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宇宙を夢見る韓国

迷走韓国宇宙開発史
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韓国は歴史も夢見がちだが、宇宙開発に関しても夢見がちと言わざるを得ない。妄想が過ぎるぞ。

ドリーミーで良いな、オイ(笑

韓国の技術で…2020年に月、2030年に火星へ行く

2013年11月27日09時14分

2017年までに75トンのエンジンを独自で開発し、性能を検証(試験発射)する。これを基礎に2020年までに韓国型ロケットの開発を終える。同年に月に探査船(軌道線、無人着陸線)を送り、その後、火星(2030年)と小惑星(2040年)探査に乗り出す」。

中央日報より

宇宙開発にはお金も時間もかかるが、一番必要なのは地道な努力だ。

韓国にはこの一番大切な「地道な努力」というものに非常に縁遠い国なのである(断言

そんな一面が表れた2013年11月の新聞記事だったのだが、ソレを説明する為には韓国の宇宙開発の歴史を紹介していかねばならない。

そんな訳で、簡単にではあるが韓国の宇宙開発の歴史を簡単に紹介していこう。

必笑、韓国宇宙開発史

いや、「必笑」というよりは「失笑」かもしれないな。

KSR-1の開発

ロケット開発の歴史は、大抵はもっと小型の実験機から始めるモノだ。

が、韓国はいきなり7m弱のサイズから始まっている。これも韓国の技術開発の特徴である。とにかく、唐突に技術が形になって表れるのである。

KSR-1
KSR-2
KSR-3

韓国で打ち上げられた一番最初のロケットといえば、1993年6月4日に打ち上げられたKSR-1というロケットである。

この絵の一番左の型のロケットで、無誘導、固体燃料ロケット、1段式である。

全長6.7m、ペイロード150kgで、ロケットとしては初歩的な部類に入るようだが、成功裏に終わったようだ。

同年9月1日には2号機も打ち上げられる。

KSR-2の開発

その後何故か、いきなりKSR-1は打ち上げ終了し、KSR-2に移行する韓国。

KSR-2は上の絵の2番目のロケットで、二段式固体燃料ロケットである。

二段式なので、高度75kmまで打ち上げたKSR-1の約2倍、高度160kmまで到達している。推力は8.8tだ。

いきなり2段式のロケットに移行してしまった韓国だが、この時点では未だ固体燃料ロケットだった。

その2番目のロケットは、1997年7月9日と1998年6月11日に打ち上げられている。幸いにも両方とも成功したとされている。二段式のロケットは、一段式とは事なり、燃焼の終わった一段目を切り離して二段目に点火しなければならないという技術的課題があるのだが、韓国はそれを無事に乗り切ったらしい。

そういう意味でも、ここまでは概ね順調と言って良いだろう。

KSR-3の開発

さて、KSR-2の打ち上げは2基だけ。それを成功させたらさっさと計画を終了して、KSR-3に移行する韓国。

KSR-3は液体燃料とケロシンを推進剤とするロケットで、割と本格的だ。

ただし、一段式である。上の絵で3番目の形をしている。推力は12.5tだ。

これまでのKSR-1とKSR-2は固体燃料ロケットと呼ばれる、言ってみればミサイルに使われる技術であって、構造が単純故に第二次世界大戦の頃から実現されている割と枯れた技術である。

ところが、液体燃料を使う技術となると、これまでの技術とは異なるアプローチが必要となる。

そして、このKSR-3は2002年11月28日にただ1度だけ打ち上げられ、高度42.7kmに到達。予定では基本型で高度250kmにまで到達させるはずだったが、半分の高度にも達することなく落下。失敗したとみて良いだろう。

この一段式液体燃料ロケットは、 780億ウォンの費用を投じて開発され、本来であれば、その後、三段式のロケットにして打ち上げ試験をやる予定であった。

しかし 、韓国は、何故かKSR-3の打ち上げをいきなり放棄してしまう。

羅老(KSLV-1)の開発を突如開始する

開発の方向転換の理由は、テポドン

あっさりKSR-3の計画を放棄した理由は、実は明白で、1998年8月に北朝鮮のミサイル発射実験が行われ、これが成功したからだ。

テポドン1号は日本でも有名だろう。

テポドン1号は三段式の弾道ミサイルで、液体燃料式ロケットを採用している。つまり、韓国は北朝鮮に先んじられたのである。

KSR-2の打ち上げを終えて得意になっていた韓国にとって、この事件は衝撃的だったのだろう。いきなり液体燃料のKSR-3に手を付けた挙げ句、失敗したこともあってか、自国開発という方針を転換をしてしまう。

そう、ロシアと共同開発の路線を採ったのだ。いや、正確に言えば外国からの技術供与を狙った挙げ句に、ロシアに利用されただけというか……。

ロシアからの技術導入路線を模索

共同開発方針となり、最初に技術協力を打診したのはアメリカだった。

だが、アメリカは韓国がロケット技術を軍事転用するリスクを考え、これを蹴る(高額料金を吹っ掛けた)。

フランスにも高額な金額を吹っ掛けられ、日本は「お・こ・と・わ・り」を発動し、支那とインドとは諸事情により共同開発不能。

結局、ロシアとウクライナに目を付け、米仏の1/3程度の料金を提示したロシアを技術協力のパートナーに選んで、2001年5月に覚書を交わした。後にこれが悪魔との契約書であったことが判明するのだが(笑

上にも書いたが、これが韓国における技術開発の特徴なのである。累積的な技術の積み上げでは無く、非連続的に技術が発展するのである。その原因は、外国から技術供与を受けることにある。

それは、悪いことでは無いのだが……、技術を自分のものにする前に次のステップに行っちゃう悪癖のお陰で、国内には何も残らないんだよね。

さておき、2002年8月にKSLV-1計画がスタート。

だが、いきなりロシアとの交渉が費用などをめぐって難航。1年をかけてようやく2003年9月に露クルニチョフ社と話がまとまる。

2004年10月に2億1000万ドルで露クルニチョフ社とロケットシステム協力契約を結ぶ。ところが、この契約、「羅老号の1段目の完成品を2回分ロシアが製造、韓国側に引き渡して打ち上げをする。失敗の場合、「露韓共同失敗委員会」で妥当と判断された場合にのみ1回分無償で1段目の完成品を韓国に引き渡す」という話になっていた。

ちなみに、このクルニチョフ社というのは、ロシアのクルニチョフ国家研究生産宇宙センターのことで、ソ連の宇宙計画の一翼を担う企業でもある。ミサイルやらロケットを大量に作った実績があり、最近はアンガラ・ロケットの計画でも有名である。

契約書はよく読もうね、と言う話

もともと、「第1段エンジン以外の様々な核心技術、液体燃料の貯蔵のための詳細設計技術、発射台の製造と運用技術に関する技術習得機会を得るという条件で、第1段エンジンの技術移転を放棄し完成品を輸入する」という契約内容だった。だがこの辺りから、ケチがつき始めている。

この契約によって、羅老号の1段目の運用や、それに伴う関連装備など、全てロシアからの持ち込みで、常駐しているロシア人技術者160人のうち2割が保安要員で、韓国人は一段目のロケットに一切近づけなかった

韓国が契約書を読んだときに、「第一段エンジン以外」という辺りにどうして悪意を感じ取れなかったのかは理解出来ない。クルニチョフ社が資金難でアンガラ・ロケットの計画を進めあぐねている実態を知らなかったのだろうか?

知らなかったんだろうな。

実際に、アンガラ・ロケットは1995年にロシア政府から開発承認を受けて、2007年に第1弾の油圧系と操舵アクチュエータの試験に成功している。そして、2009年7月に最初の燃焼試験が行われた。しかし、実際にロケットの打ち上げをするとなると莫大な資金が必要となる。当時のロシアには(今もそうだが)その資金が無かった。

羅老1号機打ち上げ

そんなロシアの思惑を知ってか知らずか、韓国初の宇宙ロケット開発は進む。

羅老1号機の打ち上げは何度も延期された末に2009年7月と予定される。

が、実際には更に延期されて2009年8月11日に打ち上げ予定日となり、これも延期。8月19日には残り7分56秒までカウントダウンされて、トラブルで中止。

2009年8月25日にようやく打ち上げが行われる。

17:00に発射し、高度300km以上まで上昇。

だが、2段目ロケットから射出されるはずの衛星STSAT-2Aは楕円軌道に乗ることは無かった。

打ち上げ失敗である。

失敗原因は、羅老1号機の二段目に取り付けられたフェアリング(風よけ用の殻)が外れなかったことのようだ。つまり、ロシアの一段目は成功した、という風に理解することも出来るが、ハッキリしたことはよく分からない。

ちなみに、ロシアはこの時点で2億1000万ドルの金を手にしている。

羅老2号機打ち上げ

さて、ロシアと韓国との契約は「成功するまで」という事だったようで、ロシアはこれを履行するという理由を元に、羅老2号機の開発を韓国と共に進めた。

そして、1号機の失敗の翌年の2010年6月9日に羅老2号機の打ち上げが決定するが、トラブルにより延期。

打ち上げは、2010年6月10日に実施される事となった。ところが、これも失敗。通信途絶後に、爆発、墜落した。

失敗の原因は、ハッキリとは分かっていないが、韓国側の説明では、ロシア担当の一段目燃焼区画が爆破し、これが原因だとされ、ロシア専門家の説明では、韓国製二段目が予定時間前に着火して爆発し、これが原因だとされている。

どちらの意見が正しいかは今もなお分かっていない。

羅老3号機打ち上げ

さて、2度の失敗を受けて、「3回目は無償でおかわりですよね?」と調子こいた韓国に、ロシアは「韓国の二段目が成功していれば、ウチのは成功だから。無償じゃないよ」と冷たく言い放った。

ここから、ロシアと韓国との激しい技術論争が繰り広げられるが退屈なのでカット。

結論から言うと、ロシアが3号機の一段目製作費を負担することで、合意。2012年10月26日に打ち上げが予定される。

が、この打ち上げもトラブル発覚で延期される。

そして、2012年11月29日にロシアの全面バックアップによって打ち上げが行われ……るかに思われたが、打ち上げ16分前の点検中に、フランス製の第2弾推進方向制御装置(TVC)の電流値異常が検出されて打ち上げは延期。

結局、2013年1月30日にようやく打ち上げが行われて、無事に人工衛星の軌道投入に成功した。

ちなみに、羅老号の一段目は、ロシアのロケットRD-151(推力189.4t)で、二段目は韓国のKSR-1で推力は8.8tである。ペイロード:LEO(低軌道投入重量)は100kg/300kmとなっている。

一段目に比べて随分と低性能なのだが、ロシアのクルニチョフ社は見事に3回の打ち上げ実験のデータを手に入れた。そのうち何回成功したかは定かでは無いが、実験データとしてはそれなりに意味のあるものを手に入れられたのだと思われる。

羅老号開発で得たものは?

一方、韓国側が得た技術は?というと、一段目の技術は結局韓国に開示されることは無く、韓国側が二段目に用意したのはKSR-1で、技術革新の形跡はない。

とすると、誰がどう考えたって、ロシア企業に美味しく頂かれた計画、としか考えられないじゃないか(苦笑

ソ連時代、アメリカと宇宙開発を争っていて、アメリカの一枚上を行くのがソ連の技術だった。が、ソ連が崩壊してロシアが誕生したとき、ロケット技術の半分以上をウクライナが持って行ってしまった。

そして、ロシア政府は財政的に宇宙開発に膨大なコストをつぎ込めなくなってしまった。

現状、ロシアがロケットを打ち上げようとすると、ウクライナのツイクロンやゼニットといったロケット技術を用いる必要があり、費用削減などの目的から、これらの技術との決別が、ロシアの宇宙開発における至上命題である。

そこで聞こえてきたのが韓国の共同開発話であり、上述した悪魔の契約書によって、まんまと韓国でアンガラロケットに使うRD-191(使用されたのはRD-151)打ち上げ試験を終えた訳だ。ロケット生産費用はロシア持ちとはいえ、2億1000万ドルもの開発費用を手に入れたのも大きいだろう。

一方の韓国は?といえば、結局の所、KSR-1の時代から何一つ進歩していない。確かに、羅老宇宙センターという、ロケット打ち上げ施設や、関連設備、関連するノウハウは手に入れた様だが、肝心の一段目の技術は何も得られなかったのだ。

では、何のためのロケット打ち上げだったのか?という疑問が残ってしまうが……、何のためだったんだろ??

KSLV-2計画の構想開始

ま、まあ、気を取り直して。

韓国はこの手痛い失敗を元に、KSLV-1の計画を続ける事を諦めて、再び自主開発の道を選択する。そう、KSLV-2計画を進めることにしたのである。

2013年の打ち上げ成功から、4年後の2017年に75tのエンジンを独自で開発して、2020年までにロケット開発を終えるという計画をぶち上げた韓国だが、何故こんなに急いだのだろう?

それは、冒頭の記事のこの辺りに理由が書いてある。

  当初、月の周囲を回る軌道船は2023年に、月着陸船は2025年に打ち上げる予定だった。しかし朴大統領が「2020年までに月に太極旗(韓国の国旗)がはためかせる」と約束し、日程が繰り上げられた。   これに先立ち、米国航空宇宙局(NASA)などとの協力で2017年に試験船を送り、2020年に韓国型ロケットで探査船を打ち上げるという政策報告書が出され、今回そのまま計画に反映された。

中央日報より

……政策報告書まで丸パクリとは!

ちなみに、2020年までに月に行くと言っているが、行くのはロケットだけで、有人ロケットとは一言も書かれていない。

韓国は「羅老」打ち上げ当時、1段目のロケット(推進力170トン)をまるごとロシアから導入した。一方、韓国型ロケット1段目は75トンのエンジン4機を一つに束ねて(クラスタリング)製作する。

しかし韓国は現在75トンエンジンやクラスタリングの開発経験がない。このため燃焼試験などを数え切れないほど繰り返さなければならないが、この期間を2、3年短縮するのは大きな負担となる。専門家は「設備を大幅増やして同時に試験をすれば不可能ではない」と話す。しかしこの場合、数千億ウォンの追加予算が必要だ。このため開発期間を少しだけ短縮して開発陣の負担を減らし、追加予算を最小化(政府発表基準1125億ウォン)したのだ。

中央日報より

……夢のような話だな。

しかし、韓国がこの様に鼻息が荒くなった背景には、後に判明するが、ウクライナから35t級エンジンの設計図を手に入れたからである。これを改良して75t級エンジンにして、これをクラスタリングすることで推力を確保しようというのである。

ちなみに、75tエンジンのクラスタリングと簡単に言っているが、構想はアンガラ・ロケットと同じである。こんなところもパクリだとは。

正確にはアンガラA5というロシアが最も期待するロケットで、RD-191というロケットエンジン(推進力196t)を5つクラスタリングし、ペイロード(低軌道への投入可能重量)を18.0tまで高める計画だ。ちなみにRD-191は羅老号打ち上げに使ったエンジンでもある。ダウングレードして推進力170t(RD-151という名称になっている)になっていたが。

韓国の液体燃料ロケットエンジンはKSR-3の時代のものしか無かった。これも失敗しているので、何とも言えないのだが、成功させた上で24本クラスタリングしようぜ!12.5×24で300tじゃないか!その方が、ウクライナの35t級を改良するよりはマシだと思うんだ。

まあ、後に75t級エンジンの燃焼試験には成功することになるんだけどさ。

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