には理解出来ないことかも知れません。

      パー券の噂は目にしましたが、アレ、胡散臭い情報ですよね。
      もちろん全面否定はしませんが、見苦しい同族の足の引っ張り合いという感じです。情報が出揃うまでは静観ですな。

  3. アバター あいAI より:

    高校無償化もそうなのですが、
    対象は国公立だけで良いと思います。
    贅沢品まで面倒を見る必要は無いと思いますし、その予算で国公立の施設、設備を充実させて欲しいですね。

  4. アバター みみこ より:

    この政策「三人めを持つが迷っている家庭が出産に踏み切ることに期待」
    とかニュースで言っているのを聞きましたが、
    「18年後もこれが継続している」と信じて出産しますかねぇ。
    今やるなら、給付型奨学金を
    「私立理系は増額する」とか、
    収入制限を「二人目以降には緩和」とかのが実質的な子育て支援と思いますが。

    • 木霊 木霊 より:

      そうなんですよ。
      何故、多子世帯の大学無償化が少子化対策になると思ったのか。意味が良く分かりません。
      子供が生まれたら、小学校に入学するまでにかかる費用を無償化する(1人あたり1000万くらい給付)とかで良いと思いますよ。もちろん、アホな親が勝手に使ってしまうケースだってあるでしょうけれど、アホな親ばかりではありませんからね。もしそれで反対が多いのであれば、バウチャー(交換券)を配る方式とかやりようはあります。折角マイナンバーを作ったんですから、利用すれば良いですしね。

      大学の授業料無償化をどうしてもやりたいなら、やっぱり国公立限定で授業料の減免ですかねぇ。成績が良ければ返済しなくてイイヨという仕組みを導入するにせよ、私立にまで配るのか?という点は議論の余地があります。国公立の授業料を下げて、それ相当の金額を私立学生に支援するくらいなら良いかもしれません。

      追記:1000万円という数字は、小学校卒業までの養育費が概算で1000万円という(公立小学校に行った場合)数字を参考にしています。小学校の間にかかるのが500万円程度だということですから、入学までに倍額というインセンティブを与えるという意味になりますね。

      • アバター みみこ より:

        >1人あたり1000万くらい給付
        これに賛成です。
        たしか現在も祖父母からの「教育費に限っての贈与は非課税」は継続していますよね。
        これ、使い道は銀行が管理するんですよね(記憶曖昧)。
        あの贈与を祖父母ではなく政府がやればよいと思いますよ。
        教育費の心配が(少)なくなるなら、出産が増えることは期待できます。

        現在、教育費が自分達の成長時より遙かに高くなっているので、
        自分達が受けたと同等(以上)の教育を与えるためには子供は一人しか持てない、と考える中産層が増えているように思えますから。

        (とある大学の学費はバブル期前の3.5倍になっています。
        同期間の平均給与は2倍にもなっていませんし、
        「ネット環境」が大学生には必須なので、昔はなかった諸費用もかかります。
        親の負担増はすごいです。)

        • 木霊 木霊 より:

          前のコメントに追記しましたが、1000万円という数字は一応根拠があります。
          その原資については他の方のコメントにも書きましたが、教育国債を発行する事で賄います。「国の借金ガー」という方も出るとは思いますが、建設国債と同じで投資の回収は容易です。何しろ、子供の養育に経済効果がありますし、成人して納税してくれるようになれば収支的にはプラスとなりますからね。

          ご指摘のような給与が上がらない問題は、色々なところに波及する根深い話ですが、これは今の状況を日本が続ければ緩和できていく話になると思います。ただ、高度経済成長のような事にはなりませんから、負担感が軽減するところまで行くかどうかは。

  5. アバター 匿名 より:

    大学卒業した、もしくは高卒で中卒で社会人になった人にはあまり意味がないですね。
    今、結婚して子供できても大学なら最低18年後に受けられる恩恵。
    そしてバカ量産で大学という意味が崩壊する危険性もある。

    今問題なのは、今現在子育てに回すお金がない、すなわち物価と賃金のバランスがくずれている(可処分所得が減少)からだと思うので、少子化対策としては、セコい減税などではなく大胆な減税など景気のテコ入れのほうがよっぽどいいと思うのですがね。
    故に未来が明るく見えない。
    もっとも大昔は、貧乏だから大勢の子供を産んで丁稚に行かせて働け働け、という時代もありましたが、
    まさか岸田さん・・・。

    自分の意見も出せず、未来も描けず、なにか言われないよう、意見は聞いても判断できず、自分の立場を守るため何でもいいなり・・・そんな岸田さん、「税」という字を「悦」と間違えているんじゃなかろうか?

    ※私はパッと見で「悦」と見間違えてなんじゃこりゃと思ってしまいました。
    今年に限っては、のぎへんは崩さないでほしかった(笑)。

    • アバター 山童 より:

      匿名様に座布団1枚!

    • 木霊 木霊 より:

      少子化対策としては、結婚して子供がいない、或いは結婚するのを躊躇している層に訴えかける必要があります。
      そういう意味では、せこい減税なんかやっている場合ではなくて、ドーンと給付してしまう方が良いと思います。

      なお、この政策の原資は一体何になるのか?といえば、教育国債という名目での国債を発行する事で賄うことが良いでしょう。子供が増えることは大きな経済対策にもなりますし、何より子育てにお金を使うので社会にお金が循環します。どうせばらまくなら思い切ったことをやった方が良い。

      自らの政治手法に「悦」に入っている岸田氏には、なかなかやれない対策なんでしょうけれど。

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