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裁判記録を破棄しちゃった日本司法の思想

政治
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ダメだコイツら、早く何とかしないと。

最高裁 記録の永久保存 規則制定 来年1月運用へ 廃棄問題受け

2023年11月27日 19時30分

26年前に起きた神戸児童連続殺傷事件など、社会的に注目された少年事件や民事裁判の記録が廃棄されていた問題を受け、最高裁判所は記録の永久保存に関する規則を制定しました。第三者委員会を設けて永久保存の必要性について専門家から意見を聞くなどとしていて、来年1月から運用します。

NHKニュースより

本当にふざけた話なのだが、日本は公文書管理については比較的杜撰である。だが、司法界がこのザマというのもなんとも。近年は、そうした面も脚光を浴びるようになってきたので、そこは良いことかも知れないが。

裁判記録や資料は国民の財産

民主党政権時代に問題になった話

公文書絡みの話で記憶に残っている話は幾つかあるが、一番強く印象に残っているのがこちら。

震災10会議で議事録なし ずさんな文書管理

2012年1月27日 11:04

政府は27日午前、緊急災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)など東日本大震災関連の15会議のうち10会議で議事録を作成していなかったと発表した。緊急災害対策本部と原子力災害対策本部、被災者生活支援チーム(旧被災者生活支援特別対策本部)は議事録だけでなく議事概要もなかった。

日本経済新聞より

何故、国会議員が参加しているにも関わらず、議事録が一切残っていないのか。議事録処か、議事概要すら残っていないというのだから、呆れるより他に無い。

何故衝撃を受けたかと言えば、何百年に1度という規模の震災が発生し、それに対応するために必死に努力した記録であり、後に何が良くて何が悪かったかを考えるための重要な資料になったハズなのに、ソレを残さなかったという事実に唖然としたわけだ。

ただ、こうした話が「民主党だったから」という事かというと、そういうことではなかったようだが。

森友学園問題

立憲民主党が大騒ぎした森友学園問題の時にも、こんな話があった。

「公文書公開は民主主義の基本」と信じていた財務省OBの話

更新日:2018.07.06 公開日:2018.07.06

役人が公の記録である文書を、勝手に書き換えてしまう。森友学園をめぐる改ざん問題は、財務省官僚のおどろくべきモラルの低下を明らかにした。しかしかつては、公文書は国民の財産であり、それを公開することが民主主義の基本であるという強い信念を持っていた財務省出身の政治家がいたのである。

GLOBE+より

公文書を役人が勝手に書き換えてしまったことで、大問題になったのである。もちろん、メディアはこの問題については切り込まず、安倍氏に対する執拗な攻撃を連日連夜繰り広げていたのだが、実際のところ、アレは役人の不祥事案件であった。

日本の行政機関では本来は公文書とされるべき文書が公文書として扱われていないのが実態です。

1999年制定の情報公開法は、政府が説明責任を果たすために必要な範囲として、行政文書の定義を定めました。ですが、組織の仕事で作った行政文書なのに、形式的に「個人管理の文書」にすり替え、情報公開の対象から外す手法が繰り返されてきました。

Yahooニュースより

日本のお役所では会議や残すべき議事が多すぎるという問題があるので、くそ真面目に資料を残していたら膨大な文書量になってしまう。保管するスペースの問題もあるという認識はあったのだろう。現代において、そんなアホらしい話になっているのはどうかと思うのだが、しかし、そういった時代が長かったことが、「記録に残さなくて良い」という間違った認識を役人に与えてしまった事はあるだろう。

そもそも、文書管理に専門の部署を置いていないことも、大きな問題であると言えるかも知れない。

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司法では更に深刻な状況

ただ、行政の問題は行政文書を保管するルールが徹底しておらず、おかしなメモが一人歩きするような事はあれど、ある程度は保管がなされている。

ところが、司法の世界だと状況が違うようだ。

記録廃棄問題で最高裁報告書 “深く反省” 関西の事件遺族は

05月25日 20時36分

26年前に起きた神戸児童連続殺傷事件など、社会的に注目された少年事件や民事裁判の記録が各地の裁判所で廃棄されていた問題で、最高裁判所は25日、廃棄の経緯や保存のあり方についてまとめた報告書を公表しました。 「後世に引き継ぐ記録を多数失わせてしまったことを深く反省している」と謝罪し、今後は、国民の財産であることを組織的に共有していくとしています。

~~略~~

神戸の事件をはじめとする重大事件の記録が永久的に保存する「特別保存」に指定されていなかったことについては、「事件処理のために保管し、期間が満了すれば廃棄する考え方が組織内で醸成されていた」と問題を指摘しました。

そして、その原因は「特別保存の膨大化防止に取り組むべき」というメッセージを最高裁が出していたからで「誠に不適切だった」としています。

NHKニュースより

破棄されてしまった資料は、全てが「破棄されるべきではなかった」と言えるものではない可能性はあるんだけど、どうして民事裁判の記録まで破棄されてしまったのかは良く分からない。

【記録廃棄問題の経緯】

裁判所の記録廃棄問題が発覚したきっかけは、26年前(平成9年)に起きた神戸児童連続殺傷事件でした。

社会に大きな衝撃を与え、少年法改正につながった事件にもかかわらず、捜査や審判、少年の生い立ちなどに関するすべての記録が廃棄されていたことが、去年(令和4年)10月、地元紙の報道で明らかになったのです。

最高裁判所は当初、経緯などを調査する予定はないとしていましたが、その後、平成16年に長崎県佐世保市の小学校で女子児童が同級生に刺されて死亡した事件や、オウム真理教の解散命令請求など、社会的に注目された少年事件や民事裁判の記録の廃棄が次々と判明し、有識者委員会を設置して調査に乗り出しました。

対象はおよそ100件で、中には永久的に保存する「特別保存」に指定しながら廃棄されていたケースもありました。

記録を廃棄された事件の遺族などからは徹底した検証や再発防止を求める声が相次ぎ、ことし3月には、最高裁の小野寺総務局長が参議院予算委員会で「適切な運用がされていたとは言いがたい状況にあった」として「率直に反省し、事件の関係者を含む国民に対し申し訳なく思っている」と謝罪しました。

NHKニュースより

裁判記録は膨大になるため、ある程度の保管期間を過ぎた後に書類を削除する必要があるのは理解出来る。

しかしそれにしたって、後世で裁判の指針になるような判決やそれに関わる資料を安易に処分してしまうのはやっぱりおかしいと言わねばならない。

ルールの制定

そんなわけで、来年1月からは、「記録の永久保存」の規則が制定されて、一部の記録は永久に保存されることになった。

規則には、 ▽歴史的、社会的な意義がある記録を「国民共有の財産」と明記し、後世に残すことを目的としたほか、 ▽常設の第三者委員会を設置して永久保存の必要性などについて専門家の意見を聞くことにしています。

また、国民が記録の永久保存を裁判所に要望できるとし、裁判所は要望があった記録を永久保存しない場合、第三者委員会に意見を聞かなければならないと定めました。

あわせて記録を廃棄する際の規程も改正し、廃棄する記録について各地の裁判所の所長が確認することも明記しました。

NHKニュースより

第三者委員会を設置して、永久保存するしないを決めるというのも不安な部分はあるけれども、保存しないという決定をするに当たって第三者委員会に意見を聞けという規定になっている。

つまり、何れにしても「保存するしないを明らかにしないといけない」という規定にはなっていると。

ただ、上に紹介した行政手続きにしても、司法手続きにしても、資料の保存という事がしっかりと決まっていなかったという事実こそが問題ではある。どうにも賢い方々は選民思想が強いのか、後世に「間違っていた!」と糾弾されたくないのか、情報を残したくないという意識が強いように思われる。間違っていたら後で正せば良いと思うのだが、そこら辺りの意識改革こそ、必要なことかも知れない。裁判官も「間違ってはいけない」というプレッシャーと戦いながらの判決なのだろうけれど、だからといって資料を積極的に破棄されても困るのだ。

判断はその時代、その時々で変わってくるのは仕方のないことだ。冤罪を防ぐ意味でも、裁判記録や判決、それに関わる資料の保管は必要なんだと思う。

一方で、ネット界隈でも現代の感覚で過去の出来事を判断しようとしたがる人々が多い。矛盾した話ではあるが、しかししっかりした資料を残してこそ、暴論に対抗できると思うので、やはり資料保管は積極的にやっておきたい。

最高裁判所が「特別保存の膨大化防止に取り組むべき」という趣旨の判断を出したことが、資料破棄に繋がったという分析もある。しかし、近年は、デジタルデータとして保存するのが良いのか?という話もあるが、紙で残すよりはハードルは低めである。そして、検索もコンピューターが発達した現代においては、ハードルが低めとなっている。今後はもっと資料の保管ということについてしっかり考えた方が良いだろう。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    官僚って、トップクラスに頭いい人がなるものだと思ってた時代が、私にも確かにありました。
    現実は、頭でっかちの保身主義の常識知らずのモラルブレイクした肩書き至上主義しか居ないってオチですよね。
    ※頭いいのは確かなんですが。国交省の役人、メーカーの開発者がしょっちゅうコテンパンにやり込められてます、法規その他の理詰めで。

    財務省と外務省と、あと裁判官は、一度全員鍛え直した方が良いと思います。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      まあ、官僚が賢いのは間違いないと思います。
      ただ、世間知らずなのも間違いないのですよね。
      その舵取りをするのが政治家の役目なんですけど、政治家も世間知らずが多いのが困りものですな。

      • アバター 七面鳥 より:

        「頭でっかち(成績が取れる)」のと、「賢い(天下が取れる)」のは違うのですよね……

        ※その意味で田中角栄は「賢い」、多くの官僚や竹中平蔵や古賀茂明とかは「あたまでっかち」だと、個人的には思う次第であります。
        ※異論は、もちろん認めますです。

        • 木霊 木霊 より:

          まさにそうですね。
          まあ、官僚を操縦できる政治家を選ぶしかありませんね。その為の選挙制度ですから。

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