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日米韓首脳会談で得たもの

外交
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あまり注目されていない気がするが、日米韓首脳会談がアメリカで開催された。

日米韓の首脳会談 安全保障協力を新たな高みに引き上げへ

2023年8月19日 16時07分

岸田総理大臣は、訪問先のアメリカで日米韓3か国の首脳会談に臨みました。北朝鮮や中国の動向を踏まえ、3か国の安全保障協力を新たな高みに引き上げるとして、首脳や閣僚級の会談を定例化させることや、緊急時の情報共有の仕組みを強化することなどで合意しました。

NHKニュースより

建前としては三カ国の安全保障協力を「新たな高みに引き上げる」ということだが、どこまで日本に利のある話なのかについては冷徹に見る必要がある。

形だけの会談だったが

会談を頻繁に

成果として真っ先に挙げられているのがこちら。

会談では北朝鮮や中国の動向を踏まえ、日米韓3か国の安全保障協力を新たな高みに引き上げることで一致しました。

具体的には、3か国の首脳や外務防衛の閣僚級などの会談をそれぞれ年に1度は行って定例化するほか、緊急時に首脳間を含め情報共有を行う仕組みを強化することで合意しました。

NHKニュースより

平たく言うと「話し合うぜ!」ということだね。

いやいや、首脳会談は偶にやるじゃない!と、思われる方も多いと思うし、僕もそう思うのだが、「定例化」することが大切だよということである。

まあ、裏返してみると、韓国に対して「足抜けは許さへんで」と言っているのと同じなんだけれどね。そういう意味では、意義のある「一致」かもしれない。

御存知の通り、韓国という国は情勢が変わっても、大統領が変わっても、事ある毎に手のひらをくるくると返す国である。アメリカとしては、そうなってもらっては困るよ、というメッセージを出したということなんだな。

尤も、そんな事を気にせずに足抜けしたがるのが韓国なんだけどさ。まあ、ユンユンが大統領のうちは有効なんだろうね。

サイバー対策で連携

一方で、こちらは少し実のある話。

また、3か国の部隊による共同訓練を毎年開催することに加え、北朝鮮による資金獲得のためのサイバー活動に対処する作業チームを設けることや、ミサイル発射情報の即時共有の年内開始に向けて対応していくことを確認しました。

NHKニュースより
  • 3か国の部隊による共同訓練を毎年開催
  • 北朝鮮による資金獲得のためのサイバー活動に対処する作業チームを設ける
  • ミサイル発射情報の即時共有の年内開始

この中で、サイバー攻撃というのは、ロシア、支那、北朝鮮が得意とする分野であり、少ないリソースで大きな効果を得られる方法である。ここに少なくない国費を投じており、実際にかなりの成果を上げている。

これに手を焼いているのがアメリカで、日本は打たれ放題でパンチドランカーになっているのではないかという状態である。

アメリカも散々軍事情報が盗み出されていて、最新兵器のデータを随分と持ち出された上で、コピー兵器を作られている。支那の多くの兵器はアメリカから流出した技術を元に作っている。古くはロシアにロケット技術を持ち出されたこともあって、アメリカこそ情報漏洩に非常に敏感になるべき立場にある。

では韓国は?韓国もサイバー攻撃を受ける側なのだが、割と北朝鮮の工作員に浸透されているので、サイバー攻撃だけ問題というわけでもない状況だ。

そんな中で、「北朝鮮による資金獲得のためのサイバー活動に対処する作業チームを設ける」というのは、意味が良くわからない部分もあるのだが、少なくとも「協力体制を構築する」という意味だろうから、機能するかはともかくとしてやる意味はある。

ところで、「北朝鮮による資金獲得」というと、日本のパチンコマネーやら朝鮮総連マネーやらの問題を放置した状況というのは、宜しくないのではないかな?これを機に、見直すべきだろう。

なお、三カ国の共同軍事訓練やら、ミサイル発射情報の共有というのは、サイバー活動云々よりも即時効果があることだろう。

その他

ということなんだが、それ以外の面では、なんというかパッとしない。

さらに「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米韓で連携して東南アジアや太平洋島しょ国の海洋安全保障分野の能力構築支援を行っていくことでも一致しました。

このほか北朝鮮による拉致問題について、岸田総理大臣が「時間的制約のある人道問題だ」と伝え、即時解決の重要性を訴えたのに対し、バイデン大統領とユン大統領は支持する考えを示しました。

一方、経済安全保障分野では半導体などのサプライチェーンの強じん化のほか、AIなどの重要技術での連携を広げていくことを確認しました。

NHKニュースより

いずれも重要事項なハズなんだけど、FOIPは韓国がほとんど興味を示さない分野だし、拉致問題は日本だけが騒いでいる問題、半導体関連も韓国はチップ4に乗る気配がない。それでも「連携を広げる」というところで言質を取った感じだろうか。

この辺りは同床異夢の部分なんだろうね。

キャンプ・デービッドの原則

さて、こうした話し合いを受けて、文書がまとめられた。

この中では ▽日米韓3か国が価値観を共有する国として国際法を尊重し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて引き続き協力していくとしています。

また、ロシアや中国などの動向を念頭に ▽力による一方的な現状変更の試みに強く反対するとともに、 ▽台湾海峡の平和と安定の重要性が国際社会の安全と繁栄にとって不可欠な要素であることを再確認し、両岸問題の平和的解決を促すとしています。

そして、 ▽主権と領土の一体性など国連憲章の原則を尊重し、紛争の平和的解決に取り組むことが明記されています。

さらに ▽核兵器の不拡散、さらには核兵器のない世界は、国際社会の共通目標だと強調し、NPT=核拡散防止条約の締約国の立場としても、実現に取り組んでいくことなどが盛り込まれています。

NHKニュースより

大分、トーンダウンした感じだけれども、台湾有事の事に触れたことは評価しても良いのかな。

韓米日首脳 軍事訓練強化で一致=北の核・ミサイルに対応

2023/08/19 12:11

韓国の大統領室は19日、米ワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで18日(現地時間)に開かれた韓米日首脳会談について、北朝鮮の核・ミサイルに効果的に対応するため、3カ国の軍事訓練を強化することで合意したと明らかにした。

~~略~~

また、3カ国は年内に北朝鮮のミサイル情報の即時共有システムを稼働する計画を改めて確認した。現在、韓国と米国、米国と日本はリアルタイムでミサイル情報を共有しているが、3カ国間の即時の情報共有は行われていない。韓国大統領室は同システムの年内稼働について「3カ国が直面している北の核・ミサイル脅威により効果的に対応できる重要な進展」と評価した。

朝鮮日報より

なお、朝鮮メディアはどちらかというと否定的で、朝鮮日報でも三カ国の軍事訓練の強化と、ミサイル情報の即時共有システムの稼働を評価した程度だ。ミサイル情報に関しては、韓国が最も苦手とする分野だからね。

そして「アメリカは、日本と韓国を縄でしばりつけて外交や軍事、経済面において中国を封じ込めたがっているが日韓両国にとって、アメリカの『新冷戦』の『見張り役』を務める代償は大きいだろう」と指摘し、3か国が連携を強めることに警戒感を示しています。

NHKニュースより

支那はこの件について「同床異夢だ」と指摘しつつ、「アメリカが日本と韓国を縛り付ける狙いがある」と指摘したようだ。うん、それは事実だね。

新型ミサイルの共同開発に合意

日本としては、アメリカとのサシでの会談のほうが意味があったのかもしれない。

日米首脳会談 新型ミサイルの共同開発で合意

2023年8月19日 7時11分

岸田総理大臣は、訪問先のアメリカでバイデン大統領と日米首脳会談を行い、「極超音速ミサイル」など探知しにくい兵器を迎撃できる新型ミサイルの共同開発を始めることで合意しました。

NHKニュースより

この話は既に報じられた内容ではある。

極超音速兵器を迎撃する新型ミサイル、日米が共同開発…18日の首脳会談で合意へ

2023/08/13 05:00

日米両政府は、中国やロシア、北朝鮮が開発を進める極超音速兵器を迎撃するため、新型ミサイルを共同開発する方針を固めた。18日の日米首脳会談で合意する見通しだ。既存のミサイル防衛網で対応が難しい脅威への備えを進め、抑止力を強化する狙いがある。

複数の政府関係者が明らかにした。日米が迎撃ミサイルを共同開発するのは、2017年度に開発を終えた「SM3ブロック2A」以来、2例目となる。ワシントン郊外で18日に開かれる日米韓首脳会談に合わせ、岸田首相とバイデン米大統領が個別に会談し、合意内容の一つとして発表する方向で調整されている。

~~略~~

日米両政府は新型迎撃ミサイルについて、10年以内の開発を目指す構えだ。

極超音速兵器の迎撃には、より早期にミサイルを探知・追尾できる態勢の構築も欠かせない。米国は、多数の小型衛星を群れのように連携させて運用する「衛星コンステレーション」の構築を進めている。防衛省も米国の衛星網との連携を視野に入れている。

読売新聞より

ロシアや中国は「成功した」と発表しているアレだが、それを事実だとして迎撃できる技術の開発がどうしても必要である。「嘘じゃないか」と疑うのは疑えば良いのだが、事実だった時に迎撃できないでは困るのだ。

水面下では協力しながら研究が進められていたようだが、これが表に出てきて「合意」という形になったことに意味がある。予算が付けやすくなったり、行動しやすくなったりするからね。

というわけで、意義はあったと思うけれども、日米間首脳会談で「得られたもの」が明確にあったのか?と、ちょっと疑問に思える。韓国との関係を強化するためには、色々な問題を解決しなければならないし。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    こんにちは、

    3首脳会談というより、「3者面談」という趣の茶番でした。
    チョロ岸田とユンユンが、アメリカの下僕として、いろいろ押し付けられたという印象。

    ホワイトハウス発表のRemarksを読むと、バイデンが「俺様の成果だ!」と自画自賛している様子が行間からじわじわ伝わってきます。
    https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2023/08/18/remarks-by-president-biden-president-yoon-suk-yeol-of-the-republic-of-korea-and-prime-minister-kishida-fumio-of-japan-in-joint-press-conference-camp-david-md/

    ツッコミどころは多いんですが、木霊さんがピックされた「極超音速ミサイル」は、軍事的に極めつけに重要です。ただし、今回の共同開発話は、開発それ自体が進んでいない米国が、日本に対して必要な基幹技術を提供しろという文脈です。いつものことですが。
    米国政府が舞台裏で技術を奪っていくことと、支那が就業者や留学生を利用して技術窃盗することの何が違うんでしょうね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。
      三者面談を「やって見せる」というのが趣旨だったので、まあ良かったんじゃないでしょうか。薄味でしたが、まあ、アレでいいと。

      「If I seem like I’m happy, it’s because I am. (Laughter.) This has been a great, great meeting.」って、嬉しかったんでしょうねぇ、バイデン氏は。
      極音速ミサイル・超極音速ミサイルの開発は、アメリカが制御に苦戦していますからね。日本がどの程度アドバンテージを持っているかは分かりませんが、共同開発という「形」を整えたことには意味があるでしょう。

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