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台湾軍の現役中佐が大型輸送ヘリで亡命計画するも失敗

台湾ニュース
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なかなか興味深い話である。

「ヘリに乗って来れば1500万ドル」中国の誘惑に亡命図り捕まった台湾中佐

2023.12.12 17:57

台湾軍の現役中佐が大型輸送ヘリを飛ばして中国の空母に着陸して亡命しようと計画して摘発された。1500万ドル(約22億円)の見返りを受ける条件もあった。

中央日報より

何が興味深いかというと、台湾軍の現役中佐が亡命を唆されたこともそうなんだけど、「大型輸送ヘリを持ってこい」と言ったことなんだよね。

戦争が始まっている

逮捕されてしまった現役中佐

台湾の中佐、何やってんの。

自由時報など台湾メディアが12日に報じたところによると、台湾高等検察庁は7月末に機密資料流出容疑などで拘束起訴され収監中の陸軍航空特戦指揮部所属中佐の別のスパイ犯行計画を最近摘発した。

中佐は脱出を完了した後、1500万ドルの補償金を受け取る予定だった。だが計画を実行に移す前に逮捕された。

中央日報より

計画に移す前に逮捕されて何よりだが、一体何をやらかしてしまったのか。「機密資料集出容疑」とあるんだけど。

中国側は中佐にタイ「エリートビザ」の取得、有事の際にタイ華僑として台湾からの優先撤収、毎月20万台湾ドル(約92万円)の支給などを約束した。

その後中国側は情報部員を通じて中佐に中国空母「山東」が6月に台湾海峡を通過するという情報を知らせた。山東が台湾本島から24カイリ(約44キロメートル)まで接近したらチヌークヘリを空母に着陸させろという中国側の指示も伝えた。

だが中佐はとても危険だとして断った。これに対し中国側は1500万ドルに達する成功報酬を提案した。また亡命を決心すれば前金として100万~200万ドルを払うと誘惑した。

中央日報より

どうやら、その「機密」とやらは、CH-47「チヌーク」と関係するようである。しかし、空母にチヌークを着艦させろというのはなかなか大胆だな。

CH-47「チヌーク」

さて、ここで登場するチヌークだが、こんなヘリコプターだ。

最新モデルのCH-47F

大型輸送ヘリCH-47「チヌーク」は、アメリカ陸軍を始め世界各国で運用されているベストセラーである。

初飛行が1961年9月と古く、60年経過した今も運用が続けられている。

双発のタンデムローターを採用しているのが特徴なのだが、この形のヘリコプターは少なく世界でも数例しかない。アメリカで運用されたバイアセッキシリーズと、チヌークの元型になったバートル(バイアセッキの系譜である)。そして、イギリス軍が運用したベルヴェデア。ソ連軍が運用したヤークである。

採用例が少ない理由は設計が難しいからなのだが、ローター同士が干渉すると目も当てられないので、同期回転するような仕組みが採用されている。こういった動力伝達などの面でなかなか設計が難しい機体なんだろうね。

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計画の失敗と作戦の成功

結局、この中佐は訓練関連資料を持ち出して金品を受け取ったスパイ行為で逮捕されたようだ。

当局は当時中佐が中国側に部隊機動訓練関連資料を流出して金品を受け取った容疑だけ把握して逮捕に出たという。

台湾軍関係者は、チヌークヘリは操縦士1人で操縦できる機種ではないとし、もしこの計画が実行されたとすれば必ず失敗しただろうと話した。

中央日報より

つまり、ヘリコプターを持ち出すことは出来なかったわけだが、なかなか大胆な計画だったね。

これ、本当に実現したらアメリカも激怒したんじゃないだろうか。そして、映画になるような案件だな。

ただこの話、台湾メディアの報道を見るとちょっと違った側面が見えてくる。

陸軍中佐が中国への投降画策 国防部「内部告発受け捜査を依頼」/台湾

2023/12/11 19:00

陸軍の現役中校(中佐)が軍用ヘリコプターを操縦して中国に投降しようと画策し、検察が捜査に入ったと一部メディアで報じられたのを受け、国防部(国防省)は11日、この件は軍と国家の安全を管轄する機関が内部告発を受けて司法機関に捜査を依頼したものだとした上で、先んじて措置を講じたと明らかにした。

台湾メディア「CTWANT」(周刊王)は11日、中校が中国軍の上級将軍を名乗る人物と接触した上で、自身が操縦するヘリコプターを中国の軍艦に着陸させることを条件に、開戦時に家族を優先的に台湾から避難させることや報酬を受け取ることを画策していたと報じた。報道によれば、中校は計画の実行前に身柄を拘束されたという。

フォーカス台湾より

内部告発で事件が発覚し、犯行を画策した中佐は「開戦時に家族を優先的に台湾から避難させること」を条件に付けていたというのである。

ただ、支那にとってはこの作戦は「成功」といって良いのではないのだろうか。敵対する勢力の中佐を1人排除できた上に、台湾軍内部に不安を植え付けたのである。そして、この作戦を成功させるためには、台湾国内の危機意識を高めていた事が関係していると思われる。つまり、「いつ、台湾有事が勃発しても不思議ではない」と信じさせたことだ。

こういったことをひっくるめて支那の作戦であった可能性があり、台湾に対する浸透作戦を含めて色々と「進んでいる」という印象を受けた。支那と台湾の間での戦争は、砲弾こそ飛び交っていないまでも既に始まっていると考えるべきだろうね。

コメント

  1. アバター 山童 より:

    はぁ、なるほど。揺さぶりの為の捨て石作戦だったのか……。
    とはいえ、その中佐、1人で大型ヘリを動かして成功すると考えていたのですかねぇ? 金の力は恐ろしいものですなぁ。

    • 木霊 木霊 より:

      まあ、あくまでも想定ですよ。

      そして、大型ヘリを一人で飛ばすことが出来ると思う程度には、支那側の知識が不足していると。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    そういえば、タンデムロータ形式も、東側はコピー出来てませんでしたね。
    >ソ連軍が運用したヤークである。
    一応Yak-24は存在するけど、技術的問題があったとかfrom Wiki
    ※横に並べるなら、Mi-12とか言うバケモノは居ますね。Ka-22とか、ソビエトっぽい禍々しさがたまりません。

    獅子身中の虫、ではないですが、台湾は相当に侵食されているでしょうから、ここから粛正の嵐とかになって軍内部がグダグダにならない事を祈るのみです。
    そうで無くても、台湾軍はイマイチ頼りにならない印象があるので……
    ※少し前に、米軍から「古いドクトリンから進化してない」とか何とか酷評するレポートが出てたように思います、出典が思い出せないのですが……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      そうなんすよ、Yak-24って随分と力を入れて開発しようとしたみたいですけど、イマイチ上手く行かなかった模様。
      Mi-12は設計要求を満たさず廃盤ですし、タンデムローター機の開発って結構難しいみたいですね。

      台湾軍が頼りないというのは、ちょっと情報を持っていないので、調べてみますね。

      • アバター 七面鳥 より:

        >台湾軍が頼りない

        うろ覚えですが
        「正面戦力同士のガチンコ対決しか頭になく、昨今の急速な戦闘方法の変化について行けてない」
        的な評価だったと、どこかで読んだ覚えがあります。

        まあ、どこかの日の丸疑似軍隊もそうなのですが……
        ※とはいえ、正面から力押しされたらひとたまりも無い。

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