【韓国】尿素が止められる事態、再び？！　→　一方日本では生産工場が

さて、きな臭くなって参りました。

韓国、中国から肥料原料の輸入遅延　双方が協議へ

2023年12月4日午後 2:25

韓国政府は４日、肥料の原料となる尿素の中国からの輸入が遅れているとの報告が国内企業からあったことを受け、中国側と協議すると明らかにした。

ロイターより

まあまあ、この手の話はよくありがちなんだけど、これって2021年にも騒ぎになったよね。

尿素は本当に不足？

学習しない韓国

さて、支那からの輸入に頼っていた韓国は、唐突に尿素の輸入を止められて大騒ぎになった事がある。

韓国で尿素水が不足、物流や工業セクター混乱　中国が輸出制限

2021年11月9日8:35 午後

韓国でディーゼル車の運行や工場の操業に必要な尿素水が不足している。尿素水は排気ガスの浄化に使われており、不足が続けば、物流や工場の操業がストップする恐れがある。

業界の専門家によると、韓国では貨物トラックを中心に約２００万台のディーゼル車が尿素水の利用を政府から義務付けられている。

尿素の主要供給国である中国は先月、国内市場を優先するため、輸出を制限。産業通商資源省によると、１─９月に輸入した尿素の９７％近くは中国産だった。

ロイターより

この時は、色々な企業の働きもあって混乱は生じたものの、各国から緊急輸入するなどの方法で混乱を治めていた。

この時も9割の輸入依存度だったので、流石に「輸入依存度を減らそう」という話になっていた。

中国の窒素肥料協会は先月、価格高騰を受けて国内向けの供給を優先するよう呼びかけた。韓国は尿素供給の９０％以上を中国に頼っている。中国政府は２０２１年にも尿素輸出を事実上停止して供給不足が起きた。

ロイターより

ところが、再び似たような事態に陥りそうなのである。

在庫はあるから問題ないよ！

この話は、12月に入って突然降って湧いた話ではなく、ちょっと前からそういった情報が入っていたようだ。

韓国政府、尿素の需給状況を点検、問題なしと発表

2023年09月19日

韓国産業通商資源部は9月14日、「産業サプライチェーン点検会議」を開催した。車両用尿素を輸入・流通する企業や業界団体、大韓貿易投資振興公社（KOTRA）などが参加し、車両用尿素のサプライチェーン（供給網）の状況を把握した。

これは、9月8日に「韓国経済新聞」や「毎日経済新聞」などをはじめとした韓国メディアが「中国当局による肥料メーカーに対する尿素の輸出中止指示により、2年前（注1）のような尿素水不足問題が生じかねない」と報じたことを受けたもので、産業通商資源部を中心に点検を行ってきた。

同会議では、各参加者は次のように報告し、現在の需給状況に問題はないと発表した。

JETROより

9月に一斉点検をして、「問題なし」と報じたようである。問題がないという話をして、混乱が生じる余地を無くしたかったというのが本音なのだろう。

一方で、流通業界からは「消費者の不安などにより、オンラインなどで一部品薄となっている」といった状況も報告された。

JETROより

不安な情報が出てきたから、仕方がないよね。

ただこのオペレーションが良かったのか？というと、どうやらそんな簡単な話で済まない状況になってきたようだ。

同省は３日遅くに発表した声明で３カ月分の供給を確保しており、ベトナムと日本からも輸入していると説明した。

ロイターより

ええー、日本からも輸入しているんですかー（棒）

なお、ベトナムや日本からの輸入が問題なのではなく、依存度9割の方が問題なのだが、その辺りは突っ込んではいけないのだろうか？日本としても、余裕があるわけではないので、在庫でなんとかやりくりして欲しい。

手続き停止

えーと、輸出手続きを停止したようだね。

中国当局　尿素の対韓輸出手続きを停止（１２月４日）

2023.12.04 13:31

≪韓国政府はきょう会議≫

中国が韓国に対する産業用尿素の輸出手続きを突然停止したことが分かった。

韓国政府によると、一部国内企業が尿素供給先の中国企業から輸出できないとの通知を受けた。中国の税関当局が通関手続きを停止しているためだという。

聯合ニュースより

ふむ、確か備蓄が90日分あるらしいので、直ぐにどうこうという話にはならないんだけど、問題は韓国国内のマネーゲームが過熱しているので、買い占めに走る人が……。

韓国で尿素水不足事態が再発？すでに買い占めの動きも＝韓国ネット「この国は無政府状態」

2023年9月15日(金) 15時0分

2023年9月15日、韓国・ノーカットニュースは「中国が7日に尿素水の原料となる尿素の輸出を中止したとの報道を受け、韓国内では再び尿素水不足現象が起こっている」と伝えた。

～～略～～

6日～12日に販売された尿素水の取引額と販売量は、前週（8月30日～9月5日）に比べてそれぞれ1700％、1322％増加した。記事は「現場の尿素水の需給には何ら問題ないという政府の発表とは全く異なる様子だ」と指摘している。

レコードチャイナより

んー、9月から既に需要が増えている状況なので、買い占めは加速しそうだなぁ。

早めに韓国政府は配給制にしたら良いんじゃないかな？資本主義ではちょっと見ない話だけど、ある程度は仕方がないと思う。

ただ、問題はこの尿素の輸出手続き停止をどんな意図で支那が決定し、韓国側に何を要求する気なのか？ということだ。

フィリピンにも、日本にも

どういうことかというと、支那はフィリピンに対しても圧力を高めているからだ。

南シナ海に中国の民兵船団135隻余り集結－「不法」とフィリピン警告

2023年12月4日 9:45 JST

フィリピンの沿岸警備隊は３日、中国と領有権を争う南シナ海の南沙（スプラトリー）諸島ウィットサン礁付近に中国の海上民兵の船団135隻余りが集結していると発表した。

Bloombergより

海上民兵とは、実質軍属の漁師のことである。

PCG MONITORS ILLEGAL PRESENCE OF MORE THAN 135 CHINESE MARITIME MILITIA VESSELS IN JULIAN FELIPE REEF

On November 13, the PCG monitored 111 Chinese Maritime Militia (CMM) swarming the area of Julian Felipe Reef, and this number increased to 125 based on the last monitoring of… pic.twitter.com/hlFvaOWW2z

— Jay Tarriela (@jaytaryela) December 3, 2023

なかなか強烈な動画がポストされているが、これが支那のやり口である。

こんなフォーメーション組んで来る船団が真っ当な組織なのか？という話なんだけど、まあ、民間組織でないことは明白だ。訓練していなければこういう事にはならないからね。

なお、日本に対してもこんな圧力を加えてきている。

中国、一部黒鉛製品に輸出許可義務付けへ　ＥＶ電池材料

2023年10月20日午後 3:18

中国商務省は２０日、一部のグラファイト（黒鉛）製品について１２月１日から輸出許可を義務付けると発表した。国家の安全保障と利益を守るためという。

ロイターより

中国がＥＶ電池素材「黒鉛」を輸出規制…輸入の９割占める国内メーカー、対応急ぐ

2023/12/01 10:37

中国政府は１日、黒鉛（グラファイト）の輸出規制を発動した。日本は電気自動車（ＥＶ）向けリチウムイオン電池の材料などとして、輸入量の約９割を中国に頼っている。調達が今後、滞る恐れもある。

～～略～～

中国は８月に先端半導体の材料となるガリウムやゲルマニウムの輸出規制を導入した。１０月末からはＥＶのモーターに使うレアアース（希土類）の輸出管理を強化している。

讀賣新聞より

何がしたいのかはお分かりだろう。

日本としても対応を急いでいるし、フィリピンもある程度覚悟をしていただろうことなので、粛々と対応していけば良いのだが、なんというか、メディアは余り積極的にこの問題を報じたがらない感じがするね。

で、韓国の尿素の話に戻るんだけど、支那の圧力によって韓国の社会的混乱を引き起こすことが狙いだと思うので、在庫があるのならばさっさと次の輸入先を探せば良いだけである。問題は、韓国社会が動揺すると、支那の狙い通りになるのではないだろうか。

追記

愉快な続報があったので紹介しよう。

韓国行の尿素輸出を阻止し、「意図しない」という中国…

入力2023.12.04 午後6時16分

韓国企業が輸入する予定だった要素に対して、中国政府が先月出荷を阻んだのは意図的だろうか、そうだろうか。結果から言えば、力を誇示しようとする意図が敷かれた措置である可能性が大きい。「国内尿素需要のため」というのが中国の説明だが、核心原材料のサプライチェーンの掌握力を誇示しようとする中内が作用したという分析が多い。中国は２０２１年、韓国の「尿素水大乱」を目撃したはずだ。

～～略～～

韓国政府は今回の中国措置に外交的意図があった可能性は大きくないと見ている。チョン・ジェホ平日韓国大使は4日、特派員と会って「先月17日、中国の窒素肥料供給協会が中国会員社に「窒素肥料（要素肥料を含む上位概念）輸出を控え、国内に優先供給せよ」と注文する内容の文書を公開した」と紹介した。来年春播種時期を控えて要素備蓄量を確保するため輸出を中断しただけで韓国を念頭に置いた措置という情況は見つからなかったという意味だ。

チェ・ナムホ産業部のスポークスマンもこの日ブリーフィングで「複数の経路を経て確認した結果、政治的背景はないと確認した」とし「中国の要素需要問題で通関が遅れたことを確認した」と説明した。政府の他の高位当局者は「韓国だけでなくインド、日本など中国産要素依存度の高い他の国々も同様の困難を経験している」とし「中国の今回の行動に外交的意図があると現在では判断していない」と伝えた。

NAVERより

ヌルい、おめでたい。

記事では、「政治的背景があるに決まってるだろ！」と指摘しつつ、韓国政府の「政治的意図は感じられなかった」という回答を批判している。

まあ、オマエがそう思うのであれば、ソレでいいんじゃないかな？ただ、困ったからと言って日本にすり寄ってくるのは困る。どうして通貨スワップなんて結んだのか……。

追記２

さて、コメントを頂いて、新しい記事にすべきか迷ったんだけど、取り敢えず追記で。

中国肥料業界「来年の尿素輸出量７０％以上縮小する」…韓国への打撃懸念

2023.12.06 06:56

中国が肥料の原料である尿素の自国内優先供給を掲げて来年度輸出量を今年より７０％以上縮小する方針だと伝えられた。産業用尿素の９０％以上を中国に依存する韓国が打撃を受けると懸念される。

中央日報より

つまり……、支那からの輸入量は今年の3割以下になるって事だね。

こうした内容が事実ならば中国産尿素の輸入は来年１－３月期だけでなく２０２４年末まで大きく減り、産業用尿素の９１．８％を中国に依存する韓国の原料需給に影響を与えると懸念される。

中央日報より

まあ、随分と影響は受けるのだろうけれども、他から輸入できるルートを確保できれば取り敢えずは何とかはなるだろう。問題は、それだけじゃないんだよね。

韓国では政府が輸入先多角化だけでなく資源備蓄問題に神経を使わなければならないという声が出ている。尿素のような政府が緊急に備蓄する必要があると認める緊急需給調節物資からリチウムをはじめとする核心鉱物まで、備蓄量が不足し対中供給網不安をあおると指摘される。

中央日報より

混乱は必至だね。

ただこの問題は、韓国の輸送網だけの話では無く、肥料などにも波及してくる。

肥料不足はすでに全世界で様々な影響を及ぼしている。ブルームバーグの報道によると、世界最大のコーヒー生産地である南米のブラジルでは、コーヒーを栽培する農民の約30％が注文した肥料を受け取れておらず、ペルーは尿素の輸入が最大3カ月遅れている。世界最大のトウモロコシ生産国である米国では、農民たちが窒素肥料を多く必要とするトウモロコシの生産から大豆生産に切り替える計画を立てている。シカゴ先物市場ではトウモロコシの栽培面積縮小に対する懸念により、トウモロコシの先物価格が先月半ば以降10％以上の急上昇を示している。コメの主要輸出国であるタイでは、コメ生産への打撃が予想される。タイ農業協会の会長は「いまや1トンの肥料の方が1トンのコメより高い。政府は介入すべきだ」と主張した。

ハンギョレより

これは2021年の時の騒ぎの記事だが、構図は同じだ。

追記３

なお、日本は。

岡山県で高品位尿素水AdBlue^®の製造工場が竣工 ～グループで2カ所目、西日本では初の自社工場が稼働します～

2023年11月20日

伊藤忠エネクス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長CEO：吉田朋史、以下「伊藤忠エネクス」)は、岡山県倉敷市にグループで2カ所目、西日本では初となるAdBlue^®※1（以下「アドブルー」）の製造工場を新設し、11月20日に竣工式を執り行いました。12月より製品の出荷を開始する見通しです。

伊藤忠エネクス株式会社より

当然、2021年の騒ぎは日本でも危機感を持って注視され、コレを商機と感じたのか、或いは政治的な動きがあったのかは知らないけれど、伊藤忠が動いてアドブルーの製造工場を作った。

１つめは2021年に埼玉県に工場新設。今回は岡山県に2箇所目の工場を作ったというお話。

日本国内での尿素製造に関しても、政府から「もうちょっと生産量を増やしてね」というお願いが出ていて、多少増産されている模様。他の国はちょっと調べられなかったんだけど、まあ、そういう動きをするよね、普通は。韓国は逆に支那依存を高めたという斜め上の選択をしたんだけれども。