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トルコ、スウェーデンのNATO加盟に同意

トルコニュース
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なんだ?裏取引があったのでは?トルコ、何、貰ったん?

スウェーデン、NATOの32番目の加盟国へ…難色示したトルコが同意に転じる

2023/07/11 11:33

11日からリトアニアの首都ビリニュスで開かれる北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に先立ち、スウェーデンのウルフ・クリステション首相とトルコのタイップ・エルドアン大統領が10日、ビリニュスで会談し、トルコがスウェーデンのNATO加盟手続きを進めることに同意した。加盟に難色を示していたトルコが同意に転じたことで、スウェーデンは32番目の加盟国になる見通しとなった。

讀賣新聞より

まあ、トルコのエルドアン氏は実利を見ながら政策を変えていく人物のようなので、スウェーデンのNATO加盟を許してしまった方が都合が良いと思ったんだろう。

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戦略的な交渉

F-16戦闘機が欲しいトルコ空軍

じゃあ、具体的に何があったのか?というと、そこのところはよく分からないのだけれど、こんな話はあった。

米、トルコのF16改良へ NATO加盟承認後押しか

2023/4/18 11:13

米国務省は17日、トルコ軍が保有するF16戦闘機に搭載された航空電子機器の改良ソフトウエアなどの売却を承認し、議会に通知したと発表した。トルコは最近、停滞していた北大西洋条約機構(NATO)へのフィンランドの加盟を承認した。米国には、トルコが難色を示しているスウェーデンの加盟承認を促す狙いもありそうだ。

国務省が承認したのは、地上衝突防止システムなどを含むソフトウエアの更新。米議会が承認して実現すれば、総額2億5900万ドル(約348億円)に上り、ロイター通信によると、ここ数年の対トルコ軍事支援では最大規模となる。トルコが求めているF16の機体売却は含まれていない。

産経新聞より

トルコへのF16供与「前進させる」 スウェーデンのNATO承認受け―米政府

2023年07月11日17時15分

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は11日、トルコがスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟承認に合意したことを受け、トルコに米国製F16戦闘機を供与する方向で米議会と調整に入ると表明した。リトアニアの首都ビリニュスで記者団に「バイデン大統領はF16の移転について前に進めるつもりだ」と明言した。

時事通信より

えーと、割とあからさまだな。とはいえ、確定できる情報もないことは先にお断りしておきたい。しかし、その上で、今回のスウェーデンNATO加盟容認の背景にF-16の話があったと仮定して話を進めよう。

トルコ空軍は、西側の兵器で揃えていて、戦闘機だけでもF-16C/Dを224機、F-4Eを174機保有している(F-4Eは52機が近代化改修されてF-4E 2020となっている)。

調べてみると、F-16もトルコでライセンス生産をしているので、敢えてF-16をアメリカから売却して欲しいと持ちかけた理由がイマイチ分からないのだが、これ以前にF-35Aを売って貰う予定だったけれども、予定がキャンセルされてしまったという経緯がある。

F-35A戦闘機は何故キャンセルされたか

ちなみに、トルコがF-35A戦闘機を欲しがっていて、開発パートナーにまで手を上げていた。

F-35戦闘機は、極めて高コストな戦闘機になることが見込まれ、開発当初から多国籍で製造して資金調達をする事が決められていた。

そこで手を上げたのが、アメリカが主開発国となり、レベル1(イギリス)、レベル2(オランダ、イタリア)と、欲しい国が製造参加することになっていた。

レベル3(カナダ、トルコ、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク)にトルコは含まれていて、実際に販売寸前まで行った。トルコ空軍向けのF-35A(AT-1)はロールアウトして、引き渡しが検討されていたのだが、この時期にトルコ空軍はロシアからS-400対空ミサイルシステムを購入してしまう。

アメリカにとって、ロシアのS-400にF-35A戦闘機が捕捉されるためのデータが出るリスクは避けたかった。

米、トルコ閣僚に経済制裁 米国人牧師拘束を理由に

2018年8月2日 14時25分

トルコでテロ組織を支援したなどとして米国人牧師が長期拘束されている問題で、米財務省は1日、「深刻な人権侵害にあたる」としてトルコのギュル法相とソイル内相を対象とする経済制裁を科した。両氏の米国内の資産を凍結し、米国人との商取引を禁じる。トルコは北大西洋条約機構(NATO)のメンバーで両国は同盟関係にある。その閣僚への制裁は異例。トルコは強く反発しており、両国関係の悪化は必至だ。

朝日新聞より

その他にも色々あったようだが、表向きはシリア関連の出来事によって結果的にトルコへのF-35A販売はキャンセルされてしまった。

今となってはソレも随分と条件が変わっているようだが、今更F-35A購入に走るのは又時間のかかる話にはなるのだろう。

F-16戦闘機ならば

「では、その代わりになる戦闘機を」ということだったらしいのだが、これもかなり揉めたようだ。

トルコへのF16売却案、米議会幹部が反対 政権の非公式通知に

2023年1月16日9:06 午前

米国務省は12日、トルコにF16戦闘機を売却する準備を進めていると上下両院の外交委員会に非公式な通知を行った。関係筋3人が13日に明かした。総額200億ドルに上る可能性があるが、議会は早くも反発している。

北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコは2021年10月、ロッキード・マーチン製のF16戦闘機40機のほか、既存戦闘機向け改良機器の購入を要請。両国間の技術協議がこのほど終了した。

ロイターより

今回の決定も、アメリカ議会を通過できるかどうかによってはひっくり返る可能性がある話らしい。ただ、大々的に報じているので、何らかの妥協案くらいはでるかもしれないが。

トルコ空軍が保有するF-4Eも流石に延命が難しい機体があって、F-16も古い機体はだましだまし使っている部分がある。未だにブロック30と呼ばれるバージョン(最新はブロック70)を使っていて、こいつの開発時期は1990年代なので、流石に延命措置は行っている。

トルコ、F-16 の耐用年数を延長するプログラムを開始

2021/03

トルコは、F-16 ブロック 30 戦闘機の耐用年数延長プログラムを開始し、戦闘機の構造寿命を8,000時間から12,000時間に延長しました。

トルコの国防産業総裁 (SSB) のリーダーであるイスマイル デミル氏は、「このプロジェクトでは、航空機1機あたり1,200~1,500個の構造部品が改修されており、必要に応じて機体の補強とともに修理や交換作業が行われている」と述べました。

AEROFLAPより

内容が少しおかしなところのある引用だが、ブロック30を延命したと言うことが分かれば良い。

この他のトルコ空軍のF-16はある程度近代化改修が進められているとは言われているが(Block52+相当)、これも繋ぎになるレベルの話。

TFXの開発も進んでいる

一方で、トルコ空軍はTFX計画も平行して進めていて、かつては韓国のKFX計画に参画する話もあったが、独自路線を選ぶことにしたらしい。2023年に入ってタキシングをしているというニュースもあったが、KFX計画よりは若干遅れているらしく、初飛行は2026年なんだそうな。

画像

どことなくシルエットはF-22戦闘機に似ているが、KF-21にも似た雰囲気を持っているね。ただ、KF-21が第4世代戦闘機であるのに対して、TFXは第5世代戦闘機なので、ステルス性能を有していることと、エンジンをロールスロイス社に担当して貰ったらしいが、最終的にはトルコで生産できる仕様にするらしく、時間はかかりそうだ。タキシングをしてから直ぐに飛行したKF-21とは色々な面で異なる。

まあ、KF-21のエンジンはF/A-18E/Fで実績のあるエンジンだからねぇ、そこは大きく違うのだろう。

ただ、結局のところ、戦闘機の老朽化などの面を考えるとTFXの完成を待てない事情であることは間違いなさそうなんだな。

だから、トータルで見て、実績のあるF-16の最新版を手に入れて穴埋めしたいという需要があったとしても不思議ではない。先にお断りしたように、あくまでこれは仮定の話だが。

NATO加盟でのパワーバランス

というわけで、トルコの国内事情が大きく絡んだスウェーデンのNATO加盟問題だったが。

フィンランドに遅れること半年くらいで、決着が付きそうな情勢になってきた。

ただ、そもそもトルコとしてはスウェーデン国内に蔓延る、クルド人勢力にかなり強い警戒感を抱いていて、何らかの取引があった可能性はある。

NATO スウェーデンの加盟へ大きく前進 トルコ“議会にはかる”

2023年7月11日 12時13分

スウェーデンのNATO=北大西洋条約機構への加盟についてトルコがなるべく早く議会にはかることで合意したことを受け、アメリカのバイデン大統領らは声明などを発表し、歓迎しました。今後、トルコ議会での批准の手続きがどれだけ早く進むかが注目されます。

~~略~~

一方、トルコのエルドアン大統領は「今後のプロセスはもちろん合意の履行を進めていくことだ」と述べ、スウェーデンに対しクルド人武装組織などを念頭に対策を着実に講じるよう重ねて求めていて、今後、トルコ議会での批准の手続きがどれだけ早く進むかが注目されます。

NHKニュースより

スウェーデン国内では、亡命したクルド人やクルド系移民達に、民族意識を獲得できる教育を許容していて、これがトルコとしてはかなり大きな懸念材料になっている。

どの辺りでバランスを採るのかは注目していきたいが、ソレとは別にこれでヨーロッパの勢力図も随分と変容したわけで、どのようなハレーションを引き起こすことになるのかも含めて見ていかねばならないだろう。

これの全体の絵を描ける政治家がどこかにいれば良いんだけど、いないんだよなぁ。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    トルコは(NATOから何を引き出したかは明らかでないですが)、相当に大きな「貸し」を作る事に成功したと思います。
    すぐさまにロシアが「トルコを西側が受け入れるわけないだろバーカバーカ(>_<)」てコメント出してるのが大笑いなのですが。
    例外的に、分かりやすい外交だなぁ……