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インドネシアでジャカルタ・バンドン間を高速鉄道「ウーシュ」が正式運行

アジア
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忌々しい!

東南アジア初! ジャカルタ・バンドン高速鉄道が正式運行

2023年10月18日 16:46

G1137号高速列車が17日午後、インドネシア・ジャカルタのハリム駅を出発しました。これにより、ジャカルタ・バンドン高速鉄道が正式に開通しました。全長142.3キロメートル、最高時速350キロで、中国の技術と中国の標準を採用しています。

AFPより

ちょっと感情的になってしまったが、しかし素直に日本が受注合戦に負けた事実は認めねばならないし、完成は不可能だろうと思われた案件を実現した手腕は評価したい。

その鉄道はお買い得?

最高速度は350km/h

さて、先ずは支那のメディアも引用しておこう。おそらくはここが一番正確だと思う。

中国・インドネシア協力による高速鉄道が正式に開通

2023-10-17 22:17:15

17日午後4時35分、G1137号高速列車がインドネシア・ジャカルタのハリム駅を出発しました。これにより、ジャカルタ・バンドン間高速鉄道が正式に開通しました。最高時速は350キロで、ジャカルタとバンドンが最短46分で結ばれます。

ジャカルタ・バンドン高速鉄道はインドネシアと東南アジアで初の高速鉄道であり、中国の「一帯一路」イニシアチブとインドネシアの「グローバル・マリ-ン・ピボット」構想を連動させるプロジェクトでもあります。ジャカルタ・バンドン間高速鉄道はインドネシアの首都ジャカルタと観光都市として有名なバンドンを結ぶ全長142.3キロメートル、最高時速350キロメートルの高速鉄道で、全線に中国の技術と中国の標準を採用しています。

CRI Onlineより

過去に何度か触れているこの案件だが、2014年9月に支那が受注したこの案件、2023年10月にようやく正式開通に漕ぎ着けた。

僕の個人的な恨み辛みはさておき、インドネシアにとっては初の高速鉄道を手に入れたことで、喜ばしいと思っているだろう。

ジャカルタ・バンドン高速鉄道の車両は、中国企業によって設計・製造された時速350キロの復興中国標準車両で、インドネシアの運行環境と路線条件に合わせ、インドネシア現地の文化を融合させており、先進的な技術、安全性、快適性を備えています。各列車は8両編成で、VIP、1等、2等座席があり、総定員は601人で、重連運転が可能です。障害者用トイレ、点字案内標識などのバリアフリー設備や自動販売機、コーヒーメーカー、電子レンジなどの設備が完備しています。

CRI Onlineより

8両編成で350km/hで走る高速鉄道なのだが、愛称を「Whoosh(ウーシュ)」というらしい。インドネシア語で「時間節約、最良の運行、頼れるシステム」という意味が込められている。

自虐かな。

所要時間は最短46分

とはいえ、ジャカルタからバンドンまでもし最短46分でいけるのだとしたら、それなりに魅力的な交通手段と言えるだろう。

現在、国鉄のジャカルタからバンドン行きの長距離列車は中央ジャカルタのパサールスネン駅発が4万5,000ルピア(所要時間約4時間)で、ガンビル駅発が15万ルピアから(所要時間約2時間50分)で運行している。

NNAより

パサール・スネン駅、ガンビール駅はお互い割と近くなのに、所要時間が1時間も変わるのは不思議だが、それはさておき高速鉄道のハリム駅はジャカルタ中心部から少し離れた位置(約11km)にある。

ただ、ハリム駅からバンドン側までは約46分に短縮されるのだから、かなり魅力的な話ではある。

高速鉄道の最高速度は時速350キロで、両都市間約142キロを最短35分で結ぶ。

時事通信より

ただ、時事通信によれば最短35分となっていて、11分も短くなっているのは気になるところ。

この最短35分は支那の最初のプレゼンの時に出てきた数字に近いので、おそらくはそちらを参照していて、実際出来上がってみたら最大速度で走ることの出来る距離が短かったとかいう話なんだろうと思う。

インドネシア・ジャワ島の高速鉄道開業式が2日、首都ジャカルタで開かれた。東南アジア初の高速鉄道で、ジャカルタと隣接する西ジャワ州の州都バンドン郊外の約140キロを約40分で結ぶ。

産経新聞より

産経新聞では約40分という話になっているしね。

それはさておき、設置駅が微妙なので、実はジャカルタ主要部からハリム駅までの道のりは案外不便なので、ここで20分ほど時間がかかるとか言う話。さらに、バンドン側の駅はテガルアール駅で、バンドン中心部までは30分前後の時間がかかるそうな。その手前のパダララン駅からバンドン中心のバンドン駅までが在来線で18分かかるそうな。

つまり、ちょっと不便なアクセス手段と言うことになっている模様。

img

このあたり、高速鉄道中心に発展していけば解消していく話かも知れないが、そう簡単な事ではない模様。

意外に高額な価格設定

実は価格が意外にお高いのだ。

(ご当地Price) インドネシア高速鉄道、終点間運賃2200円

2023年4月10日 0:00

中国が主導して建設が進むインドネシアの高速鉄道の終点間の運賃は25万ルピア(約2200円)になる見通しだ。開業から3年間は割安な価格に設定して利用を促す。

日本経済新聞より

高速鉄道、11月末まで運賃15万ルピアに割引

2023年10月19日

インドネシアの首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンを結ぶバンドン高速鉄道「Whoosh(ウーシュ)」を運行……

NNAより

当初は価格を下げて25万ルピア(2,200円)として運行する予定だったけれども、スタートダッシュを決めたいらしく15万ルピア(1,410円)程度にまで下げて運行開始となっている。

日本人の新幹線を利用する感覚ならば、たいして高くないのでは?と感じるのだけれど、インドネシアの物価はお安く中流階級の給料は10万円相当くらい。日本の半額~1/3以下の物価だとイメージすれば良いだろう。

高速鉄道に試乗したデラさん(女性、自営業)はNNAに対し、従来の路線に比べ高い価格がネックだと指摘。運賃が15万~25万ルピア程度でなければ、緊急時以外に利用することはないだろうと述べた。バガスさん(男性、国家公務員)は、「業務上では利用することもあるだろうが、家族と一緒に移動するとなると自家用車を選ぶ」と述べた。高速道路のほうが、移動が楽だという考えだ。

NNAより

つまり、価格設定的には従来の路線を使う一般人と、より早い移動を好む富裕層といった棲み分けが為される可能性があるという意味だ。

これが不便なところにある駅からということになると、利用率的に今の価格では赤字の垂れ流しになりかねない。

高く付いた

なお、支那受注にあたって最大のメリットが、納期の早さと価格だったのだが、どうもその両方を達成できなかったようだ。

ジョコ大統領は2日の開業宣言式典で、「ウーシュは効率的で環境負荷が少なく、他の交通機関と接続された、大量輸送機関の近代化を示すものとなる」と強調。また技術面や資金面など新たな試みを導入する際には、想定もしなかったことが起こりえると指摘。「高くついたが貴重な経験であり、将来の人材育成に生かす必要がある」と述べた。

建設に当たっては、事業費は当初約55億米ドル(8,300億円)と試算されていたが、最終的には70億米ドル以上となった。ジョコ大統領は、国費の投入や政府保証の付与などもやむを得なかったとの認識を示した。

NNAより

国費投入や政府保証を付けるのであれば、そもそもこの話を支那に受注させるメリットがあったかどうか疑問である。

まあ、勉強代という意味であれば仕方のない面はあるのだろうが、これでインドネシアが高速鉄道の車両を作る技術をゲットできたというのであればともかく、単に外国製の高速鉄道を輸入できただけという話になると、国民からの不満も大きくなりそうだ。

くれぐれも事故だけはないように運行してほしいものである。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    中国製地震対策がされていない自動列車停止装置、絶対に乗りたくない。

    • 木霊 木霊 より:

      地震が発生したら……。
      その時考えるしかありませんが、対策がなされていないとすれば怖いですね。

  2. アバター ドコドコドコ より:

    最後のコメント「くれぐれも事故だけはないように運行してほしいものである」
    は暗黙の了解で真逆に捉えて良いんですよね?ね?
    私はひねくれ者なのでソッチを期待してます。奴らに同情なんて1ミリもしたくないので、悪しからず。

    • 木霊 木霊 より:

      もちろん、心からの願いですよ(棒)

      ただまあ、あんまり凄惨なのは勘弁願いたいので、あくまで死傷者が出ないレベルでお願いしたいですね。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >くれぐれも事故だけはないように

    中国式ですから、何かあったらまた埋めるんですかね?

    ※既に、計画遅延の責任取らされた人柱が埋まってたりして……

    • 木霊 木霊 より:

      日本では、「美しく咲く桜の周りを掘ったらいけない」みたいな話がありましたが、支那やインドネシアでは線路の周りを掘ってはダメでしょう。
      流石に冗談ですよ?

  4. アバター 砂漠の男 より:

    インドネシアは、高速鉄道導入費用の全額を自腹で賄えるから、超高額の”お勉強代”に臍を嚙んだだけで済む。建設事業費は時間をかけて回収するしかない。できればいいけどな。

    同様にラオスも支那の高速鉄道を導入したが、BBCに拠ると支那からラオスへの直接投資と長期ローンにより、建設事業費のほぼ全額が支那の持ち出しだった。その結果、すでに高速鉄道それ自体と高速鉄道事業会社の運営権を事実上支那に握られているようだ。壮大な”後の祭り”というべきか。

    • 木霊 木霊 より:

      コストを回収する前に、補修費などが嵩みそうですがね。

      ラオスの事はそういえばこのブログで触れていなかったので、別記事で触れさせて頂きました。
      高速鉄道もそうですが、高速道路もなかなか大変そうな案件ですよね。

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