バカバカしい話なんだけど、少しだけ触れておく。
杉田水脈議員のアイヌ民族差別投稿 人権侵害と認定 札幌法務局
2023年9月20日 12時28分
7年前、自民党の杉田水脈衆議院議員がみずからのブログなどでアイヌ民族を差別する投稿を行ったことについて、札幌法務局は人権侵害にあたると認定し、議員側にアイヌ文化を学び、発言に注意するよう啓発を行ったことが分かりました。
NHKニュースより
そもそも「札幌法務局」って何やるところ?
何が糾弾されたのか
各地の法務局
法務局は各地においてあって、登記、戸籍・国籍、供託などの民事行政業務と訟務事務及び人権擁護事務を行っている。
で、「人権擁護事務」というのが、今回の話に繋がると思うんだけど。
人権擁護事務は,国民の基本的人権を擁護するため,人権侵犯事件の調査・処理,人権相談,人権尊重思想の啓発活動などに関する事務であり,法務局に人権擁護部,地方法務局に人権擁護課が置かれているほか,法務局・地方法務局の支局でも人権擁護の事務を取り扱っています。
法務局のサイトより
どんな方がどのような訴えを起こして、どのようなプロセスで人権侵害が認定されたのか。
人権侵害の認定
そこで記事を読んでみると、こんなことが書かれている。
杉田衆議院議員は平成28年、みずからのブログやSNSに国連の会議に参加したときのことについて、「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などと投稿しました。
この投稿について、会議に参加したアイヌの女性が「侮辱であり、人格を否定しておとしめる差別的な内容だ」として、ことし3月、札幌法務局に人権救済を求める申し立てを行いました。
女性によりますと、法務局が投稿について調査を進めた結果、「人権侵犯の事実があった」と認定し、今月、議員側にアイヌ文化を学び、発言に注意するよう啓発を行ったということです。
NHKニュースより
あー、ハイハイ、それは辛かったねー(棒)
この杉田氏の発言について解説していた方がいるので、紹介しておく。
「会議に参加したアイヌの女性」というのは、別の記事によると札幌アイヌ協会の副会長を務める多原良子氏だそうだ(2021年の資料による)。
写真とともに投稿され、救済を申し立てた当事者の多原良子さんらが20日、取材に対して明らかにした。認定は7日付。
毎日新聞より
なるほどガッツリ関係者というわけか。
ただ、こんな光景を見たら文句の1つも言いたくはなるだろう。それをブログで書いた(2016年頃)ことに物言いが付いたというわけだ。
なるほど、アイヌ人がアイヌの民族服を着ていて「コスプレ」と言われたら怒るのかもしれない。ただ……、この写真だと私服の上に民族服アットゥㇱ風の法被を着ているようにしか見えない。見えないんだが、素直に感想を言っただけで「人権侵害」とは。確かにそれが適切だったとは言わないが。でも議員になる前の話だし、内容だって特に問題があったとは思えない。
このブログも指導を受けてしまうのかね?
アイヌ民族の認定
そもそも、現実問題としてアイヌ民族であることを認定する方法は、実は存在しない。
新規会員になりたい方へ
イランカラプテー。 アイヌの系譜を持つ方やその配偶者、そして養子(一代限り)の方は、お住まいの地域にある各地区アイヌ協会に入会することができます。
北海道アイヌ協会は、先住民族アイヌが誇りを持って生きることができる社会の実現を目指しています。 生活や教育のための施策拡充を柱に様々な文化振興や人権活動等を行政はじめ関係機関と連絡調整し訴えながら活動を進めています。
公益社団法人北海道アイヌ協会より
2 調査の対象
(1) この調査において、「アイヌ」とは、「地域社会でアイヌの血を受け継いでいると思われる方、また、 婚姻・養子縁組等によりそれらの方と同一の生計を営んでいる方」とした。 ただし、アイヌの血を受け継いでいると思われる方であっても、アイヌであることを否定している場 合は調査の対象とはしていない。
北海道のサイトより
アイヌ協会や北海道のサイトを引用したが、「思われる」「同一の生計を営んでいる」「養子」までがアイヌ民族認定出来てしまう。逆に、「アイヌであることを否定している場 合は調査の対象とはしていない」んだそうで。
「俺がアイヌだと思ったら、アイヌなんだー」という意味不明な状態になっているのである。
この状態でカウントされた人口が13,118人(令和元年時点)なんだそうで。
そもそもの話、明治時代までアイヌ人には戸籍がなかった。というか、現代の戸籍制度は明治時代に入ってからで、それまでの戸籍を引き継いではいるが、アイヌ人達は文字を持たなかったが為に戸籍がない。で、新たに編入されるにあたって「日本人」と認定されて登録されている。つまり、戸籍を見てもアイヌ人かどうかは判別できない。残念なことに自分がアイヌ人だと思ったら、それはアイヌ人だと言うことという状況になっているのだ。
しかし、ネイティブなアイヌ語話者は平成19年の時点で10人程度しか存在しておらず、平成21年には消滅するのではないかと危惧されていた。今現在、アイヌ語話者が存在するかは調べられなかったが。
そうすると、日本政府が「アイヌは先住民」と認定し、「アイヌ文化を守れ」というような方針を示したのだけれど、その守るべき民族というのは本当に存在するんですか?という懸念は当然出てくる。
そんな状況であるので、実態を知っていれば国連に「コスプレ」と思われるようなモノを着て登場したのを見て、嫌悪感を感じるのは無理はない。
松野官房長官は午前の記者会見で、個別事案についてはコメントを控えるとしたうえで、「アイヌの人々に対し、アイヌであることを理由として差別することはあってはならず、政府としてはアイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現に向け、施策を推進することが重要だ」と述べました。
NHKニュースより
官房長官の松野氏は、こんなコメントを出しているのだが、その実態は一体何なのかということは誰も説明できていない。
札幌アイヌ協会が公費を私物化の疑い
更に、週刊誌報道で申し訳ないのだがこんな話も。
札幌アイヌ協会激震「公費私物化疑惑」を現職理事が集団告発
2020.08.31 16:00
昨年4月にアイヌ新法が成立したことをきっかけに、アイヌ文化復興の機運が高まっている。ところが、その中核的役割を担う団体「札幌アイヌ協会」で、思わぬ疑惑が持ち上がった。幹部による不透明なカネの流れを、複数の理事が実名で告発する異例の事態になっている。
~~略~~
札幌アイヌ協会の会長を10年以上務める阿部一司氏(アイヌ名・ユポ)と、その実妹で副会長を務める多原良子氏に対し、同協会の理事の過半数が真相解明のための理事会開催を求める事態となったのだ。
NEWポストセブンより
冒頭の記事の告発者が、札幌アイヌ協会を私物化した疑いで告発されてしまったという。
私物化の実態があるかどうかはこの記事からは分からないが、別のニュースとしてこんなモノがある。
「先住権」確認求め提訴へ 浦幌アイヌ、サケ捕獲で 4月、札幌地裁に
2020年1月12日 17:46
北海道浦幌町の浦幌アイヌ協会が、法律や道規則で禁じられた河川でのサケ捕獲は、先住民族が持つ権利「先住権」であり、法や規則が適用されないことの確認を国と北海道に求める訴訟を起こす方針を固めたことが12日、関係者への取材で分かった。4月にも札幌地裁に提訴する。アイヌ民族による先住権の確認を求めた訴訟は初めて。
先住権は先住民族の集団に認められた権利。国は昨年5月に施行した法律で、アイヌ民族を初めて「先住民族」と明記したが、アイヌ民族の集団は存在しないとして先住権を認めていない。訴訟では「集団とは何か」が大きな争点となりそうだ。
日本経済新聞より
意味がよく分からないのだが、「先住民が持つ権利」によって、「法や規則が適用されない」という特別扱いが成立するというのである。
そもそもアイヌ人は現存するのか?ということにも繋がりかねない話だが、国の認定としても「アイヌ民族の集団は存在しない」という風になっている。
まあ、もっと言えばアイヌ民族は先住民ではないんだけどね。この辺りは掘り下げると面倒なので止めておくが、彼らは日本に同化した移民であり、同時期に北海道に日本人は住んでいたので、先住民との認定には違和感があるという話。
そしてそうだとすると、杉田氏発言の一体何が良くなかったのかが分からない。
発言を注意するよう啓発を
しかし、一方で多田氏によって人権救済が申し立てられた札幌法務局は、何らかの対応をしなければならない。
女性によりますと、法務局が投稿について調査を進めた結果、「人権侵犯の事実があった」と認定し、今月、議員側にアイヌ文化を学び、発言に注意するよう啓発を行ったということです。
札幌法務局はNHKの取材に対し、「個別の事案については回答できない」としていますが、杉田議員の事務所は「法務省から連絡があり、『人権侵犯の事実があった』と説明を受けた」としています。
女性は「法務局が人権侵害にあたると認めたことは大きな一歩だ。アイヌ民族や社会的弱者が声を上げやすい社会になってほしい」と話しています。
NHKニュースより
で、「人権侵害の事実があった」という認定をしちゃったわけだが、何がどう問題だったのかについては、解説されていない。
序でに、札幌法務局も「個別の事案については回答できない」という。だが、「何が問題だったのか」を明らかにしないと、注意のしようがないよね。
杉田氏は2016年、国連での会議についてブログに投稿した際、参加者らの写真とともに「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」などと表現。その後、撤回した。
多原さんによると、法務局から15日、調査結果を受け取った。ブログを削除したことなどから告発などの措置は猶予するとも説明されたという。多原さんは「差別を許さない、そんな当たり前の社会の実現の第一歩になればいい」と話した。
同じく写真とともに投稿され、大阪法務局に救済を申し立てていた在日コリアンの女性らにも13日、「調査が終了し、杉田議員に啓発した」との連絡があったという。
朝日新聞より
多田氏の他にも在日コリアンの女性が文句を申し立てていたようだが、札幌法務局はこれも啓発の対象になったらしい。
文脈的に、「チマ・チョゴリ」や「アイヌの民族衣装」の「コスプレおばさん」となって、チマ・チョゴリもコスプレと表現されたことに腹をたてたと読めるのだが、これが何故人権侵害に当たるのかよく分からない。
よく分からないものについて、なぜ「啓発」されたのか。やはり、公金チュウチュウスキームに抵触すると困ると言うことか。
おそらくは「発言に注意するように」が「啓発」の本旨で、何かが間違っていたとか合っていたとかそういう話ではないのだろう。
こういった団体が盛んに騒ぎ立てた結果、ということなのかも知れないね。
追記
まあ、北海道行政がおかしいということなのかも知れないんだけどさ。
処理水放出、直ちに中止を 北海道函館市議会が意見書
2023年09月20日15時15分
東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出を巡り、北海道函館市議会は20日までに、「岸田文雄首相は漁業者らの反対の声を無視して実施した」として、直ちに中止するよう求める意見書を賛成多数で可決した。
時事通信より
これは時事通信の記事にも問題があると思うのだけれど、函館市議会は「漁業者らの反対の声を無視して実施」と認定していて、これは明らかにおかしい。
処理水放出時期、22日にも決定へ 首相、21日に漁業関係者と面会
2023年8月19日 5時00分
東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、岸田文雄首相が21日に全国漁業協同組合連合会(全漁連)や福島県漁連の幹部と東京都内で面会する方向で最終調整に入った。処理水の安全性について首相が自ら説明し理解を求める。面会を踏まえ、政府は22日にも関係閣僚会議を開いて放出時期を決定する。
~~略~~
首相は今月7日、処理水の海洋放出について、都内で記者団に「漁業者との信頼関係は少しずつ深まっていると認識をしている」と述べ、海洋放出への理解が進んでいるとの考えを示した。
朝日新聞より
説明もしているし、賛成する層もいる。反対の声があるのは事実だが、懸念しているのは風評被害についてであり、処理水を海洋放出して科学的に問題が出ると考えている人は少数派だ。それは漁業者であっても同じだが、漁協が団体として圧力をかけているので、表だって賛成とは言いにくい雰囲気になっている。
それでも議会で「放出を直ちに止めろ」と決議してしまう辺り、救い難い。
北海道の紅い行政の実態がここにも現れているというわけだ。
コメント
女性国士として応援したいところだけど、発信がストレートすぎてコケまくってますよね。かばう人も少ないような…高市さんなんかは、かくの違いなのかボロは出さないんだけど。北海道新聞の杉田議員の写真は酷すぎた。悪意に満ちてましたね。もっと美人なんですが。
良くも悪くも度胸があって、そして脇が甘い。
なかなか素敵な女性なようですが、政治家向きの性格であるかどうかは。
まあ、応援しているんですけどね。
あうう……ごめんなさい。ごめんなさい。
私は「アイヌは先住民でない説」で、木霊樣に噛みついているんですね何年か前に。んが………
アイヌが古代日本の蝦夷である説を調べてみると、どうも疑わしいのが解ってきました。アイヌが民族集団としての意識を持ったのは「北の元寇」からです。
モンゴル帝国はシベリアのツーングース系の援軍依頼を受けて(アイヌと狩猟などの権益で衝突していた)、そこでモンゴルの指揮下で北方領土に攻めてきたです。これ日本にとっても危機で。万一に北海道上陸、橋頭堡を築いて東北や北陸に上陸されると、九州に鎌倉幕府の軍勢が集結しているので、背後を突かれる可能性があった。んで、アイヌが奮戦して撃退しました。この郷土防衛戦でアイヌ族は民族意識のようなものを持った訳です。
んで、その頃つまり鎌倉時代になると、もう日本の北海道への植民も始まってる。後の松前藩の支配区域だけですが。
ではアイヌは蝦夷(先住民族)なのか?
違うようです。これは朝廷への貢物だったヒグマの毛皮を観ると解る。
東北の蝦夷子孫は、ヒグマ毛皮(朝廷で重用された)を朝廷に輸出していたのですが、その利権でアイヌ族と紛争やってるんですよ。ヒグマ毛皮はたたみ6畳の広さがあるので、毛織物産業の無かった時代、貴人をもてなす高級敷物でした。
だいたい7世紀頃かな。天武天皇により、
日本の国号や天皇の称号が定められる一世紀くらい前か。その時に東北にいた人々、上毛野(群馬)から岩手南部に植民していた人たちもエミシと呼んだ。
蝦夷と紛らわしいので毛人(エミシ)と当て字した。つまり、アイヌ≒エミシではなく、アイヌは日本列島に古代に住んでいた蝦夷とは別な民族であると。
毛人はおそらく大和王権の征討に従軍した豪族.上毛野氏の兵の土着した末裔でしょう。そこは神楽の違いとか、源氏姓が北魏の臣籍降下した王族の姓であるとか、面白い事が幾つか出てくるのですが
、そこは趣旨が違うので、とりあえず羆の毛皮貿易に関する話で、アイヌとエミシが別な民族なのが伺える訳です。
てっきりコレを同系統と勘違いしたのが、私の間違いでした。m(_ _)m
アイヌはおそらくツーングース系でしょう。紀元660年に阿倍比羅夫が奥尻島で討った粛慎とか、そういう系統。粛慎を討った比羅夫は熊皮70枚を持ち帰った記録がありますが、この時に粛慎は拠点を捨てて海へ逃げている。つまり、毛皮の利権で北海道周辺に大規模な野営地を作ってはいたが、本拠地は北海道では無かった。そうした者たちのうち、北海道に土着した者がいて、アイヌの原型になったのであろうと。つまり「先住民」ではないのかと。かように想う次第であります。いや、あの時はごめんなさい。
いや、謝罪は必要ありません。
僕だって、アイヌは先住民族だと考えていた口ですから。
そして、アイヌと蝦夷との関係性もなかなかややこしい。個人的には関係は深いけれども別の民族だと考えています。こういった考えに至った理由は、DNA解析が進んで、ハプログループの解析が進んでいることを知ったからです。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/8c/Y-DNA_migration.png
詳しくは省きますが、縄文時代にD1a2aの遺伝子を持った縄文人は北海道にまで到達していて、それは北海道の遺跡から得られたDNAから確認されているんですよ。ツングース系(アイヌ系)はC2の遺伝子を持っていまして、これが11世紀以降に北海道に入ってきたことが分かっています。
先住民じゃないから、大切にしなくて良い等という気はないし、別にアイヌ文化だって承継したい人が守っていけば良いと思います。研究するのも良いと思う。でも、「先住民の権利を認めろ」というのはおかしな話だと思います。
まあ、歴史のロマンを感じると共に、ルーツを調べる上でこういった解析手法が使えるようになったことは、福音となるかもしれませんね。