「難民を受け容れろ」という主張をされる方をよく見かけるのだが、彼らは本当に論点整理が出来ているのだろうか。
入管法改正案 与党が参院法務委で採決提案も 立民など応じず
2023年6月1日 11時27分
外国人の収容のあり方を見直す入管法の改正案について、与党側は1日、参議院法務委員会で採決を行いたいと提案しましたが、改正案に反対する立憲民主党などは応じられないとしたため、午後に改めて協議が行われます。
NHKニュースより
この話、出てくるのは「子供がかわいそうだ」とか、「オーバーステイは犯罪じゃない」とか、そういうよくわからない主張ばかりなのだが、感情論が先走った話をしてもお互いに不幸になるだけである。
そもそも入管法の整備不足が問題
難民の定義
一口に「難民」といってもその定義に当てはまるかどうか、という事がまず問題となる。報道で「難民を受け容れろ」と主張する方々は、そこの理解からまずオカシイのである。
本案内でいう「難民」とは、難民条約第1条又は議定書第1条の規定により定義される難民を意味し、それは、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者とされています。
難民認定手続とは、外国人がこの難民の地位に該当するかどうかを審査し決定する手続です。
出入国管理庁のサイトより
日本においては、いや、諸外国においてもそうなのだが、難民申請をしてくる方が難民というわけではない。
出入国管理庁が、審査を行ったうえで認定するのが「日本国における難民」なのである。つまり、この定義からいえば難民受け入れ率は100%だ。これが暴論であることはもちろん理解しているが、そこの理解がおかしいから、議論がおかしな方向に行ってしまうのも事実である。
さておき、難民認定するにあたっては他にもハードルがある。
1 永住許可要件の一部緩和
日本に在留する外国人が永住許可を受けるためには、
(1) 素行が善良であること
(2) 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
の2つの要件を満たさなければならないこととされています。
しかし、難民の認定を受けて在留する外国人は、このうち(2)の要件を満たさない場合であっても、法務大臣の裁量により永住許可を受けることができます。
出入国管理庁のサイトより
日本が難民として受け入れをし、永住許可をする場合には、「素行が善良」であり、「独立生計を営むに足る資産又は技能を有する」必要があって、法務大臣の裁量によって後者の要件を緩和して受け入れられることになっている。
日本の難民認定率は低い
しかし、諸外国に比べてこの認定率は著しく低いのもまた現実である。
様々な国の事情があるので、数字だけ比較して議論するのは間違いであるとは思うが、それにしても低い。というか、0.3%とかいう時期もあったので、これでもまだ改善されたほうである。
難民条約(1951年の難民の地位に関する条約)を批准した日本国としては、国際社会に対しての義務を果たしているのか?という疑問を突き付けられるのは、ある意味当然だとは言えよう。
制度上の不備
そういった基準設定の問題があるとはいえ、今回の入管法改正の目的はここではないので、そこを間違えてはいけない。
出入国管理法などの改正案は、難民申請中は強制送還が停止される規定について、申請を繰り返すことで送還を逃れようとするケースがあるとして、3回目の申請以降は、「相当の理由」を示さなければ適用しないことや、退去するまでの間、施設に収容するとしていた原則を改め、入管が認めた「監理人」と呼ばれる支援者らのもとで生活できることなどが盛り込まれています。
NHKニュースより
冒頭の記事のこの部分だが、出入国管理庁のサイトでも今回の法改正の意義をこのように説明している。
詳しくはサイトを読んで頂くものとして、掻い摘んで説明しよう。
現行入管法の課題(入管法改正の必要性)
(1)課題➀(送還忌避問題)
(2)課題➁(収容を巡る諸問題)
(3)課題➂(紛争避難民などを確実に保護する制度が不十分
基本的にはこの3つの課題を解決するための改正であり、その背景には入管法の整備が不十分であることが挙げられる。
特に入管施設の収容に関わる問題が大きく、日本全国で17の施設があるようだが、そのキャパシティを容易に超えてしまう数の申請者がいるにもかかわらず、収容期間の上限設定は無いし、送還停止効の例外も設定されていない。
この結果何が起きているかというと、無期限の収容(5年以上留まっている例も少なくない)と仮釈放なのだ。いずれも極めて問題の多い点だ。
今回の法改正では、難民認定手続の上限を2回とし、3回目以降は強制的な退去を可能とする。
この点で、「送還されると命に関わる」「難民の命を守れ!」と短絡する方が多い。だが、重ねて言うが論点はそこではない。オーバーステイを含めた収容の長期化が、より問題を複雑にしている構造的な問題があるのだ。
難民受け入れ後の体制の構築も不十分
そもそも、日本は移民の受け入れも表面的には行っておらず、難民の受け入れも極めて抑制的である。昨今では特定技能2号の受け入れ枠拡大の議論も出ているし、質の悪い外国人技能実習生制度が未だに継続しているせいで、実質上は外国人労働者の受け入れ、更には移民の受け入れを行っている。
「特定技能2号」在留資格 政府 拡大案示す 異論出る可能性も
熟練技能を持つ外国人への「特定技能2号」の在留資格について、政府は、業種を大幅に拡大し、農業など11分野とする案を明らかにしました。この在留資格は、更新の継続で事実上、無期限に滞在できるため、適用拡大には与党内から慎重論もあります。
NHKニュースより
とはいえ、基本的に移民受け入れには消極的な建前なので、制度構築も極めて脆弱である。そこが犯罪の温床になったりと、問題が表面化しているわけなのだが、根本的な問題は、変な建前を掲げている為に、制度が構築されていないことなのだ。
当然ながら、難民を受け入れた場合にも同じ理由でトラブルを抱えることになる。
受け入れ体制の部分を改善せよという主張はその通りだと思うし、外国人労働者というのは既に何万人も国内に入り込んでいる現実があるのだから、現実を直視してそれに即した制度の設計をすべきではある。しかし、それが出来ていないのが現状なのだ。
つまり、「真っ先に難民受け入れ推進」では、手を付ける順番が逆なのだ。良い悪い以前の問題なのだ。そういう意味では、今回の法改正で、徒に収容期間が長くなっている悪循環を断ち切るという決断は、それなりに正当性がある。
野党の「反対」の論拠は
では、これに反対する層は一体何を言っているのか?といえば、これがまた情けない。
これに対して、改正案に反対し、難民認定の透明性を高めるべきだとしている立憲民主党などは、採決に応じられないとしたため、午後に改めて協議が行われます。
NHKニュースより
難民認定の透明性が低いからダメという事らしい。確かに、3回目以降はお断りという制度にするのであれば、「何故認定されなかったのか」を明らかにするという必要性はありそうだ。
例えば、言語の問題。面接では、必ずしも適切な言語(理想は母語、難しい場合は出身国の公用語)による中立的な通訳が手配されておらず、証拠書類は日本語での提出が求められるなど、しっかりと主張を伝えることが非常に難しいのが現状です。審査において些細な誤訳は致命的ですが、面接の録音・録画はされず、調書も日本語でのみ作成されるため、通訳に問題がある場合に検証することが非常に困難です。また、証拠資料を自力で翻訳できる日本語力を持つ申請者は極めて稀であり、翻訳費用の公的支援もないため、十分な証拠書類を自力で提出することは、ほとんど不可能な手続きになっています。
難民不認定の場合に、その理由が十分に開示されないことも問題です。国が不認定を下す判断根拠となる情報を知らなければ、難民本人や弁護士は反証する機会を得ることができないからです(情報へのアクセスに関する武器の対等の原則)。具体的にどこが証拠不十分だったかなどの説明があれば、新たな資料をそろえて異議を申し立てる余地があります。
難民支援協会のサイトより
野党の主張する内容は、難民支援協会のサイトでも指摘されている。
だが、受け入れ態勢が脆弱な日本において、日本語または日本で通じる外国語を用いて申請できない申請者の難民認定を行ったとして、果たして適切な受け入れが出来るかというと、まあ不可能だろう。
難民支援協会の主張は正しいのだが、しかし受け入れの後の支援体制が脆弱な状況にあって、受け入れることが本当に申請者の幸せにつながるのかは極めて疑問だ。
適切な申請者ではないケース
そして、難民支援協会のサイトにも言及されているが、申請者の多くが「適切な申請者」であるとは限らないことも大きな問題である。
一方で、申請者の中に、難民ではない人が申請しているという実態もあり、ここ数年、法務省はそのような人たちを排除するために、より厳しく手続きを見直しています。就労資格を得ることなどを目的に難民申請をする人がいることは事実ですが、望まない人/もしくは意図しない手続き利用者の排除ばかりを優先するのは、難民保護という本来の目的を損なうものになります。厳しさが強まる一方で、難民申請手続きが公正か、認定基準は逸脱していないか、救うべき人を救っているか。そのような視点での改善は残念ながらほぼなされていないのが現状です。難民申請の“濫用”を減らしつつ保護も進めていく。そのための具体的な提案はすでにたくさん示されています。
難民支援協会のサイトより
排除優先の姿勢が正しいとは言えないものの、排除できない構造的な欠陥(つまり強制的に相関が出来ない問題)を抱えたままというのは不適切である。
内訳不明の実態説明なので、ほんの一部が問題であるという可能性ももちろん考慮する必要がある。
ただし、申請者の中には少なからず犯罪者が混じっているわけで、そういった申請者たちをブロックしたいという入管の努力も分かる。
そもそも日本は条件が悪い
難民申請者にとって、日本という国は実はかなり移住先としては条件が悪い。
独自の文化圏を持っていて、言語体系も特殊で周囲を海で囲まれているために、船でも航空機でもアクセスするにはお金がかかる。
紛争地域から逃げ出した方々というのは、取る物も取り敢えず着の身着の儘というケースが多い。そうすると、逃げ先に日本を指定するというのは費用負担的にも極めてハードルが高い。陸路で歩いて移動できる場所ではないことが、困難性を高めているのである。
「憧れの国」という面はあるのかもしれないが、命からがら逃げる先には適当ではない可能性が高い。
そうすると、日本で「難民認定」を申請できる方々というのは、「いったいどんな人々なのか」という素朴な疑問が湧いてくるのは事実だ。
つまり、難民受け入れ支援よりも、難民を出さないような支援をすることこそが、日本には求められているのでは?と、そのように思う次第である。実際に、国際貢献とばかりに多額の支援を行っている実態はある。ただ、その支援が空回りしている面があるのは事実だ。そこはまた改善していくべきである。
一方で入管法に関しては不備が多いという点を鑑みれば、何度も申請を繰り返すことが出来るような体制をまず改める必要があるのは、当然の話だと思う。一方で、もう少し受け入れ後の支援体制を強化できれば、受け入れの枠を広げられる余地はあるだろう。その両方にも目を向けて改善が必要だと思う。
コメント
有罪判決を受けた場合は、
永住許可要件の(1)を満たさないけれど、申請中はシャバに出られるんでしたっけ?
これって、日本人の生存権をおびやかしていますよね。
犯罪者だけでも本人の意思(尊重する必要があるか?)に関わらず強制送還できないものでしょうか。
不法滞在者を親として日本で育った子供達は可哀想だと思います。
ただ、その可哀想な状況に追い込んでいるのは、
「日本という国」ではなく、「不法滞在している親」なので、
罪を償って、子供共々「祖国」で出直すのが本当の「子供のため」じゃないかと。
子供を「日本に居続けるための道具」にしているように見えるのが、
なんとも言えないですね。
現行法ではダメっぽいですね。
そもそも、犯罪を犯したのが外国であれば、日本国内の法律で裁く方法はありません。
だからこそ、入管で止める必要があるんですがね。
日本の場合、「特別永住者」を難民に含めていいのではないかと思いますけどね。実際、戦後に朝鮮半島での虐殺から逃れて日本に密入国した人たちもいるらしいですし。
いつまで在日朝鮮・韓国人を特別扱いするんだと……
特別永住者の制度はちょっとダメですね、今更ですが。
でもあれ、難民ですらありませんよ。
出稼ぎのようなものですから。
木霊さま 皆様 ご無沙汰しております
我々の日本国・日本人の特質を鑑みるに短期・タテマエはともかく「他所者には排他的」な文化・風習を持っています。これは「伝統・文化を大切にする」美徳の裏返しとして必須の風習で、何も悪いことではありません。
彼らが現地のシキタリを覚え身に着ける「郷に入っては郷に従え」れば「他所者」でなくなります。しかし世の難民の大半はそうではありません(後述)
ですので現在の日本は難民を受け入れる下地がありません。
例えば 我々が「難民」の字面から想像するの天災・戦災から逃れる「一時的避難民」で、災害が収まれば帰国頂く方々なら、我々の伝統ではお客様としておもてなし出来、そのレベルは世界的に見て非常に高いといわれています。
しかし欧州等を見る限り「現実の難民」は「永住・移住者」で、かつ「郷に入っても郷に従う気など無い」方々が殆どです。(米国の場合は米国市民権という最強の権利を得るため&一般市民が武装してるので比較的おとなしい。でも大人しくてアレですよ?)
さて現在の問題
例1としてパヨク様支援?のデモで話題のクルド人の方々ですが、何故彼らは「祖国のない民族」なのでしょう?
個人的見解ですが理由は 100年以上の間、オスマン帝国(現トルコ)・イラク・イラン・シリアetc を渡り歩いて、弾圧とか記述されてるけど、現象を見れば、自国政府が崩壊したのに、上記それぞれの国民になることを拒否し、武装抵抗やテロを続けている。「郷になじまない」:
例2~として アルメニア・アゼルバイジャン、コソボ紛争
日本に来た方々が例外的に日本の法律に従う「郷に入っては郷に従う」と期待するのは楽観すぎ
例1に対しては今の人数でもかなり問題
https://reiwa-kawaraban.com/society/20230508/
ですが、もう少し放置したら武装テロ組織が出来そうで怖い(ex.スウェーデン)
近い未来に予測される問題
a.南北朝鮮からの難民 b.台湾難民 c.支那難民 d.フィリピン難民
a.は現在99%が不法入国者のくせに特別永住権を持ってる奴ら、現在は比較的大人しいけど新規に渡ってくると、早いうちにノービザ廃止しないと酷いことになりそう。
b.c. 歴史的に華僑は比較的郷に従いますが b.台湾難民は価値観共有する本当の難民
c.志那難民は実効支配・侵略者勢力ですから厳密に区別する法整備が望まれ、、、
結論
現日本は難民受け入れ準備がない。米国のような軍事パワーもなく、欧州方式も破綻見え見え、トルコあたりからコンサルタントを招いて法整備する必要があり。
追記として
「祖国で虐待されている」 と言う言説は「事実か?」「一方的見方でないか?」が重要と思います。
彼らはその「祖国の側」から見れば「反政府武装組織」であるかも知れません。と言うかそうした例が多い
ex.トルコ-PKK、ミャンマー -スーチー派 -ロヒンギャ
上記のような人々をパルチザンと呼ぶかゲリラ・テロリストと呼ぶかは政治的立場・判断によりますし、そこからの避難者を亡命者・難民・国外逃亡犯と呼ぶかも政治的立場・判断による場合の方が多い。
まあPKKなど日本のパヨクから見ればかわいそうな人たちなのでしょう。国際的にはテロ組織ですが、、、
もっと目を広げれば、中共から見た台湾、韓国から見た北朝鮮はいずれも「反政府武装組織」で後者は国連加盟までしていますが我が国から見れば無法国、前者は国家承認さえ取り消していますが友好国。 さあどう判断?
すなわち難民政策って福祉や人権問題ではなく、安全保障・陣営の問題のはずです。パヨクの言説に騙されてはいけない
難民の受け入れ義務云々の話はまず脇に置いておくにしても、可能かどうかで言えば、数字だけ見ても準備不足の面は否めません。
何より法整備面、特にスパイ防止法などの整備や、国籍のない外国人が犯罪を犯した場合の対処方法など、今でも外国人の犯罪が不起訴になるケースが多いことを考えると、十分であるとはとても思えません。
ですから、「受け入れのための法整備をしっかりしよう」というスローガンを掲げて、この辺りをきっちりやる政党が出て来れば応援しますよ。
現実問題として、かなりの外国人が日本国内に入り込んでいますしね。