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支那に訪れる金融不安

中華人民共和国ニュース
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おや、あるとは思ったけれども、やっぱりあったんだね。

中国運用大手が最大5兆円の債務超過 不動産不況の影響波及か

2023/11/23 21:18

中国の資産運用大手、中植企業集団が最大2600億元(約5兆4千億円)の債務超過に陥ったことが投資家に宛てた書簡で明らかになった。現地メディアの財新が23日に報じた。不動産不況の影響が金融業界に波及しているとの見方が強まりそうだ。

産経新聞より

これまで散々書いて来たので特に言及することはないんだけど、一言「やっぱりか」という感じだね。

浸透する経済不安

不動産開発業の不調と銀行業は連動している

先日までに支那の不動産開発業がかなり苦しんでいる話を書いてきた。

最近の2つはこれで、支那の不動産開発業全般が疲弊していることが判明したのは数年前から。今更という感じはする。

で、不動産開発業が何処から資金を引っ張っているのか?といえば、当然ながら金融からである。

中植企業集団は不動産業界への投資が多いことで知られる。書簡では4200億~4600億元の負債があり、資産総額は2千億元程度と説明した。財新は2200億~2600億元の債務超過になったと指摘した。

産経新聞より

そして、金融商品として不動産関連商品を販売している資産運用系の組織から資金を引っ張っていたという事になっている。これはいわゆる理財商品と呼ばれるもので、一時期これも規制対象にする話はあったんだけど、余り意味はなかったようだ。

UPDATE 1-中国、商業銀行理財業務の規制強化案を公表

2018年7月20日11:50 午後UPDATED

中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は20日、商業銀行の理財(ウェルス・マネジメント)業務に対する規制強化案を公表した。金融システミックリスクの回避に向けた政府の取り組みの一環だ。

発表文によると、銀保監会は、理財商品は正味価値に基づいて運用されるべきであり、各行は影の銀行(シャドーバンキング)リスクを防ぐため理財商品の資金プールの管理を標準化する必要があると指摘した。

ロイターより

一気に禁止しておけば良かったと思うんだけど。

支払いできない

ちなみに、まさにこの関連のニュースがこちら。

中国恒大、理財商品の支払いできず-資産処分進まず手元資金不足

2023年9月1日 6:45 JST

中国の不動産開発大手、中国恒大集団の資産運用部門は8月31日、手元資金不足のため同月の理財商品(資産運用商品)の支払いができなかったと投資家に通告した。

恒大は資産処分が進捗していないため資金を調達できず、支払いが行えないと短文投稿サイト「微信(ウィーチャット)」の公式アカウントで説明した。

Bloombergより

理財商品の支払いなどと書かれているが、どうやらこれ、償還に関わる話のようだ。

同社は2021年、400億元(現在のレートで約8020億円)相当の理財商品の償還ができず、全国規模の抗議行動が巻き起こった。恒大の従業員の多くを含め7万人余りが同商品を購入していた。

Bloombergより

それも皮肉なことにタコが自分の足を喰うような話で、恒大の従業員に自社関連の理財商品を買うように求めておいて、満期が来てもその支払いができないというような事態を迎えた模様。

そして、その手の騒ぎは2021年に発生していて、それ以降継続して問題を引き摺っているらしい。

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碧桂園も苦慮

良く名前の挙がってくる碧桂園も例に漏れず。

デフォルトの瀬戸際に追い込まれる中国不動産大手の碧桂園:恒大は理財商品がデフォルト

2023/09/01

経営危機に陥っている中国の大手不動産デベロッパーの碧桂園(カントリー・ガーデン)は、社債の返済時期を遅らせるなどの債務再編(債務リストラ)交渉の延期を繰り返している。同社初となる債務不履行(デフォルト)の回避に向け、瀬戸際の対応を続けているのである。

同社は39億元(5億3,730万ドル)の人民元建て社債の返済を巡る幾つかの提案について、8月31日を社債の保有者による投票期限としていたが、その期限を9月1日の現地時間夜10時に延期した。延期はこれで2回目となる。

この39億元の人民元建て社債は、9月4日に事実上の償還期限を迎える。償還のための資金確保に苦慮する碧桂園は、支払期限を3年延長する提案をしている。また、40日間の支払い猶予も提案している。

NRIより

碧桂園の方は社債の返済ができないという内容となっているが、社債であればまだマシといえるかも知れない。

理財商品と社債の違いは一体何だ?という話になるが、社債よりも理財商品の方が自由な商品が提供できる点で異なる。社債は、企業が設備投資などの事業資金を調達するために発行する債券のことなので、対応するのは発行する会社である。

一方、理財商品の方は、国債や社債などを含んだ幅広い資金運用商品が対象となっていて、投融資先の債券や貸出債権を小口化して販売するなど、実態の分かりにくい内容になっている。

つまり、社債の債務不履行の場合は債権を発行する企業と債権者の一対一の関係になるのに対して、理財商品は色々巻き込む可能性が高いんだよね。

だから、碧桂園の方は碧桂園が倒産すればそこでオシマイという話にはなって、関連する不動産開発業者や下請け業者は影響を受けるのだろうけれども、後発の不動産開発業者がその隙間を埋めていくだけとなる。

ところが、恒大集団の方は広く理財商品などからも資金を集めるような商売をしていたことから、資産運用大手の中植企業集団が債務超過になっちゃうという話に繋がるわけである。

万達地産も社債問題を抱える

なお、支那の不動産開発業全般が苦しいので、次々と問題を抱えた企業が登場してくる。

中国万達地産、6億ドルの社債返済延長を要請へ

2023年11月21日午後 3:23

中国のコングロマリット(複合企業)である大連万達集団の不動産部門、万達地産国際は21日、ドル建て社債の返済を約1年延期することを債権者に要請すると明らかにした。新規の資金調達や借り入れが困難になっているためとした。

ロイターより

万達地産も支那の不動産開発業の上位にいる企業だが、ここも資金調達に苦しんでいる。

中国不動産会社、ドル建て債券の7割がデフォルト=調査会社

2023年10月20日午後 8:28

調査会社クレジットサイツは中国の不動産開発会社が発行した1750億ドルのドル建て債券のうち、1245億ドル相当の債券がデフォルト(債務不履行)になっているとの見方を示した。

ロイターより

というか、全体の7割の債権がデフォルト状態になっていると言われているので、ここに資金供給していた金融機関は遅かれ早かれ資金難に陥るのは目に見えている。

まあ、こんなことは今更語るまでもないのだが、いよいよ表面化してきたね、ということなんだな。

先日は、平安保険の話を紹介したが、保険会社も金融関係の企業なので無関係では無い。この記事では「平安保険が碧桂園の支配株主になれ」という政府の要請が問題になっていたのであって、平安保険の経営が問題であったという話ではないのだが。

まあ、結論を書いちゃうと、とにもかくにも支那の経済不安が拡大しているよ、というだけの記事なんだけどね。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    支那の大手不動産デベロッパーは、いまや「灰色のサイ」だね。
    左前の大手が多いため、こちらも感覚的にマヒしてきたが、どこかが跳べば、
    金融機関を巻き込んで、連鎖波及するにちがいない。
    いまや問題の核心は、不動産分野の破綻よりも、そのときどこまで逝くかじゃないかな。

    • 木霊 木霊 より:

      いやー、支那経済の場合は、僕には誰が「灰色のサイ」なのかさっぱりわかりません。
      結構、あっちにもこっちにもサイが潜んでいそうなので。
      何処で食い止められるんですかねぇ、これ。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    「竹のカーテン」の向こうの事情ですから、
    ・金融界の情報網で、割と海外にも情報が出てきている、のか?
    ・国内はこんなもんじゃない(もっと酷い)のか?
    が、さっぱりわからないですね。
    まあ、酷いんだと思いますが。
    そして、割を食うのは、その「国内」の投資家達。
    タコの足食いというより、女王蟻が働き蟻を食い潰しているような……

    ※国内では、どれくらいの情報が取れているんでしょうね……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      漏れ聞く情報では、結構酷いことになっている場所もあるようでして。
      ただ、支那の民間の情報が正しいかどうかは、裏をとる方法に乏しいのでなんとも。

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