韓国の少子化問題とゴーストベイビー

日本以上に少子化に苦しむ韓国なのだが、衝撃の記事を読んだ。いや、割と有名な話ではあって、別の形では知ってたんだけど。

出生率０.78　韓国の少子化対策はなぜ失敗したのか

2023年04月10日 (月)

岸田政権は少子化対策を強化するための具体策や財源の検討を進めています。その少子化が日本以上に進んでいるのがお隣の国、韓国です。出生率は０.７８、韓国政府は20年近く前から少子化対策に取り組み莫大な予算を投じてきました。しかし極端な少子化は進む一方です。どうしてでしょうか？
NHKニュースより

これは4月に報じられたNHKの解説記事で、韓国の出生率が0.78になったと衝撃の事実を解説したものだった。

急激な少子化とその理由

急激な少子化とその理由

出生率0.78

この話は既に2月には報じられていて、「大変だな」という感想しか抱かなかった。日本だって他人事ではないのだが。

韓国の出生率、22年は過去最低の0.78 OECDで最下位

2023年2月22日 12:00 (2023年2月22日 20:05更新)

韓国統計庁が22日発表した韓国の2022年の合計特殊出生率（1人の女性が生涯に産む子供の数、暫定値）は0.78となった。前年の0.81からさらに低下した。経済協力開発機構（OECD）加盟国で最下位となった。高い住宅価格や教育費など子育て負担の増加で、結婚や出産をためらう人が多い。韓国政府は少子化対策を拡充してきたが、出生率の反転上昇はみられていない。
日本経済新聞より

悲観的な話ではあるが、2024年には0.7になるのでは？という予測が出ている。

韓国経済が不調なこともあって、ある程度は仕方の内面はある。このときは、「婚姻数の減少が影響を及ぼした」とか「住宅価格の高騰が問題」だとか、そんな分析がなされていた。

確かに、其れも要因の1つだろう。

結婚する人が減った

これまた日本も他人事ではないのだが、韓国の婚姻率は低下の一途を辿っている。

▽結婚する人が減ってきたことが最大の要因と言われています。１９８０年には４０万件以上（４０万３０３１）あった婚姻件数は減少を続け２０２１年には１９万件あまり（１９万２５０７）と半分以下にまで減っています。

３０代の未婚率は１９９０年には男性女性とも一桁台でしたが、２０２０年には男性は５０.８％と半数を超え女性も３割以上（３３.６）にのぼっています。
NHKニュースより

晩婚化も原因の１つだし、結婚していない人の数も増えている。何より、韓国では一人っ子が多く、その比率は2割を超えている。

これは、韓国の受験戦争が厳しく、就職するにあたって有名企業に就職できないと失敗扱いレベルになるとか。いわゆる財閥系の企業以外はザコ扱いなんだとか。

将来に希望を持てない「ヘルコリア」などと呼ばれていた時期もあったけれども、リアルで減るコリアである。少子高齢化の影響は社会にも大きな影響を及ぼすのである。

ゴースト・ベイビー

さて、本日の本題。

「ゴースト赤ちゃんの身代金の数百万ウォン」… 「違法養子縁組」の産出申告制

入力 2023.06.23 17:23　更新 2023.06.23 18:41

水原冷蔵庫の幼児死亡事件を契機に両親が出生申告をしなければ、政府と自治体が子供の出生事実を知らない現行出生届出制度の限界点を明らかにしたという指摘が提起された。最近、監査院監査で出生申告になっていない児童が２２３６人（２０１５～２０２２年生基準）に達し、このうち死亡・不法養子の事例が多数確認され、政府は医療機関出生通報制と保護出産制法制化に速度を出すと明らかにした。
中央日報より

韓国の出生率が下がっている話とは別に、出生申告漏れで「生まれていない」扱いになっている赤ちゃんが多数いるというのだ。

出生申告制は、公務員が申告書に書かれた内容が事実か確認する権限がなく、虚偽申告の可能性を排除できないという指摘も出ている。2015年国会立法調査処は「米国・イギリス・カナダ・ドイツは両親が直接出生申告をすることとは別に児童が出生した医療機関に出生通知義務を付与して申告漏れや虚偽申告を防いでいる」とし「韓国の現行出生申告制は事後的対処方式」と指摘した。
中央日報より

日本でも出生届は自己申告制になっているのだが、これがシッカリ履行されていないとして問題になっている。1万人以上の無戸籍者がいるなどと報じられたが、法務省が調べた結果でも無戸籍者が686人、うち成人が132人（2016年2月10日現在）という数字がある。1万人という数字は「無戸籍児家族の会」というところの推計値だが、こうなる原因は民法772条の規定によるものだと断じている。が、僕はそうは思っていない。

オーバーステイにお目溢ししていたが為に、無戸籍者がでてしまったケースのほうが遥かに多いのだとそう思うのだ。

さておき、韓国も出生届は自己申告制であり、申告漏れを気がつくことが難しいという実態があるそうな。ただし、その申告漏れの原因は別にあるようだが。

韓国未婚母家族協会の関係者は「出産記録が残るのを恐れる未婚母たちがインターネットを通じた（不法）養子縁組を着実に相談している」と話した。養子縁組特例法は、裁判所の許可なく養子縁組すれば、3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金に処するようにしている。去る3月大邱ではインターネットを通じて3年間新生児4人を不法養子にしてきた30代女性が拘束されたりもした。
中央日報より

新生児をネット販売……。

カカオトークオープンチャットやTwitterのようなSNSでも、子ども養子縁組関連の文が深く投稿されている。子どもを送ろうとする妊婦は普通出産・産後調理費用などを含めて数百万ウォンを要求するという。事実上、子どもを買い取る取引がなされる。
中央日報より

凄い。

海外養子縁組は世界3位

さて、この記事で出てくる出生届未届け児は2236人程度だが、この記事と組み合わせるとちょっと意味合いが変わってくる。

出生率は世界最低なのに…海外養子縁組は世界3位の韓国

記事入力 : 2023/06/03 11:45

養子縁組機関のホルト児童福祉会（以下、ホルト）では1日、「養子縁組で海外に渡った児童の後見人義務などを放棄したことに対し、1億ウォン（約1000万円）を賠償せよ」という裁判所の判決に控訴することを発表した。ソウル中央地裁は先月、1979年に養子縁組で米国に渡ったシン・ソンヒョク（米国名：アダム・クラプサー）氏がホルトを相手取り起こした損害賠償請求訴訟で、シン氏の訴えを認めた。韓国の裁判所が養子縁組機関の責任を認めた初めての判断だ。ホルト側は1日、「後見人の義務は（児童の）米国到着後、終了する」と主張した。

韓国戦争（朝鮮戦争）以降、本格化した韓国の海外養子縁組の中心にはホルトがあった。1958年から昨年までの65年間で韓国から海外に渡った養子は公式統計だけで17万人いる。このうち45％を超える約7万7000人がホルトの養子縁組によるものだ。
朝鮮日報より

建国以降、韓国は多くの子供たちを海外に輸出してきた。この状況は今なお続いており、2020年には国際社会サービス（ISS）の発表で、266人を養子縁組で海外に送り出している実績がある。世界第3位なんだそうだ。

当然、公式に分かる範囲での話なので、裏で売買がなされていても、ここには数字として現れることはない。

記事で「朝鮮戦争以降」と書かれていたのには理由がある。韓国は認めたがらないが、政府が主導で売春をやっていたのが韓国で、特にベトナム戦争の時代にはかなり荒稼ぎをしていたらしい。最盛期にはGDPの1/4にあたる外貨を稼いでいたと言うから凄いね。

そうすると、アメラジアンと呼ばれるアメリカ系アジア人が大量に生まれてしまい、アメリカ人の父を持つ孤児が沢山生まれてしまう。

アメリカ側には負い目があるので、積極的に養子縁組を受け入れ、と。

そういう土壌があるので、無届けの幼児が取引されるビジネスがあっても不思議ではない。少子化とどこまで関係のある事象かは分からない。ただ、こんなニュースもあるだけに、韓国政府もある程度認知している問題だと思う。