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日本のオモチャが月面を駆ける

科学技術
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やるな、タカラトミー。

「SORA―Q」が走行し「逆立ち」機体を撮影…月面に「しばいぬ」や「ブルドッグ」、SLIMからの画像公表

2024/01/25 22:12

宇宙航空研究開発機構( JAXAジャクサ)は25日、月探査機「 SLIMスリム 」が月面に着陸している様子を鮮明に捉えた画像を初めて公表した。20日未明の着陸直前にSLIMから分離した小型ロボットのカメラが、エンジンを上向きに「逆立ち」した機体の撮影に成功した。

讀賣新聞より

まあ、オモチャと呼ぶには激しく高価なんだけれども、月面を走るためのアイテムとしては破格の安さだろう。

ピンポイント着陸は成功と言って良い

オモチャ……、侮れない

はい、月面にSLIMが着陸できた記事は書いたのだが、この時にはSLIMの任務については余り言及していない。

SLIM自身がとてもスリムで軽量(210㎏しかない)であることは言及してあったのだけれど、月面探査をする機器はちゃんと積んでいた。

撮影したのは、JAXAや玩具メーカーのタカラトミーなどが開発した小型ロボット「 SORA ― Q 」(直径約8センチ)。球状から変形して両脇の車輪で月面を走行し、機体を撮った。

讀賣新聞より

それがチョロQならぬ、SORAソラキューである。

なかなか面白い動画が出来上がっているのだけれど、オモチャのSORA-Q(1/1スケールモデル)が売ってるのかよ!

img

こんなん笑うわ!

しかし、オモチャとして販売できるほどの性能を持っているというのはなかなか面白い。あらゆる意味で日本の底力を思い知った。

あ、実際に任務に使っているのはLEV-2という名前の別物なので、SORA-Qは本当にオモチャの方の名前なんだが。

接地直前には小型プローブ(LEV-1・LEV-2)の放出を成功裏に実施しました。

JAXAより

しっかり、SILMは任務を果たしていたんだね。

注:コメントを貰ったので、一応注意書きを。月面探査に用いられているLEV-2は、タカラトミーのサイトで販売されているオモチャとは同じ形をした別物である。オモチャのSORA-Qは材質から性能、何から何まで異なる別物なんだけど、形状や大きさは同じで似たようなことが出来るよーというところがウリである。

撮影した映像から分かること

ちなみに、このタカラトミーとソニーが共同開発した小型プローブが伝えてきた事実は、そうとうに大きい。

これまで推測の範囲だった機体の着陸姿勢が、実写によって確認された。「動かぬ証拠」に、25日に記者会見したJAXAの坂井真一郎プロジェクトマネージャは「決定的な写真。画像のもつ力は大きい」と話した。

讀賣新聞より

写真はこんなのだが……。

犬の名前が延々と書かれている。なんだこれ。

小型月着陸実証機(SLIM)の月面着陸の結果・成果等について

2024年(令和6年)1月25日

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2024年1月20日午前0:20(日本標準時)に小型月着陸実証機(SLIM)を月面に着陸させ、地球との通信を確立させました。

しかしながら、SLIMの着陸時の姿勢等が計画通りではなかったことから、太陽電池からの電力発生ができず、同日午前2:57(日本標準時)に地上からのコマンドにより探査機の電源をオフにしました。

電源をオフにするまでに取得した各データの分析を行った結果、SLIMが当初の目標着地地点から東側に55m程度の位置で月面に到達していることが確認できました。また、ピンポイント着陸性能を示す障害物回避マヌーバ開始前(高度50m付近)の位置精度としては、10m程度以下、恐らく3~4m程度と評価しています。詳細データ評価は継続する必要があるものの、SLIMの主ミッションであった100m精度のピンポイント着陸の技術実証は達成できたものと考えられます。

JAXAより

実はこれ月面の着陸地点での映像で、この位置関係から考えて狙った場所に近い地点(100m以内)に着陸したと判断できる根拠なのである。

この写真はインドの探査機「チャンドラヤーン2」の撮影した月面地形で、小型プローブの写真から判断して、着陸目標地点から55m離れた地点にSLIMは着地できたことを示す図である。

うんうん、良かったよ、本当に。

偶にはこういうニュースも紹介しないとね。

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追記

ああ、忘れていたけれども、こちらのポストも参考までに。

写真に写り込んでいるのはSILM本体のようだね。

しかしなるほど、着地の時に逆立ちしてしまった形なんだ。そりゃ、太陽光パネルの展開とか支障が出るよね。

こういう遊び心は好き。ちゃんと片足が脱げているところも好き。

追記2

Xで盛り上がっているなー。

これがとても分かり易かった。

JAXAのサイトより

これがLEV-1である。LEV-2の方がSORA-Qということだね。

今般、LEV-1はLEV-2共に日本初の月面探査ロボットとなりました。また、月面から質量2.1kg(うち通信機は90g)の超小型の月面探査ローバにより地球への直接通信に成功しました。地球から約38万キロ彼方からデータを直接送信した事例としては世界最小・最軽量と考えられます。加えて、ローバの月面での跳躍移動、LEV-2との月面ロボット間通信、移動含む完全自律機能を実現したことは、世界初の快挙であると共に、今後の月面探査ミッションに有用な技術実証が達成できたと考えており、将来のミッションに活用してまいります。

JAXAのサイトより

頑張って欲しい。

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追記3

おおお!

JAXA、月面探査機「SLIM」運用再開 太陽電池が発電か

2024年1月29日 9:42

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、日本初の月面着陸に成功した無人探査機「SLIM(スリム)」の運用を再開したと発表した。着陸時は姿勢の異常で太陽電池パネルが稼働しなかったが、太陽の向きが変わって発電した可能性がある。

日本経済新聞より

うーん、JAXAのサイトにはプレスリリースが現時点で出ていないので、どのような発表だったのかは確認することができないが……。

あー、Xで公式がポストした内容がニュースになったってことらしい。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    SORA-Q、素晴らしいガジェットだね。
    いまのサイズを野球ボール大からバスケットボール大にすれば、かなり有能なUGVになりそう。
    空からパラシュート降下させて偵察させるというのはどうかな?

    • 木霊 木霊 より:

      SORA-Qを大きくできるかは、なかなか難しい挑戦になりそうですね。
      大きさがあればやれることも増えそうなんですが。

  2. アバター 音楽大好き より:

    木霊様、皆さま、こんにちは

    太陽光が当たるようになって電源が復旧したそうですね。よかった。
    太陽光パネルが下向きになるようなコケ方でなかったのは幸運ですね。

    ところで、「SORA-Q」は
    (1)Jaxa の探査機 LEV-2 のニックネーム
    (2)LEV-2 を模したタカラトミーのオモチャの(多分)商品名
    ですよね。月へ行ったのは Jaxz の LEV-2(SORA-Q) であって、タカラトミーの SORA-Q ではありません。オモチャでは過酷な環境(高温、宇宙線)に耐えられるわけがありません。

    この記事、特にタイトルからは「タカラトミーの SORA-Q が月へ行った」かの印象を受けました。・・・ととと、木霊様の記事につっこみを入れてしまった・・・

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      これは失礼。
      確かにそう言われれば、そのように読めますね。少々注意書きを入れておきたいと思います。あと1/1スケールモデルと書いておきますね。
      ありがとうございました。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    何がすごいって、再起動に成功したのもすごいけど、想定していた姿勢と全く違う姿勢からでも電波を地球に送れたり、カメラの画角が本来目的を写せたり。
    これ、アンテナやカメラにものすごい角度的自由度があるって事で、地味にものすごいことだと思います。
    ※はやぶさの時は、スピン安定するまでアンテナが地球向かなかったし……本来、想定する姿勢を外れたら、衛星との通信は途絶するのが常識だったかと。

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      そうですね。この件、片方のエンジンが使えなくなった時点で、おそらくミッション失敗という状況だったんだと思います。ですが、想定外の姿勢でも狙った地点の近くに着陸。おかしな姿勢でも発電が出来る可能性が残されていたことは、様々な事態を想定して作られた機体だったのだなと関心する次第。
      はやぶさの時もドキドキさせられましたが、こちらも随分と頑張ってくれたのだと思います。

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