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敗戦の戒めを今一度噛みしめる日

安全保障
この記事は約9分で読めます。

一日遅れの記事で申し訳ない。実は体調を少し崩していまして、お盆ということもあって開店休業状態となっておりました。ご容赦を。皆さまも、体調には十分にお気をつけください。

さて、それはさておき敗戦の日に関して少し触れたいと思う。

きょう終戦の日、戦没者追悼式に2100人参列へ…台風で9府県の遺族が参加見合わせ

2023/08/15 00:00

終戦から78年となる15日、政府主催の全国戦没者追悼式が、東京・日本武道館で開かれる。台風7号の影響で9府県の遺族が参加を見合わせ、各界の代表者を含む参列者は約2100人になる見込み。

讀賣新聞より

子供の時に、どうして「終戦記念日」なのか不思議に思ったことがあった。負けたのに記念日?と。だって、スポーツの試合で負けたら悔しい。それを記念日としてわざわざお祝いする意味が分からなかった。もちろん戦争はスポーツじゃないんだけど、感覚的に理解ができなかったんだ。

日本のズレ

対日戦勝記念日

大人になってから、「対日戦勝記念日」なるものが世界にあることを知るに至る。

アメリカでは毎年ではないが、節目の年には記念行事が行われることがあるようだ。2005年9月2日には第二次世界大戦集結60周年の記念式典が開かれたのだとか。

イギリスでは、8月15日がVJデー(対日戦勝利の日)とされているようだ。

イギリスで「対日戦勝利の日」75年式典 国立記念植物園で2分の黙とう

2020年8月16日

日本の降伏によって第2次世界大戦が終結してから75年を記念する式典が15日、英中部スタッフォードシャーにある戦没者追悼の国立記念植物園で行われた。チャールズ皇太子が、2分間の黙祷を先導した。

BBCより

ご存知、ロシアでも当然対日戦勝記念日が設けられている。

「対日戦勝記念日」法案、ロシアで可決

2010年7月14日 22:52

ロシア上院は14日、日本が第2次世界大戦の降伏文書に署名した9月2日を、ロシアの記念日にする法案を可決した。北方領土の占有を正当化する作業の一環とみられている。

日テレNEWSより

ロシア下院、「対日戦勝記念日」法案可決 9月3日、制裁に対抗措置

2023年06月20日23時55分

ロシア下院は20日、9月3日を「軍国主義日本に対する勝利と第2次大戦終結の日」とする法案を可決した。上院で承認後、プーチン大統領の署名で成立する見通し。

時事通信より

おそらく、今年の9月3日には大々的なパレードを行う日にする予定になっているのではないだろうか?尤も、先に行われた5月9日に行われるパレードは随分と寂しい事になっていたらしいので、予算的な話もあってどうなるかは分からないが。

ロシア・対独戦勝記念日と亀裂

2023年05月11日 (木)

ロシアのプーチン大統領にとって、第2次世界大戦でナチスドイツに勝利した戦勝記念日、5月9日は体制を支える愛国主義のいわば聖なる“祝日です。 しかし戦勝記念日を前に、軍指導部を口汚く罵る民間軍事会社の代表。クレムリンを攻撃したとさせるドローン。 体制内部の亀裂や異変が次々と表面化しています。

NHKより

更に支那。

直接戦った記憶はないが、どういうわけか抗日戦勝記念日として9月3日を祝日としている。

台湾は日本の統治下にあった関係で、台湾光復節(10月25日)が記念日となっている。

朝鮮半島は、韓国側が光復節(8月15日)、北朝鮮側が解放記念日(8月15日)という感じで式典を行っている。

不戦の誓い

日本と直接戦ったアメリカや、支配下にあった台湾や朝鮮半島の式典は、内容はともかく理解は出来る。

だが、ロシアは日本が敗戦を認めてから強盗のように押し入ろうとしてきただけだし、支那に至っては、そもそも相手をしていない。中華人民共和国の建国は1949年10月1日だろう?何をお祝いしているのかさっぱりだ。そういう視点では、韓国も北朝鮮も敗戦後できた国であるからという疑問は出てくる。

一方の日本はというと、近年は「不戦の誓い」をするのが恒例となっている。

式典には天皇、皇后両陛下や岸田首相ら三権の長、各地の遺族代表者らが参列。先の大戦で犠牲となった戦没者約310万人を悼み、不戦の誓いを新たにする。

讀賣新聞より

戦わないことを誓うというのは悪い話ではないが、戦えないのでは話にならない。戦争をしたことと、約310万人の戦没犠牲者を生み出したことは別だ。戦争に負けたことこそが日本の大きな枷になっている。

それと、対日戦勝記念日の項で紹介したが、国際的には日本が敗戦を迎えたのは9月2日なのだ。

日本がその日を敗戦の日又は終戦の日と改める必要はないと思うが、国際的に敗戦した日は日本が降伏文書に調印した昭和20年9月2日と認識されていて、日本の認識とは異なることを理解しておくべきである。議論が色々とおかしなことになるからだ。

特にロシアとの交渉においては、このズレが色々と問題を引き起こすのだ。

満州、樺太、千島列島にいた日本人が8月15日以後に、日本に帰国するにあたってソ連軍による略奪、暴行、強姦、虐殺が相次ぎ、その犠牲者数は約20万人にも登ると言われている。加えて、60万人以上の日本人がソ連に連行され、6万人以上が死んだ。

更に敗戦が確定した翌年昭和21年2月3日、旧満州国において通化事件と呼ばれる虐殺事件が発生する。犯行は支那共産党の軍である八路軍によって行われ、800人~3000人の死者が出たとされる。

こうした事件が発生した原因は全て敗戦にある。勝った歴史は知り得ないが、負けたからこそ引き起こされた事態だ。そのことはしっかり心に刻むべきだろう。

してみると、「不戦の誓い」というのは些か違和感がある。戦わなければ負けないだろうが、祖国が存続できるかどうかとはまた別の話だ。

これまでのメディアの姿

さて、こうした事実とは別に、「戦争は悲惨だ」ストーリーを展開するのが多くのメディアの姿である。

終戦の日「重い荷物を背負ったまま」 遺族団体、相次ぐ活動休止

2023/8/15 18:29(最終更新 8/15 18:29)

78回目の終戦記念日の15日、台風で荒れ模様となる中、全国戦没者追悼式のあった日本武道館など各地で人々は戦没者に黙とうをささげた。ロシアによるウクライナ侵攻は続いており、平和への願いを新たにした。

毎日新聞より

毎日新聞などは、迂闊にもロシア軍によるウクライナ侵攻の話を出しているが、侵略されてしまったら抵抗せざるを得ない。それを無視したままお涙頂戴の話を延々と書いているが、「戦争は絶対いけない」との主張とはかなり矛盾した題材である。

終戦の日に県内各地で追悼の催し 若い世代も世界平和に祈り

2023年8月16日 11時00分

終戦から78年となる15日、県内でも戦争で亡くなった人を追悼し、平和を願うイベントが開かれた。戦争体験者や遺族が高齢化するなか、子ども連れで一緒に祈る人の姿も目立った。

朝日新聞より

朝日新聞はコメントとしてウクライナの話を持ち出しているが、「終わらせたい」という共通項で結んだので、こちらはやや矛盾は少ない。ただ、「それを言うならロシアに言え」「ロシア軍にウクライナから撤退しろと言え」というツッコミは免れないだろう。

「恒久平和に向け一層努力」 終戦の日、各地で催し誓い新た 

2023/08/16 05:00

終戦から78年を迎えた15日、県内各地で関連行事があり、遺族や地元住民らが戦没者を慰霊し、不戦の誓いを新たにした。

讀賣新聞より

讀賣新聞はというと、こちらは「恒久平和を目指そう」というやや夢見がちな流れの中で、やっぱりウクライナの話を出しちゃった。

前の2紙と比べて、讀賣新聞は軍備拡張には否定的ではないので、こちらの主張はギリギリセーフにしても良いだろうか。

とまあ、散々なものであった。

うーん、色々記事を掘っていくと、時にはソ連軍の残虐行為の話をしているところもあるので、全部が駄目ってわけではないのだが、大手メディアは散々である。日本人は敗戦を認めて何が悪かったのかを総括するところから始めないと駄目だ。

負けないためにはどうしたら良いか?それは、戦わないことも必要だが、「手を出させないことも必要」なのである。外交的な意味でも防衛的な意味でもそうだ。僕はそんなことを思った。皆様は如何だろうか?

追記

これは新しい記事を書いたほうが良さそうな話だが、光復節の話を出したので少し追記。

尹大統領「日本は価値共有するパートナー」 安保や経済で協力強化

 2023.08.15 12:26

韓国の尹錫悦大統領は15日、ソウルの梨花女子大で開かれた光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)記念式典で演説した。日本について「われわれと普遍的価値を共有し、共同の利益を追求するパートナーだ」と述べ、「韓日両国は安全保障と経済の協力パートナーとして未来志向で協力・交流しながら、世界の平和と繁栄に共に寄与していけるだろう」と語った。

聯合ニュースより

いや、韓国と価値観は共有できないから。

……あ、違った。引用したいところはここではない。

北朝鮮の核とミサイルの脅威を遮断するには韓米日3カ国間での緊密な偵察資産(兵器)協力と北朝鮮の核・ミサイル情報のリアルタイム共有が必要だとし、「日本が国連軍司令部に提供する7カ所の後方基地は、北の南侵(韓国侵攻)の最大の抑止要因になっている」と語った。

聯合ニュースより

この部分だ。文章の前段も後段も画期的なことを言っている。あ、韓国にしては、という但し書き付きではあるが。

これだけを見ても、これまでの大統領とは一味違うことが分かる。少なくとも現実を受け入れる気はあるらしい。北朝鮮の核とミサイルの脅威を見張る為に、韓国は必要十分な監視衛星を持っていない。だからこそ、アメリカに頼らざるを得ず、抜けている部分を日本に補ってもらう必要がある。これが「リアルタイム共有」の部分。

それともう1つ、日本に7箇所の後方基地があることは、日本人も知らない人のほうが多いような気がするが、朝鮮戦争が再燃すれば、絶対的に必要なのが日本にある後方基地である。兵站の概念を理解していれば、その重要性は容易に理解できるだろう。

朝鮮戦争の時に「朝鮮特需があって日本が儲かった」という嘘を、まだ教科書で教えている日本という国も大概問題だが、この2点について国民に知らせていないこれまでの韓国政府も大概なのである。が、ユンユンは少なくともそこに踏み込んだ。これで彼を信用できるという話にならないところが、挑戦問題の厄介なところではあるが…、少なくとも今までとは違うことは間違いなさそうだ。

注:朝鮮特需が起きたのは事実だが、日本が儲かったというのは事実と異なる。儲けた個人や企業はあっただろうが、日本経済にはかなりの負荷がかかった。何しろ、アメリカからの需要を満たすために国内経済を後回しにせざるを得なかったからだ。国内経済は、無理な供給を生み出す為に建設資材などを輸出に回している。つまり、国内経済にとってのプラスにはならず、この後に訪れる日本の高度経済成長に繋がったという話も嘘である。そういう意味では、戦争なんて起こらないほうが良いというのは真理だ。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    安倍総理が「戦後レジーム」からの脱却を主張し、その彼自身が暗殺されたことの意味を考えると、いまも「戦後レジーム」が延々と続いていることがわかる。

    米国が今も日本を占領している、という主張をたびたび眼にするが、占領ではなく支配だろう。((従わなければ〇す))という脅しが効いていることは、チョロ岸田を見ればわかることだ。

    他方で、ネットを通じた大量情報化時代が到来したことは真に僥倖なことで、隠蔽されてきた事実や、いまも拡散されている虚為の暴露に大いに役立っている。

    「戦後レジーム」もいずれ”清算”されるときが来るだろうが、特に若年層には、事実の発掘作業や虚為への反撃に励んでもらいたいと思う。

    • 木霊 木霊 より:

      「美しい国」とか「戦後レジームからの脱却」って言葉は、聞いた当時はさっぱり意味不明でしたが、いまになって「ああ、そういう事なのか」と。
      清算するためには、どこまで・いつまで努力しないといけないんでしょうかね。

  2. アバター 河太郎 より:

    こんにちわ。木霊様、連休中に体調を崩されたとの事。お気の毒でした。御自愛下さい。
    記事を読んで、 7基地のことを考えたのですが、地球儀を観ると、英国と日本がユーラシア大陸へ東西から打ち込んだ2つの楔な事を認識しました。
    どうもチョーク・ポイントである半島に目が行きがちですが。
    米国が大平洋と大西洋という海に挟まれた巨大な島と考えると、アラスカからアリューシャン列島、北方領土、日本列島は(途中でロシアに占拠されてるが)
    大陸への楔と考えられるかと。
    すると、米国がモンロー主義に還らない限り、手放す事もない。彼らが太平洋での自分の優位性を維持する為には、補給で日本列島は必要になる。
    今後、北極海の氷が溶け続けて北極海航路が開かれれば、アジア→欧州への最短航路の中継点として、ますます重要度は増すのかもと。
    んで、私は日本にとって最も怖い国は、
    ロシアでも中国でもなく、米国だと思っています。イランやキューバを観る限り、彼らは自国から寝返った国を絶対に許さない。あれらの国がどうなったか考えると、足抜けはできないでせう。
    どうあっても米中の対立に巻き込まれざる得ない。日本が本当に自立できる時とは、何らかの形で米国の影響が衰える時ですが、それは日本にも相当に厳しい覚悟を要されるでせう。
    そう考えると、日本を最前線にしない為には、あの厄介な国が必要と。面倒な話ですが本当に。

    • 木霊 木霊 より:

      ありがとうございます。油断していましたね、体調管理はしっかりとすべきでした。
      それはさておき、アメリカですね。
      確かに、結局はあの国と対峙することを考える必要はあるんだと思います。
      今の外交は、結局どのシマのヤクザに身を寄せるのか?というレベルの話であって、アメリカに同調したところで味方になるというのとはちょっと違うんですよね、あの国。
      上手く利用され、利用する関係になるしかありません。

      じゃあそれの相手が支那ではいけないのか?というと、アメリカのほうがマダマシな程度ですが、組み易いですかね。というか、米軍基地が日本にある以上は簡単に逆らえないという部分があるので、選択肢はあるようで無いんですよね。その辺りもしっかり考えていく必要はあるんですが。

  3. アバター 河太郎 より:

    ただ……気になるのは本当に米国が日本へのプレゼンスを維持し続けるだろうか?
    であります。前に中国はバッファが大きいから簡単には倒れない旨を伺いました。では米国にとってのバッファは何だろうか?
    私は物流の支配だと想うんですよ。コンテナ輸送の発明で、タコ焼きをベトナムで作り冷凍コンテナで運ぶ事で、安価にしていたりしますね。物流はデカい。
    米国はスエズ運河とパナマ運河を抑えています。太平洋と大西洋を結ぶ2つの物流拠点を握ってる。これが大きい。
    それに比べれば、マラッカ海峡などの沿岸のチョークポイントは軍事コストをかけるかは微妙な位置にくるかと。
    さらに温暖化で北極海航路が実現しつつありますね。アジアと欧州を結ぶ最短コースが産まれる。アラスカ→アリューシャン列島→北方領土→日本列島という防御線があって、日本がユーラシアへ打ち込まれた楔と考えると、この航路、玄関口のベーリング海がチョークポイントになっているから、そこを関所にしてしまえばどうとでもなる。ロシア以外に北極海沿岸には強国は存在しないので、対露関係さえ修復すれば、世界の物流の3つの
    拠点を抑える事ができると。 
    この3つに比べればマラッカとかの沿岸の治安維持って、価値が低いと想うです。米国にとってですが。
    そして極論ではあるが、米国は唯一に鎖国できる国です。あらゆるものを自国で賄える。むろん、そんな事をすれば米国も大きく傷つく。しかし、それでも…な時が来るとは断言できません。
    ∵ 米国が短期間、鎖国状態した時に、
    米国以外の国々の方がはるかにダメージが大きい。カオスでしょう。
    という事は、米国が国際政治の舞台から退出している間に、別な国が米国を脅かすほどの巨大勢力に成長する可能性はとても低い。被害甚大だが「できない話」ではない。なので、その時が来れば躊躇なく抜けてゆく可能性はあると想う。
    その時に、
    「(北極海航路があるから)北海道と本州だけあらば良いや。あとはお前らで何とかしろや!」
    となる可能性があると想うんですね。
    何年か理由をつけて国際政治の舞台から退出して、戻る時には他国はガタガタだから、対外債務もチャラにできる。
    そこまでやるか?と思えば、やらないとは想うけれど……衰退したといえ、かつては欧州とアジアで2面の大戦争やった国です。必要とあれば、やる可能性は……。
    たぶん、日本の自立って、そういうとんでもない危機の時にしか訪れないと想うんですよ。残念ながら。

  4. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    戦争に関し、先日他界したオヤジが言ってたことです。
    「軍部や政治家は、戦争に負けた責任をとれ」
    凄く深いと思いました。
    戦争、勝負に絶対は無いけれど、「勝てない戦争」を初めて、無為に国民の命を散らした事に対し、責任を取れと言う意味だと理解してます。
    結局のところ、軍部も政治家も、自国に対してのみ責任があり、責任を取らなければならない。
    オヤジは、東京裁判には否定的でしたが、それはそれこれはこれ。
    そういう事だと思ってます。

    以上、盆休み明けの雑感を書き込ませていただきました。

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