軽めのネタを1つ。
水産事業者への緊急支援 新たに数百億円程度の予算確保で調整
2023年9月1日 5時56分
中国による日本産の水産物の輸入停止を受けて、政府は輸出先の転換の後押しなど、水産事業者への緊急支援策を週明けにもまとめます。既存の総額800億円の基金に加え、新たに数百億円程度の予算を確保する方向で、具体的な額の調整を急ぐことにしています。
讀賣新聞より
相変わらず、岸田氏の内政はズレているように見える。本当に困ったことだね。
支援の仕方は工夫次第
基金を積むと何が起こるのか
ニュースではしっかり解説されていないので、一体何が行われたのかは伝わってこない。
「水産事業者への緊急支援策をとりまとめた」というのだけれど、その基金で何が出来るのか?というと、分かりにくい。
緊急支援策には、中国との取り引きの依存度が高いホタテなどの品目を中心に、輸出先の転換を後押しすることに加え、消費する国に直接輸出できるよう国内の加工体制の強化を図るほか、国内の消費や販路拡大も支援していくことなどが盛り込まれる見通しです。
讀賣新聞より
岸田氏の政策は何時もビジョンが見えにくいので困るよね。そもそも、支那との取引依存度が高いのはホタテ業者のリスク管理の問題だろうに。
品川区より所得が高い北海道猿払村、ホタテ漁「公平な組織」で活力
2021.9.24
北海道の北端に、東京都区部の住民と並ぶ平均所得を誇る村がある。ホタテ漁が盛んな猿払村。水産業を基幹とするライバルの市町村民の収入を大きく上回る理由は、豊かな漁場があるというだけではない。漁協の公平な分配や高齢の組合員を支える一貫した取り組みが、長期にわたって地域を活性化している。
~~略~~
主力産業は酪農、そして漁業だ。どこにでもあるようにみえる静かな村だが、村民の平均所得が突出して高いことで知られる。
高所得の理由は国内有数の漁獲量を誇るホタテ漁にある。サイズが大きく、品質がよい北海道のホタテは国内での人気に加え、半分ほどを冷凍品や干し貝柱などとして中国を中心に輸出する。
日経ビジネスより
コレまでは相当、ホタテビジネスで設けてきた業者が、政府支援で商売先を変えるって事を意味する。何か違うよね。
道のまとめによると、道内からの水産物の輸出額は2022年が833億円で、中国向けは532億円にのぼった。中でもホタテの占める割合は大きく、全体で618億円。このうち中国向けが448億円を占める。
朝日新聞より
確かに国の政策で直接的な被害を受けたという構図が見えているのだが、しかしここが微妙なのは、ホタテに限って言えばこんなニュースもあった。
網走の能取湖でホタテ稚貝大量死 今年度の生産計画量の9割
04月04日 16時11分
ホタテの稚貝を育成している網走市の能取湖で、大量の稚貝が死んでいることが分かりました。被害額はおよそ7億円に上るとみられ、今後、出荷先の水揚げにも影響が広がることが懸念されています。
~~略~~
網走市や西網走漁協では対策本部を設置し、今後の漁業者支援や死んだ稚貝の処理方法などを検討することにしています。
一方、今回被害があった稚貝は紋別地方の漁協に出荷する計画だったということで、今後の水揚げにも影響が広がることが懸念されています。
NHKニュースより
うん、積んだ基金って「何に」使われるんだろうね。
素早い対応は大切
さて、そうした問題はさておき、「スピード感が大切」というのは共感できる。
岸田総理大臣は「とにかくスピード感が大事だ。予備費の活用も含めて機動的に予算の確保を行い、早急に実行に移していきたい」と述べました。
NHKニュースより
ただねぇ、方向性が正しいのかはちょっと疑問だ。
輸入停止措置で約2億匹の“ナマコ”がピンチ!? 中国で人気の高級食材「どうしても依存するしか…」
2023年8月31日 木曜 午前10:30
福島第一原子力発電所で処理水の海洋放出が始まったことを受け、中国が日本の水産物の輸入を停止した。これにより、中国に99%輸出しているというナマコの養殖企業は危機感を募らせていた。
FNNプライムオンラインより
ホタテよりもナマコの方が厳しい状況だしね。
何というか、直接漁民にお金を渡すというスタンスは極めて質の悪い対策であり、寧ろマーケットを広げる方向に舵を切れば良いのである。その辺りは一応片鱗が書かれていて、「国内の加工体制の強化を図るほか、国内の消費や販路拡大も支援」とある。
国内流通をしっかり整備するというのが、正しいやり方なんだと思う。今回、「数百億基金を積む」と見せ金を積むやり方は悪くはないんだけど、販路拡大というところが一番大切なんだと思う。
既に800億円積んであるんだから、更に緊急支援を強調するのはどうなんだろうね。日本政府としては、購入を推奨するようなアピールを最大限にした方が良いんじゃないだろうか。
日本大使館の「攻めの発信」
発信の仕方に懸念のある岸田政権だが、出来ていないというわけではない。
処理水放出 迷惑電話など“遺憾と言わざるをえない”岸田首相
2023年8月28日 20時19分
岸田総理大臣は28日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「中国に対しては、まずは専門家どうしの科学的な意見交換をしっかり行いたいとあらゆる機会をとらえて要請してきたが、こうした場が持たれないまま、中国発とされる多数の迷惑電話や日本大使館、日本人学校への投石などが行われていることは遺憾なことだと言わざるをえない」と述べました。
NHKニュースより
いや、「遺憾なことだと言わざるをえない」って、他の表現はないの?
既に「効果が無い」と思われている言葉だけに、今、「遺憾」はダメでしょう。考えようぜ。
日本大使館「攻めの発信」に転換、SNS「微博」で中国政府のプロパガンダに対抗
2023/09/01 07:05
在中国日本大使館が、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を巡って、「攻めの情報発信」に転換している。中国のSNS・ 微博で日本政府の主張を中国語で積極的に発信し、科学的根拠のない中国政府のプロパガンダに対抗している。
~~略~~
日本政府の主張を正確に伝えるため、放出開始前日の23日から国際原子力機関(IAEA)の声明や放出後の周辺海域のモニタリング(監視)結果など客観的情報の投稿に力を入れ始めた。
讀賣新聞より
ただ、日本政府としては常に情報を発信する姿勢を続けているようで、在中国日本大使館は客観的情報の投稿を続けているようだ。
中国メディア 処理水めぐり 日本への批判を連日報道
2023年8月30日 19時27分
東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海に放出する措置をめぐり、中国メディアは連日、新聞やテレビなどで日本を批判する報道を続けています。
NHKニュースより
ただ、支那国内向けに報道をするといっても限界がある。何しろ支那の報道機関は完全に支那共産党の支配下にある広報機関であるから、日本大使館が出す情報程度では焼け石に水。
それでもやらないという選択肢はないので、粛々と報道を続けていく必要があるし、特に諸外国の協力を得ることは大切である。
仲間を増やしていこうぜ。
WTOへの提訴
そういう文脈では、WTOへの提訴の動きは歓迎したい。
高市経済安保相「WTO提訴検討も」 中国の水産物禁輸
2023年8月29日 16:19 (2023年8月29日 16:31更新)
高市早苗経済安全保障相は29日の記者会見で、中国による日本産水産物の輸入停止を巡り「何らかの形での対抗措置を検討しておく段階に入っている」と話した。「世界貿易機関(WTO)への提訴も過去にオーストラリアが(中国に)している」とも言及し提訴の選択肢に触れた。
日本経済新聞より
自民党の内部では反対意見も出ていたようだが、WTOへの提訴は絶対やっておくべきだ。
高市氏が目立っているのだが、自民党内部でもこの意見に賛同する層と、反対する層がいるらしい。反対派の主張としては、「WTOへの提訴で負けると、支那の言い分が正しいことになる」ということらしく、実際に過去に失敗しているしね。
WTO逆転敗訴 誤算の外交戦略、見直しへ
2019年4月13日 2:00
韓国による福島など8県産の水産物輸入禁止措置をめぐる世界貿易機関(WTO)判決は日本にとって事実上の「敗訴」となった。2014年に判決が下った調査捕鯨に続く失敗だ。国際法を盾に突破口を開く外交戦略は見直しを迫られる。
日本経済新聞より
不可解な逆転敗訴ではあるが、しかし結果は結果である。この結果、日本側は打つ手が無くなってしまったという残念な話である。
しかし、こうした失敗や時間がかかる問題があったとしても、WTO提訴を見送ると日本が弱気になっているという間違ったメッセージとなってしまう。
中国、水産物禁輸は「正当で合理的」 WTO提訴の動きに反論
2023年08月30日20時19分
中国外務省の汪文斌副報道局長は30日の記者会見で、日本産水産物の全面禁輸措置について「世界貿易機関(WTO)の関連規定に基づいており、完全に正当かつ合理的だ」と主張した。日本国内でWTOへの提訴を求める声が出ていることに反論した形だ。
時事通信より
相手も嫌がっていることだし、是非やっておくべきだろう。
メディアの報道の問題
後は、日本国内の報道姿勢に問題があるのだが、ここはある程度、「正確な報道」を求めるしかない。
確かに報道の自由と言うヤツはあるのだが、政府の意向を正確に報じるタイミングがあっても良いと思う。
英国研究者ら「処理水のトリチウム濃度は、中国の放出の半分以下」
8/24(木) 1:13配信
日本政府が早ければ24日に開始することを決めた福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、イギリスの研究者らが23日、オンラインで会見を開きました。「トリチウム濃度は、中国の原発から放出される水の半分以下の数値であり、人体への大きな影響はない」として、科学的見地から問題はないとの見解を示しました。
Yahooニュースより
この手の報道を、検索してもほとんどヒットしない状況なのは、メディアの扱いの問題が大きいのだ。
ハッキリ言って、水産事業者への緊急支援で基金を積むのであれば、メディアに対して補助金を出して福島産の水産物などを宣伝する広報活動に、いや公報に参加して貰うようにすれば良い。
お金のないメディアも尻尾を振って喜ぶぜ、きっと。そしてそれが効果が高いのである。
食べて応援も良いんだけどさ、もうちょっと頑張ってくれ。
なお、野村、てめーはだめだ!
野村農相、処理水を「汚染水」と発言…岸田首相は「全面的に謝罪と撤回」指示
2023/08/31 18:23
野村農相は31日、東京電力福島第一原子力発電所から海洋放出されている処理水のことを「汚染水」と発言し、「言い間違えた」として謝罪、撤回した。
讀賣新聞より
大切な時に農林水産大臣の立場で「汚染水」だと?「言い間違えた」だと?広報の意味では最悪である。次の内閣改造では飛ばした方が良い。言葉狩りは推奨できないんだけど、些細なことでもタイミングによっては致命的なこともあるのだ。
まあ、内閣改造という言う意味では財務大臣なんかも変える必要はあると思うけどね。
コメント
こんにちは。
実現可能性はともかくとして、国内大手のスーパーマーケットと協力して、毎月福島近隣県の(宮城、茨城も含めて)農水畜産物キャンペーンとか出来たらいいのにな、と思ったりします。
農水省も「毎月3-7日は魚の日!魚を食べてSDGs!」とかやるりよっぽど良いお金の使い方だと思うんですよねぇ。
こんばんは。
そうですね、物産展とかアリですね。
そういうイベント系の支援にお金を使うのは全然アリです。寧ろ買いに行きます。
現実的には輸出のリスク分散ってことで、EU-HACCPへ対応できるような加工場の改修を支援したりする必要がいいのではないかと思います
先行き不安定で、漁獲高も減る恐れもある中で新規投資は民間企業にはなかなかできませんが、アメリカ等より厳しいEU-HACCP対応の設備があまりないのがあっち方面へ油種が伸びない一つの理由だと考えられるので。
しかも、EUは今回の騒動でも概ね日本産魚介類に規制掛けてませんしね。
そうですね、加工工場の改修支援はアリか。
多分、第六次産業化の推進みたいな話は実際にあると思っていて、でもEU-HACCP対応ってのは地域の人が頑張らないとなかなか出来ない話。
お金積んだだけじゃ無理でしょうな。
う〜ん。築地場外で働いておられた七面鳥様も辛口な見解を述べてられましたし。対中輸出で良い目をみていた業者は一握りなのでは?
他の方の仰るように、輸出リスクを考えると、分散した方が良いのは、ムンムン時の北京の対韓制裁を観ると感じます。
ちなみに輸入なんですが、中国が独占してたレア・アースですが。なんか日本の大企業が「合成」に成功したとか。
仮に本当でも、すぐに量産はできないと思いますが。本当ならば日本が輸出国になったりして。
いや、多分ほんの一握りだと思いますよ、ボロ儲けしているのは。
ただ、今回の基金、「漁に出ない漁師の支援」みたいな使われ方もするらしく、そうだとするとメリットが無いんですよね。働かなくても食える環境を作るってことになりますから。
販路拡大にお金をかけて欲しいところです。
レアアースの話は、別のタイミングで触れたいと思っています。
こんにちは。
WTOの件は、とにかく提訴する事が先決でしょうね。
WTOで係争中であれば、間違っても支那のCPTPP加入は有り得なくなりますから。
で、10年くらい引っ張ればいい。
コストは大してかからないし、やっておいて損はない(敗訴しても、そのころには有名無実化しているに違いない)でしょうから。
こんにちは。
そうなんですよね、WTOへの提訴はやるべきなんです。
敗訴した時のリスクを今から考えても仕方がなくって、勝つために全力を傾けるのが良いかと。結果が出るのは数年後ですが、それでもやらない理由にはならないでしょう。
こんにちは。
なんか、中国が先手をうったっぽいですね。
だからって提訴出来ないわけではないでしょうけれど。
こんにちは。
ありがとうございます。このニュースは知りませんでした。
しかし先手を打ったといっても、日本側が提訴しない理由にはならないわけで。粛々と対応すべきです。