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攻撃型無人機の試験導入が決定

安全保障
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無人機の運用がスゴイ勢いで進んでいるので、自衛隊に導入されること自体には賛成である。

攻撃型無人機、自衛隊に試験導入へ…島しょ防衛強化へ25年度以降に本格配備

2022/09/14 05:00

防衛省が島しょ防衛の強化に向け、イスラエル製や米国製の攻撃型無人機を2023年度に自衛隊部隊へ試験導入する方向で調整していることがわかった。25年度以降、海外からの調達と国産を合わせ、数百機規模の攻撃型無人機を配備する方針だ。

讀賣新聞より

国産の無人機はあまり良い噂を聞かないので頑張って欲しいが、海外調達については幾つか参考になる情報もあって、進めても良いのではないか、と感じている。

徘徊型攻撃兵器は運用次第

徘徊型兵器の導入を検討

数百機規模での攻撃型無人機の導入を検討しているらしいが、「何」を導入するのか、というところは気になるよね。

試験導入するのは、イスラエル製の「ハロップ」や米国製の「スイッチブレード」など。ハロップは全長約2・5メートルで航続時間が9時間と長い。スイッチブレードは全長約36センチ・メートルと小型で持ち運びやすい一方、航続時間は15分にとどまる。

讀賣新聞より

なるほど。

イスラエル製「ハロップ」

IAI製ハロップが候補なのか。

飛行時間が9時間、航続距離が1,000kmと、サイズの割に長距離が飛べる完全自律運用が可能なシステムである。RCS(Radar cross-section:レーダー反射面積)が0.5m^2未満と、そこそこのステルス性を備えているのも魅力的かな。

参考までに、F-117「ナイトホーク」でRCS=0.025^2、F-35A「ライトニング2」でRCS=0.005m^2という規模なので、ステルス戦闘機と比べてしまうと随分と落ちる。

F/A-18E/F「スーパーホーネット」がRCS=0.5m^2なので、スパホレベルという理解でいいだろう。

搭載できる兵装は23kg弾頭程度らしい。

アメリカ製「スイッチブレード」

エアロヴァイロメント社製スイッチブレードはこんな格好。

折りたたみの出来る翼を持っていて、こちらも徘徊型攻撃兵器に分類される。

ただ、飛行時間は15分で、航続距離は10km程度(スイッチブレード300)と狭い範囲でしか運用出来ない。その分軽く、小さく作られているので、歩兵が運んで持ち歩き運用することが想定される。

もう一回り大きいスイッチブレード600なら、飛行時間が40分で、航続距離は40kmと伸びるが、10倍近くの重量になるので可搬性は低下する。

運用に合わせて選択することになるのだろう。

トルコ製「バイラクタル」

讀賣新聞の記事には出ていないが、この他にトルコ製の「バイラクタルTB2」の運用も検討されているらしい。

ここ数年でかなり売り上げを伸ばした無人戦闘航空機で、徘徊型攻撃機とはチョット違うのだが、航続時間27時間。見通し距離で交信するためにあまり航続距離は意味がないかもしれないが、航続可能距離は8500kmだと言われている。

ポイントは、複数の兵装を交換可能で長射程攻撃もできると言うことだろうか。徘徊型攻撃兵器は自爆攻撃の方が主体だが、バイラクタルTB2は偵察や攻撃をした後に基地に帰投する事を前提に作られている。

自衛隊が導入を検討する無人機、ウクライナが使ったトルコ製機種も

2022年12月23日 17時32分

政府が23日に閣議決定した防衛省の2023年度当初予算案に関連し、同省は来年度に試験導入を考えている無人機の機種の一部を明らかにした。ウクライナが戦場に投入し、ロシアを苦しめたとされる攻撃型無人機などを挙げており、部隊で実証する考えだ。

~~略~~

そこで、こうした既存の無人機を購入し、部隊で試した上で、有用なものについては5年以内に実際に配備する方針だ。

朝日新聞より

この他にもリーパーMQ9などの導入も視野に入れているようではある。

偵察・強襲任務

こうした、徘徊型攻撃兵器の無人型のアピールポイントは、無人運用が出来ることで、操作する人間が現地に赴く必要がないという点かな。

政府は南西諸島を中心に配備する計画を立てている。有事の際、島に近づく敵の艦艇や上陸を試みる敵の部隊への攻撃に使うことを想定している。駐屯地や基地の警戒監視にも活用する見通しだ。

讀賣新聞より

一般的に言われる徘徊型攻撃兵器のメリットはWikipediaによれば以下の通りである。

  • 発射(離陸)する時点では必ずしも攻撃目標が明確である必要が無い。
  • 飛翔体自身が自分で攻撃目標を探す事ができる。
  • 攻撃目標が見つかるまで”徘徊”して待つことができる。
  • 攻撃目標が見つからない場合に帰投できる機体もあり、コスト的にも無駄にならない。

大雑把に言って、「発射する時点で目標が定まっていなくとも良い」というところがメリットだろう。

偵察的に打ち上げておいて、偵察して情報を得るも良し、強襲するも良し、で、コストが安ければ最高である。

一方で、搭載できる弾頭の重さから考えると、巡航ミサイル程度の破壊力はとても望めない。せいぜい戦闘車両1両破壊するか、着弾地点の敵兵の戦力を削ぐ程度が関の山だ。さらに、巡航ミサイルに比べて飛行速度が遅い為に、撃墜されやすいことはデメリットとなるため、攻撃型と言いつつ、攻撃力にさほど期待が出来ない部分はあるのだが。

が、結局のところ使い方次第なので、ウクライナではウクライナ軍とロシア軍の両軍がそれぞれ攻撃型無人機を運用するような形になっているし、中東でもそれを使った拠点破壊が行われているらしい。嫌がらせには最適だな。

上陸阻止には有用

では、離島防衛においてどんな役回りが期待できるのか?といえば、讀賣新聞ではこんな解説図を出している。

説明図では2つの役割が期待されていることを示している。

  1. 上陸阻止
  2. 基地周辺の警戒監視

この、イメージがどこの説明かは明らかにされていないが、結局のところ、少数の兵士での離島防衛を考えた場合に、敵の上陸の足止めになるような「時間稼ぎ」の手段があることは有用だし、基地周辺の警戒においても、発見から攻撃までのタイムラグの少ない徘徊型攻撃兵器は有用なのではないか?と考えているのだろうと思う。

そして、最適な兵器を国内で製造するよりは、既存兵器を購入して色々試してみるほうがが早いというのが、現状の自衛隊の考え方なのだろう。

防衛省は23年度予算の概算要求で、攻撃型無人機を整備する方針を初めて示した。概算段階では金額を明示しない「事項要求」とし、年末までに導入数や予算を確定させる予定だ。

讀賣新聞より

年末までに導入数や予算の確定という流れのようだが、試験導入してテストし、令和7年に導入するのであれば急ぐ他ない。なかなか忙しいスケジュールだが、それだけ台湾有事への警戒を強めていると考えるべきだ。

台湾有事ともなれば、真っ先に狙われるのは沖縄県の先島諸島なのだから。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    IAI製ハロップ、カッコイイですよね。単純に、好きです。

    本邦の技本でも、色々と無人機は研究していたはずなのですが、それらの成果が聞こえないのが寂しいところです。

    pdf:無人機の試験技術について
    https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwi6k4vt_Ln-AhXQNN4KHbDpC-sQFnoECDwQAQ&url=https%3A%2F%2Fwww.mod.go.jp%2Fatla%2Fresearch%2Fdts2012%2FR3-5p.pdf&usg=AOvVaw26bAWGpE41Rmoem0Jju73_

    pdf:滞空型無人機技術について
    https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwi6k4vt_Ln-AhXQNN4KHbDpC-sQFnoECFIQAQ&url=https%3A%2F%2Fwww.mod.go.jp%2Fatla%2Fresearch%2Fdts2012%2FR3-4p.pdf&usg=AOvVaw08oWdOtDGYZdeebZ9Q_-CR

    こんなのも、その後どうなったのでしょうね?
    「球形飛行体」
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%83%E5%BD%A2%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E4%BD%93

    • 木霊 木霊 より:

      この手の研究には予算が付かない中、様々な工夫によって進められるのですが、世界で多額の予算を付けて研究しているところには勝つことが難しいのですよね。
      日本独自に使えるものだけが残っていくので、ますますガラパゴス化が進みそうですが。
      無駄だと思わずトライして欲しいものです。

  2. アバター けん より:

    おはようございます、

    いまや無人機の開発は日進月歩ですが、日本には日本の状況に合致する無人機の開発・導入こそ大切なので、そこはガラパゴス化してもよいと思います。
    最新型護衛艦に装備された無人掃海艇とか水中無人機雷敷設/機雷掃海機の開発などは、その好例かと思います。
    https://twitter.com/Masai_cat/status/1649715440468504577
    https://newswitch.jp/p/19152

    もっとも、政府・防衛省がもっと開発を後押しする必要はありますね。独国では自爆型UAVを8基搭載するUCAVがすでに開発されたそうですし、土国ではUCAV専用の軽空母が公開されたそうです。米国や支那は言わずもがなです。

    • 木霊 木霊 より:

      日本は兵器開発費にお金を投入しませんからね。
      費用の少ない中で開発を続けている状況です。もうちょっと研究開発にお金が投入されても良いのですが……。