韓国の外貨準備がハリボテだとは言われていたが、このニュースを見ると余計に心配になるな。
政府が支払うべき国際機関出資金12兆ウォン、韓銀が代納
入力2023.09.05. 午後 7:18 修正2023.09.05. 午後 11:11
政府が国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関に支払うべき出資金12兆ウォン以上を韓国銀行が代納してきたことが分かった。政府が外貨準備高を「マイナスの通帳」のように使用しているという指摘が出ている。
NAVERより
政府が支払うべき国際機関への出資金を中央銀行(韓銀)に支払わせているというのである。そうすると、韓国の発表する外貨準備から単純に代納分を差し引く必要がある……?
資金繰りの問題なのか
マイナス通帳
韓国特有の制度「マイナス通帳」だが、これがなかなか分かりにくい表現だ。
日本でも通帳の残高がマイナスになることがあるが、これは定期預金などが積み立ててある場合に適用される話。本来であれば、銀行に預けた以上の金額を引き出すことは出来ない。
では、マイナスになるとどうなるかというと、定期預金を担保として銀行からお金が貸し出された形になる。総合口座で開設して定期預金を行っている場合にしか発生しない現象ではあるが、定期預金残高の9割(上限200万円)までは引き出しが可能なんだとか。
当然、貸付に相当するので結構な額の利息(定期預金の金利+0.5%)が発生する。
韓国の「マイナス通帳」制度はどうかというと、定期預金がなくともお金が引き出せる。限度額が設定されているので日本で言えばクレジットカードのキャッシングのような感じである。ただし、クレジットカードのキャッシングと違って、マイナス通帳の利息は低めに設定されているようだ。
それ故に借りやすいというイメージのある金融商品らしく、どうやら最近は増えているらしい。
【時視各角】韓国を襲った未熟な先進国症候群
2023.05.05 10:02
財政は悪化し、経済成長率は1%も大変だ。個人でいうと、貯蓄もないのに所得が増えない。結局、不足するお金は「マイナス通帳」に頼る。大韓民国がこうした状況だ。国家債務が1000兆ウォン(約100兆円)を超え、公務員・軍人年金の引当金まで含む国家負債は昨年2326兆ウォンにのぼった。昨年の実質国内総生産(GDP)1965兆ウォンを大きく超える。今年は低成長トンネルに入って税金収入が大幅に減っているため、政府の予算639兆ウォンより税収は20兆ウォン以上も少なくなる見込みだ。
中央日報より
このマイナス通帳という金融商品は、条件を見る限りは結構使い勝手の良い金融商品のような気がする。だが、経済成長期には問題なく運用出来るモノだと思うが、家計負債が増大する状況だとかなり大きな時限爆弾になりかねない。銀行にとってのリスクだからね。
最近は特にヤバそうだ。
政府が中央銀行に代納してもらう
さて、マイナス通帳の機能はともかくとして、韓国政府が韓国銀行にお金を借りている感じの話が、冒頭の記事である。それも、国際機関への出資金を外貨準備から支払っているとか。
5日、企画財政部と韓国銀行が共に民主党のホン・ソンギュク議員室に提出した資料によると、2014年から今年7月まで韓国銀行が政府に代わって納付した国際金融機関の出損・出資金は計12兆6832億ウォンに達する。同期間、政府が納付した金額は1兆947億ウォンで、全体の出損・出資資金の92%を韓銀が代納したことになる。
NAVERより
……大丈夫なのか?これ。
韓銀が代納した金額は、外国為替準備金から流出した。外貨準備額に対する代納金額の規模は、年平均0.08%に過ぎない。しかし、2016年にはIMFクォータ(各国の経済力に応じた出資割当額)が増額され、70億6000万ドルを納付し、代納金の割合が2.05%まで増加した。韓銀の関係者は「IMF出資金は外貨準備額から外れるのではなく、含まれる部分」と説明した。
NAVERより
ちょっと意味がよく分からない。
当然、代納して貰っている以上は、どこかで韓国政府が韓国銀行にお金を支払う必要がある。規模は外貨準備の2%程度なので問題はなさそうなんだが、韓国の外貨準備は見かけと中身は違うって、こういう運用を許しているからなんだろうか。
韓国外貨準備、8月は9カ月ぶり低水準 市場介入で
2023年9月5日2:05 午後
韓国銀行(中央銀行)が5日発表した8月末時点の外貨準備高は前月末比35億ドル減の4183億ドルと、2022年11月以来9カ月ぶりの低水準となった。ウォン防衛に向けた介入が重しとなった。
減少は3カ月ぶり。
ロイターより
韓国は市場介入にも積極的に外貨準備を使っている。
確かに、外貨準備の使用目的には通貨防衛ということがあるんだけど、頻繁に介入するとそれはもはや為替操作に他ならないんだが。
まあ、それはともかく外貨準備も減少しているようだ。で、韓国政府も国際機関への出資金を支払うのに使ったと。
直ぐに問題になる話ではないんだろうけれど、財政規律的な問題はありそうだね。
そういえば日韓通貨スワップ協定の時も
で、この話で思い出したのが、日韓通貨スワップ協定の話である。
個人的には「そんなもの、何の得になるんだ」と憤慨したモノだが、しかし、協定再開で合意してしまったものは仕方がない。
「韓国経済圧力は逆効果」教訓に…金融にまで広がった韓日関係改善、変化した日本
2023.06.30 15:13
8年ぶりに再開された韓日両国の通貨スワップ締結を契機に、日本で「韓国に対する経済圧力は逆効果だった」という評価が出てきた。日本の朝日新聞は30日、為替の変動など緊急状況で今後3年間互いにドルを融通し合う通貨スワップの再開合意を伝えし、このように分析した。
~~略~~
同紙がこのように指摘したのには過去の問題をめぐる長い両国間の不協和音がある。韓日通貨スワップも通貨危機以後の2001年に始まった。ドル不足で経済危機を迎えた韓国の立場ではドルの保有が多い日本との通貨スワップが必要な時期だった。互いに必要な時にドルを貸し合う「国家間マイナス通帳」と似た通貨スワップは700億ドルまで増えた。しかし翌年の2012年当時、李明博大統領の竹島訪問(不法上陸)をきっかけに日本との関係がゆがみ始めた。その後、日本との通貨スワップ協定延長は100億ドルに減り、2015年2月に延長なく中断した。
中央日報より
が、その時の記事も、「互いに必要な時にドルを貸し合う「国家間マイナス通帳」と似た通貨スワップ」などと表現されていた。韓国大好きマイナス通帳だが、違うからね?
このように韓国は、お金の使い方について疑問を持つ展開が少なくないのだが、今回の通貨スワップ協定はドルベースの協定になっている。ドル建てなので、韓国が「ヤバイ、もうあかん」となったときに、日本が決まった金利でドルを融通することになっている。
あ、一応、未だ再開に合意しただけで、再開したわけではない。
いつ発効するのかはよく分からないのだが、合意した以上はどこかで発効したという報道がなされるはずだ。
岸田内閣の支持率低下に拍車が掛かるね!
遅延率の上昇
とまあ、少々脱線しながら話を書いてきたが、冒頭の記事の内容に戻ると、そもそも国際機関への出資金を中央銀行に払って貰うというのがおかしな話なのだ。
外貨準備はそんなことのために用意されているものではないし、韓国政府はたかだか12兆ウォンレベル(9年で12兆ウォンなので、ザックリ毎年1兆ウォン程度だ)のお金も支払えないのか?ということになる。それも2014年から今年7月まで慢性的に支払いが韓国銀行から行われている模様。
お金が足りないと言えば、金融機関もちょっと流動性に問題があるようで。
韓国、「9月危機」ないというが…第2金融圏の延滞率急騰に緊張
2023.09.05 09:04
第2金融圏と呼ばれる銀行以外の金融機関で延滞率の上昇が止まらなくなっている。韓国政府の鎮火にも「9月危機説」が静まらない理由だ。高金利の余波が続く中で第2金融圏から資金を多く借り入れている零細自営業者への貸付がコロナ禍貸付支援終了もあり不健全化するという懸念が出ている。
金融監督院が4日に明らかにしたところによると、相互金融組合(農協、水協、信用協同組合、山林組合)の延滞率は6月末に2.8%を記録した。昨年末の1.52%より1.28ポイント上昇した。不動産景気不振の余波により不動産プロジェクトファイナンス(PF)で延滞が増えたためだ。相互金融の企業向け貸付延滞率は6月末に4.12%で6カ月前の2.23%から1.98ポイント上がった。
中央日報より
第2金融圏の話は、以前も触れているね。
セマウル金庫の話である。
この日金融監督院が発表した相互金融の延滞率は、同じ相互金融だが行政安全部が所管のセマウル金庫の延滞率は除外された数値だ。しかし延滞率悪化の様相は「危機説」まで出ているセマウル金庫と似ている。行政安全部によるとセマウル金庫の6月末の延滞率は5.41%だ。昨年末の3.59%より1.82ポイント上がった。やはり不動産PF貸付不良の余波で企業向け貸付の延滞率は6カ月で5.61%から8.34%に2.73ポイント上昇した。
中央日報より
遅延率は、7月に記事にした時には地方の金庫で遅延率32.36%とかいう恐ろしい数字があったのだけれど、アレはちょっと特殊な事例っぽいね。全体の遅延率は8.34%に増えた感じか。
ただ第2金融圏全体的に延滞率の上昇幅は縮小しているというのが金融当局の説明だ。貯蓄銀行は3月末の延滞率が5.06%だったが6月末も5%台を維持した。
中央日報より
この話の何が問題って、不動産PF絡みだってことだよね。もはや金融商品として韓国の不動産PFは売れない。そうすると不動産が建たない。
住宅価格は底をついたか…韓国の住宅価格14カ月ぶり「上昇転換」
8/24(木) 14:12配信
韓国の住宅売買価格が先月、14カ月ぶりに上昇傾向に転じた。首都圏では上昇幅が大きくなり、地方では下落傾向が鈍化し、全国の住宅価格を引き上げた。
Yahooニュースより
一息ついたという分析もあるんだけど、未だ安心できない材料がそこかしこにあるので、暫くは静観するしかなさそうだ。
……ちょっと、とりとめの無い感じの記事になってしまって申し訳ない。ただ、冒頭のニュースもそうなんだけど、韓国社会は全体的に流動性が怪しい感じになっているね。まあ、国際機関への出資金の話は、余録的な話で、本丸はやはり不動産バブルの話になるのではと思う。
支那とは状況が違うので、不動産バブルも直ぐに大きな変化が起こる状況ではなさそうなんだけど。
コメント
韓国は財政も会計もとにかくおかしい。
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記事中で指摘されているが、韓銀の外貨準備は8月に35億ドル減った。これは為替操作の結果だったが、実は韓銀の手持ちドルはさらに61億ドルも減っていた。これは韓国国民年金公団に韓銀が用立てたドル分だ。国内勘定取引なのでドルの流出はないが、韓銀の手持ちドルが61億ドル減ったわけだ。この2件だけで韓銀は96億ドルを”失った”ことになる。
https://money1.jp/archives/112306
輸出好調時代ならドル不足などなかったろうが、流動性に不安のある外貨準備の内訳をみると、韓国は自ら墓穴を掘っているといえる。
https://www.jetro.go.jp/view_interface.php?blockId=34344272
国際的な通貨危機はいつかまた起こるだろう。
スワップ、スワップいう前に自国の外貨準備政策を修正すべき。
かなり放漫財政をやっている感じですよね。
どうにも不適切な流用がアチラコチラにあるような感じです。
う〜ん……南小中華のマイナス通帳のお話ですが、なんか武富士とかアコムとか、
街金が幅を効かせてた90年代とか思い出しました。あの頃、日本のかなり沢山の家庭が借金で生活維持してるとか報道があって、実際に酷かったらしいけど。
マイナス通帳って、赤字家庭予算なみに計画性がないのか?
無いのでしょうねぇ……
砂漠の男様の試算で、2件で96億ドルの損失って……もう少し己を見直した方が良いのでせうが、やらんのでしょうねぇ。そう言えば原油代金は支払ったのだろうか?
マイナス通帳という制度はそれなりに優れた制度だと思いますよ、経済が上向きの状況であれば、ですが。
一時的にお金が足りなくなっても、給料で直ぐに補填。購買機会を失わないので景気が良くなると。
ただ、今のようになってしまうと、誰も彼もがマイナス通帳を使うので現金が足らなくなる。キャッシュフローが悪化した状況では、銀行の経営が極めて厳しい状況に。「ご覧の通り」と言うしかありません。
横合いから失礼します。
スワップですが、発動したとして、限度額がはした金で屁の突っ張りにもならない、アチラを黙らせる為に締結した以上の意味は無い、とどっかで聞きましたが、そのあたりどんなもんなのでしょう?