スポンサーリンク

ドローン対策の疎かな日本、警備体制を見直しへ

安全保障
この記事は約5分で読めます。

あれが「ホンモノ」だったというのは驚きではあるんだけど、笑えない話でもある。

木原防衛相「重大な支障生じかねない」 警備に万全期す考え ドローンで護衛艦空撮

2024/5/10 10:41

木原稔防衛相は10日の記者会見で、接近したドローン(無人機)によって海上自衛隊の護衛艦「いずも」が空撮された問題について「わが国の防衛に重大な支障を生じさせかねないことから、極めて深刻に受け止めている」と述べ、自衛隊施設の警備に万全を期す考えを示した。

産経新聞より

防衛大臣としては「重大な支障」と言わざるを得ないだろうけれども、早急に対応すべきだろう。

空撮=スパイ行為

捏造の可能性

先ずはこちらのニュースを。

海自「いずも」の空撮動画「悪意をもって捏造の可能性」 木原防衛相

2024年4月2日 11時50分

SNS上で拡散されている海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローンから撮影したとみられる動画について、木原稔防衛相は2日午前の記者会見で「フェイク動画」の可能性があるとの見解を示した。「悪意をもって捏造(ねつぞう)されたものである可能性を含めて現在分析中だ」と述べた。

~~略~~

国内では、小型無人機等飛行禁止法に基づき、対象防衛関係施設の上空で許可なくドローンを飛ばすことが禁止され、横須賀基地も対象。木原氏は監視態勢について、「具体的な内容は基地警備にかかる我が方の能力を明らかにする恐れがある」と言及は避けたが、「ドローンなどの飛行については平素より厳重に監視を行っている」と述べた。

朝日新聞より

いつ頃撮影された映像かは特定されていないが、状況からして護衛艦「いずも」の上空を飛んだドローンが空撮した映像がネットに上げられたことは、ほぼ間違いないと推測された。

報じられた4月の時点では「捏造の可能性」が指摘されたけれども、フェイクと言うには無理がある。

ただしこのアングルで領空侵犯されたとなると、自衛隊としては大変な問題であろう。認めたくはないと思うよ。

動画は約20秒で、海上自衛隊横須賀地区に停泊するいずもに上空から接近し、甲板後方から前方に向かって撮影したとされる様子が映っている。

産経新聞「木原防衛相「重大な支障生じかねない」」より

しかし、調査された結果、捏造の可能性はほぼ否定されたといっていい。

護衛艦上空を飛んだというだけではない

ただ、そうだとすると護衛艦上空を飛んだというだけの問題ではなくなってくる。

同地区は、小型無人機等飛行禁止法に基づき、周囲300メートルの上空で管理者の許可なくドローンを飛行させることが禁止されており、海自が常時、厳重に監視している。

産経新聞「木原防衛相「重大な支障生じかねない」」より

海上自衛隊横須賀地区には、護衛艦「いずも」だけではなく、潜水艦なども停泊する場所であり、司令部もある。

どの程度の大きさのドローンが飛んだかは不明だが、爆弾を抱えていれば自爆攻撃が可能であったことを意味するので、飛行禁止区域にドローンが侵入したことそのものが問題なのである。

木原防衛相「極めて深刻に受け止めている」 護衛艦のドローン空撮

2024年5月10日 11時20分

海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローンで空撮したとみられる動画がSNSで拡散した問題で、木原稔防衛相は10日の閣議後会見で「我が国の防衛に重大な支障を生じさせかねない。極めて深刻に受け止めている」と語った。探知困難な無人機に対応するため、より能力の高いドローン対処機材の早期導入や電波妨害による強制着陸といった取り組みを強化する考えを示した。

朝日新聞より

支那に容易にスパイされて情報が持ち去られていて、その可能性を示唆する話なのと同時に、ドローンの飛行を止める法的根拠がない問題が浮き彫りになった。

航空:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

「飛んじゃダメだからね」と言いつつ、これを発見したときに無力化する手順も方法も確立していないのである。

挑発される日本政府

ちなみに実行犯はこんな感じの挑発を行っている。

一方、「bilibili」に投稿した人物は本人のものとみられるXのアカウントでは、映像が本物であると主張。

「偽物だと思っている方へ」という言葉とともに、ドローンの飛行経路とみられる画像や、別の角度から「いずも」を空撮したような複数の画像を公開しました。

その飛行経路では、ドローンが海上自衛隊横須賀基地の北東の対岸方面からやってきて、停泊していた「いずも」の手前で進路を変え、上空を通過しているように見えます。

また、対岸方面にはアメリカ海軍の横須賀基地がありますが、ここを拠点とする原子力空母「ロナルド・レーガン」を空から撮影したような、真偽不明の画像もこのアカウントで複数投稿されていました。

さらに、NHKがいずもの映像について「本物の可能性」と伝えた8日には「日本軍が気づくまでに1か月かかりました」として、新たに複数の同様の映像や画像を公開しています。

NHKニュースより

既に複数回撮影が行われ、実行犯は逮捕されていない。スパイ天国の面目躍如だね。

更に悲惨なことに、現時点では防衛すべき拠点の上空をドローンによるスパイ活動が行われた場合に止める手段が現時点で整備されていない。

国民民主党の玉木氏がこんなポストを投稿していたが、目視で監視できるわけないので、ドローンを撃ち落とす装備を早急に設けるべきだろう。玉木氏が指摘するようにレーザー兵器の導入が必須だと思う。

それと、これは確実にスパイ行為に該当するので、空撮したことを罪に問えない現体制は宜しくないと思う。スパイ防止法の制定を急いで欲しいが、難しいようであれば空撮による盗撮行為を罰する法制度の整備は最低限必要だと思う。今だと故意による盗撮には50万円の罰金刑が設定されているけれども、故意が立証されないとそれすら適用が出来ない。しかし、もっと厳格に軍事機密盗撮についての罰則規定を作っておかないと、盗られても野放しということになってしまう。本当ならスパイ防止法が制定されると良いんだけどね。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    海外ではじゃんじゃん中国人スパイが捕まっているのに、なぜか日本ではなかなか捕まりませんね
    同じ東洋人だし日本にこそたくさんいると思うのですが不思議ですねえ。
    なぜだと思います?笑

    • 木霊 木霊 より:

      困ったことに、取り締まる法律はありませんし、取り締まる根拠があっても利用できていませんから。

  2. アバター 山童 より:

    うーん。電磁パルス兵器とか作れないのかなぁ。レーザーだと結局は一発一機で狙わにゃならない訳でせう?
    あー、ても連射できる多レンズ付砲塔あったような気もしますね。
    電磁パルスだと波たからレーザー照射より強力な気がするけれど、あればとぅくに兵器化されてますか。

    • 木霊 木霊 より:

      一発一機で攻撃しても、ドローンは飛行速度が遅いので、割と簡単に対応できるのでは?と思っています。
      実際どうなるのかはわかりませんが。
      質量兵器の方が良いのですが、弾が何処に飛ぶかを考えると、使うのはなかなか難しいですよね。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    そもそも、あのロケーションは、道路挟んだマンションから丸見えじゃないかと常々思ってるのですが。

    >笑えない話でもある。
    本当に笑えないけれど、これを契機にドローン規制に(遅ればせながら)重い腰を上げざるを得なくなった日本というか防衛省、寝た子を起こしちゃった配信者は中国政府からこっぴどく怒られてるとか言う話しもちらほらと……真偽不明ですが(怒るくらいなら消す(物理)と思う)。
    ※配信者は既に中国に帰国しているそうで、そうされると手出し出来ない法の改正も必要かと。

    国内では、ドローンは許可制だったように思います(余波喰らってラジコン飛行機が今がんじがらめになっているので)。もちろん、許可取ってない野良ドローンの方が多いでしょうけれど、電波の出元に直で何か出来るような、そんなサイバーパンクな特殊部隊、出来ませんかねぇ……(有り余る予算と時間と「エスパーより貴重な」人材があれば公安九課も……)

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      意外に狙いやすい場所なんですよね、あそこ。
      この機会に対ドローン対策を充実させて欲しいものです。

タイトルとURLをコピーしました