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支那は韓国との半導体協力強化を発表する

大韓民国ニュース
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不用意な会談の結果がコレだよ。

中国に焦り? 「韓国との半導体協力強化」を一方的に発表…その狙いとは

記事入力 : 2023/05/29 09:51

米国による強硬な半導体制裁に反撃を始めた中国が韓国を取り込もうとしている。中国政府は韓中による担当閣僚会談の結果を発表し、「半導体サプライチェーン協力の強化で合意した」という内容を一方的に公表した。韓国政府は直ちに「事実に反する」と反論した。世界の半導体市場で孤立している中国が状況の打開を模索したが、むしろ自国の焦りを国際社会に露見してしまったとの見方もある。

朝鮮日報より

韓国としても痛し痒しという状況なんだと思う。でも、コレではねぇ。

シーソーゲーム

半導体戦争の狭間で

アメリカと支那との間で半導体戦争が勃発しているが、現状ではアメリカ側に日本と台湾、そしてオランダが付く流れになっている。当然ながら、韓国もアメリカ側に呼ばれている。

アメリカは「チップ4」と呼ばれる枠組みを提唱していて、ここでも韓国はアメリカ側に付くように説得されている。

米台日韓の半導体同盟「Chip 4」のメリットとリスク

2022年10月04日 15時30分 公開

米国が主導する米台日韓による半導体同盟「Chip 4」について、韓国はこれまで参加に乗り気ではなかった。中国との間で貿易戦争が発生する可能性を懸念していたからだ。しかし、ある情報筋が米国EE Timesに語ったところによると、その韓国がChip 4の交渉に加わったという。

EE Timesより

アメリカもなかなか身勝手なことを言っている様に思うが、しかしどちらかの陣営に加わるのか?という選択肢を突きつけられれば、リスクを負ってでもアメリカ側に付かざるを得ない。

理由は色々あるのだが、一番大きな理由は民主主義陣営だからということだろうか。支那の一党独裁体制よりは「未だマシ」だからだ。

韓国の抱えるジレンマ

ただ、台湾は選択の余地が無いにしても、日本やオランダはまだ迷う余地はあった。では、韓国は?というと、コレがなかなか難しいところ。

サムスンとSKハイニックスが68兆ウォンを投じた中国工場、米国の対中制裁で無用の存在になるのか

記事入力 : 2023/03/08 11:17

米政府の補助金を受けると、10年間は対中投資ができないという条項は、世界の半導体メーカーの中でも特にサムスン電子、SKハイニックスに打撃だ。投資制限猶予措置が10月に終了すると、中国にある既存工場に対する投資まで全面的に中断される可能性がますます高まっている。電子業界関係者は「米政府の徹底した対中制裁を見れば、韓国企業に例外を認めない可能性が高い」と話した。

朝鮮日報より

都合の悪いことに、韓国の屋台骨を支える半導体産業を代表する2社、サムスン電子とSKハイニクスが、それぞれ支那に巨大な工場を作ってしまっている。

サムスン電子はNAND型フラッシュメモリーの40%、SKハイニックスはDRAMの40%とNAND型フラッシュメモリーの20%を中国で生産している。サムスン電子とSKハイニックスはこれまでに中国に合計で68兆ウォン(約7兆800億円)を投資した。内訳はサムスンが33兆ウォン、SKが35兆ウォンだ。

朝鮮日報より

これを簡単に切れるのか?というと、コレが難しい。既にSKハイニクスは巨額の赤字を抱える状況(1~3月期の連結営業損益は3兆4023億ウォン(約3400億円)で改善の見込みなし)になっているのに、更に7兆円強の投資を捨てるという判断が出来るわけが無い。

サムスン電子も、苦しいところだろうね。業績は相当悪化(半導体部門の営業損益は4兆5800億ウォン(約4600億円)の赤字)しているし。

支那との交渉

韓国政府としても、この2社に「損切りして赤字計上しろ」などとは言えない。何しろ、68兆ウォンレベルの投資案件だったのだから。

個人的な意見を言えば、それでも韓国政府は損切りするタイミングだとは思う。今、切り捨てれば少なくとも次世代半導体への投資に乗り遅れることにはならない。

が、ここでグズグズしてしまうと、韓国経済全体への悪影響も大きい。

だからこそ、韓国は支那との調整で、何とか利益を確保したいという意図はあるのだろう。

韓国は原材料、中国は半導体…韓中会談で明らかになった両国の本音

登録:2023-05-28 19:12 修正:2023-05-29 07:31

26日(現地時間)、米国で開かれた韓国と中国の通商分野の責任者の会談は、米中間の半導体対立の真っ最中に行われたという点で注目された。中国側の発表には韓国との半導体分野の協力が盛り込まれたが、韓国側の発表には半導体の話はなく、原材料と部品関連の協力を中国に要求したとの内容が盛り込まれた。

ハンギョレより

で、アメリカで支那と韓国の通商会談をやったんだけど……、どうしてアメリカでやったのか、といえば、デトロイトで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)通商閣僚会議に両国とも参加していたからである。

APECの会議には、日本も参加していたのだが、支那もロシアも参加していたようで。当然ながら、共同声明なんぞ出せるはずが無い。

共同声明また見送り 中ロが反対、APEC貿易相会合

2023年05月27日09時16分

日米中ロなど21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合は26日、米デトロイトで2日間の討議を終え、閉幕した。昨年5月のバンコクでの貿易相会合に続き、共同声明は見送りとなった。ロシアのウクライナ侵攻を巡る文言に中ロが反対したためだ。

共同通信より

むしろ、話し合って解決すると思う方がどうかしている。ロシアも支那も、ここに参加した理由は簡単で、共同声明を出させない為に参加したのだ。

議長国の米国が共同声明に代わり、議長声明を公表。声明は「多くのメンバーがロシアを非難した」とする一方、「他の見解や異なる評価もあった」と指摘した。昨年11月のAPEC首脳宣言を踏襲した。

共同通信より

APECが苦し紛れの宣言を出しているのだが、APECの枠組みが機能不全になっている状況を露呈するだけの宣言であった。

で、その裏で支那は韓国との関係を強化すべく打ち合わせをしていたという訳なんだな。アメリカでそんな会合をするというのも大胆な話ではあるが、しかし、やってしまったのだから仕方がない。

部品供給の安定化のお願い

韓国としては、貿易のアキレス腱を支那に握られている。

韓国産業部の資料によれば、アン本部長は中国側に「交易の円滑化と重要原材料・部品の需給安定化のための関心と支援を要請」し、「中国内の韓国投資企業の予測可能な事業環境づくりに向けた協力を要請」した。バッテリー原料など韓国が中国に主な原材料を依存している状況で、これに対する協力を要請したのだ。実際、韓国は2次電池の主要素材である水酸化リチウムを中国から輸入しているが、今年1~4月の輸入額は22億ドルで、前年より12倍以上急増した。2021年、中国の輸出統制で尿素水の需給難が発生した当時の調査によれば、中国に対する輸入依存度が50%以上の品目が2千個、90%を超える品目が500個に達した。中国は最近、米国の半導体攻勢に対抗してレアアースなどの戦略物資の輸出を統制するかもしれないという予測も出ている。

ハンギョレより

韓国の輸出品の大半は支那に原料を依存している。特に力を入れている半導体と二次電池は9割以上の依存となっている。記事では「輸入依存度が50%以上の品目が2千個、90%を超える品目が500個に達した」と書かれているが、主要素材を支那に依存しているのだから、依存度云々を言及する意味はあまりない。

韓国は支那から安定供給を絶たれれば、あっという間に窮地に立たされる。

そんなわけで、韓国は支那に対して「お願い」をしたのだが、そこを突かれた形となった。

韓国と中国の貿易担当高官の会談では「半導体」問題に対する両国の異なる態度が浮き彫りになった。26日、中国商務部は韓国産業通商資源部のアン・ドクグン通商交渉本部長と王部長の会談後に資料を発表し、「両国は半導体の産業網とサプライチェーン領域での対話と協力を強化することに同意した」と明らかにした。半導体をあえて取り上げ両国が「協力に同意した」と明らかにしたものだが、これは韓国側の発表には含まれていない内容だ。中国が韓国側との会談で半導体分野の協力を要求し、韓国は原則的なレベルの答弁をした可能性が高いとみられる。

ハンギョレより

支那から「両国は半導体の産業網とサプライチェーン領域での対話と協力を強化することに同意した」と発表されてしまったのである。

韓国側は即座に反応したようだが、しかし、おそらくは支那と韓国はこの内容を話し合っているハズだ。同意を濁した程度だったのが現実だろう。

支那側が韓国の反応を見ているという分析があるのだが、僕はそうではないと思っている。おそらくはなし崩し的に韓国に協力させる体勢に持ち込みたいという狙いがあると思う。

浦項工科大の鄭宇成教授は「米国がファウンドリーではインテルを、メモリー分野ではマイクロンを前面に出し、中長期的に韓国に取って代わることは十分に可能なシナリオだ」と述べた。

朝鮮日報より

そして、韓国の焦りを上手く煽っている。焦りがあるのは、支那よりも韓国の方なのではないか。

韓国は、日本に対しても半導体関係で「協力」を要請していたが、日本としても簡単には飲めない話。今の時点で韓国と組むメリットは日本にはないからね。

しかしそうすると、韓国は生き残りをかけて支那の方に吸い寄せられていってしまう可能性が高くなる。アメリカは韓国を切り捨てるタイミングを伺っているので、案外、背中を押すかも知れないけれども、日本としてはその時どうするのか?というシナリオを考えておくべきだと思う。

IPEF始動

サプライチェーンの安定化や多様化を目指す!

と、そんなことがあった中、APECと派別にIPEFが動き始めている。

IPEF、供給網協定で合意 脱中国依存へ米主導の連携始動

2023年5月28日 4:53 (2023年5月28日 10:35更新)

米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚会合が27日(日本時間28日未明)、閉幕した。重要物資のサプライチェーン(供給網)を強化する協定に合意した。半導体や重要鉱物といった物資を念頭に安定供給の体制を整え、中国依存からの脱却につなげる。

日米や東南アジア諸国など14カ国が参加するIPEFは2022年5月に発足した。具体的な成果をまとめるのは今回が初めて。①貿易②供給網③クリーンな経済④公正な経済――の4分野のうち、供給網で先行して合意した。協定文書の策定を急ぎ、参加国が署名すれば発効する。

~~略~~

残る3つの分野は交渉を継続する。米国は早ければ、11月に予定するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に合わせて全体の交渉妥結を目指す。今回の閣僚会合では日本が主導し、水素技術で協力する「域内水素イニシアチブ」を立ち上げることでも合意した。

日本経済新聞より

さて、APECの話を持ち出したが、支那と韓国が動いている一方で、既に機能不全に陥っているAPECを開催した理由の1つがIPEF始動の合意に至っている。

IPEFに参加するのは、米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、そしてオーストラリアの13カ国である。そのうち、韓国は「サプライチェーンの安定化や多様化を目指す」などと空気の読めないことを言っていた。

第1回IPEF公式交渉、韓国はサプライチェーンの安定化や多様化を目指す

2022年12月13日

韓国産業通商資源部は12月9日、同月10~15日にオーストラリア・ブリスベンで開催されている第1回インド太平洋経済枠組み(IPEF)公式交渉に、キム・ジョンフェ通商交渉室長を首席代表とする交渉団を派遣すると発表した。

韓国政府は域内サプライチェーンの安定化や多様化、気候変動への対応、クリーンエネルギーへの転換、デジタル関連ルール、協力体制を構築するため、交渉に主導的に参画する方針だ。

JETROより

どうやら、韓国はIPEFに支那を加えたいらしい。

いやいや、IPEFは対支那包囲網だから。ね。

早ければ11月には交渉の妥結に至るような流れになっているので、今後、動きは活発になるだろう。

追記

面白い、というか韓国らしい主張が紹介されていたので。

中、米半導体制裁に多級だったのか…「韓国が供給協力」一方発表した属内

入力2023. 5. 28. 12:39 修正2023. 5. 28. 18:27

米国の半導体制裁に対抗して反撃を始めた中国が韓国捕獲に乗り出している。

27日、中国商務部によると、安徳根産業通商資源部通商交渉本部長と王原タオ中国商務部長は、前日、米国デトロイトで開かれたアジア太平洋経済協力体(APEC)貿易長官会議で会って両者会談を行った。中国が最近、韓米日の空調強化とユン・ソクヨル大統領の台湾関連発言に反発し、韓中関係が悪化した状況で両国の高位級経済対話が電撃的に成就したのだ。中国商務部は会談直後に発表した資料で「両国が半導体サプライチェーン協力強化に同意した」と一方的に主張した。

~~略~~

米中半導体戦争は長期戦であると予想されるため、国内半導体企業は特定の国に列を立てられない状況だ。一方的に米国や中国側を挙げる決定を下してから莫大な損害を被ることができるからだ。中国でサムスン電子はNANDフラッシュ物量の40%を、SKハイニックスはDRAMの40%、NANDフラッシュの20%を生産している。これらの大規模生産ラインを短期間で置き換えることは困難です。米中半導体戦争が激化するほど、中国内の生産基地がサムスン・SKハイニックスの中国販売を保障する保護膜になるという分析もある。中国でサムスン・SKハイニックスがマイクロンの空白を埋めることが中国の半導体自立速度を遅らせるのではなく、米国に利益という主張も出ている。

Daumより

機械翻訳を使っているので、中身を誤読している可能性は若干あるが、概ね分析自体は外れていないように思う。対支那経済戦争において韓国のポジションは重要だし、韓国が決断すれば支那に大きな打撃を与える可能性は高い。

韓国がアメリカにつくことを選んでも、支那につくことを選んでも利益にならないという分析も、まあ間違いではない。

それは良いとして、問題は最後の一文である。ここの意味が分からない。「支那内の生産基地がサムスン・SKハイニクスの支那販売を保障する保護膜になるという分析」「支那でサムスン・SKハイニクスがマイクロンの空白を埋めることは、支那の半導体自立速度を遅らせる」「結果的にアメリカの利益になる」だって。

屁理屈にも程がある。

確かに、サムスンの技術力は一定のレベルであって、SKハイニクスだって生産力を見ても、DRAMの安定供給という意味では優れているだろう。だけど、そのレベルの製品を支那が作ることが出来ないか?というと、そんな訳もなく。

そうでなければ、支那が韓国から半導体の完成品を買う量が減る訳がない。既に赤字垂れ流しになりつつある理由は、韓国で製造するレベルの半導体であれば支那国内で調達が可能であることを意味する。流石に最先端レベルのものは無理だろうが、大半は支那で作ることが可能。

そんな状態で「マイクロンの穴埋めをする」というのは……、アメリカを怒らせるだけだと思うぞ。

コメント

  1. アバター けん より:

    おはようございます、

    今後、半導体アジア市場は激変しそうですね。
    https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2023/0101/d02badc6545842b6.html

    三星電子もSKハイニクスも、今後社運を賭けた事業判断を免れませんが、今年は概ね主力半導体の在庫調整局面のために、売上利益も期待できそうにありません。前途に暗雲が起ちこめていますね。

    米国デトロイトでのIPEF合意の発表が先週の土曜日でしたが、その当日には「支韓半導体供給協力合意」のニュースが流れ(北京発ロイター電)、おそらく米国の神経を逆なでしたことでしょう。いまごろ駐米韓国大使あたりが米商務省から”事情聴取”されているかも。

    • 木霊 木霊 より:

      TSMCの業績が好調だけに、サムスンもSKハイニクスも歯痒いでしょうが、在庫をかなり積み上げているようですから、当面は厳しい経営判断を迫られるのでしょう。
      その上で損切りをするかということなのですが、サムスンはともかくSKハイニクスの方はインテルから押しつけられた案件だけに、簡単に損切りできるとも思えません。
      逃げ遅れるんじゃないかな。
      生存戦略的には、サムスンは引き上げてSKハイニクスは粘るのもアリでしょうが……、SKハイニクスだけだと韓国政府から切り捨てられるかも知れませんね。