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韓国国産ロケット「ヌリ号」打ち上げ延期

迷走韓国宇宙開発史
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残念である。

国産ロケット「ヌリ号」 技術的問題で打ち上げ延期

Write: 2023-05-24 15:56:55/Update: 2023-05-24 17:21:36

韓国が独自に開発したロケット「ヌリ号」の打ち上げが、システムトラブルにより延期されました。

KBS WORLDより

とはいえ、トラブルで中止の判断をしたということは英断だったのでは。ニュースとしては情報が薄いので特に突っ込みを入れる余地もないんだけど。

通信システム異常によって、打ち上げ中断

通信システムの異常

トラブルは、通信システム絡みであったようだ。

ヌリ号の打ち上げは今回が3回目で、24日午後6時24分に、南部の全羅南道高興郡の羅老宇宙センターから打ち上げられる予定でしたが、打ち上げ予定時刻をわずか3時間後に控えた午後3時過ぎ、技術的な問題が発生し、打ち上げが見送られました。

科学技術情報通信部の呉泰錫第1次官は、記者会見を開き、ロケットの打ち上げを制御するコンピューターと発射台を制御するコンピューターの間で通信異常が発生したと説明しました。

KBS WORLDより

これだけの内容だと、一体何が起こったのかは不明なのだが、準備万端で発射を待っていただけに残念ではある。

韓国型ロケット「ヌリ号」3次打ち上げD-1…発射台への移送開始、午前中に起立予定

2023.05.23 10:25

3回目の打ち上げを控えた韓国型ロケット「ヌリ号」が23日、発射台に向けて出発した。

韓国科学技術情報通信部と韓国航空宇宙研究院は、同日午前7時20分、全羅南道高興の羅老宇宙センターでヌリ号の移送を開始したと明らかにした。

中央日報より

トランスポーターで1時間かけて発射台に移送されたのだが、通信系のトラブルで中止され、おそらくはその場で待機。

25日に打ち上げられる場合、打ち上げ時刻は24日の当初の予定と同じく午後6時24分になるということです。

KBS WORLDより

順調にいけば本日の夕方に打ち上げが行われるのだろうけれど、トラブルの解決が行えなければ、一旦、建屋の中に引っ込むことになるはずだ。

燃料充填は行われている

ただ、早めに打ち上げはしてしまいたいはず。

当初、24日午後6時24分に発車が予定されていたヌリ号は、同日午後2時から燃料・酸化剤の注入に入り、燃料充填は午後5時10分、酸化剤充填は午後5時30分ごろに完了する計画だった。しかし、燃料・酸化剤の充填過程などで問題が発生し、発射台のソフトウエアに異常があることが確認された。

亜洲日報

何故なら、燃料や酸化剤はタンクに充填が開始された状況で、恐らく何割かは充填されている。

この手の液体は、放置すると劣化するため、打ち上げないなら再び抜き取る必要がある。

今回の3回目の打ち上げでヌリ号に搭載される衛星は、次世代小型衛星2号機1基と副搭載衛星(キューブ衛星)7基の計8基であるという。3段から20秒間隔で直接射出する方式で発射が完了し次第、衛星8基すべてが任務投入準備を終えることになる。代表的な衛星は、韓国科学技術院(KAIST)人工衛星研究所が開発した次世代小型衛星2号だ。重さは約180㎏で、レーダーなど装着された各種装置を宇宙環境でテストすることになる。予想任務期間は2年だ。

亜洲日報

今回は、小型衛星などを8基ほど積んでいるので、失敗はしたくない。だから慎重になっている面もあると思うのだが、無事に打ち上げできると良いね。

過去にもこの手の開発の進捗状況について記事にしたのだけれど、韓国は宇宙開発に関しては未だ後進国である。

ただ、だからこそ、ロケット開発を急ぐと碌な事にならない。

第1回は失敗、第2回はやや成功

ちなみに、このヌリ号、今回の打ち上げは3回目で、1回目は失敗し、2回目は成功したことになっている。

1回目も「殆ど成功」という事にはなっていて、ただ、衛星投入に至らなかっただけなのだ。

韓国型発射体ヌリ号、第1・2段ロケットまでは成功…第3段ロケット、推力不足で衛星の軌道安着に失敗(1)

2021.10.22 06:59

宇宙ロケット独立、未完だが成功の日だった。純粋な国内技術で作られた初めての韓国型発射体(KSLV-2)「ヌリ号」が最終段階で人工衛星のダミーを軌道にのせることに失敗した。

中央日報より

2回目の打ち上げは「成功」と言うことになっている。

ヌリ号には実際の動作衛星を搭載… 大気観測・発熱電池・姿勢制御などの役割

入力2022.06.21 午後5時51分

国内独自技術で開発した韓国型発射体ヌリ号(KSLV- Ⅱ)が目標高度700キロ軌道に上がり、人工衛星を安着させた。

NAVERより

とはいえ、2回目は安全策をとって、超小型キューブ衛星4つとダミーキューブ衛星1個を打ち上げただけなので、軌道投入性能を実証した程度の話ではある。

おそらくは今回が本格的な衛星を打ち上げるのは「初」ということになるんじゃないのかな。成功することを期待しておこう。

追記

どうやら成功したようだ。

科学ロケット、羅老号、ヌリ号…「韓国の衛星」打ち上げるまでの30年

登録:2023-05-26 06:43 修正:2023-05-26 08:12

1回目の打ち上げに「失敗」、2度にわたる延期の末に2回目の打ち上げに「成功」、1度の延期を経て打ち上げ。韓国型ロケット「ヌリ号」が25日、張り詰めた緊張感の中で行われた3回目の宇宙飛行に成功した。1993年6月4日、韓国が打ち上げた初の宇宙ロケット「科学ロケット1号」が忠清南道泰安郡の安興試験場で空に舞い上がってから30年ぶりのことだ。

ハンギョレより

記事を読むと、ちょっとこっちが恥ずかしくなるくらい「感無量」という雰囲気が伝わってくるのだが、とにかく衛星軌道に小型とは言え衛星8基を投入できたことは喜ばしい。

韓国、「ヌリ号」実戦打ち上げ成功…「ニュースペース」時代切り開く

登録:2023-05-26 03:33 修正:2023-05-26 08:11

韓国型ロケット「ヌリ号」が25日、3回目の打ち上げに成功した。昨年の2回目の「打ち上げ実験」に続き、実用衛星を軌道に乗せる初の「実戦打ち上げ」も相次いで成功したことで、韓国宇宙産業のロケット製作と打ち上げ運用能力に対する内外の信頼も大きく高まることになった。これによって韓国宇宙産業は、民間が宇宙産業を主導するいわゆる「ニュースペース」時代の第一歩を踏み出したと評価される。

学技術情報通信部のイ・ジョンホ科長官は、25日午後7時50分、全羅南道高興の羅老宇宙センターのプレスセンターでブリーフィングを行い、「ヌリ号の3回目の打ち上げが国民の関心と声援の中で成功裏に完了した」と語った。イ長官はただし「主搭載衛星である次世代小型衛星2号とチューブ衛星6基は正常に分離されたことを確認したが、4基のトヨサット(編隊を組んで任務を遂行する衛星。アルファベットの訳語SNIPEが英語でシギを表すため、韓国語でシギを意味するトヨセとかけてこう呼ばれる)のうち1基については射出成功を確認するために若干の時間が必要」だと語った。

ハンギョレより

完全成功、を確認するまでにはまだちょっと時間はかかりそうだが、概ね成功だと言うことだね。

追記2

高度550kmか……。

25日午後6時24分に韓国南西部の全羅南道高興郡の「羅老宇宙センター」から南南東の方向に3段エンジンのロケットを打ち上げた。役割の違う8基の衛星を高度550キロの軌道に乗せた。

日本経済新聞より

 国際航空連盟によると、高度100kmから上を宇宙としており、国際宇宙ステーション(ISS)は高度400km程度。

随分と低軌道に打ち上げたものだが、あまり低い位置に衛星を投入すると空気抵抗で落ちてきちゃうんだよね。これから低軌道への小型衛星打ち上げは増える可能性はあるんだけど、デブリの問題も結構深刻なので、沢山打ち上げられても困る。

むしろ、ある程度は回収するという話になるんだけど。あ、そういえば、スペースデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d (End-of-Life Services by Astroscale – demonstration)」が打ち上げられたのもこの高度だっけ。

韓国製の衛星がデブリとして回収されてしまったら、笑うしかないね。

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