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ガソリン減税を否定する日本経済新聞

報道
この記事は約8分で読めます。

何がそんなに都合が悪いのだろうか。

[社説]なし崩しのガソリン減税は筋が通らない

2023年12月6日 19:05

自民、公明、国民民主の3党が価格高騰時にガソリン税を減税する「トリガー条項」の凍結解除を巡る協議を始めた。岸田文雄首相の指示による。ガソリン高の抑制で政権基盤を強める思惑が垣間見えるが、脱炭素にも逆行するなし崩しの動きは全く筋が通らない。

日本経済新聞より

社説でアホな言説を垂れ流す新聞は多いのだが、日本経済新聞、オマエもか。筋が通らないのは日本経済新聞の方だと思うぞ。

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減税は都合が悪い日本経済新聞の理論

減税は都合が悪い財務省の理論

論旨はこうである。

  • ガソリン高騰が続いている
  • 補助金制度の期限が来るとガソリンの値段が上がってしまう
  • ガソリンの値段を下げると経済効果がある
  • でも、脱炭素の国際方針には反するね!
  • あと、財源は1.5兆円必要だよ、大変だ!

無料で読める範囲だと、こんなものかな。有料会員が読める部分まで加味すると、「きちんと税制を整備する必要があるね」という導線を引いているのだが、残念なことに景気刺激策が必要なのは、今だ。

なお、こんな記事もあったね。

ガソリン減税、自公国の協議始動 脱炭素阻害の恐れ

2023年11月30日 19:30

自民、公明、国民民主の3党は30日、価格高騰時にガソリン税を減税する「トリガー条項」を巡る協議を始めた。国民民主の玉木雄一郎代表らはこの協議と引きかえに2023年度補正予算に賛成に回った。政権と同党の接点として再浮上した政策は脱炭素との矛盾などの課題も抱える。

日本経済新聞より

日本経済新聞は、経済の活性化は都合が悪いのだろうか?そんな言い掛かりを付けるって事は、財務省が裏にいるんじゃないの?

脱炭素のまやかし

このブログでは、カーボンニュートラルだとかネットゼロだとかいう議論は徹底的に馬鹿にしている。

そういえば、最近もこんな記事を書いたね。

しかし、この手の議論をする前に、先ずはこちらをご覧頂きたい。

各国のエネルギー起源温室効果ガス排出量(2020年)

全世界の二酸化炭素の排出量のデータで、2020年の情報である。全体的に見ると、支那が世界二酸化炭素排出量の1/3を占めていることがわかる。

故に、支那が努力しないことには、各国の努力は何の意味もない。が、COP26も「化石賞」を出した環境団体も、支那に対して二酸化炭素排出量削減の要求を突きつけたりはしていない。

なお、2位がアメリカで13%、3位はEUで8%、その次はインドで7%だ。コレだけで全世界の二酸化炭素排出量の半分以上を占める。

EUはかなりおかしな方向に向かって振り切れているので、早晩自滅しそうな雰囲気すらあって除外しても良いのだが、EUを除外してもまだ半分を占めている。

僅か3%しかない日本にどんな努力を要求したところで、10倍以上排出している支那が努力しなければ何の意味もないのである。逆に、支那に1割二酸化炭素排出量削減して貰えば、日本の排出量全体をあっさりと超える分が減る。

つまり、全世界に向けて二酸化炭素排出量削減のアナウンスをする意味は全くないのである。

エネルギー起源温室効果ガス排出量の推移

なお、既に非附属書I国(気候変動枠組条約の附属書に記載されない国)の割合が増えている(ほぼ支那が原因)ことも、言及しておきたい。

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カーボンニュートラルはまやかし

次に、カーボンニュートラルの話だ。これは環境省の脱炭素ポータルという専用サイトに用いられている図である。

img

イメージ的には、電化して再生可能エネルギー発電を推進することで、実質的に排出する二酸化炭素をゼロにするという話なんだけど……、かなりのまやかしを含んでいる。

早い話、大気中の二酸化炭素を固定する技術さえ開発して、どんどん二酸化炭素を固定化してしまえば、良いのだ。だが、これがまた実にふざけた話になっている。

図 CO2分離回収 パイロットプラント構成図

これは発電所に二酸化炭素を吸収するシステムを組み込むアイデアなのだが、二酸化炭素を回収するために電気や燃料を使って熱を作り出す必要があるという図である。

色々な回収手法はあると思うんだけど、効率よく回収する方法は今のところ見つかっていない。環境対策って、こういうことなんだけどね。

国際的方針って、日本を苦しめるのが目的ってこと?

カーボンニュートラルを表明した国・地域

なお、多くの国が2050年までにカーボンニュートラルを掲げているんだけど、そんなの無理だろう。

財源の話

そして、財源が1.5兆円という話なんだけど、これがまた奇っ怪な話なのである。

トリガー条項凍結解除なら「国・地方で1.5兆円の財源必要」=鈴木財務相

2023年11月24日午前 9:20

鈴木俊一財務相は24日、ガソリン価格高騰抑制のため揮発油税などを軽減する「トリガー条項」の凍結を解除すれば、国・地方で1.5兆円の財源が必要になるとの考えを改めて示した。同日午前の閣議後会見で語った。

~~略~~

同相は昨年2月の衆院予算委員会で、国で年1兆円、地方で0.5兆円の計1兆5700億円の税収減になるとの試算を示し、凍結解除に慎重な姿勢を示していた。

ロイターより

この話、「おかしい」と感じられた人は多いと思う。何故ならば、減税した場合には「財源」は必要ない。記事にもあるのだが「税収減」になるというのが正しいのである。

しかし、数字が大きくてビックリはするのだが、計算が「年1兆円、地方で0.5兆円の計1兆5700億円」とあって、これは、1年間ずっとトリガー条項が発動した場合という想定である。

概念としては国民民主党の玉木氏が説明している図が分かり易いのだが、ガソリンの全国平均小売価格が3カ月連続で1リットル当たり160円を超えた場合をトリガーとして、上乗せ分(25.1円分)が免除される制度である。なお、解除条件は、レギュラーガソリンの価格が1リットル130円を3か月連続で下回れば解除される。

尤も、現在の社会情勢を見ると、原油価格が下がるパターンは考えにくいので、恒久減税になる可能性はあると思う。

政府がガソリン税のトリガー条項凍結解除を検討:時限減税から事実上の恒久減税への方針転換か

その辺りは、NRI等にも言及がある。

しかし、この想定には重大な欠点がある。それは、ガソリン価格が上がって景気が冷え込んだ場合に税収が減るという可能性を排除している点だ。景気が良くなれば税収は上がるのだ。それが減税によって達成されるのであれば、寧ろ減税しない理由はないのだけれど、そうすると財務省の省益を損ねるという官僚にとっては大きな問題(国民にとっては何の問題も無い)が出てしまう。

昨年度税収、71兆円超え=3年連続で過去最高―法人、消費、所得税が軒並み増

2023-07-03 20:12

財務省が3日発表した2022年度の一般会計決算概要によると、国の税収は前年度比6.1%増の71兆1374億円だった。3年連続で過去最高を更新。企業業績が回復して法人税収が膨らんだほか、歴史的な物価高で消費税収が増えた。賃上げの動きが広がったことにより、所得税収も伸びた。

時事通信より

そもそも税収は増えているのだから、ガソリン減税くらいケチケチする意味はあんまりないのだ。

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なお産経新聞も

こうした話は、財務省からペーパーを貰っている日本経済新聞や産経新聞も、そこから外れた記事が書きにくいという面があって、結局のところ話がすすまないという実情がある。

にもかかわらず岸田氏が決断した理由は、国民からの要望の声が強いから。

議論を進めるには、解決すべき課題は多い。

ひとつは、凍結解除には根拠となる震災特例法の改正が必要で、国会審議を経るため時間がかかり、スピード感をもった対応ができないことだ。国や地方へ税収減分を補塡(ほてん)しなければならず、減収分の財源探しも必要になる。

また、発動すればガソリン価格の値下がりを見越した買い控え、逆に終了前には駆け込み需要が生じるため、給油所や流通の混乱も懸念される。

トリガー条項の対象はガソリンと軽油のみで、冬場の需要が高まる灯油や、農家のビニールハウスや漁船の燃料などに使われる重油は対象外となる。そのため、発動による恩恵の少ない一部業界からは、新たな支援を求める声もあがるとみられる。

産経新聞より

この産経新聞の記事の内容もかなり穴だらけである。

「震災特例法の改正が必要」って、制定当時は震災特例法は時限立法であった。要は、有効期限が定められた法律である。そもそも法目的が「東日本大震災の被災者等の負担の軽減を図る等のため」というのだが、何年続けたら負担が無くなるんですかねぇ?

(揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止措置の停止)

第四十四条 租税特別措置法第八十九条の規定は、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止する。

eGoVより

別に法律を作る必要はあるんだけど、簡単な法律で良い。1行書けば終わりだ。

そもそも復旧や復興にどの程度のお金を使っているのやら。

グラフ2/予算額の推移(一般会計)

これ、宮城県の予算措置なんだけども、震災対応分は減額されていることが分かると思う。当然の結果だよね。

福島県の予算はこんな感じ。どう考えても減っているよね。

また、「駆け込み需要」の話は論外である。何故ならば、ガソリンは貯めておけるものではないので、まとめ買いをするというのは考えにくい。需要は継続的に発生するので、駆け込み需要が出る要素はほぼないのだ。

雑な議論ばかりしているが、結局のところは見直す必要がある時期に来ているのは事実である。減税措置がどのようなものになるにせよ、徴税して給付するスタイルから脱却する必要がある。税制が複雑になりすぎているのも問題なので、抜本的に見直せよという話なら分かるが、それと減税しないことは又別の話である。

コメント

  1. 山童 より:

    そもそも二酸化炭素排出を減らしたからって、ほとんど地球の気象変動には影響ないって地球物理学者も言うてますが。
    脱炭素って意味あるんすかね?

    • 木霊 より:

      武漢ウイルスの時に何がヤバかったかって、ロックダウンなどの影響で世界経済が停滞したのに、二酸化炭素排出ろ油は殆ど変わらなかったんですよ。
      あそこまで経済を止めても、排出量削減に繋がらない。温度変化すらないというのが世界レベルで証明されてしまったのに、科学者は無視ですわ。
      そこでわかったことが1つ。もし、効果が有るにせよ、脱炭素は現実的ではないってことです。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    つまるところ、日経新聞の立ち位置は、市民or庶民側ではない、という証左ですよね。
    あくまで、「日経新聞としてその時その時で都合の良い側の意見」を紙面に載せているに過ぎない。
    その意味で、ブレのない「赤旗」の方がマシ、までありますね。
    ※最近は機関誌も党もブレブレですが。党首がヨイヨイになりかけてますからねぇ……

    脱炭素なんて、「殆ど乾いた雑巾」の日本を絞るより、「バケツから出してもいない雑巾」の米中を絞る方がよっぽど効果あるのに、って思います。

  3. 砂漠の男 より:

    いまの歳になって改めて実感しますが、
    世界は非効率・不経済なことを延々とやっていますな。