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消えていないFIOPの方針と安倍路線を踏襲する岸田氏

安全保障
この記事は約7分で読めます。

賛同者の多い高橋洋一氏なんだけど、こういう思い込みは良くないなぁ。いや、タイトルが良くないだけかも知れないね。

「自由で開かれたインド太平洋」なぜ消えた 産経コラムの真意 高橋洋一

2023/12/24 07:00

元内閣官房参与の谷口智彦氏が産経新聞への寄稿で、安倍晋三元首相が掲げた「自由で開かれたインド太平洋」という言葉が、岸田文雄政権で使われなくなっていると指摘した。

週刊フジより

消えてないから!

日本保守党に雁首並べている方々、随分とデマが多い印象なんだけど、高橋氏は……、あー、以前からもちょいちょいあったな。まあ、それでも参考にはなる方なんだけど。

安倍レガシーから脱却

用語の使い方が変わったのは事実

この元ネタは元内閣官房参与の谷口氏のコラムに起因しているらしいんだけど、何とこちらは有料コラムなんだな。

有料だったら「中に本当のことが書いてあるかも」という可能性はあるけど、タイトルで釣るやり方は宜しくない。

安倍氏の「インド太平洋」を消した岸田首相 元内閣官房参与・谷口智彦

2023/12/17 08:0

「自由で開かれたインド太平洋」という概念が、日本外交の辞書から消えた。誰かが宣言して消したのではない。岸田文雄首相や林芳正前外相、上川陽子外相らが言わなくなって、ロウソクの火が消えるごとく隠微に消えた。

産経新聞より

メディアはタイトル詐欺が好きなのかな。

……僕自身も、気をつけないといけないかもしれない。

さて、内容に踏み込んでいこう。

安倍政権で、外交のスピーチライターを務めた谷口氏は、さすがに言葉に敏感だ。ただ、岸田首相らが「自由で開かれたインド太平洋」を全く言わなくなったというわけではなく、使う頻度が少なくなったというのが正確だろう。

産経新聞より

いや、使う頻度が少なくなったんだよね?「消えた」というのはおかしいだろうよ。なお、このタイトルは新聞側が決定するそうなので、高橋氏だけの責任を問うわけには行かないんだけどね。

安倍晋三に拘りすぎる保守

で、この問題に丁寧な解説を付けていらっしゃるサイトがあったので紹介しておこう。

これも一つの見方である。

高橋氏の意見も分かるが、ちょっと角度を付けすぎではないだろうか。

ASEAN諸国の中には中国に近い国もあるので、中国包囲網を連想させる「自由で開かれたインド太平洋」という言葉には主役をさせないということだろう。

産経新聞より

この考え方が正しいかどうかは、こちらの情報を見てから判断頂きたいものである。

岸田総理大臣のインド世界問題評議会における政策スピーチ

更新日:令和5年3月20日

ジャイシャンカル外務大臣、そしてシンICWA(インド世界問題評議会)事務局長、御列席の皆様方、この地、インドで、「自由で開かれたインド太平洋」についてお話しするということは、私は運命的な巡り合わせを感じざるを得ません。皆さんも御存知のとおり、「自由で開かれたインド太平洋」、FOIPは、私の尊敬すべき友人でもあります安倍晋三元総理大臣が提唱されたものであります。

~~略~~

海洋安全保障のための取組も充実いたします。私の政権では、自衛隊と各国軍の共同訓練、RAA(円滑化協定)やACSA(物品役務相互提供協定)などの法的基盤の整備等を進めています。豪州、英国とのRAAは今国会に提出、インドとのACSAも既に運用されています。新たに同志国の軍等に対する無償資金協力の枠組みも創設しました。将来的にはインドとも協力できることを楽しみにしています。また、海上自衛隊は、地域の海の平和と安定に貢献するForce for Peaceです。インドや米国との共同訓練やASEAN諸国・太平洋島しょ国との親善訓練などを進めていきます。

首相官邸サイトより

全文はサイトで読んで頂きたいのだが、これはインドでFOIPを題材にしてスピーチした内容であり、令和5年3月20日のものである。

このスピーチの内容自体は日本国内で殆ど取り上げられた記憶がないが、おそらくはその後の出来事の方で手一杯になってしまったのだろう。マスコミのレベルはその程度ということだ。

岸田総理大臣のウクライナ訪問

確かに、岸田氏がウクライナに訪問したこと自体は驚くべき事件であったが、インドにおいて「Force for Peace」を口にしたことは、これまで日本が目指してこなかった方針でもある。

要は、インドに対しても平和のために軍事協力しますよ、と言ってのけたのである。これは故安倍晋三の方針でもあったが、彼の時代には終ぞ実現できなかった話でもある。

この場で、私は、日本はロシアのウクライナ侵略、これを強く非難し、決して認めることはないと繰り返します。モディ首相も、「今は戦争の時ではない」とプーチン大統領に言われました。日本は、世界のどこであっても、力による一方的な現状変更がなされることに反対いたします。

首相官邸サイトより

この演説の中で、岸田氏はロシアのウクライナ侵略を批判した。その上でウクライナを訪問したのだから、インドも「アイツは本気だ」と理解したと言われている。

故安倍晋三の業績は素晴らしいモノであったが、一部の保守は岸田氏がそれを一部でも上回ることが許せないらしいね。

対支那という観点

なお、この時のスピーチでは支那の事について直接的な言及はしていなかった。インドにとっても支那は敵対国ではあるが、かなり微妙な駆け引きを要する国でもある。

そこでこの時の岸田氏は、こんな表現で対応することにした、……と言うように見受けられる。

以上、FOIP協力の新たな「4つの柱」について申し上げました。FOIP協力を拡充する中で、様々な手法を最適な形で組み合わせて実施することが重要です。ODAの戦略的活用を推進し、様々な形でODAを拡充するなど、外交的取組を更に強化いたします。こうした観点から、開発協力大綱を改定し、今後10年間の日本のODAの指針を示します。

その中で、ODAやその他の公的資金を扱う機関間の連携を強化し、開発需要に応じた、日本の強みをいかした魅力的なメニューを作り提案する「オファー型」協力を新たに打ち出す考えです。

首相官邸サイトより

この方針がどう繋がっていったのかと言えば、こちらだ。

この記事では「追記」という形で言及しているのだが、日本政府はフィリピンに防空レーダーを供与することにしている。

演説ではODAという話をしているが、今後日本政府が推し進めようとしているのはOSAの方であり、フィリピンへのレーダー供与もそれに則っている。

政府安全保障能力強化支援(OSA:Official Security Assistance)

令和5年11月13日

我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、力による一方的な現状変更を抑止して、特にインド太平洋地域における平和と安定を確保し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加え、同志国の抑止力を向上させることが不可欠です。

こうした目的を達成するため、開発途上国の経済社会開発を目的とする政府開発援助(ODA)とは別に、同志国の安全保障上のニーズに応え、資機材の供与やインフラの整備等を行う、軍等が裨益者となる新たな無償による資金協力の枠組み(「政府安全保障能力強化支援(OSA)」)を導入することとしました。本枠組みは令和4年12月16日に閣議決定された国家安全保障戦略においても記述されています。

外務省より

政府安全保障能力強化支援とは、軍事関係に特化したODAである。これまでODAで「武器をください」と言うことは出来なかったんだけれど、OSAならば、かなり制約はあるけれども、できる。というわけで、岸田氏はこの方面ではかなり頑張っているのだ。

……とはいえ、アレもこれも信頼できる最高の総理!と行かないのが岸田氏の厄介なところで、むしろ、韓国にしてやられたりと不安な面が多いのは事実なんだな。

特に国内経済、そこ!そこだから!

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    岸田氏というか岸田政権、どうにも正体が掴めないんですよね……
    これこそが「ぬらりひょん」かも知れない……

    ※一見無能に見えて、重要案件は意外なほど通している。

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