ちょっと面白いポストが晒されていたので、ツッコミを入れておこう。
何この人、自爆するのが趣味なのかな?そのうち背景情報が付くんじゃなかろうか。
事実誤認が大半
閔妃暗殺事件
さて、面白かったので少しツッコミを入れていこう。
なお、僕の調べた内容が真実とは限らないのだけれど、概ね正しかろうという内容を集めている。また、主観に基づく判断はなるべく排除したつもりだ。
最初の大韓帝国の暗殺された「皇后」とやらは、李氏朝鮮の第26代王・高宗の妃で、明成皇后(閔妃)と呼ばれる人物のことだと推察される。調べて見ると他にも暗殺された王族はいるらしいのだが、日本人が関与している可能性があるのはこれだけ。
で、その閔妃だが、国王の正妃として強い権力を持ち、国庫から浪費して贅を尽くした人物だと知られている。そして、高宗が愛人に産ませた長男・完和君を疎んじ、自身の子である李坧(純宗)が世継ぎとなるように、宗主国の清に賄賂を贈って柵封してもらうことに成功。そこからドロドロの世継ぎ争いに突入していく。まあ、朝鮮半島に限らず王族の跡目争いで骨肉の争いとなるのは割と良くある話ではある。
閔妃と争っていたのは、完和君の祖父に当たる人物・大院君(興宣大院君)だ。閔妃を中心とした閔氏一族と、大院君を中心とした李氏の一族(前王の直系ではない模様)の争いという構図だったようだ。お互いに刺客を出して一族に纏わる人物などを暗殺しまくるという李氏朝鮮では割とよくある光景となり、次第に大韓帝国そのものを傾かせていくことになる。なお、どちらの勢力も酷いことをやっているので、どちらが正しかったとも言い難い。というか、国王だった高宗の影が薄いんだがどうした?
そして、日清戦争(1894年~1895年)で日本が勝利すると、日本の後ろ盾を得た大院君はその勢力を増し、ついに乙未事変(1895年10月8日)が勃発して閔妃は命を落とすことになる。
この時の犯人の一人が禹範善という大韓帝国の武官だといわれているだが、複数の人物が実行犯であったようだ。そして、計画立案したのは在朝鮮国特命全権大使であった三浦梧楼と福沢諭吉の書生であった岡本柳之助らだったとされている。その実態は、岡本が用意した「国太公告論文」と呼ばれるクーデター布告を大院君が承認して実行したという流れであったため、「日本人に殺害された」は間違いと言わないまでも、あくまで首謀者は大院君だとするのが妥当だと思うので、「閔妃は勢力争いに敗れて暗殺された」「日本人も関与した」程度が正しい内容だと思う。
伊藤博文はテロリストで暗殺者?!
さて、日本の初代総理大臣は誰か?といえば、伊藤博文であると、そのように日本の歴史を学んだものであれば答えるだろうし、その伊藤博文がテロリストによって暗殺されたことも有名である。
しかし、その伊藤博文が「テロリストで暗殺者だった」とは一体……。彼の言によれば、幕末にそのような立場だったとのことだが、それはおそらく伊藤博文自身が尊皇攘夷運動に参加していた辺りのことを指しているのだろう。
長州藩で下級武士の身分を得ていた若き伊藤博文は、吉田松陰の私塾である松下村塾で学んでいる。吉田松陰は倒幕運動を画策していたが、実行する前に幕府に捕縛された。一方の伊藤博文は藩命によってイギリスに留学した後、帰国。そして、高杉晋作の起こした功山寺挙兵に参加している。功山寺挙兵はクーデターだと言えるが、クーデターに参加したら暗殺者とかテロリストに認定されるかと言うと、それは違うだろう。クーデターは権力争奪であって、言わば支配階級内部の内紛程度の話で、大勢の無実の人々を巻き添えに恐怖を拡散するテロリズムとはその性格を異にする。クーデターに関わったら暗殺者認定されるのもどうかと思う。
町山氏は違いの分からない男らしい。
乃木将軍は奥さんを無理心中で殺害?!
さて、次。
日本軍には立派な功績を残した軍人が数多くあれど、乃木希典もそのうちの一人に数えられるだろう。
日清戦争での武勲や日露戦争での功績は、比類なきものとして扱われているし、台湾の総督を務めるなど、数多くの功績を残している。ここでは割愛するが、なかなか高潔な人物であったようだ。
また、昭和天皇の教育にも携わった人物だと知られており、その人格形成にも多大な影響を与えたとされている。
しかし、彼の人物像に対する印象を決定づけているのは、彼の最期が壮絶だったことだろう。時は大正元年(1912)9月13日。しめやかに執り行われた明治天皇の大喪の礼の影で、同日20時頃に、妻・静子と共に自刃して殉死している。彼の検視をした岩田氏は、遺体の状況などについて、詳細な報告書を残している。それによれば、妻静子が自刃したのを見届けて、自らも日本軍刀を用いて絶命したと記されている。
なお、乃木希典の遺書には「遺書に記載されていない事柄については静子に申しつけておく」旨の記載があり、遺書をしたためた時点では妻の静子を道連れにするつもりが無かったことが推察される。
よって無理心中でもないし、殺害もしていない。完全なデマだな。かなりの悪意を感じる。
関東大震災で朝鮮人虐殺
さて、次。
この関東大震災(大正12年:1923年9月1日に発生)時における朝鮮人虐殺については、諸説ある。しかし、暴動絡みで亡くなった朝鮮人がいた記録は残っているので、「虐殺がなかった」とは誰も言わないだろう。虐殺と認定出来るのかは議論の余地はあるが、そういう見方が可能である点は否定できない。従って、ここはデマではないと思う。
これについては別の記事でもう少し多面的に言及しているので、興味があれば一読いただきたい。
とまあ、当時の時代背景があって悲惨な結果を産んだのだろうと予想される事件ではあった。だから、背景情報を無視して朝鮮人に対する虐殺だけを殊更取り上げることは、誤解を招く。意図的に偏向する意図があるのかもしれないが。
例えば、その時期には不幸にも支那人も殺されているし、日本人も殺されている。震災前も社会情勢は極めて不安定であった。また、事実関係を調査することは、すでに100年の時が流れているのだから困難ではあるが、教訓としては残しておくべきだとは思う。ただ、それが日本人の残虐性を示す事案などととの取り上げ方は不適当であると僕は思う。
朝鮮は日本の植民地
で、次。
「朝鮮は日本の植民地であった」については、議論の余地があるものの、事実に即している。確かに一時期日本が朝鮮半島を併合していた時期があって、これは日本の歴史における大きな汚点であったことは間違いがない。
例え、自国の経営に行き詰まった大韓帝国が「属国にしてください」と頼んできていたとはいえ、併合が適切であったかということに議論の余地はあるのだ。初代の韓国統監となった伊藤博文は、最後まで併合に反対をしていた。しかし、伊藤博文が朝鮮人テロリストに暗殺されることで、この併合は決定的なものとなる。
この件は、大韓帝国の自業自得といった面があるのは事実だ。しかし、「植民地だった」という認定が正しいかは議論の余地がある。確かに、主権は日本にあったのだから植民地的な面があったことは事実だが、そもそも当時の植民地とは主権国家が搾取するための場所であって、搾取どころか多額の資金を投入して開発を行うような事は他にはないのだ。あ、台湾はソレにカウントしても良いかもしれないが、台湾も日本の統治下にあった国だからねぇ。
日本によって解放されたアジアの植民地はひとつもありません
最後のこれだが、コレは字面通りの意味なら本当だ。
日本はアジア各地の植民地政策に対して反対し、日本軍を派遣して植民地政策を推進するイギリス・フランス・オランダなどの国と対峙する結果となった。しかし、各国が植民地から脱する切っ掛けを作ったのが日本軍であったとしても、自国を取り戻すために各国の人々が戦って自由を勝ち取ったのは事実であって、「日本が解放した」国は1つもない。
日本軍がその地域を占領し、駐屯するような事態になっていた時期はあるのだが、それは植民地解放とは呼ばないしね。
しかし、インドの独立に関しても、フィリピンの独立に関しても、インドネシア独立に関しても、日本の軍人あるいは軍人だった人々が手を貸している。そのことを感謝されているのもまた事実なのである。
コメント
こんにちは。
この人、迷惑系Youtuberと同じというか、某有名高校出身の芸人と大して違わないですよね。
この手の「かまってちゃん」は、放置が一番効く、のですが……
煽られ耐性の低い似非国士様達は、すぐに徴発に乗っちゃうんだよなぁ……
木霊様みたいに理路整然と反論するのは、絶対にあっちは読まないでしょうし。
炎上商法も困ったものです。
>国王だった高宗の影が薄いんだがどうした?
一瞬、ピョートル三世とどっちが無能?って思いましたが、改革しようとしたピョートルと比べたらあまりに失礼かと思い直しました。
仕方ないので、高宗の丞相に近衞文麿を、軍事指南役に辻政信と牟田口廉也を付けましょう。
これで最強!
素人に突っ込みを入れられるようでは、未だ未だです。
放置しても良かったんですが、折角なので、これを起点に整理し直してみようかと。
投稿した本人にとっては、炎上して「してやったり」と思っているかも知れませんね。
あと、高宗ですが、とりたてて特筆することのない凡庸な人物だったようですね。正妃の閔妃のほうが余程キャラが立っています。物語としては閔妃を主人公にした方が映えますね。悪役令嬢モノもなろうでは人気がありますから。え?本物の悪人はうけない?そりゃそうかもしれません。
……近衛文麿、牟田口廉也は卑怯では(笑)
あと、つじーんは、人間性が欠落しているだけで有能な上官ですよ。きっと……。最恐ですかね。
辻評価ですが、参謀、作戦家としては前線に出てきて銃傷を負ってるくらいなので失格! お前が倒れたら誰が作戦を立てる??
んが、少なくとも頭脳明晰で度胸があり、魅力ある人物であったは確かです。「潜航三千里」を読んでますが、ビルマ・タイから雲南経由で中国、そして日本へ逃れる姿は、話半分にしても胆力と頭脳と体力ないと無理。なにより何度もこないだまで敵だった国民党軍に助けられ、連合国傘下になった国の人に助けられ、
日本では国民作家(宮本武蔵の吉川英治)にGHQから匿われ……
はっきし言って魅力や行動力、頭脳が伴わない「無能で嫌な奴」なら、
とっくに埋められるなり、沈められるなりで日本の土を踏めませんでしたよ。その辺りは牟田口と一緒は少し可愛そうかな。牟田口は無能だけど。辻は優秀だし魅力あるんだけど、思慮が足らないんですよ高IQの割には。先も言うようにノモンハンで参謀という立場で最前線に出て銃傷を負ってる。それは安全な場所で兵を死地に行かせるだけのエリートより、少なくとも胆力はある!!
んが、そもそも指揮官でなく参謀の彼が弾傷を受傷する程に前線するのは、どう考えても思慮が足りない!
だって彼が戦士したらリカバリーが効かないもの。作戦の神様とかでなく、古代とか中世の、源平やバイキングの戦士だったら似合ってたタイプかも知れませんね。
牟田口は問題外!
なるほど、河太郎さんは辻評価はそこそこ高いのですね。
辻は前線指揮官向きで、作戦参謀にすると暴走する傾向あり、という風な評価であります。
そんなわけで、牟田口に並べられると流石に(苦笑
辻はまあ、実行力というか、爆発力はあったと思います。
革命家か活動家向きですよね、先頭に立つあたりが特に。
と言うわけで、では、代わりに海軍から「福留繁」など如何でしょうか?
……ろくな人材いねーな、帝国陸海軍……
何というか、福留繁、僕は寡聞にして知りませんでしたが、スゴイの出してきましたね。
Wikiを読む限りお勉強は出来たかも知れませんが、人の上に立ってはダメなタイプですよね。
こんばんは。あー、この変なオッサンですか……私も妻に言わせりゃアレだけど、
別に炎上目的の嘘並べませんからねぇ。
んで、ミン后殺害に関しては前90年代にかなり詳細なレポート読んでるのですが、関与したとされる日本人は、いわゆる民兵・壮士であって日本帝国政府の者ではなかったはず。また木霊様も書いてるが、ミン妃と対立する李家王族もいて、それらと東学党と呼ばれる革命勢力(李朝は腐り切っていた)の三つ巴があって、日本の壮士は革命勢力側についた人も多いんですよね。中国なんかになると、孫文の組織に加わり同志を逃す為に殿を引き受け、清朝との銃撃戦で死んだ日本人の像を未だ残してる。そういう敵ながら認めるべきは認める腹の深さがないんですよね半島は。そこに嘘を塗り固めるでしょ? それをマトモに受けて一次資料の如く発信するのって、「都市伝説系YouTuber」と同じでは?
伊藤博文ですが、私の祖母が伊藤氏の孫娘と女学校の同窓だったんです。
んで、まぁ幾つか聞いてるのですが、やはり維新回天は市民革命とは言わずとも革命なんですよ。だって社会構造が変わってるのだもの。
んで、全ての革命家は政権樹立までテロリストなんですよ。レーニンもカストロもゲバラも孫文も皆が「お尋ね者」でした。武装蜂起によって政権交代しているものを、テロリストだったと言われてもねぇ……。それじゃ初代米国大統領ワシントンはテロリストですか?
フランス革命時のダントンたちはテロリストですか? 米仏人に聞いてみよう!
テロが悪いなら米国は未だ植民地すよ。
当然だが「韓半島が日本の植民地と主張する以上」は、植民地独立の為の伊藤暗殺したアン・ジュクンらはテロリストですよね? わははははは!
んで、独立戦争と日本軍人なのですが。
私の祖父の末弟は、軍医としてインドネシアに赴任し、敗戦後インドネシア独立戦争に従軍して、亡くなりました。
インドネシア政府は「英雄墓地」に葬ってくれてます。その墓も実際に訪れてますが、現地の方々やインドネシア政府の役人、警察官は私に敬礼や感謝の言葉を下さいました。
日本軍がアジア解放に何の役割も果たさなかったならば、私がインドネシアの方々役人に厚遇していただいたのは何故てせうね??
横合いから。
東南アジアには、敗戦後の日本にあえて戻らず、現地でつくした方がそれなりにいらしたようですね。
「八紘一宇」は政治的には体の良いスローガンでしたが、現場ではそれを体現していた方が思いの外たくさん居た、頭が下がります。
そして
>植民地独立の為の伊藤暗殺したアン・ジュクンらはテロリストですよね?
彼らは、
・自分の思い通りの結論をまず設定する
・その結論に都合の良いワードを選択し、つなぎ合わせる
・出来上がった文言を「真実」として吹聴する
・時系列やつじつま、歴史的資料その他の整合は気にしない。だって「真実」だから
なので、相手にするだけ無駄なんですが、本当にめんどくさいですよね。