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韓国産装輪装甲車が南米ペルーに輸出される

韓国陸軍
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このブログでは取り扱ったことのない韓国製の装輪装甲車の話題だな。

戦力増強を図るペルー陸軍、韓国産装甲車「K808白虎」120台導入へ

記事入力 : 2024/05/03 14:05

ペルー陸軍が、戦力増強のために導入する新しい装輪装甲車として韓国の「K808白虎」を採用することを決めた。

朝鮮日報より

ペルー陸軍も多数採用した良品らしい。

積極的な海外展開に成功した商品の1つ

流行りの装輪装甲車

さて、装輪装甲車(8×8)K808「白虎」なんだけれども、確か韓国はイタリア製フィアット6614装甲兵員輸送車をライセンス生産してKM900という名前で配備していたハズ。ただ、フィアット6614は4輪式だったんだよね。

装輪装甲車は、近年、各国の軍隊で配備が進んでいる。兵員を素早く長距離輸送する目的で用いられており、舗装道路上を移動する時には優秀な装備品であると言える。

日本はフィンランド製パトリアAMVをライセンス生産するという話になって、日本製鉄所が受注したニュースを見かけた。

日本製鋼所、自衛隊の装甲車初受注 国内に防衛品供給網

2024年5月7日 18:00

日本製鋼所は自衛隊向けに装甲車の製造を始める。防衛省から初めて受注した。100億円規模の売り上げとなる見通しだ。防衛装備の安定した開発・生産基盤を整えることは防衛力に直結する。政府は中国や北朝鮮の軍備増強を念頭に関連予算を増やしている。国内に防衛分野の供給網を再構築する動きが広がってきた

日本経済新聞より

日本製鉄所がフィンランドの総合防衛企業パトリアとライセンス生産契約を締結したニュースはこちら。

三菱でもコマツでもない! 自衛隊の新型装甲車「AMV XP」ライセンス生産先が決定 パトリア | 乗りものニュース
三菱でもコマツでも、日立でもありませんでした。

国産品の採用がなかったのは残念だが、国産技術が常に優れているという訳ではない。パトリアAMVに更新される予定の96式装輪装甲車を作っていたコマツも、防衛部門には力を入れておらず技術力不足が指摘されていた。

次期装輪装甲車のコンペには、三菱重工も16式機動戦闘車の技術を流用した装輪装甲車の提案をしていたが、こちらもパトリアAMVに及ばず。三菱重工は水陸両用車の試作もやっていて、装輪装甲車とはファミリーにする構想があったはずだが、残念だったね。

なお、コマツの兵器部門撤退の話はこちらの記事に言及されているが、キヨタニの記事だからなぁ…。

コマツが装甲車輌から引かざるを得ない理由
世界2位の建機メーカーで、自衛隊向けに砲弾や装甲車輌を生産してきたコマツが、装甲車輌の開発、生産から事実上撤退する。新規開発は行わないが、既存の装甲車輌の保守だけは一定期間行う旨をコマツ広報担当者は…

まあ、参考にならないまでも、何となく雰囲気は伝わるだろう。あ、そういえば水陸両用車の方もくさしていたなぁ。

水陸両用装甲車は陸自を疲労、弱体化させるだけ
結論から言わせて貰えば現在防衛省が開発している水陸両用装甲車は失敗します。それに使うリソースは全部無駄に終わる。そんな金があるならば、まだ水陸両用装甲車用に開発している、ゴム製履帯に突っ込んで世界に売...

とはいえ、この辺りの話、一概に否定できるだけの根拠もなく、キヨタニ記事であるとはいえある程度の説得力があるのが残念だ。

あ、話は少し脱線してしまったが、どこの国もこの手の兵員輸送をする手段に関しては結構真剣に導入している。韓国としても、そういった装甲車両が欲しくなったというのがその経緯なんだと思う。

韓国製の装輪装甲車

ただ、装輪装甲車K808「白虎」の詳しい情報はさっぱり入手できなかったんだよね。

Hyundai Rotem closes in on $190 million armored vehicle deal with Peru

Apr 03, 2023 (Gmt+09:00)

Hyundai Rotem Co., a South Korean defense equipment maker, is closing in on a contract to export advanced armored vehicles to Peru – a deal that would mark Korea’s first export of such weapons to Latin America.

~~対訳~~

現代ロテム、ペルーとの1億9000万ドルの装甲車契約に迫る

韓国の防衛装備品メーカーである現代ロテム社は、ペルーへの先進装甲車の輸出契約に近づいている。

kedglobalより

結構まとまった額の輸出が行われるとあって、それなりに力の入った内容なのだけれど、何故かその仕様に関してあまり詳しく載っていない。

The K808 is equipped with the D6HA engine used in large vehicles such as Hyundai Motor’s dump trucks.

~~対訳~~

K808は、現代自動車のダンプトラックなどの大型車両に使用されているD6HAエンジンを搭載している。

kedglobal「Hyundai Rotem closes in on $190 million armored vehicle deal with Peru」より

ふーん、ダンプトラックのエンジンを採用ねぇ。

確か、日本の96式装輪装甲車も三菱ふそうトラック・バスの6D40液冷4サイクルディーゼルエンジンを使用していたはハズ。チョイスとしては、汎用品を利用できるのであればメンテナンスにも有利になる面もあって悪くはない。パトリアAMVもスカニア社のトラック用ディーゼルエンジンを使っているので、装輪装甲車であれば一般的な手法なのかもしれない。

The K808 can traverse obstacles up to 40 cm high and navigate trenches up to 1.5 m deep, with a water jet that enables it to cross shallow rivers easily, company officials said.

Its tactical tires, equipped with an automatic air pressure adjustment device called CTIS, can maintain speeds of over 48 km per hour even when being hit by bullets, they said.

~~対訳~~

K808は、高さ40cmまでの障害物を乗り越え、深さ1.5mまでの溝を進むことができ、浅い川を簡単に渡ることができるウォータージェットを備えていると、同社関係者は述べた。

CTISと呼ばれる自動空気圧調整装置を装備した戦術用タイヤは、銃弾を受けても時速48km以上を維持できるという。

kedglobal「Hyundai Rotem closes in on $190 million armored vehicle deal with Peru」より

そして、韓国製のK21装甲兵員輸送車と同様に、渡河性能を有しているとのこと。まあ、K21装甲兵員輸送車とは違って、エアバッグは装備されていないため浅瀬しか通れないみたいだけど。あ、参考までにK21装甲兵員輸送車の話に関するリンクは貼っておこう。

K21装甲兵員輸送車は、レッドバックスとして改良されてオーストラリアが採用する話になっている。この分野では韓国の健闘が目立つね。

ペルー軍への積極的なセールスに成功

というわけで、輸出に成功して鼻息の荒い韓国ではあるが、輸出に成功したことに関しては素直におめでとうと言っておきたい。寧ろ、日本人としては羨ましいまである。

ペルー陸軍造兵廠(FAME)は、ペルー陸軍の機動性向上プログラムの優先交渉者として韓国の現代ロテム(供給者)、STX(契約者)を選定した。

朝鮮日報より

事業規模は95億円規模ということで、結構な成功例なんだと思う。日本も積極的に売っていかないと駄目だよ。

コマツが防衛事業から撤退した理由も、結局、そこに資金投入ができずに、積極的な技術開発が出来なかったからなんだからさ。

正直、この分野に関しては韓国の方針は優れていると思うよ。装輪装甲車K808「白虎」がどの程度の性能なのかは、さっぱりわからないけれど。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    K808は極々標準的なAPCなので、武装はほぼ対人戦闘用ですが、アンデス高地での作戦行動にも、対共産ゲリラ戦にも、ペルー軍にはカタログスペック的に十分じゃないですかね。特徴がないのが特徴なのかな。

    • 木霊 木霊 より:

      K808に装備する武器は、対人戦闘用のアイテムで、方針としてはご指摘のようにゲリラ対策なんだと思います。
      これとFA-50辺りはゲリラ対策には有効そうなので、今後未だ売れるんじゃないかと思っていますよ。

  2. アバター who より:

    こんにちは。
    10式の廉価版か何か作って売れればいいのにとは思いますね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      アメリカが作っているM10ブッカー辺りが、そうした需要にマッチした感じですねぇ。
      日本もゴム履帯の開発をもっと積極的にやっていけると宜しいのに。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ここのところの、韓国の対外武器セールスは凄いですよね。
    物量的にも、成功率的にも。
    本邦は、オーストラリアのフリゲート?護衛艦?に食い込みたいところですが、ハンファがアメリカの造船業者を傘下にしたらしいので、そっちが一歩優位かも……

    せめて、GCAPと次期練習機は国内に経済的にも技術的にもベネフィットがあるようにしていただきたいものです。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      韓国を見習うべき点ではあるんですが、アノ国ほど自由に軍備増強ができませんから、真似もなかなかに難しい。
      オーストラリア護衛艦の話は……、別の記事で触れておきましょうかね。

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