どうやら、恒大集団よりもヤバい話がでてきているようだ。
中国不動産開発の碧桂園、ドル建て債2本の利払いできず
2023年8月8日3:45 午後
中国の不動産開発大手、碧桂園は8日、今月6日が期日だったドル建て債2本の利払い(総額2250万ドル)を履行できなかったと表明した。
投資家によると、利払いが行われなかったのは2026年2月満期債と30年8月満期債。いずれも30日間の猶予期間がある。
ロイターより
30日の猶予があるので、実際に大騒ぎになるのは9月5日になるのかな。
知っていたけどヤバい
恒大集団は更に負債を積み上げる
2022年に大騒ぎになった恒大集団だが、先日こんな記事が出ていたね。
「中国恒大集団」の負債総額47兆円、債務超過に転落か
2023/07/18 00:38
経営危機に陥っている中国の不動産大手「中国恒大集団」は17日、2021年12月期と22年12月期の連結決算を発表した。22年12月期の負債総額は約2兆4300億元(約47兆円)に達し、債務超過に転落した模様だ。
讀賣新聞より
未だに生きながらえている恒大集団だが、今年の7月の段階で47兆円の負債を抱えていて、債務超過に陥っているらしい。
恒大が今後も事業を継続するには海外を中心とした債権者の同意が欠かせず、再建の道筋は一段と不透明感が強まった格好だ。
讀賣新聞より
再建って言っても、どうやって再建するんだ?これ。
碧桂園はNo.3
で、本日冒頭に取り上げた碧桂園は、今年の販売額が3位の大手で、流動性懸念が再燃している。
碧桂園の香港上場株は14.4%下落し、1日の下げ幅としては昨年12月以来の大きさとなった。デュレーション・ファイナンスによると、同社のドル建て債券の大半は1ドルの額面に対し0.1ドル以下に下落した。オンショア債の一つは28.6%急落し取引停止となった。
クレジットサイトのアナリスト、ニコラス・チェン氏は「(碧桂園が)債券の元本の全額償還ではなく、利払いに苦慮しているという事実は、おそらく流動性が非常に逼迫していることを示している」と指摘した。
「(碧桂園の)規模を踏まえると、こうした事態は不動産セクター全体に悪影響を及ぼし、特にまだ存続している他の民間デベロッパーに対する投資家心理に悪影響を及ぼすと思われる」と語った。
ロイターより
流動性懸念、つまり現金が無いのだが、支那の不動産開発の場合には、顧客から資金を集めてマンションなどを建設するわけなんだけど、色々な部分で資金が滞っているので、そもそもマンションが建たないなんてことになっている。
この、碧桂園は比較的信頼の厚い企業だったようなのだが、そこも経営が危ないという事実が示されると、いよいよ健全なところも経営が危なくなっていく。
碧桂園の転落は、不動産価格の持続的な低迷が中国有数の民間不動産会社ですらも大きく圧迫していることを浮き彫りにする。信用収縮への耐性が比較的高いとかつては見なされた碧桂園だったが、いまや国内総生産(GDP)の約4分の1を占める不動産業界の資金繰りの状況を映し出す指標銘柄となった。
11日は中国証券監督管理委員会(証監会)と不動産開発会社、金融機関が会合を開き、不動産開発会社の販売と債務状況を協議したと中国メディアの財聯が伝え、中国建設企業株の指数が下げを縮小する場面もあった。本土株の指標であるCSI300指数は2.3%下落し、中国が新型コロナウイルスに絡む行動制限から経済再開を始めた昨年10月以来の大幅安で引けた。
Bloombergより
支那の不動産開発業界の構造的な不安に陥っているのだ。
不健全な経営をやっていて「あいつなら仕方がない」と思われていた恒大集団よりも、割と健全だった碧桂園の危機が表面化したことで、支那の不動産業界全体の資金繰りに危機感を抱かれる展開となった。そうすると、あっちこっちで火を吹くことになるだろう。
デフレへ
さて、支那では「デフレっていうな!」と報道規制をする話があったのだが。
中国デフレ懸念、公には語れず-生き残り図る企業の値下げで悪循環も
2023年8月8日 13:31 JST
中国が新型コロナウイルス禍に伴う厳しい制限措置を3年ぶりに解除した際、ニエ・シンチュアン氏は自社製革靴の売り上げが増えると期待していた。しかし実際には需要があまりにも低調なため、1年前の水準から3%値下げして利益を減らさざるを得なかった。
~~略~~
中国を拠点とする別のエコノミストは、当局と自社の広報部門からデフレについて公に論じないよう指導を受けたと述べた。
Bloombergより
が、当局から指導が入るほどヤバいという意味でもある。
中国でデフレの脅威鮮明、その理由と世界への影響は-QuickTake
2023年8月10日 18:22 JST
中国が今デフレの脅威に直面していることに疑いの余地はなくなった。7月の物価統計で消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が共に前年同月比で下落。2020年以来のことで、中国経済の健全性に対する懸念が強まった。
Bloombergより
観測しなければ事象は確定しない。シュレディンガーの猫経済が起こっているという話なのかもしれない。
構造的に支那では経済拡大のエンジンとして不動産開発を選んでいただけに、ここが足を引っ張るとなると困る。そこで、支那共産党はここを助けたいところなのだが、人民元を刷って資金注入してしまうと、人民元の信用不安が起こってしまう。お金を刷るとインフレを引き起こすので、デフレに陥っている支那には嬉しいことかもしれないけれど、そもそもどこに不良債権があるのかよく分かっていない状況なので、無闇矢鱈と資金注入するわけにもいかない。
世界で支那だけがデフレに陥っているので、舵取りは大変だな。
まあ、盛り上がる話でもないのでこの程度にしておきたいが、良い材料が無いね。
追記
あー、何というか、これはあかんかも。
Hedge funds dump Chinese stocks aggressively as growth outlook dims
August 17, 202312:05 AM GMT+9Updated a day ago
NEW YORK, Aug 15 (Reuters) – Global hedge funds are “aggressively” selling Chinese stocks amid heightened concerns over the country’s property sector and a weak batch of economic data, a Goldman Sachs report on Tuesday showed.
All types of stocks were sold, but A-shares, those listed in the domestic stock market, led the sell-off, comprising 60% of it, the bank said.
~~対訳~~
ヘッジファンド、成長見通しの悪化で中国株を積極的に売却
ゴールドマン・サックスが15日に発表したリポートによると、世界のヘッジファンドは、中国の不動産セクターに対する懸念の高まりや、低調な経済指標を受けて、中国株を「積極的」に売却している。
あらゆる種類の銘柄が売られているが、国内株式市場に上場しているA株が売りをリードしており、全体の60%を占めているという。
ロイターより
外資逃避が加速する模様。
追記2
ますますヤバいな。
中国信託大手の中融国際、数十の商品で期日までに支払い履行せず
2023年8月16日3:45 午後
中国の信託大手、中融国際信託の幹部は、先月末から数十の投資商品で期日までに支払いを履行できていないと明らかにした。危機に見舞われている不動産業界から金融セクターへの影響の波及に懸念が強まりそうだ。
ロイターより
絶望の9月に向かうという噂だったけれど、本当になりつつある。ここで問題なのは、支那だけじゃなくて韓国にも絶望だってことかな。
コメント
いよいよ支那経済の凋落ぶりが顕在化したね。(ここまでホントに長かった。)
一昨日の17日、恒大集団が米国で破産法15条を申請したようだ。
会社再建を目指すらしいが、一社で48兆円規模の負債を抱える恒大は、現状でショック死状態と思う。米国内の資産保全はできても、支那で会社再建が可能かまったく不明。
また、今年上半期に1兆円規模の赤字を見込む碧桂園も、これからの不動産市況と自社の資金繰りの悪化から、恒大を後追いする可能性は十分ありそう。
海外の金融界隈は支那のデフレ突入を折り込み、資金逃避を始めたけど、紅党が邪魔しそう。
恒大集団の15条申請は、支那の不動産開発業界にとってはかなり危機的な話ですね。
自国での破産は認められないでしょうからどうするのかはよくわかりませんが、アメリカでの資産はなんとか保全したいということでしょう。
碧桂園は8月いっぱい保てばいい方ではないでしょうか。
支那のデフレ・スパイラル突入は避けられない情勢で、次は銀行が危ないわけですが、支那共産党はどんな手を打つんでしょうかね。