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韓国型リーパー、MUAVの量産手続きへ

韓国空軍
この記事は約8分で読めます。

アメリカ製MQ-9リーパーと同等の機能を目指したと言われている、韓国のMUAVなんだけど、量産手続きに進むらしい。

北朝鮮偵察用の中高度無人機 28年までに量産へ=韓国

記事入力 : 2023/08/18 15:42

韓国防衛事業庁は18日、同日に防衛事業推進委員会を開き、北朝鮮の偵察・監視を担う中高度無人航空機(MUAV)の量産計画などを決定したと発表した。

朝鮮日報より

4機のRQ-4グローバルホークを買ったのに、運用ができていないのか。それとも別の理由なのか。

実は中断していた中高度無人航空機の量産計画

コストが上がるRQ-4

日本の自衛隊も導入したRQ-4グローバルホークだが、韓国軍も購入して運用している(ハズ)。

ところが、アメリカ軍はRQ-4の運用を停止する方向に舵を切ってしまった。この結果、調達コストも運用コストも増えてしまう見込みである。

EXCLUSIVE: Air Force’s RQ-4 Global Hawk drones headed for retirement in FY27

July 27, 2022 at 11:46 AM

WASHINGTON: The RQ-4 Global Hawk reconnaissance drone’s days are numbered, as the US Air Force plans to phase out all remaining air vehicles by fiscal 2027, Breaking Defense has learned.

Breaking Defense has obtained a June 27 letter from an Air Force Life Cycle Management Center contracting officer, which informed prime contractor Northrop Grumman of the sunset date for the Global Hawk Block 40 — the most modern version of the RQ-4 used by the service to collect surveillance and track ground targets.

~~対訳~~

独占記事:空軍の無人偵察機RQ-4グローバルホーク、27年度で退役へ

米空軍が2027年度までに残りの全航空機を段階的に退役させる計画であるため、偵察機RQ-4グローバルホークの寿命が近づいていることが、Breaking Defenseの取材で分かった。

ブレイキング・ディフェンスは、空軍ライフサイクル管理センターの契約担当官からの6月27日付の書簡を入手した。この書簡は、元請負業者であるノースロップ・グラマンに、グローバル・ホーク・ブロック40(同軍が監視収集と地上目標の追跡に使用しているRQ-4の最新版)の退役日を通知したものである。

Breaking DEFENSEより

高性能な偵察機RQ-4なんだけど、運用コストがべらぼうに高い。更に高高度偵察機U-2ドラゴンレディの退役に失敗し、U-2の代わりに運用されることが期待されたRQ-4が全機退役する予定になったのは皮肉な話である。

RQ-4は地上とリアルタイムで通信して運用する必要があるが、この運用コストが高いことと、ステルス性がなくて撃墜されるリスクを考えると、運用を継続するメリットが薄いという話になるのも無理は無い。

が、アメリカが運用を止めてしまうことで、日本や韓国で運用するコストが上がることは避けられない。実際にRQ-4の調達価格は高騰し、部品の生産がなされないと運用コストも上がる。

韓国製の無人機計画

そんなわけで、アメリカがMQ-9リーパーをベースとした機体で偵察や対地攻撃を行う流れになった事を見て、韓国もその路線に乗ったということらしい。

トルコのTB2バイラクタルもかなり好調で、真似をしたくなったという事情もあるんだろうね。

トルコ製軍用ドローン、「全世界が顧客」 ウクライナ戦争で実績=メーカー

2022年5月31日12:06 午後

ウクライナ軍がトルコ製軍用ドローン「バイラクタルTB2]による攻撃でロシア軍の砲兵システムや武装車両を破壊してきたことについて、同機の製造元であるトルコの企業バイカルのトップは、ウクライナ戦争で実績を上げた結果、「全世界が顧客」になったと述べた。

ロイターより

単純に「羨ましいニダ」になった気がする。

で、韓国国内の事情を見渡して、「開発を続けているMUAVがあったじゃないか!」という話になったのだろう。頑張ってくれたまえ。

MUAV事業は空軍の監視・偵察に用いる中高度無人機を開発・量産する事業で、2028年までに9800億ウォン(約1060億円)を投じて量産する。

防衛事業庁は、同事業により北朝鮮の中心地域の標的に対する継続的な情報収集と偵察任務の遂行が可能になるとし、最高の性能を持つ無人機の開発技術を確保することで国内の無人機事業の基盤を整えられるものと期待を示した。

朝鮮日報より

まあ、時代の流れで研究開発が中断するというケースは珍しくは無い。が、この開発が低調になった理由がRQ-4の導入だというから、何というか因果を感じる。

韓国無人偵察機、11月に飛行試験

2011.09.10 09:37

国防科学研究所(ADD)が開発した中高度無人偵察機(MUAV)が11月に初めて飛行する。

軍関係者は9日、「06年から1600億ウォン(約120億円)を投じて開発したMUAVが11月に初めて飛行する。国内で開発された電子光学装備や全天候映像レーダーを搭載して飛行試験を行う計画」と明らかにした。

中央日報より

詳しい経緯は不明だが、2011年に突如として開発計画の中断が判断され、10年以上前の計画が再び動き出した感じなんだけれども、まあ、「地道な研究が日の目を見た」のであれば良かったのでは無いか。え?韓国に「地道な研究」は存在しない?

開発に苦戦

うんまあ、何だ、今回は多分あったんだよ。

MUAVは韓国空軍独自の監視・偵察戦力確保のため、2006年盧武鉉政府当時研究開発を始めた事業だ。2008年、国防科学研究所(ADD)主管で開発が本格化し、大韓航空が体系開発を進めた。

しかし、高高度無人偵察機「グローバルホーク」導入事業との重複論議で、2011年突然開発事業が取り消された。

edailyより

開発事業が取り消されたと報道にはあるが、実は細々と続けられていて、5000億ウォンほど開発費を投じていたらしい。で、2020年には墜落事故も起こしている。

無人偵察機墜落、独自戦力の力不足が露になっても戦作権移管の日程合わせに汲々とするのか

Posted October. 15, 2020 08:30, Updated October. 15, 2020 08:30

韓国軍の独自の対北朝鮮監視能力の確保に向けた韓国型中高度無人偵察機(MUAV)事業の試製機2機のうち1機が試験運営中に墜落し、残る1機も結氷を防ぐシステムに欠陥があることが明らかになった。にもかかわらず国防部は、「制限的な運用」を条件に来年上半期のMUVAの戦力化を計画どおり進めるという。

軍の核心偵察兵器となるMUAV試製機2機に致命的な欠陥が明かになったという事実は、先端軍事力の開発がどれほど難しいかを物語る。最新戦力の確保のために韓国の技術的限界を越えるには、少なからぬ試行錯誤が伴う。すでに5000億ウォン以上が投入されたMUAV事業は4度も試験評価が延期になる迂余曲折を経たにもかかわらず、さらに大きな欠陥が明るみになったのだ。行く道はまだ遠い。根本的に日程そのものが無理だったのではないか見直す必要がある。

東亜日報より

高高度を飛行すると、翼の一部が氷結してしまうトラブルらしかった。

特に翼のアイシング現象は深刻だった。中高度は10km以上まで飛行が可能でなければならないが、当該高度では気温が零下に下がるため、氷結を防ぐための防氷システムが必須である。しかし試験飛行で氷結により「クラック(割れ)」が発生した。さらに、翼の周りに生じた氷の皮膜は、空気の流れを妨げ、エンジンを損傷する恐れがあるという懸念が提起された。

この過程で試作機が墜落する事故もあった。開発期間の遅れに伴い、監査院の監査まで受ける紆余曲折も経験した。

edailyより

まあ、これも多分対策はできたのだと思うから、きっと上手く行くよ。

こちらは2022年に展示された期待らしく、形にはなっているらしい。多分、モックアップでは無いと思う。だって、量産計画が始動しはじめたんだから。

頑張ってくれたまえ。僕としてはネタが増えるのは大歓迎である。

追記

そうそう、RQ-4グローバルホークの話題に触れたので、これを紹介しておきたい。先日この記事を見て「流石だ」と膝を打ったものだ。

短期間に急成長、「北朝鮮無人機のミステリー」

記事入力 : 2023/07/31 11:19

北朝鮮は先月27日に行った軍事パレードで米軍の戦略無人偵察機「グローバルホーク」と無人攻撃機MQ9「リーパー」にそっくりな無人機を公開し、実際に飛行させたことから、これら無人機の開発過程や性能に対する疑問が膨らんでいる。

朝鮮日報より

さて、どんな感じの兵器(飛ぶかどうかは不明)かというと。

これがなんと飛ぶらしい。

北朝鮮がアメリカ製大型無人機の形状をコピーした新型無人機を開発(JSF) - エキスパート - Yahoo!ニュース
北朝鮮は2021年1月の朝鮮労働党の党大会で新型兵器開発の「国防5カ年計画」を発表、その中に「無人攻撃兵器と偵察観測手段(行動半径500km)」というものがあり、どちらも大型の無人航空機(ドローン)

いやー、素晴らしい!

飛行機能の無い置物かと思ったら、きっちり飛ぶらしい。ただ、地上との通信機能があるのかどうかも含めて不明であり、作戦時間も不明。どんな使い方を想定しているのかも不明だ。

写真を見てコピーしたということは無いだろうから、実際にデータが流出したと見るのが正しいのではないか?流出元はアメリカだが、一体どんなルートから流出したのやら。案外、韓国経由は怪しいね。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    こんばんわ。ほら、やっぱりというか南小中華がF35のブラックボックスを勝手にあけて、直せなくて、よりによって中国に部品提供を求めようとした……って、ネットの配信でサムネ見ました。本当なら大騒ぎなんですが、南小中華アルアルで、視聴を後回しにしたらチャンネルが解らなくなりました。でも、リアルぽいでしょう??
    実はグローバルホークも分解して、コピー作る気でいて、きちんと組み立て直す前に壊れた(笑) んで慌てて国産〜とか言い出して誤魔化そうとしてる??
    どーですかね??

    • 木霊 木霊 より:

      韓国軍は「前科あり」なので、まあやっていても不思議は無いと思われても仕方がありません。
      韓国がコピー品を作るのは、アメリカもある程度織り込み済みだとは思います。作った後で叩かれるでしょうね。

  2. アバター 砂漠の男 より:

    朝鮮系コピー製品を見ると、むかし駄菓子屋でよくみかけた、商標・版権スレスレの”類似品”を彷彿とさせる。やっぱ、オリジナリティーが無いからだな。皆無だな。

    • 木霊 木霊 より:

      カウセンでしたっけ。
      色々なコピー商品がありますが、アレがオリジナルと信じられているのも凄いですね。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。
    ・グロホのコピー、形状だけならナンボでもコピー出来るし、なんならエンジンも適当なの載っけて、制御系も飛ばすだけなら。「何が出来るか」は未知数ですが……
    ・リーパー、ライン閉じちゃっても、部品の在庫さえあればしばらくは……あ、お隣は在庫持たない「カンバン方式」で軍隊運用してるんでしたっけ。
    ・自衛隊も他人事じゃないですが、バイラクタル買うって話がチラチラ出てたりもしますし、米海軍が匙投げたダッシュを使い物になるまで運用改善し続けた実績もありますし……まあ、部品尽きたら終わりですが。
    ・これに関しては、開発する方が安くて得か、買った方が得か、何処に比重置いて判断するかですね……バイラクタルは買い物だと思う、オーダー殺到してるでしょうけれど。

    • 木霊 木霊 より:

      自衛隊も無人機運用について遅れているので、色々苦労はしているでしょうが頑張って欲しいですね。
      日本国内で部品は全て作れますから、制御までやれる前提で開発を進めて頂ければ……。
      時間がかかるかな。

  4. アバター 匿名 より:

    運用に必要な通信衛星網はどーするんだろう(棒)

    北はロシア・中国を当てにしているだろうけど。

    韓国は、ま さ か 国産衛星とか言い出すんだろうか。

    • 木霊 木霊 より:

      大丈夫です、既に言い出して色々打ち上げていますから。
      ただ、それが使える物かどうかはよく分かりませんが。

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