たいしてニュースにもならなかったので、ここで取り上げておこう。
観測ロケットS-520-33号機 打上げ結果について
2023年(令和5年)12月2日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2023年12月2日(土)、「先進的宇宙工学技術の実証実験」を目的とした観測ロケットS-520-33号機を内之浦宇宙空間観測所から打ち上げました。
JAXAより
あっさりしたプレスリリースだが、予算も少ないんだろうね。
ロケットとミサイルの技術は似ている
観測用の単段式ロケット
打ち上げが延期されたので、少し心配していたのだが。
小型観測ロケット「S−520」33号機 打ち上げを1日延期
11月29日 18時18分
1日に肝付町から打ち上げられる予定だった小型観測ロケットについて、JAXA=宇宙航空研究開発機構は、気象条件が整わないため、打ち上げを1日延期させ、来月2日とすることを発表しました。
NHKニュースより
無事打ち上げが終了して何よりである。
JAXA観測ロケットS−520−33号機 内之浦からの打ち上げ成功 鹿児島
12/02 19:01
JAXA=宇宙航空研究開発機構の観測ロケットが、肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、打ち上げは成功しました。
MBC南日本放送より
最高到達高度は304kmなので、大気圏内から脱出しないレベルの高度(大気圏は高度500kmぐらいまでの範囲)である。
NHKはS-520の打ち上げニュースよりも、韓国のロケット打ち上げ成功のニュースの方が興味があったっぽいね。
韓国 “人工衛星搭載の固体燃料ロケット 打ち上げ実験成功”
2023年12月4日 21時54分
韓国国防省は、人工衛星を搭載した固体燃料ロケットの打ち上げ実験に成功したと発表しました。独自の打ち上げ技術を高め、北朝鮮に対する監視能力を強化する方針です。
NHKニュースより
韓国の固体燃料ロケットは、小型の合成開口レーダーを搭載したもので、高度650kmの軌道に重量約100kgの地球観測衛星を投入できたと大喜びしている。
うん、まあ、ヨカッタネ。
S-520のペイロード
ちなみに、S-520のペイロードは150kg程度なので、人工衛星の打ち上げが出来るというわけではない。打ち上げに使うとすればSS-520の方で、こちらもペイロードは140kg、到達高度1,000km程度なので、小型の衛星ならばなんとかというレベルである。
打ち上げ費用は公表されていないが、SS-520の費用が5億円程度だと聞いたことがあるので、多分もうちょっとお安いのだろう。
超小型衛星を安く打ち上げ JAXA最小級ロケット成功
2018年2月3日 20:00
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3日午後2時3分、電柱サイズのロケット「SS-520」5号機を内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げた。東京大学の超小型衛星「たすき」(愛称)を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。
~~略~~
時折強い風が吹く中、ロケットは発射台から飛び出し、一直線に青空に吸い込まれた。衛星を投入できるロケットでは世界最小級だ。打ち上げ費用は大型ロケットより大幅に安い約5億円。2017年1月の打ち上げ失敗を受けた挑戦だった。
日本経済新聞より
SS-520は1段目にS-520を使った2段式ロケットである。1段分だからS-520は半額!とはならないんだろうけれど。宇宙にアクセスするコストというのは思いの外高いものだね。
固体燃料ロケットの打ち上げが何を意味しているか?というと、韓国の場合はミサイルの精度が上がることを意味している。日本も同じ意味はあるんだけど、S-520は33号で、打ち上げ回数も多い。
到達高度300kmで、150kgの重さを持ち上げる能力。割と中途半端な能力ではあるんだけど、コストダウンが可能であればそれなりに使い道はありそうだ。
ホリエモンのmomoロケット
余り話題に上らなくなったホリエモンこと堀江氏の携わっているmomoロケットだが、3号機の打ち上げに成功している。
初号機、2号機とうちあげに失敗したのだが、3号機は2019年5月にに打ち上げが行われて、民間ロケットとして初めて宇宙空間に到達している。
4号機は打ち上げ失敗、5号機も打ち上げ失敗、7号機の打ち上げは2021年7月3日に行われて成功。6号機も若干目標高度に届かなかったものの、2021年7月31日に打ち上げられて成功している。
成功率は5割を切っているが、打ち上げ費用は8,000万円以上でペイロードは約20kg程度となっている。
面白い試みではあるが、命名権を募ったりするなどデカイ花火を打ち上げているようなものなので、打ち上げ費用の回収もそれなりに行えているようだ。
もうちょっと大きなニュースになってくれると、スポンサーが増えるかも知れないのだけれど、momoロケットもプロジェクト開始当初ほどは話題に上らない印象である。
そうそう、小型のロケットと言えばこんなニュースもあったな。
神奈川大、材料費1台80万円の超小型ロケット打ち上げ成功
2016年12月24日
神奈川大学工学部の高野敦准教授らは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で強化し軽量化した新型ハイブリッドエンジンやフェアリング(ロケットの先頭部)分離機構を搭載した超小型ロケットの打ち上げに成功した。伊豆大島差木地近隣広場(東京都大島町)から打ち上げたもので、機体とデータの回収に成功している。将来は小型衛星の打ち上げを想定しており、小型で安価なロケットと組み合わせれば、打ち上げコストの大幅な削減が期待できる。
~~略~~
またフェアリングの分離機構は人工衛星の宇宙での放出に対応できる。ロケットの材料費は1台あたり約80万円と既存のロケットと比べて安価だ。
ニュースイッチより
この80万円台で打ち上げたロケットは高度2kmに到達したとのこと。技術の積み重ねとしては意味のある打ち上げであったとは思うが、見方を変えれば今のままでは80万円の打ち上げ花火である。
小型ロケットビジネス
とまあ、こんな感じの話を紹介して、「一体コレ、何のメリットがあるの?」という話なんだけど、大型ロケットの打ち上げ費用と比較して小型ロケットの打ち上げ費用というのは、重量換算すると割高だ。
ロケット打ち上げビジネスでそれなりに存在感を表しているのがアメリカのスペースX社で、打ち上げロケットの再使用という従来やられなかった手法によって打ち上げ価格の低減を実現している。
スペースX社によれば、衛星1kgあたりの料金は200ドル(2万9,000円)程度となっており、価格競争力という意味では強力である。
衛星打ち上げビジネスで世界と競うには何が必要か 新型H3ロケット打ち上げを前に解説します
2023年02月07日 (火)
日本の宇宙利用の柱となる新型のH3ロケットが完成、初号機の打ち上げが来週に迫ってきた。
~~略~~
スペースX社が強いのは打ち上げ費用が65億円とこれまでより安いから。第1段を再利用することで価格破壊を実現。またアメリカ政府の協力も得て国内の複数の発射場を利用して打ち上げ回数を増やし、量産効果でさらに安くなっているとみられる。
NHKニュースより
日本は、H3ロケットの開発が難航していて、このニュースの後で打ち上げした1号機は指令破壊信号を出して打ち上げ失敗となった3月7日の打ち上げの後、原因究明が為されている最中である。
まあ、総じて打ち上げ費用の削減を求められている感じなんだけれども、大型ロケットの方がコストメリットは高い。
じゃあ、小型ロケットの生きる道はどこか?というと、乗り合わせで打ち上げを行う場合には、打ち上げスケジュールがコントロールできないことと、打ち上げ先がコントロールできない事が問題になる。途中下車も出来ないしね。
だから、ピンポイントで打ち上げたい場所に届くようなロケットが求められていて、少々割高でも許容されるという話に。当然、コストは問題になるので、以下に民生品を使って高く打ち上げられるか?の競争になっている。
観測ロケットの試験
で、こんな使い方も出来るらしい。
うん、実に理にかなった使い方だね。
S-520-RD1は、2022年7月24日午前5時00分に内之浦宇宙空間観測所より打上げました。 ロケットおよび飛行試験供試体は想定の軌道を飛行し、打上げ412秒後に内之浦南海海上の予定の落下円内に着水しました。
JAXAより
うんうん、こういう使い方が出来るのが素晴らしいね。
今回も結構面白い使い方をしている。
このサイトに説明されている話が、一体何に使えるのか?と言うことについては、言及がないものの、例えばインフレータブル構造の伸展技術は、軌道上や月面での大型構造物の適用を視野に入れている。例えば、展開型エアロシェルのテストに関しても、大気圏突入技術に応用する事が期待されている。
これらは基礎研究的な話なので、何度も繰り返し実験することが必要なのだけれど、やっぱりピンポイントで打ち上げる小型ロケットの方がテスト環境としては優れていると言えるだろう。
まあ、この手の研究は、お金がかかる割に成果の見えにくいものが多いのだが、頑張って欲しいものだ。
ただ、願わくば軍事研究にも研究費が付けられるように、日本学術会議はさっさとパージして欲しい。
コメント
こんにちは。
>韓国の固体燃料ロケットは(略)高度650kmの軌道に重量約100kgの地球観測衛星を投入できたと大喜びしている。
>うん、まあ、ヨカッタネ。
「即応性」の高い固体燃料で、弾頭重量100kg程度の近距離弾道弾を飛ばせるようになったのですから、まあ、良いんじゃないですかね、韓国的には。
……あれ?「玄武4」とかいう、夢のバンカーバスターがあったような……
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E6%AD%A6_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
こんにちは。
玄武4ってコピー品ですから。
記事違いで申し訳ないんですが、続報的なものがあるんで。
獣害についてですが。先ずは農業側にも問題あった話ですね。
異常熱波と雨不足で、新潟で米不作でしたけれど、麦もやられてるんですね。
んで、売り物にならない麦や農作物を棄てる。これが誘引物資になってるぽい!
人の口に合わないでも、猪や熊のカロリー摂取には御馳走ですから。
んで、これは重機を扱う作業員さんに聞いたのですが、土を掘ると一尺で(乾燥した土地でも)湿り気を帯びるものだが、今年は㍍単位で掘らないと土が湿ってない言うんです。たぶん、コレがドングリ不作に繋がってるかと。
んで、これは前々から疑っていたのですが、「葛」でないかな?
離農した土地とくに山間部の過疎地ですけれど、葛すごいんですよ。繁殖が。
でも葛って食物になる炭水化物を多く含んでますでしょ。山あいの廃墟ある川沿いとか20年前くらいから良く見かけました。んで、その葛が珍しく枯れた所があったりしてるんですね。コレは廃墟探索youtuberから聞いた話です。
あの繁茂の凄さと成長の凄さ、にも関わらず増えていた事が、猪や熊や鹿の食物になってて、それが、この二十年くらいで山の獣を爆発的に増やしたと。
ドングリの場合、不作の方が元々に多いし、5年に一度くらい豊作なのすが、その翌年は必ず大不作になる。その関係からドングリが獣の余剰人口(獣口か)を増やす原因としては弱い気がするのです。
で、増やした後に、食料資源が悪天候で軽減したので、三国志で飢民が流賊になって大移動するように、獣も人里へ民族大移動してきたのかと。
あと最後に、長野で医師を射殺した立てこもり事件の関係で、ハーフライフルの所持許可が降りる年数を増やそうとしてる気配がある。
コレ、警察の火器に対する無知が災いしてる。バカでねの?
ハーフライフルとは銃身の半分までライフリングを入れた散弾銃で、スラッグ(一発弾)を撃てるものです。日本にしか存在しない銃です。
本物の小銃と火薬が違い、即燃性推進火薬でないから(遅燃性爆薬)、射程が短いんてすよ。せいぜい有効射程は100㍍以下
です。名人達人で200ヤードいけるかどうかですね。それでもバラ弾より射程も長いから銃規制の厳しい日本にだけ存在しる。んで、コレをライフルと同じ「散弾銃所持10年で許可」にしようとしてる。
間違いなく獣駆除のハンターを減らしますわ!
そして意味在るかと言うと意味ない!!
そもそもライフル規制(私が許可された時は散弾銃歴7年だった)が厳しいのは、銃砲店を占拠したガンマニアが、警官隊と銃撃戦になった事が始まり。
射程が弓矢なみの拳銃じゃ、小銃持てばに過ぎません。
それとスコープ付きのライフルだと、要人暗殺が容易になりますから。あくまで対人的な治安維持の為に、小銃許可は厳しくなったんです。
長野の立てこもり事件では、犯人の使用した銃が、散弾銃だろうと、ハーフライフルだろうと、治安官側としては変わりないんです。どっちにしても同じだった。
それがヒステリックにハーフライフル所持許可をさらに伸ばそうとしてる。
たしかに至近距離なら大口径散弾銃は殺傷力あるんてすが、火薬の違いで有効射程が極端に短い。400〜800で撃てるライフルとは大違いなのに……
バラける弾では、熊だの猪だのを安全には狙えない!! 確実にハーフライフル規制を厳しくすると、これから狩猟免許を取る若い人が、駆除から離れますよ!
繰り返しますが、射程の短さから言って
ハーフライフル規制は意味ありません!
にも関わらず規制すれば、ただでさえ高齢化してるハンターたちは、跡継ぎが生まれません!
何年か後に獣害が大発生した時に、対応できる民間人は絶滅してるでせう!
警察は銃撃戦を想定してないから、とにかく銃知識が民間人レベル!
獣対策するならば、もう警察庁でなく、防衛省にやってもらう方が良い想うす。
サットとかでない限り、お巡りさんは銃に疎い。米国のお巡りとは違う。
ハーフライフルじゃパニック・イン・スタジアムみたいな(マイナー映画名だけど、意味わかるでしょう?)のは100%無理です! スタジアムで発砲して大量殺人みたいのは、有効射程が300以上はある小銃だから出来ること!
お巡りさんには、田村装備開発の田村しゃちよみたいなのもいますが……そういう特異な経歴の方でない限り、火器に対する知識いらんですからね警察は。
警官や警察がダメと言ってる訳ではありません。でも、とにかく危険だから取り上げれば良いという、アホなPTAなみの認識しかない!
横合いから失礼。
>サットとかでない限り、お巡りさんは銃に疎い。
前にも別記事のコメで書いたかもなのですが。
当方の父親、他界した際に、処分しきれなかった実包を少し残しやがりまして。
悩んだ末、地元の警察に相談し引き取ってもらえた(銃刀法の不法所持にあたりますが、被疑者死亡で書類送検、という扱いになった)のですが。
オヤジの残したのは、12番ゲージのバードショット数発と、マガジンに装填した状態の22LR数発だったのですが。
おまわりさん、22LRがわかんなかったです。
当方、さすがに銃までは特定出来ませんでしたが、ガンマニアなんで、22RLであることは一発でわかりますが、お巡りさんに説明するのにスマホでWiki検索する始末。
専門じゃないかもだけど、それくらいは知っておけよと……
※なお、当方、お巡りさんが腰に吊ってたのがM360サクラだったのかニューナンブだったのか、はたまたM37エアウェイトだったのか、そこにしか興味が行ってなかったのは秘密です。
実包が遺産というのもなかなか。ロマンはありますが、当事者になると迷惑この上ない気がします。
対処としては間違いないでしょうね。警察に早期に相談すると、不法所持扱いにもならなかったような。お話のケースはお父様が処理できなかったことが不問になったという意味のように感じましたが。
お巡りさんも大変ですね、そういうレアケースでも間違いない対応をしなければなりませんしね。
七面鳥さま。
22ロングライフル弾か。普遍的な弾すけどねぇ…。米国じゃ野山で空缶を撃つ遊びに良く使われる。それくれぇ知っとけよ……すけどねぇ。
当方は死んだ爺樣が、張学良からもらったモーゼル拳銃を遺して亡くなりました。えれぇ迷惑。グリップに赤字で「9」って刻んであるやつ。
同タイプのモーゼルが川嶋邦子の由来で、戦後にテロに使われた事があって、おまけに私はフロント団体社員ですから、痛くもない腹を探られて腹立ったです。
まてよ、ちげーな。
ロングの頭文字はRでなくLでしたねぇ。するとロングライフル弾でなく22口径拳銃弾かな……。だとすると精密射撃競技のピストル弾?
違うな……でも22RL弾って、フィリピンの射撃場で見た記憶あるんですけどね。親会社のヤーさんが箱で買ってた記憶があるんすが。はて……チャカたったかなぁ?
中国のノリンコの射撃場じゃあない。それは断言できるすが。なんだったろう?
七面鳥さまスマソ。
私の読み間違いm(__)m
22LRって書いてありました。リムファイア弾すね。扱い易いし、上手い子だと誘き寄せたリス🐿を撃ったりする。ちなみに22口径のショットシェル拳銃弾もあって、こっちは毒蛇いる場所で、ガラガラ蛇とか撃つに最適ですよ。ガバメントの45ACP弾で蛇を撃つなど無理ですからね。
うお、「Red9」ですか!
9mmならギリ所持許可出たかも(拳銃はほぼ無理)。
※確か、法的には.375以下ならOKだったかと。9パラは.38同等ですが、弾頭だけなら.357相当なので……
※無可動銃にして保存して……そこそこ良い値が付いたかも。
しかし、張学良とは。
張作霖爆殺事件の概容くらいしか知りませんが、凄いところから出てきたものですね……
銃には全く詳しくなくて、ハーフライフルというものがあるのを初めて知りました(親戚はライフル銃を持っていたハズ)。
しかし、誰得なアイテムですねー、ハーフライフル。
銃器の規制が厳しいことは、一般人にとって良い面もあるのでしょうが、この手のアイテムは悪い面の方が多いような。何か、イメージだけで安全性を判断しているような。困ったモノであります。