スポンサーリンク

ガザ危機はネタニヤフ氏に責任が?!

イスラエルニュース
この記事は約20分で読めます。

これは、前回の記事についてコメントを頂いたのだけれども、どうやって返答したら良いか?と困った結果、新しい記事にしたというシロモノである。

とはいっても、先にお断りしておくのだが、全てのセンテンスにお答えする話ではないことを予めお断りしておきたい。取り上げたセンテンスは、ネタニヤフ氏の排除は「アリ」か「ナシ」かという点のみである。

「ガザ危機はネタニヤフ氏に責任」テルアビブ大 エラン・ヤシブ教授

2023/11/2 16:12

パレスチナ情勢やイスラエル政治について欧米などのメディアで積極的に発言しているイスラエルのテルアビブ大教授、エラン・ヤシブ氏がオンラインで産経新聞のインタビューに応じた。同氏はイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエル攻撃を非難しつつ、今回のガザ危機の根本原因はイスラエルのネタニヤフ首相の誤ったパレスチナ政策にあると指摘し、主要国はネタニヤフ氏に引導を渡すべきだと訴えた。

産経新聞より

で、記事を探してみたら、なかなかタイムリーな記事があったので、先ず紹介しておきたい。

誰も事態収拾能力を有していない

ネタニヤフ氏を辞めさせる

冒頭に紹介した記事は、産経新聞が取り扱ったイスラエルのテルアビブ大教授のエラン・ヤシブ氏に対するインタビュー記事である。彼の結論は「ネタニヤフを辞めさせろ」という話と、「二国家解決」を目指せという話の2点である。

「その上で強調したいのは、今回の事態はパレスチナ自治政府が統治するヨルダン川西岸とハマスに支配されたガザの『分割統治』を図るという、ネタニヤフ氏の見当違いの政策のせいで引き起こされたということだ」

産経新聞より

ネタニヤフ氏の政策が間違っていたという点について、否定する根拠を持たない。実際に、ハマスのテロ活動を許してしまい、多数の民間人の死者が出たのだから、「失敗した」のは事実だろうと思う。

その上で、分割統治がその原因だったという分析は色々なところで見かける話だ。こちらについても説得力はある。まさに、ファタハではガザ地区を統治できず、ハマスはテロ組織でありつつガザ地区を実行支配している。どちらと話をしてもパレスチナとの合意に至れないという始末。だから話をしなかったというのがネタニヤフ氏の大まかな政策で、これが非常に悪い方向に働いたわけだ。

「ネタニヤフ氏はイスラエルの国益だけでなく中東を巡る米欧や日本の国益を損ねている。バイデン米大統領をはじめ主要国の首脳は、イスラエル支持は必ずしもネタニヤフ氏支持を意味しないことを示し、同氏の退場を促すべきだ」

--今後、ガザ問題にどう対処していくべきか

「ハマスは建設的な対話の相手にはなり得ない。第一に、イスラエルはパレスチナ自治政府がガザ地区で実質的な統治を回復できるようにすべきだ。また、サウジアラビアやエジプト、北アフリカ諸国などの政治的に穏健な国々は、自治政府を軸に穏健な統治体がガザで復権するのを後押ししていかなくてはならない」

産経新聞より

そもそも、今回の話、「イスラエルの軍事作戦の後の和平のあり方」という持って回った言い回しをしているが、これはハマスではなくファタハにパレスチナを任せるよと言う意味である。ハマスにしてもれば最悪の未来図だろう。

パレスチナは一体ではない

しかし、ここで疑問が生ずる。仮に、ネタニヤフ氏の説得が成功してイスラエル側が軍を引いたとしよう。そうすると、パレスチナはこれまでのように自治政府を運営できるのか?果たして、ファタハに、いやアッバス氏にパレスチナを統治する能力が有るのだろうか。という点を考えねばならない。

西岸で反アッバス議長デモ、治安部隊と衝突 ガザ病院攻撃に怒り

2023年10月18日午前 7:47

ヨルダン川西岸の中心都市ラマラで17日、パレスチナ自治政府のアッバス議長に反対する声を上げたり、石を投げた抗議デモに治安部隊が催涙ガスや閃光弾を使用した。パレスチナ自治区ガザの病院が攻撃され死者が出たことで民衆の怒りが沸騰している。

ヨルダン川西岸では数百人のデモ隊がラマラの中心広場をデモ行進。一部はガザを実効支配するイスラム組織ハマスの指導部に対する支持を大声で繰り返した。

ロイターより

何故なら、前述したようにアッバス氏と話をしても、イスラエルで問題を起こしているのはハマスであり、ハマスはガザ地区を実効支配している。ハマスにとって、あるいはガザ地区に住む人々にとっては、パレスチナ自治政府の言うことを聞くメリットがない。

良きにつけ悪しきにつけ、ガザ地区を実効支配してきたのはハマスであり、ファタハではなかったのだ。いきなり自治権を移譲されて、果たして統治が可能なのか。案外、ガザ地区にハマスが引きこもって次の戦争の準備を始めるだけじゃないのかな。指導者たちはガザ地区にいないそうだし。

寧ろ、アッバス氏はヨルダン川西岸地区においても支持を失っていて、西岸地区においてもデモが発生し、暴動に発展している始末だ。

№116 パレスチナ:ヨルダン川西岸地区の壊滅的状況

公開日:2023/10/31

2023年10月7日以来、ガザ地区での戦闘や人道状況の悪化が国際的な関心を集めているが、ヨルダン川西岸地区でも状況が悪化している。同地区では、10月7日以降イスラエル軍がハマースの構成員や支持者を中心に逮捕作戦を進め、2006年のパレスチナ立法評議会選挙後に同議会の議長に選出されたアジーズ・ドゥワイク、同選挙後にハマースを与党として発足した連立政権で副首相を務めたナーシルッディーン・シャーイルらが逮捕された。パレスチナの囚人関連団体が30日に発表したところによると、10月7日以降にヨルダン川西岸地区でイスラエル軍に逮捕された者の数は、1700人近くに上る。また、イスラエル軍の作戦に伴い、ヨルダン川西岸の各地でも衝突や抗議行動が発生しており、PAの保健省は30日の時点でヨルダン川西岸地区での死者数を122人と発表している。

中東調査会かわら版

そうすると、アッバス氏に話をつけたところで意味はなさそうに思える。

スポンサーリンク

外務大臣の上川氏、イスラエルへ飛ぶ

昨日の記事ではあるが、日本の外相、上川氏がイスラエルに出かけていったよというニュースを見かけた。

上川外相 イスラエルやパレスチナ暫定自治区訪問へ 羽田を出発

2023年11月2日 16時14分

上川外務大臣は、イスラエルやパレスチナ暫定自治区を訪問するため、2日午後、羽田空港を出発しました。双方の外相と会談し、事態の早期沈静化などを働きかけることにしています。

上川外務大臣は、2日から今月5日までの日程で、イスラエルとパレスチナ暫定自治区、それにヨルダンを訪問することにしていて、2日午後3時半ごろ、羽田空港を出発しました。

NHKニュースより

上川氏が、イスラエルとパレスチナ暫定自治区そしてヨルダンを訪れる決断をしたことは、個人的には評価したい。日本のスタンスとして誰かの後ろに隠れるのではなく、それぞれの立場を聞きに行くというのはかなりリスクをとった行動であり、それ故にそれで成果を出して欲しいと、そのように願っている。現実は難しいのだろうが。

上川外相、パレスチナ議長と会談 人道支援で意見交換

2023年10月22日09時21分

上川陽子外相は21日(日本時間同)、訪問先のエジプトでパレスチナ自治政府のアッバス議長と短時間会談した。パレスチナ自治区ガザへの人道支援について意見交換し、事態の沈静化と人道状況の改善に向け、緊密に意思疎通することで一致した。

時事通信より

22日にも上川氏はアッバス議長と会談しているのだが、この時も大した成果は得られなかった。間を置かずに、改めてイスラエルに飛んだ理由は、おそらくアメリカの存在なんだろう。

アメリカもイスラエル入り

すでに報じられていることだが、アメリカの国務長官ブリンケン氏もイスラエルを訪問している。

アメリカ・ブリンケン国務長官、イスラエルとヨルダンで「軍事作戦の後」も協議へ

2023年11月3日(金) 06:44

アメリカのブリンケン国務長官は、3日に訪問するイスラエルとヨルダンで、イスラム組織ハマスに対するイスラエルの軍事作戦の後の和平のあり方について、協議していく考えを示しました。

~~略~~

その上で、将来のパレスチナ国家とイスラエルが共存する二国家解決が「依然として最善の方法だと考えている」と話しました。

ブリンケン長官は3日にイスラエルでネタニヤフ首相らと会談した後、ヨルダンを訪れる予定です。

TBS NEWSより

おそらくは、ブリンケン氏が主導して停戦の話をし、復興支援に日本が金を出すよとかそういう話をする積もりなんだと予想している。後述するが、「停戦」だけでなく「人道的停戦」あるいは「一時停戦」のプランも出しているが、これも現時点では有効ではないようだ。

しかし、当のアメリカにも調整能力は無いので、上川氏がアメリカを頼るつもりならば、今回の外交は恐らく失敗するだろう。何しろ、アメリカはイスラエルの肩を持つ存在だから、パレスチナとしては容易に信用ができないのだ。

だから、今回の話、仮に日本がリスクをとってイスラエル入りするのであれば、「アメリカとは違う路線を採るよ」ということを示すべきだ。そうでなければ、わざわざイスラエルまで出向くメリットがない。

しかし恐らくは、アメリカと共同歩調を取るというのが、今回の日本の選択なのだと思う。ベストとは言えないと思うが。

スポンサーリンク

アメリカの狙いの二国家解決とは

今回、アメリカの働きかけでなんか上手く説得が出来たとして、事態が解決に向かうかと言うと、僕の考えではそうはならないと思う。ガザ地区の状況はもはや元には戻らない。そして、パレスチナ自治政府の主軸となるハズのファタハには力がない。

一方で、今のイスラエルを纏める為には、大統領であるネタニヤフ氏の力が不可欠だろうから、ある程度事態が沈静化するまでは退陣させることはなかろう。下準備なしにネタニヤフ氏を取り除くことは、メリットが薄い。万が一排除するとすれば、それはアメリカの提案を蹴って戦争継続を図った場合であり、元首相のヤイル・ラピド氏がアメリカ側に付いた場合だ。

イスラエル総選挙、ネタニヤフ元首相が返り咲きへ 極右の支援受け

2022年11月3日

イスラエルで1日、総選挙が投開票され、復権を目指すベンヤミン・ネタニヤフ元首相(73)を中心とする野党の右派勢力が過半数を確保する情勢となった。

開票率86%で、ネタニヤフ氏が率いる勢力は議会の定数120議席のうち、計65議席を得る見通し。

これまでの開票結果で、ネタニヤフ氏が率いる右派「リクード」は32議席で最多議席の第一党になると予想されている。連携する極右の宗教政党「宗教シオニズム」は14議席で、3番目の議席数になる見通し。

ヤイル・ラピド首相が率いる中道左派「イェシュ・アティド」は、24議席を得る見通し。「イェシュ・アティド」は昨年6月の総選挙で、ネタニヤフ氏を退陣に追い込んだ大連立の中心となった。

BBCより

そもそも、ネタニヤフ氏が首相に返り咲いた背景には極右の宗教政党「宗教シオニズム」の存在があり、イスラエルとパレスチナの和平交渉は行き詰まりが彼らの台頭を招いた。

つまり、ネタニヤフ氏の現在の強硬路線は、この宗教政党の後ろ盾を得たことが大きく、イスラエル国民にとってハマスへのヘイトはかなり高い。

しかしそもそもの失敗は、テロ組織ハマスに自治権を認めてしまったところにあり、アッバス氏を代表とするファタハがパレスチナを代表できていないことにある。それどころか、西岸地区ですら統治が怪しいというのが現状なのだ。

したがって、アメリカがファタハにパレスチナ自治政府としてガザ地区も治めさせるという構想を抱いているとすれば、それは実現不能なミッションとなる可能性が高い。尤も、その辺りはわかった上でアメリカは落し所を見つけるためにイスラエルに乗り込んだのだろう。

しかし何れにせよ、ハマスの駆逐が前提条件となる話だと思う。

ネタニヤフ氏に二国家解決は選べない可能性が高い

じゃあ、地上戦によってハマスを駆逐し、ネタニヤフ氏には退陣してもらってイスラエルに新たなリーダーを迎えることが現実的か?というと、おそらく難しかろう。

なお、これはネタニヤフ氏を擁護する話ではなく、彼も指導者として政策の失敗を認めて退陣すべきではある。が、これまで散々パレスチナ問題で手を焼いてきたイスラエル国民が、果たしてソレを受け入れられるかと言うと、前回、ネタニヤフ氏が大統領退任に追い込まれ、その後、1年間で宥和政策に失敗した事実を考えると、なかなか難しいだろう。

恐らくは、日本人に「もう一度、民主党政権を受け入れろ」というようなものだと思う。

じゃあ、ネタニヤフ氏に大統領を続けてもらって二国家解決を目指せと言ったら、恐らくは其れも出来まい。支持母体を失うことになって退陣を余儀なくされる可能性が高いからだ。

スポンサーリンク

事態は更なる混乱に

レバノン・ヒズボラ参戦

さて、今回はヨルダンにも働きかけをする話になるのだが、これはおそらく過去の実績を買ってのことだ。過去に、PLOはヨルダンに拠点を構えてイスラエルとの戦闘を行っている。つまり、ヨルダンには多数のパレスチナ人が今も住んでいるのだ。そして、イスラエルとの和平条約を結んでいる穏健な国家でもある。仲介役に立つことを期待してのことだろう。

尤も、今のヨルダンにはISIL関連テロ組織が跋扈しているので、かつてのような対応が出来るとは思えないが。

そして、さらに困ったことにこの騒ぎに乗じてヒズボラがしゃしゃり出てきている。

ヒズボラ指導者、3日に演説 10月のハマス・イスラエル衝突以来初

2023年11月3日午前 1:19

レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ナスララ師が3日午後3時(1300GMT、日本時間同日午後10時)に演説することが分かった。10月7日にパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃して以来、初めての公の場での発言となる。

ロイターより

ヒズボラ・イスラエル交戦頻度高まる、米「総力戦の兆候なし」

2023年11月3日午前 6:31

イラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラは2日、イスラエル軍に対し、爆発物を載せたドローン(無人機)などによるの複数の攻撃を行ったと発表した。一方、イスラエルもレバノン南部への空爆で応酬。交戦の頻度が急激に高まっている。

ヒズボラは声明で、イスラエル国内に向けて19件の同時攻撃を開始したと述べた。

ロイターより

バックにいるのはイランだと言われているのだが、ここにワグネルが参加してきた模様。

ヒズボラに防空支援検討か ワグネル、米が警戒と報道

2023/11/3 07:12

米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は2日、ロシアの民間軍事会社ワグネルがレバノンの民兵組織ヒズボラに対し、防空システムの供与を検討していると報じた。ヒズボラはイスラエル軍と戦うイスラム組織ハマスに協力しており、米政府はワグネルの動向に警戒を強めているという。

~~略~~

ワグネルは内戦が続くシリアに部隊を派遣し、アサド政権と協力関係を築いている。

産経新聞より

ワグネルといっても、ロシアからわざわざやってきたというわけではなくって、シリアに駐留している部隊であるとのこと。この情報は未だ確定情報ではなく、アメリカ政府は確認出来ていない模様。

中東戦争の様相に

さて、ガザ地区に隣接するくにエジプトだが、難民の流入に神経を尖らせている。

日本人ら外国籍保有者300人超、ガザ地区からエジプトに退避 負傷者76人は病院に搬送

2023年11月2日

イスラエルによる封鎖が続くパレスチナ自治区ガザ地区から1日、重傷を負ったパレスチナ人76人を乗せた複数の救急車と、外国のパスポート保有者335人が、ガザ地区南部のラファ検問所を通過してエジプトへ入った。ガザ地区の当局が明らかにした。同地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突が始まって以降、地区外へ負傷者が搬送されるのは初めて。

BBCより

外国籍保有者や負傷者などは人道的観点から一部受け容れているようだが、とにかく素性の分からない者を一切入れないという強い姿勢で臨んでいるようだ。

だが、この検問所を武装勢力が突破してきたり、避難者がエジプト側で暴動を煽ったりする様な事態になれば、流石にエジプトも黙ってはいないだろう。

今のところ、全面的な動きにはなっていないけれども、一歩間違えれば凄惨な方向に転がっていく可能性は高まっている。

だからこそ、西側諸国は外交でなんとか停戦に持ち込めないかという画策をしていて、国連でもそのような決議をした。

でも、じゃあどうしたら良いのか?というと、やっぱり当事者を集めて話をするしかないんだけど、そうするとさっきの話に戻ってパレスチナは一体誰が責任を持って治めるのか?という事に行き着いてしまう。正直、アッバス氏には無理だよ。

スポンサーリンク

アメリカ国内の不安定化と多正面作戦

アメリカ共和党からの突き上げ

なお、その中でも重要なプレイヤーであるハズのアメリカが、その内情が厳しくなっていて困った事になっている。これは以前も言及しているが。

米下院共和のイスラエル単独支援案、上院で与野党から疑問の声

2023年11月1日午後 2:24

米上院では31日、ウクライナ支援を盛り込まず、内国歳入庁(IRS)の予算を削減することでイスラエル支援に143億ドルを充てるという下院共和党案を巡り、与野党から疑問の声が上がった。

バイデン大統領はイスラエルとウクライナへの支援、インド太平洋における中国との競争対応、メキシコとの国境警備を含めた1060億ドルを一括で扱うよう求めているが、下院共和党はイスラエル単独の補正予算案を提出した。

~~略~~

また、上院共和党トップのマコネル院内総務も記者団に「ウクライナ、イスラエル、台湾、そして国境、この4つ全てを扱う必要がある」と語った。

下院では共和党が早ければ今週中にも今回の案を可決すると見込まれている。

ロイターより

共和党は、「そもそもウクライナの事案とイスラエルの事案はわけて考えろ」「パッケージにするな」とお怒りである。ウクライナが思った以上に進捗が宜しくないことも影響しているのだろうが、ここのところ劣勢になりつつあるのはイスラエルの事態が影響している可能性が高いのだから困ったモノである。

だが、共和党の言うような4つの事案全てを処理する能力は、アメリカにはない。精々、今のイスラエル問題を真っ先に解決し、その合間にウクライナの手助けをというような状況であろう。更に、国境問題はまさにバイデン政権の失策なので、これも何とかしないと国内が更に荒れるという何とも不味い状況になっている。

なお、台湾問題にはフィリピンが絡んできて、最近ではマレーシアも絡んできている。

岸田首相 フィリピンとマレーシアで首脳会談へ 羽田空港を出発

2023年11月3日 11時45分

岸田総理大臣はフィリピンとマレーシアで首脳会談を行うため、先ほど、現地に向けて出発しました。これに先立って岸田総理大臣は記者団に対し、両国の首脳との会談で自由で開かれた国際秩序の維持に向けた連携を確認する考えを示しました。

岸田総理大臣は3日から3日間の日程で、フィリピンとマレーシアを訪問し、それぞれ首脳会談に臨むほか、フィリピンでは議会で演説などを行う予定で、午前11時すぎ、政府専用機で羽田空港を出発しました。

NHKニュースより

だからこそ、岸田氏はフィリピンとマレーシアへ歴訪するという運びになっている。記事にもあるが「自由で開かれた国際秩序の維持」という文脈で話をしている以上は、安倍晋三の描いたFIOPのベースに乗っかっているのだろうが、アメリカがこの件で動けないので、「行ってこい」と言われた可能性が高いと僕は睨んでいる。

つまり、アジアの問題は日本に「何とかしてくれ」と、なっている可能性は高い。

ロシアもコントロールに腐心

なお、この状況を喜んでいるであろうロシアではあるが、事態が進んでしまうことは望んでいないようだ。

イスラエルのシリア攻撃「容認できず」、ロシアがシリアと外相会談

2023年11月1日午前 10:49

ロシアのラブロフ外相は31日、シリアのメクダド外相と電話で会談し、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの戦闘について協議した。ロシア外務省が明らかにした。

ラブロフ氏は「パレスチナ自治区ガザを取り巻く情勢を受けてイスラエルによるシリア領内への攻撃頻度が増しており、こうした攻撃は容認しがたい」と指摘。「外部の勢力が中東を地政学的な決着の場としようとすることの危険性」を強調した。

ロイターより

ロシア外相のラブロフ氏だが、「イスラエルがシリアに攻撃していてけしからん」などと発言している。

しかし、シリアからミサイルが飛んで来たりイランの支援の中継をしていたりするので、狙われるのは仕方がない面があるし今に始まった話じゃないんだよね。

彼がわざわざこんな発言をした理由は、中東の火種がこれ以上燃え広がるのを止めて欲しいという意図がありそうだ。適当に長引いてくれると都合が良いのであって、燃え広がってイスラエル方面に戦力を割かねばならないようになると、流石にロシアとしても苦しい。

そうすると、一体誰が状況を整理できるんだ、という話になってしまう。

国際政治においては、こういったややこしい背景を抱えながらも、それぞれの立場で納得できる落とし処を探るという気の長い作業が必要なのだが、私心を捨てて調停できる人物が中心に座らないと、それもまた困難な話である。

「誰がそれを出来るんだ」という話になってしまうが、まさか色気を出していた習近平氏にはとても無理だし、アメリカもロシアも出来そうにない。日本にだってそんな人材はいないし、ヨーロッパが首を突っ込んでくるとむしろ話は拗れるだろう。

人道的な観点とか、そういうのは今は割りとどうでも良くって、なんとか穏当な解決に向けた動きが出てきてくれることこそが求められていると思う。

停戦を断るネタニヤフ氏

残念なことに、時間の経過とともにガザ地区の状況は悪化している。

「停戦」と「人道的休戦」は何が違う? イスラエル・ガザ戦争

2023/11/03

イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの紛争をめぐり、「停戦」や「人道的休戦」を訴える声が広がっている。

国連や人道支援団体、中国やロシア、スペイン、アラブ諸国などは「停戦」を求めている。一方、アメリカやイギリスをはじめとする多くの西側諸国は「人道的休戦」が必要だとしている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「停戦を求めることは、イスラエルにハマスに降伏しろと言うのと同じだ」として、現時点ではどちらの提案も受け入れていない。

BBCより

前述したように、ネタニヤフ氏にとって停戦は敗北である。恐らくは、彼の支援をした過激な宗教政党「宗教シオニズム」などの極右勢力に支持される以上は、「停戦」も「人道的停戦」も受け入れ難い。

アメリカなどが言い出している「一時停戦」「人道的停戦」というのは、一時的に戦闘行為を凍結させて、民間人をガザ地区から避難させることのようだ。

だが、ハマスにとっては「肉の盾」が減ることを意味するので「一時停戦」「人道的停戦」は受け入れられないし、そもそも彼らは人道など気にしていない。そしてクドいほど前述したが、アッバス氏やファタハに話を通したところで意味はない。

一方のネタニヤフ氏も受け入れられない理由は書いたが、アメリカなどの支援を受ける意味で「一時停戦」「人道的停戦」については検討の余地があるとは思っているだろう。だが、イスラエルにとって致命的なのは、テロリストが紛れて出てくることで、これまで散々甘い政策を続けて失敗し続けた経験に基づけば、決断はそう簡単ではないはずだ。

中東の紛争拡大警告 イラン外相、ハマス指導者と会談

2023年11月01日05時12分

イランのアブドラヒアン外相は31日、カタールの首都ドーハで、イスラエルと交戦するイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏と会談した。イラン外務省によれば、アブドラヒアン氏は「シオニスト政権(イスラエル)の戦争犯罪が続き、戦争の範囲が広がれば、その結果に影響されない当事者はいないだろう」と指摘。

時事通信より

このハマス側のトップ、話が通じる相手ならいいんだけど、なかなかそういう感じじゃないしね。

ハニヤ氏はアメリカからテロリスト指定をされているので、そもそもテロリストと交渉をしないという政策を取っているアメリカや西側諸国にとっては交渉相手にならない。

そして、ハマス幹部はガザ地区で暮らす人々と違って、世界中のイスラム教徒から支援を得られる立場に有るらしく、かなり裕福な暮らしをしているそうな。オイルマネーも彼らにとっては味方のようで。何より、彼らにとって守るべきはパレスチナ人の平和ではなく、自分たちの立場である。

最大の問題は、ハマスが自治組織ではなく単なるテロリストネットワークになっている点だ。おそらくだが、ガザ地区で殲滅戦をやってもテロ組織が壊滅することはないだろう。

とまあ、残念なことにこうした状況を調べても調べても、解決に至るような緒は見えない。長年縺れてしまったイスラエルの問題は、僕にとってはどうやったら解決するのかすら良くわからない話なのである。

追記

なんというか、他力本願なことではあるが外務大臣に「もっと頑張れ」とエールを送りたいところですな。

上川氏、戦闘休止訴え イスラエル、パレスチナと外相会談

2023年11月03日23時18分

上川陽子外相は3日(日本時間同)、イスラエルを訪問した。テルアビブでコーヘン外相と会談し、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘休止を求めた。その後、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラに入り、自治政府のマルキ外相とも面会した。日本外務省が発表した。

時事通信より

まあ、そうそう上手くいくとも思えないんだけど、イスラエル外相のコーヘン氏とパレスチナ外相のマルキ氏との会談は終わったようだ。

上川氏はコーヘン氏との会談で、ハマスの攻撃を「テロ」と非難。ガザの緊張緩和に向け「(戦闘の)人道的休止が必要だ」と訴えた。国際法に従った行動の重要性も併せて伝え、邦人の安全確保に協力を求めた。コーヘン氏からは日本の連帯に謝意が示された。

マルキ氏とは、事態の早期沈静化と人道状況改善に向けた連携を確認した。上川氏は、パレスチナに対し、約6500万ドル(約97億円)の追加人道支援を行うと説明。国際協力機構(JICA)を通じた支援物資の供与も表明した。

時事通信より

コーヘン氏からは、「日本の連帯に謝意が示された」などと言われているが、パレスチナにお金を出してもガザ地区にいる人々を救うってことにならないことが問題なんだよね。

まあまあ、予想通りの展開ではあるのだが、なんというかこれで帰ってきたら、上川氏は何のためにイスラエルまで行ったのやら。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    ネタニヤフ氏を退陣させるか否かの前に、それは木霊様の仰るように無理と思います。やれるとしたら「暗殺」などの非合法手段しかない。それやる覚悟ある国は無いでしょう。
    と想うのは、ネタニヤフ氏の履歴を調べて感じた事で。彼はハイジャック鎮圧作戦に従事した元特殊部隊員であり、その兄もウガンダのエンテベ空港でハイジャッカーとの戦いで戦死してる。それが政界入りした理由とも述べていて、ガチの信念で「パレスチナ問題の根本解決」を
    神より与えられた使命と確信してるぽい人物です。従って米国の圧力があっても、
    停戦には応じないだろうし退かない。
    そして戦時下のトップ交代は、一次大戦のロシア革命のようなケースしか歴史上存在しません。このケースにイスラエルは相当しません。
    また停戦後のガザ地区をどうする?問題は木霊様の言う通り。託される側に力量が無い。
    シオニスト側も、米国の福音派も聖書を基にして、「約束の地」と捉える原理主義者で、理屈は通用しない。
    正直、打つ手は無いでしょう。残念。

    何か妥協できる余地が生まれるとしたら、既に先進国で迫害されない生存が保証されている非イスラエル人のユダヤ系がそっぽを向いて、イスラエルという国の存続が危うくなった時でしょう。
    先進国に住むユダヤ系の人達にとって、
    ハマス殲滅は良いとしても、それにより
    米の公民権運動まで存在したユダヤ系差別や、その根底にある反ユダヤ思想が再燃する事の方がイスラエル消滅より怖いと思うので。その時はあるかも知れない。しかし、「それ」が起こり得るとしたら、ネタニヤフ氏が米国の提案を蹴って、相当な双方の被害の上に、紛争が中東全域に拡がった時でせう。そうなると、そもそも解決は不可能とも思える。
    やはり打つ手は無いと……

    • 木霊 木霊 より:

      このネタは行くも地獄引くも地獄。
      そもそも見上げている空が1つ、という話にならないところが問題だと思いますよ。
      目指しているゴールが同じなら、未だすり合わせようがあると思うんですが、彼らの幸せは他方の排斥によってしかなし得ないと「信じている」、そういう信仰であるように見えます。
      ガザ地区を巡る争いの始まる前に戻っても、イスラエルとパレスチナの間のこじれた関係がある以上はどこかで似たような事態を引き起こしたでしょうし、ガザ地区を磨り潰して終戦しても禍根を残す。逆にハマスの台頭を許してイスラエルの国土が削られる結果になったにせよ、争いは発生したでしょう。
      どちらにも正義のない争いというのは、何ともやりきれない話ですな。

  2. アバター 砂漠の男 より:

    そもそもネタニヤフ氏はこの修羅場を計画していた節すらあるし、ハマスに拉致された人質を解放するとか、ハマスが病院地下に立て籠もっているとか、病院車両はハマスの移動手段だとか、戦争中なのでイスラエルはどんな建前もケチもつけることが可能。
    イスラエル軍のガザ逆侵攻にも計画的とみえる動きが多く、どうやらガザ地区を分割して、まずは北側の1/3を完全占領する腹にみえる。ハマスの駆逐といいながら、イスラエルの戦争目的はガザ地区消滅にあるような気もしてきた。
    ガザ市民を南部に強制避難させているけど、最終的にエジプトに押し込むつもりかな? エジプトは抵抗しているけど。

    • 木霊 木霊 より:

      ネタニヤフ氏がそこまで計画していたかどうか、僕は怪しいとは思っています。
      ですが、今の路線は正にガザ地区でハマスをすり潰す方針ですね。避難勧告とか色々やっていますが、まあ、強硬路線を止めるつもりはなさそうですよ。

      エジプトとしてはポーズだけでも「断固移民受け入れ反対」を唱えないと、国内が混乱します。
      テロリストが入国するのも勘弁して欲しいでしょうし。ただ、エジプト側もなんやかや理由をつけて、入国させる方向になる気がします。

      • アバター 砂漠の男 より:

        FOXの現地レポーターは、イスラエル空軍が包囲されたガザ北部エリアに多数のバンカーバスター弾を撃ち込んでいると伝えている。理由は明らかだけど、イスラエル軍は人質救出より、ハマス攻撃を優先しているようだね。
        エジプトがガザ地区とのラファ検問所を再開したらしい。避難民の入国を認めたようだ。どうやら米国が資金提供するらしい。エジプトはこれから大変だね。

  3. アバター 河太郎 より:

    とうとう核保有を公言しちゃいましたね。いくら文化遺産相といえ閣僚が、
    「核カード有るぞ」と公言しました。
    ネタニヤフ失ってるは慌てて否定した。
    でも今さら「無い」は無い。
    公然の秘密でしたが、イスラエルが沈黙してきたのは、もちろんパレスチナ相手ではなく、周辺のアラブ世界にプレッシャーを掛ける為だと想う。沈黙してるのが圧力になりますから、逆に手を出しにくい。それを公言しちゃうと言う事は、
    存亡の危機と感じてるのでしょうね。
    もう先進国に住むユダヤ系にとっては、迫害され生存危機になる可能性は0です。
    彼らにとっては、イスラエルのやり過ぎが原因で、再び反ユダヤ思想が再燃する方が迷惑でしょう。
    若いユダヤ系がデモやり出したのって、そこなんだと想うんですよ。だから少数派とはいえ深刻な話なのと解釈してます。
    やり過ぎるとイスラエル離れがユダヤ系で拡がり、どんどん国際的に追い詰められる。木霊様の言う通り、行くも引くも地獄という訳で。英国の言う分も「おまいう」ですが。
    だからってパレスチナ国家承認となると、ヨルダン川西岸や東エルサレムは手放さざる得なくなる。
    エジプトにシナイ半島をパレスチナに明け渡してくれ…というのが本音でしょうけれど、それエジプトが譲るかな?
    英米からパレスチナ国家樹立の話が出ている事から、ゴネると想うんですね。
    だってシナイ半島にはイスラム同胞団とかの残党がいる訳でしょう?
    なんで我が国がイスラエルの尻拭いせにゃならんのだ!ってなる。
    相応の「見返り」を要求するでしょうが、ウクライナ支援すら危ういバイデン政権にそれを提示できるか?言うと無理と想うんですよね。
    あとトランプ氏、老獪ですよね。
    もともとエルサレムに大使館を置いたり、火種を作ってきたの彼なのですけど。
    福音派のご機嫌取りで利用してきた。
    なのにダンマリを決め込んでる。

  4. アバター BOOK より:

    木霊様 皆様 おはようございます。

     正直、落としどころは、思いつきません。不完全でも何等かの方法が見つかると良いのですが。。。

     なので、防止策について。やや強引に解釈しますと私から見てネタニヤフとハマスは陣営が逆なだけの「同じ穴の狢」ですよね?

    共通項は「極右・ポピュリズム」。。。最近良く聞きますね。欧米諸国で広がっている。 

     このイズムが広がっている理由は「環境主義」「人権主義」政党の原理主義化による移民・エネルギー問題の大破綻の反動という説が説得力ある。
    (https://www.gepr.org/contents/20230126-01/
     にある、書籍引用部分だけ拾い読みで十分)

     ここからパレスチナ・イスラエルについてはBOOK私見ですが、

    「ヨルダン川西岸(パレスチナ自治区)へのイスラエルの強引な入植」がパレスチナ人の不満を増殖させた。と言われていますが、
     なぜそうした強引な政策を取る政党が政権取れたのでしょうか?

     以前パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸&ガザ)の人口増加が異常だ(第1次中東戦闘終結後、5倍ぐらい)ガザは詰め込まれたから過密なのじゃなく、人間増えて過密になったと思われます。戦乱の地で出生率が高くなるのは自然な現象ですが、人口増えるのは異常。ましてガザの人口密度、ろくな産業ないのに養える人口じゃない。これ誰が「無分別に養ってたの?」(ちゃんとした検証なし、、どなたか知りませんか?) 

     大量の移民・民族移動ってのは非常に古典的な侵略で、人口変動ってのはそれだけで兵器になります。今・欧米がかかえる移民問題ですね。
     このタイプの侵略のやっかいな点は、移民・民族移動が目的で、侵略は副次効果であることです。

     この侵略被害はキレイゴトでは解決できない! 自分達の生存を守れ! ってのが欧米「極右・ポピュリズム」政党が支持を伸ばした原因で、イスラエルについては移動こそなかったが異常な人口増大が欧米よりずっと早く起こった故のネタニヤフなのではないでしょうか?

     結局防止策として、原因は「無分別な援助」によるパレスチナ人口爆発 ≒ 移民問題と同じ

    これがもし正しければ、第2第3のハマス・ネタニヤフは、次は欧米、その次は日本に現れる。

      (p.s. 宗教のせい、とするのは、宗教に責任転嫁した目くらましに騙されてる、と感じてます)

    • アバター 河太郎 より:

      反論あり!
      宗教に責任押し付けて目眩まし……
      そもそもその「宗教をガチで信じている人間の存在」や「ガチじゃないけど文化的な価値観として賛成してる人」がいない限り「目眩まし」は成立しませんね?
      宗教てのを日曜日には教会やシナゴークに行き、禁忌を護り……みたいなガチ勢だけのものと考えてませんか?
      なら、「宗教問題にしたくない奴ら」の思う壺に乗ってますよ!
      日本人はヤマト王権の由来が何であれ、天皇家の前に出雲王朝が存在してようと、今さら皇室への敬意を忘れませんね。にも関わらず箸墓古墳の発掘を宮内庁は認めない。あそこで出てくる物次第で記紀いらいの皇室の正当性が揺らぐ危険があるからです。
      ご自分が意識的に論理的に生きて行動してらっしゃるからと言って、他人、大多数も同じと思うのは落とし穴すよ。
      本当の宗教勢力とはイメージなんすよ。
      お正月に初詣してお盆に茄子の馬を送るのに「理屈」いります??
      EUにしたって「キリスト教圏」てある種の「幻想」でまとまってるでないすか。
      でなきゃトルコを受け入れてますよ。
      んで、その宗教とかがベタに背景や土壌に溶け込むくらいになってると、いちおう「正当性」を主張せざる得なくなる。
      この正当性てのがどの宗教でも怪しいのですな。ふっちゃけBOOK様は「十字架はキリスト教のシンボルでない説」知ってます? あるんですよ都市伝説とかでなく立派にアカデミズムにね。
      仔細は省くが、初期フランク王国の殉葬で家臣が十字架で殉死する風習があって、それをローマ教会がフランク族への宣教の為にパクったって話です。
      それってクリスチャンにとってはヤバくありません?? どの宗教もシオニスト運動みたいな原理主義で掘ってゆくと、そういう信仰を根底から覆しかねない闇を持ってるものなんですよ。
      なので、基本的はシンプルに「奴らは我々とは違う」を吹聴するもので、それを利用する側は深く掘って欲しくない!
      たからイメージなんです。
      お地蔵さん蹴ったり、お賽銭を盗んだりしませんね。普通の人は。
      その普通の人を形成している「敬意」って何です? 文化的に刷り込まれたイメージでしよう??
      でも、そこ利用している以上は宗教問題だし、それたけ広く膾炙されているイメージとは長年の蓄積によるもので、一つ一つは薄ペラでも、重層的な岩盤なんです。そこ貴殿は勘違いしてますよ。
      合理的に考えると格好良いのかも知れませんか、現実の世の中は浮動票層のような無意識的な波で動いてる。
      あと、宗教問題でないと仰るならば、
      じゃ、米国の福音派とイスラエル支持の関係をどう説明するんです?
      有権者の25%以上の福音派は、「聖書にカナンの地を神が(ユダヤに)与えた」という記述のみで、イスラエル支持している超党派だ。(福音派は複数の宗派の寄り集まり)彼らは赤い米国つまり、人口の密集してない「65%の米国」の田舎に住んている。中東の事なんか関係ない。
      つまり利害関係にない!
      でも米国の大統領選挙の帰趨を決める勢力であり、政治的な力を持つ。
      なんでネヴァダ州の田舎の親父がイスラエル支持せにゃならんのです??
      貴殿の理屈では説明できませんね。
      話が逆なのでなく、貴殿の理知的な考察か、宗教勢力の現実と乖離してるんてすよ。それ以外では、ほぼ正解なさってると思うし、ガチで凄いと感心してますがね。でも頭の良い人に特有の、自分と同じように他人(特に知的でもない人)も合理的に考えるものだ!という観念に囚われ過ぎているとしか思えません。

      • アバター 河太郎 より:

        そうそう「宗教問題にしたくない人々」が何者なのかいい忘れてまさた。スバリ欧米のリベラルですよ。
        彼らはこの戦争を「文明間の戦争」にしたくない!!
        それで落とすと移民におけるリベラル勢力と保守との抗争に関係してくる。異文明間の戦争とすると、異なる価値観の断絶を肯定する事になり、「人類に普遍の正義があり、それは平等とリベラリズムだ」という彼らの掲げる旗を下ろせざる得なくなる。だから「宗教問題」にしたくないんですよ。まぁメディアの大半はリベラリズムで、異なる意見はキャンセルカルチャーで社会的抹殺くらうので、そこに乗るお気持ちは理解しておるつもりですが。

        • アバター 河太郎 より:

          正直、信仰を持ってきた事を、 情弱や低能な非科学論者あつかいされてるようで不愉快極まりないです。

  5. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    「宗教は麻薬だ」(仔熊のミーシャ@エロイカより愛をこめて)

    パレスチナ問題に限りませんが、問題なのは、問題が一つじゃない事だと。
    一つ一つほぐしていかないといけないけど、根源が過去にある場合はもうどうしようもなかったりもするし。
    一つほぐしている間に別の問題が発火したりするし。
    (「ときメモ」の爆弾処理みたい……)

    どこかで、双方が「水に流して」未来を向く、どんなに恨みがあろうが、辛かろうが、子供達の未来のために、大人が涙をのんで、歯を食いしばって耐えるしかない。
    自慢じゃ無いけど、それが出来たのって、近代史で戦後日本だけじゃないかって気がしてます。
    ※そして、その成功体験から、アメリカは色々間違いを起こし続ける……

  6. アバター anna より:

    前回、ネタニヤフ氏が大統領退任に追い込まれ、その後、1年間で宥和政策に失敗した事実を考えると、なかなか難しいだろう。

    何を根拠に融和政策が行われたと断言するのですか?半年間首相を務めたベネットが所属するヤミナはパレスチナ国家に反対・入植地拡大・占領地の併合を主張している極右ですよ(ネタニヤフですら二国家解決を公式に否定したことはない)、ラピドは中道ですが入植地拡大の決定に公には反対しなかった(右派政党が連立から離脱すると政権が崩壊する)、ネタニヤフの退任によって対パレスチナ政策が融和的になったという具体的例は何ですか

    イスラエル政府、ヨルダン川西岸の入植地拡大を決定 米国は反対
    https://www.asahi.com/articles/ASPBX7GBJPBXUHBI023.html
    イスラエルのベネット政権は27日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区での入植地の拡大を決定した。

  7. アバター anna より:

    汚職の蔓延などファタハが支持を失いハマスが台頭した理由は様々あると思いますが、ファタハの政治エリート達が対話による解決を主張している間、入植地は着々と拡大して既成事実化しました。
    ファタハ自治政府がイスラエルに対する過激な抗議活動は取り締まる一方で、武装入植者やイスラエル軍が自治区で我が物顔で活動することには何も出来なかったことに対する民衆の不満や失望は大きいと思います、2006年にハマスが選挙で勝利した時もハマスはファタハは口だけで何も出来ないと大々的に批判していました

    イスラエルとパレスチナの現状と今後
    https://www2.jiia.or.jp/pdf/research_pj/h25rpj04/20150311_tateyama_report.pdf
    特にパレスチナ側で悲観論が拡大している大きな要因は、ヨルダン川西岸と東エルサレムにおけるイスラエルの入植活動である。西岸の入植者数は 1993 年の 11 万人が 2013 年には 35万6500人と3倍以上になった。もし同様な増加傾向が続けば、2033 年の入植者数は98万 6000人に達する

タイトルとURLをコピーしました