前韓国大統領は、西海公務員射殺を把握しながら生存を偽装

これねぇ。

「文政権、西海公務員射殺を把握しながら…生存しているように捜索」（１）

2023.12.08 09:11

３８時間漂流した韓国の国民が北朝鮮海域で発見されたが、北朝鮮に救助された後に報告すれば済むと考えて早く退勤した。そして北朝鮮には救助してほしいという通知もしなかった。北朝鮮軍が韓国国民を射殺した後には、まだ生存しているかのうように捜索作戦を続けて国民を欺き、関連文書を破棄した。そして自ら越北したかのように見せかけるため、存在しない情報も捏造した。

中央日報より

2020年9月22日、韓国海洋水産部の職員が失踪。北朝鮮側で発見されたこの職員は捉えられ射殺される事件が発生した。韓国政府は、この後北朝鮮側にこのことを抗議したんだけど、どうにも「とってつけたような」抗議だったんだよね。

北との関係悪化を恐れたムン君

事前に把握していた

当時から「怪しい」とは言われていたが、この事にメスを入れる事ができたのは、ムン君退任後の出来事。

韓国監査院、文前大統領に「西海公務員殺害」関連書面調査を通知

:2022-10-02 23:11 修正:2022-10-21 07:15

監査院が文在寅前大統領に「西海公務員殺害事件」と関連して書面調査を行うと通知したことが確認された。2カ月前から西海公務員殺害事件に対する監査を進めてきた監査院が、文前大統領に対する直接調査に乗り出したのは今回が初めて。文前大統領側と共に民主党が「退任した大統領に恥をかかせるために監査院を前面に出した政治報復」だとして強く反発しており、「外交惨事」をめぐる波紋でただでさえ協治と遠ざかっている与野党の対立が一層激化するものとみられる。

ハンギョレより

大統領権限で事件捜査を止めていたというのは、漫画や小説ならばありがちな展開だけれども、司法が独立している民主主義国家ではあまり表立って語られることの少ない話。

「日本国内ではない！」と言いたいところだが、おそらくはある。ただ、司法の独立を宣言しているから、時の政府の思い通りの判決が出るとか、捜査が止まるとかそういった事は珍しい。ぱっと思いつくのは民主党政権時代の尖閣諸島沖支那漁船衝突事件（2010年9月7日）で、民主党政権の圧力で検察が処分保留釈放という判断を下して犯人を帰国させたことくらいだろうか。

さておき、韓国のこの話。

公務員失踪は初動からしてなかなか意味不明であった。

一連の流れ

事実がどうだったのかは、未だ不明なんだけど、一応追える流れは以下のようなものとなる。

• 2020年9月17日　業務により漁業指導船（ムグンファ10号：499ｔ）に被害者の李氏が搭乗。ムグンファ13号からの海上での乗り換えで、10日間の勤務の予定だった。
• 2020年9月22日01時58分　漁業指導船に搭乗していた李氏が失踪。
• 2020年9月22日15時30分頃　失踪地点から27km離れた黄海南道カンリョン郡九月峰近くの海域で、北朝鮮船舶によって海上にいる李氏が発見される
• 直後に拘束され、北朝鮮軍の船にロープで繋がれたまま海上を漂流する
• 2020年9月22日16時43分頃　韓国の韓国合同参謀本部が北朝鮮軍に李氏が連行されている事実を知り、国家保安室に伝える
• 2020年9月22日19時40分頃　北朝鮮軍は李氏を見失う
• 2020年9月22日20時50分頃　北朝鮮軍はトンサン岬近くの海域で再び李氏を発見（最初の発見地点から38km離れた海上）
• 2020年9月22日21時頃　北朝鮮軍によって李氏は殺害され、焼却される
• 2020年9月22日21時40分以降　韓国の国家安保室と国防部は李氏が射殺された事実を把握
• 2020年9月23日01時　韓国政府が関係長官会議を開催。合同参謀本部は安保室の指針に従って関連情報報告書60件を削除。
• 2020年9月23日01時30分頃　国防部から記者団に李氏は依然失踪中であると発表される
• 海洋警察は李氏に対する失踪者捜索活動を継続
• 2020年9月24日　韓国政府は射殺事件が発生したことを発表

色々な資料をつなぎ合わせた内容なので、若干齟齬がある部分もあるとは思うが、大筋で矛盾がないように思う。

落水で失踪

実はこの事件、失踪当時には被害者男性が「越北」したと報じられている。

金正恩氏が韓国公務員射殺を異例の謝罪　南北緊張、孤立避ける狙いか

2020年9月26日 05時50分

北朝鮮軍が黄海上で越北した韓国の男性公務員を射殺した事件で、金正恩朝鮮労働党委員長が２５日、文在寅大統領や韓国国民に謝罪する通知文を送った。韓国大統領府の徐薫国家安保室長が発表した。北朝鮮最高指導者の韓国への謝罪は異例で、南北の軍事緊張や国際的孤立を避けるため、幕引きを急いだとみられる。

東京新聞より

情報を鵜呑みにした東京新聞も「越北」という言葉を使っている。このことは、実は韓国政府が画策したことがすでにわかっている。

殺害された公務員が北朝鮮で逮捕された直後、韓国軍が最初にしたこと

2022.12.07 16:05

文在寅政権の軍は２０２０年９月２３日、西海（黄海）で漂流していた韓国海洋水産部の公務員、故イ・デジュン氏が北朝鮮軍に逮捕された事実を把握した直後、イ氏が乗っていた漁業指導船にライフジャケットの全数調査を指示したことが確認された。

中央日報より

意味の分からないニュースだが、国家保安室と韓国軍が共謀して、漁業指導船に対してライフジャケットの全数調査をやらせたというのである。それも3度もだ。

これに関連し、イ氏の兄イ・レジン氏は中央日報ユーチューブ「カン・チャンホのトゥーマッチトーカー」との電話で、「当日に弟が乗っていた漁業指導船に搭乗して捜索に参加したが、午後６時ごろ夕食のために甲板に出るとライフジャケットが並べられていて、船長に尋ねたところ『海軍作戦司令部からライフジャケット現況を全数調査するよう指示があり、数えている』と答えた」と話した。

イ氏は「船長に『作戦司令部の誰が電話をしたか』と尋ねると『ワンスター（准将）がした。午後５時５０分まで３回電話をかけて調査を指示した』と答えた。電話がくる間隔を２０－３０分とみると、弟が逮捕された事実を把握した午後４時直後から３回も電話をし、ライフジャケット全数調査を３回も繰り返してさせたということ」と伝えた。

中央日報より

記事では、軍が落水してしまった李氏を「越北」したことにするためにライフジャケットの数を数えさせたと推測している。１つ足りないという報告を受ければ、李氏がわざと海に入って、越北を試みたというシナリオが成り立つからだ。

しかし、ライフジャケットは全数あり、3度とも全数あったと報告したようだ（船上ではライフジャケットを着用して活動するのが普通のように思われるが、そうではなかったようだ）。

当時の報道では「漢字の入ったライフジャケットを着用していた」という噂も飛び交い、事前に準備していたのだという推測がなされていた。

しかし、実際には夜間勤務時に誤って落水した可能性が高いことが後に判明している。そもそも射殺された後に燃やされてしまったというのに、もしライフジャケットを着ていたとしても残っているわけがない。

早々に退勤

そして、今回わかったのは、公務員の李氏が落水して北朝鮮軍に拘束された事実を知りながら、安保室長が早々に退勤したという話だ。

監査院「文在寅政権、韓国公務員が北に射殺される前に発見するも放置…安保室長は早々に退勤」

記事入力 : 2023/12/08 14:00

2020年に発生した西海（黄海）公務員射殺事件は、韓国海洋水産部（省に相当）所属の公務員だったイ・デジュンさんが西海・延坪島付近で行方不明になった後、北朝鮮軍によって殺害され、遺体が損傷された事件です。

～～略～～

2020年9月22日、漁業指導船で行方不明になった韓国海洋水産部の公務員イ・デジュンさんが西海上で漂流していることを韓国政府が初めて把握したのは午後4時43分のことでした。

朝鮮日報より

国家を揺るがす大事件に発展する話だし、そもそも韓国の国民が海上で行方不明になったにも関わらず、真剣に捜索しないばかりか、北朝鮮軍に拘束されたことを知って、ホッとして帰宅したというから恐ろしい。

これが国境警備をしている人々の感覚というのが、なんとも。

まあ、日本も人のことを言えないんですが。内閣府の職員が北九州市沿岸で変死体で発見された事件（2014年1月18日）とか、おかしな事件があっても捜査打ち切りで事故として処理してしまうような話もあったしね。国家間の思惑が絡むと、人の死は軽く扱われがちなのかもしれないが。