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世界遺産に登録された石窟庵がデタラメに修復された事情

歴史建造物
この記事は約9分で読めます。

1年前の記事を引っ張り出してきたのだが、まあ、話の取っ掛かりにね。

日本ブームと不買運動、韓国の複雑な胸中 若者が見る歴史問題の先

2022年3月6日 11時00分

古代新羅の都があった、韓国南東部の慶州。石窟庵や仏国寺、民俗村などの世界遺産が点在する、韓国を代表する歴史の都に昨年3月、日本式の旅館「友のや」が開業した。瞬く間に人気を集め、20、30代の女性客や家族連れを中心に平日でも予約が困難な状況が続く。

朝日新聞より

直近のデータで行くと、円安かつウォン安で、対円でウォン高の状況になっているので、日本からアメリカとかに行くんだったらはるかに安く韓国旅行に行ける状況になっている。当然、他国からはウォン安の影響で大幅にお得に観光ができるんだとか。お陰で少しだが韓国の観光産業は息を吹き返しつつある。

反日だからデタラメになったのか、デタラメだから反日なのか

歴史的な遺跡なんだけど

正直、あの国行くのであれば、取って付けたような観光施設は避けたいところ。映画のロケ地とかね。

で、この記事に出てきている石窟庵なんだけど、これがちょっと面白い話がある。

[アン・ヘリの視線]「黙って反日」という優民化政策

入力2019.05.10. 午前12時42分 修正2019.05.10. 午前8時33分

~~略~~

思い返すと、日本を卑下するためなら歪曲も厭わない。

こんな感じだ。平成が『デミアン』におしゃれな日本人を登場させたまさにその年の1919年にあった3・1運動100周年を控えて有名韓国史講師のソルミンソク氏はあるテレビ芸能に出演して日帝の石窟岩毀損を非難した。「石窟岩は数学・幾何学・科学の完璧な結晶体で、1000年以上完璧に保存されてきたが、日本が嫉妬してセメントとコンクリートを塗って毀損させた」ということだ。記録は全く違う話をする。1912年に大規模な保守工事に入る当時、石窟岩は天井が崩れて土でいっぱいの状態だった。日本では文化遺産を生かそうと当時は最新技術であるセメントを使って最善を尽くしただけだ。それでも放送以後、日本は嫉妬に目が遠く、石窟岩を毀損した野蛮国家で韓国大衆の売買を迎えた。

NAVERより

これは2019年の記事なのだけれど、なかなか酷い話が書かれている。

石窟庵って?

観光案内するつもりはないので、軽く触れておく。

Front view of Seokguram from front chamber.jpg

慶尚北道慶州市にある仏教遺跡。

吐含山の麓に作られた石窟の中にこんな感じで仏像が安置されている遺跡で、建立は新羅の時代751年~774年頃だとされている。

「三国遺事」と呼ばれる13世紀末に高麗の高僧によって書かれた書物に、このことが記されているのだとか。「三国遺事」は朝鮮半島最古の史書、「三国史記」に次ぐ古文献なんだとか。尤も、内容に怪しいところがあるとも指摘されていて、史書としての問題(民間伝承を集めた志怪小説の記録集との批判もある)はあるようだが。有名な檀君朝鮮の逸話が載っているといえば、分かり易いだろうか。

ともあれ、この史書「三国遺事」に出てくる金大城なる人物が、父母の為に建立した「石仏社」が、現代の石窟庵であるとされている。

朝鮮半島における仏教弾圧

ただ、残念なことに朝鮮半島でも王朝が入れ替わるたびに方針がころころ変わり、1392年から広まった儒教が全盛期を迎えると、朝鮮半島の仏教は弾圧を受けて(李氏朝鮮の仏教弾圧)、次々と仏教関係の建造物は取り壊されることになる。

この石窟庵も例外ではなく、「石仏社」の近くにあった「仏国寺」(こちらも金大城が建立したとされている)が存続を許された88寺院から漏れると、「石仏社」は歴史から忘れ去られえることになった。「仏国寺」の方は何とか維持されたようだけれど、文禄・慶長の役と時を同じくして焼失しちゃうんだよね。記録によると、仏国寺は加藤清正の兵士たちが火をつけたとあるらしいけど、本当かどうかは少々怪しいと僕は思っている。何故なら、加藤清正は日蓮宗の熱心な信者だったからだ。

そこはさておき、仏国寺はその後、一部が再建されたものの没落して廃寺になってしまう。この時に石仏社も放置され忘れ去られる。

この仏国寺と石窟庵にスポットが再び当たったのは1909年のこと、つまり日本統治時代になってからだ。朝鮮総督府は、日本の国費を費やして1924年~1925年の期間で仏国寺の再建工事を行った。石窟庵は倒壊の恐れありとのことでそれより前、1913年~1915年にかけて大規模な修復工事が行われた(上に引用した記事では1912年に補修工事に入ったとされている)。

今の韓国では、日本が統治時代に文化財を根こそぎ奪ったという風に説明されるようだが、それは違う。少なくとも、こういった文化財の修復を積極的に行っていたのである。

そして、この修復工事の際には、当時最新の技術であったセメントが使われた。そのくだりはこちらの記事でも触れているが。

発見当時の写真が残っているが、発見者は大いに驚いたと思う。

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これだけの史跡を風化させるのは勿体ないと考えたに違いない。

韓国による補修

さて、そろそろNAVERが引用した中央日報の記事に戻っていくのだが、日本統治時代の補修という事実は韓国人にとっては屈辱的だったらしく、韓国の手で再び補修がなされることになって、1961年~1963年に大規模な改修工事を行っている。

このことについて、朝鮮日報がこんな記事を載せていた。今はアーカイブに収録されているが。

世界文化遺産「石窟庵」、60年代の復元工事に誤り

記事入力 : 2007/09/23 15:57:31

1960年代の石窟庵復元が間違っていたことを証明する写真が発見された。現在、石窟庵の入口左右にある八部神衆(仏法を守る8人の神)は全て一列に並んでいるが、本来は入口直近の1体が90度曲がっていたことが石窟庵補修工事(1913‐15年)直前に撮影された写真によって明らかになった。

アーカイブより

問題の写真はこれ。

これは朝鮮総督府が補修工事を始める前に調査のために撮影した写真で、八部神衆と呼ばれる石仏の配置が現在と違うというのだ。

図解の方が分かり易いかな。

何故こんなことになってしまったのか。

韓国による補修工事は、文化財管理局の指導の下行われたようなのだが、「仏像の配置は日本がデタラメに並べた」として、仏教の経典に照らし合わせ、独自の並べ替えを行ったそうな。

そして、観光地として当て込んで、全面をガラス張りにして人工的に除湿する構造とし、後部はセメントで塞いだらしい。さらに木造の前室を作ったとか。

「石窟岩は数学・幾何学・科学の完璧な結晶体で、1000年以上完璧に保存されてきたが、日本が嫉妬してセメントとコンクリートを塗って毀損させた」と強硬に主張する人物すらいる。当時はどうだったか不明だが、「こうあるべきだ」という補修になったという事らしいね。

まあ、別に韓国の史跡だし仕方がないといえば、仕方がないのだが、残念な話である。

あ、そう言えば、本尊の仏像だが、「実は2体あって、1体は日本が持ち去った」というガセ情報が流れていたらしいのだけれど、後に「やっぱり1体だった」という事になったそうな。都合の悪いことはみんな日本がやらかしたことにしたかったみたいだね。

ソル・ミンソクの歴史講義

さて、1961年~1963年の補修工事の時に、一体何が起こったのかは、歴史家でない僕には追求しようがないのだが、反日を煽るのは韓国人にとっては人気を獲得するのに実に都合の良いツールのようで。

韓国大統領の過去の言動を見れば、人気低下した時に反日発言・政策をすることで支持率を急回復できるというサイクルが見出される。

似たような話はテレビ業界でもあったそうな。

論文盗用者を擁護、韓国社会の困った“快感のツボ”

2021.1.14(木)

韓国史の「スター講師」が、論文盗用の渦中にある。

その人、ソル・ミンソク氏については、前回の記事(「韓国、『反日』エスカレートでついに米国も敵扱い」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63593、2021年1月12日)のなかで紹介した。

~~略~~

ソル氏とは、大人だけでなく子どもにもわかりやすい語り口で、古代から現代までの「韓国の歴史」を長年にわたりテレビで講じてきた人物である。韓国近代史で日本のことを語るときには表情をこわばらせて反日感情を露わにする。その反日感情はどんどんエスカレートし、私が視聴した昨年(2020年)末の番組では、戦前の朝鮮半島での日本の“悪行”を見てみぬふりをしたという理由から、反米感情までも煽っていた。

JBpressより

ここに登場するソル・ミンソクなる人物だが、韓国テレビ業界に登場するカリスマ的な歴史講師なんだそうな。で、反日を切り売りするスタイルで人気獲得をしてきたらしいのだが、2021年になって論文登用疑惑が持ち上がってその姿を一時的に消した人物でもある。翌年にはテレビに復活したらしいが。

この人物、ソル・ミンソクの韓国史大冒険なる書籍(マンガ本で16巻からなる大作らしい)も出していて、日本でも学研が取り扱っている歴史漫画の原作者でもあるらしい。が、NAVERで紹介されているように、平気で嘘をついてしまう人物であるようだ。興味はないが。

つまり、石窟庵の大規模修繕工事にあたって、都合が良い改変が発生した背景には反日があったと、そういう事になる。

日本人の影響もあったようだ

ただまあこの話も、韓国人がすべて悪いという話ではない。

また、石窟庵が無理数√2の比例美により幾何学的に建築された、という主張もある。日本人測量技師の米田美代治氏が40年に論文を発表して以降、数多くの学者がこの説に従った。しかし60年代に石窟庵を精密に実測した結果、石窟庵の本尊仏を祀っている場所は米田氏の主張するような半径3.6メートル程度の真円ではなく、場所によって半径の長さが1メートル以上も違っていることが明らかになった。要するに幾何学的比例美など、最初からなかったのだ。

アーカイブより

ここに登場する米田美代治は、考古学者で建築科を卒業した後に朝鮮半島で文化財研究や修理に携わっていた小川敬吉に師事して朝鮮半島に渡り、朝鮮半島だけでなく支那の石窟の調査などにも参加した人物である。石窟庵の測量にも携わった関係で、「日本人測量技師」などと紹介されているが、仕事の合間に十九本の論文の執筆も行ったらしい。残念ながら33歳でその短い生涯を終えたようだが。

その米田の論文は見つからなかったのだが…(書籍にはなっているようだ)。

彼の言葉は別の書籍に残されているようで。

米田美代治は、「天文学の発生的理論は、宇宙の生成の理論を基調として発展 したのであ
るか ら、之を形の上で具体的な理論 とするには、勢い数学 と其の図形を以て解釈 されたの
である。故に数学 と天文学は不可分 な関係にあ り、吾々が上代の建築を取 り上げて表現形
態や造営計画等を究明するに、其の表現形式や応用数学に天文占星的関係を見出され得る
とも、敢えて不思議ではないであろう。」 と述べ、

日韓宮殿の設計思想についてより抜粋

うーん、ファンタジックな解釈だな。ただ、米田美代治の論文は韓国で大いにウケたらしい。

何というか、歴史にロマンを感じるのは大切だと思うし、様々な思想に基づいて作られる建造物であるからして、そこに思いを馳せるのが悪いとは思わない。でもさ、世界遺産なんだから、発見当時の資料が見つかったのであれば、せめてその通りに修復しようぜ。

今なお、石窟庵の石像の並びは1961年~1963年の補修工事のときのままらしいけれどね。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    豚に真珠。処置なし。

  2. アバター けん より:

    こんにちわ。今日は晴天が広がって、気分も晴れますね。

    韓国というより”朝鮮”は、見た目やかたちに拘りますが、肝腎の中味を理解していない場合が多いと思います。
    正直なところ、朝鮮における仏教の文化的意義のような話をこれまで具体的に耳にしたことがありません。仏教を反日活動に利用する政治的意義はあるのかもしれませんが、そも現地の人たちが仏教の存在をさして気にも留めていないのでは?北は独裁国家で、南は儒教国家ですし。

    • 木霊 木霊 より:

      中身の理解は「どうでもいいこと」なのかもしれませんね。
      朝鮮半島の南側で優勢なのは、ウリナラ版キリスト教、ウリスト教なんだそうで。仏教は劣勢みたいですね。
      彼らにとっての仏教が大切なものでないというのは、日本から奪った仏像を毀損したことからも明らかです。

  3. アバター 河太郎 より:

    けん様。こんにちは。
    文化的意味はあると思いますよ。
    但し「半島の地理的存在」で、「今の南小中華とは別」ですけれど。
    もともと仏教はソクド人などペルシャ系が中国へ伝えて、中国が南北朝に分裂した時に北朝の北魏が国教とした事で、
    華北から半島に定着し、それが蘇我氏や厩戸王(聖徳太子)によって日本へ定着します。蘇我は新羅などとも関係深いようですし、仏教伝来にはそこは無視できないと想うんですね。ただし北魏の王朝はツーングース系の騎馬民族と思われますので、現在の南コリアとルーツが同じなのかと言うと怪しい。

    • アバター BOOK より:

      河太郎様 こんにちは

      実は先の石塔と言い,この石窟庵と言い「精緻すぎる」違和感がありました。

      現代の修復だと作業は 粘土or石膏型にコンクリ流し込んで一丁あがり!
      でしょうが1500年程前ですから

       「天然石からノミで打ち出す」しか方法はなく

       これだけ大掛かり&精緻な像だと ん十年?掛かり? の、とてつもない根気と持続の要る作業で、もちろん同時代のインド・シナには精緻な石像制作技術はあったわけですが、
      今の半島人の気質からすると、技術・知識があっても彼らにできるとは思えない。

      >現在の南コリアとルーツが同じなのかと言うと怪しい

      ホウ! なるほど、ならば納得です(笑)

  4. アバター せー より:

    結局「文化の伝承」なんかはどうでもいい民族なんでしょうね。
    日本だと美術大学などで修復を専門とする学科があるのですが、おそらく韓国にはその様な技術を習得する場が無いのでしょう。
    現代の技術があれば、時間とお金を掛ければかなり精密な復元が可能なはずなんですけどね…
    ホントもったいない。(あっ、彼らにはどうでもいい事なのか)

    • アバター BOOK より:

      せー 様 こんばんは

      >結局「文化の伝承」なんかはどうでもいい民族なんでしょうね。

      まあそうなんでしょうね。

      こうした分野に限らず例えばスポーツ。 我々日本人の視点で言うなら彼らはサッカー、野球、F1(モータースポーツ)が好きで or 興味があってやったり応援しているようには見えない。只々世界順位、あるいは日本に勝つかどうかに興味があるだけのように見えますよね。

      歴史的史跡にしてもそう、 たまたま千年以上前の(おそらく他民族?)の史跡が残ってた。これは他国への自慢になる。てのが修復の動機なのでしょう。だからなるべく派手に修復する。

       なにしろ普段は積弊だ日帝残渣だといってしかも碌な検証もなしに、数年~数十年前の史跡を破壊したり墓を掘り起こしたりし続ける民族ですから。歴史遺産・や伝統文化が残るはずがない。

      それで大英帝国博物館やルーブルに展示品が少ないとモンクを言い、それは併合期に日帝が破壊したせいで無いのだ。と言う。

      日本人ってのは、
       ・多くの欧米人が日本食と思っている「ラーメン」は聞かれたら「オリジナルは中国です」と言うし、奈良平城京・京都平安京は中国の長安・洛陽のコピーですと言うことに何の恥じることもなく自慢することもない。

        だから韓国で古代史跡を発見したら保護に務める。日帝のせいで文化遺産が無いなど、ずいぶんな言いがかり。

      韓国人には、こうした文明や伝統を保護する日本人の感覚が全く理解できないのでしょう。 (逆に、今気に入らないから言って死人に鞭打ち、墓まで掘り返す感覚は我々日本人には理解不可能ですね。  (苦笑)

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