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フィリピン最北端の離島に米軍が港を建設か

アジア
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フィリピン最北端のバタン島に米軍が港を建設する話が出てきたらしい。

台湾まで200キロの島、米軍が港を建設か フィリピン人脱出計画も

2023年9月3日 15時00分

台湾にほど近いフィリピン最北端の離島で、米軍と地元自治体が商業港の開発を計画している。ロイター通信が地元知事らの話として報じた。南シナ海をめぐって中国との関係が悪化するフィリピンでは今年、米軍が使用可能な拠点の増設が決まったばかり。米中対立が鮮明となる中、米国が東南アジアで足場を広げる動きの一環とみられる。

朝日新聞より

日本軍がフィリピン侵攻を開始したのもこの島からだったので、日本にとっても縁のある島だといえる。

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バシー海峡を押さえろ

台湾島にほど近い

地理的条件はやっぱり地図を見るのが一番分かり易いだろう。。

ピンを立ててあるのが、その問題のバタン島である。島の面積は95.2平方kmと、猪苗代湖(日本で4番目に広い湖)よりもちょい小さいくらいの面積しかない。が、米軍が寄港できる港建設となると、支那としても黙ってはいないだろう。

米軍、台湾に面したフィリピンの港湾開発で協議中

2023年08月31日(木)08時05分

フィリピン最北部に位置するバタネス州バタン諸島で、米軍が商業港開発支援を巡って地元政府と話し合いを進めている。同州知事や複数のフィリピン政府高官がロイターに明かした。

米国が取り組んでいるフィリピンとの地政学的な関係強化の一環とみられ、中国側の反発を招く可能性もある。

バタン諸島は、バシー海峡を挟んで200キロ北方に台湾がある。同海峡は西太平洋と南シナ海を結ぶ航路において「チョークポイント」と呼ばれる重要な場所の1つで、特に中国が台湾に侵攻した場合には戦略的に大きな意味を持つ。台湾国防部によると、中国は同海峡に艦艇や軍用機を定期的に派遣している。

Newsweekより

何しろ、台湾とはバシー海峡を挟んだ位置関係にある。支那が太平洋に出ていくためには、ここを抑えられると洒落にならない。

バタネス州のカイコ知事はロイターに、海が荒れた際に首都マニラからの物資を揚陸するために必要な「代替港」の建設について、米国側に資金提供を求めたと述べた。

バタン島のバスコという町にある現在の港は、高波発生時に使用できなくなるケースが頻繁にあり、昨年10月に別の港を建設することを決めたという。

フィリピン政府関係者は、米軍の部隊がこの港建設に関する協議のために最近バタネス州を訪れたと述べた。カイコ氏も、代替港建設案の検討を目的として米軍が現地にやってきたと認めた。

Newsweekより

ただ、建設するのは軍港ではなく、民間船の出入りする港で、現在バタン島にあるバスコという町にある港では規模的に不十分で、高波があると使えなくなる。で、バタン島としては大きめな港が欲しいということらしい。

「米軍さん、お金出してくれないかなぁ」ということだね。

もちろんアメリカだって慈善事業をやるつもりはないだろうから、合意すれば米軍が使える港が建設されることは必至。

未確定な要素は多いが

ただ、この話が本決まりになっているかというと、そうではないようだ。

在フィリピン米大使館の広報担当者は、大使館と米太平洋軍の専門家がカイコ氏や地元政府の要請に基づき、建設や医療、農業分野での開発プロジェクトの支援について話し合いを行っていると説明したが、この港の問題には言及しなかった。

Newsweekより

当然ながら、政治的にかなり微妙な位置への港建設である。港の建設に着手すれば、支那が全力で邪魔しにくるのは間違いない。

そして、過去に似たような経緯でキューバ危機(1962年10月:社会主義国になったキューバに、ソ連が核ミサイル基地を作ろうとした事案)が起こったことを考えれば、アメリカとしても慎重にならざるを得ないし、フィリピンとしても支那としても微妙な駆け引きをやらざるを得ないだろう。

ただ、港さえ出来てしまえば、フィリピンとしても台湾としても大きなカードになる。なかなか危険な綱引きになるのではないか。

フィリピンとしては過去に米軍を追い出して、支那に近づいた事もあって、その御蔭で支那の海洋進出を許してしまった。

米比、南シナ海で相互防衛 対中国で指針、日豪と協力

5/4(木) 7:12配信

オースティン米国防長官とフィリピンのマルコス大統領は3日、ワシントン郊外の国防総省で会談した。海洋進出を強める中国に対抗するため、南シナ海でフィリピン船舶が攻撃を受ければ、米比相互防衛条約の適用対象だと明記した新たな防衛指針を公表。会談では、日本やオーストラリアとも協力を広げる方針で一致した。

Yahoo!ニュースより

ここ数年でその関係を改善するに至ったが、アメリカとしてもフィリピンとの付き合い方を誤れば再び同じ結果になるだろうことは、反省しているはずだ。

……いや、アメリカだからなぁ。

アメリカとフィリピンとの距離感

かつてフィリピンはアメリカの植民地であった時代があって、随分と痛い目を見たようだ。

スペイン植民地時代(1565年-1898年)を経て、アメリカ植民地時代(1898年-1946年)が到来。日本軍のフィリピン侵攻は、フィリピンの独立戦争に繋がる戦争でもあった。尤も、日本軍とアメリカ軍がフィリピンの各地で激突したために、多数の死傷者を出したため、日本軍の侵攻が「良かった」とは言い難い。独立のきっかけになったと言うレベルだろう。

しかし、日本は戦前からフィリピン独立の手助けをし、敗戦後もその関係は続いた。

フィリピンは、日本が敗走した後、アメリカの傀儡政権が統治することになるのだが、当時のアメリカはまだ差別意識が強く、フィリピンは前線基地扱いだったため、統治のあり方はかなり酷いものだったようだ。そこからフィリピンは独立するのだが、アメリカに対する感情はかなり悪化。一度はアメリカ軍を追い出すところまでいくわけだ。

【詳しく】アメリカとフィリピン 最大の軍事演習 中国けん制か

2023年4月11日 21時19分

アメリカとフィリピンによる合同軍事演習が11日からフィリピンで始まりました。演習には両国の軍から過去最大となる1万7000人あまりが参加し、南シナ海で海洋進出を強める中国をけん制する狙いがあるとみられます。

NHKニュースより

それでも、支那の海洋進出を受けて、再び方向転換せざるを得なくなる。

現在は米軍が使用できる拠点も増えて、一層対支那姿勢を強めているわけだが、其れもある意味仕方があるまい。

支那の海洋進出はフィリピンにとっても死活問題となりつつあるからだ。

フィリピンにとっては痛し痒しという部分もあろうが、立場的には日本と同様にアメリカ側に付くほうがまだましだと考えているからである。

とまあ、そんなわけで、なかなか微妙な時期にあるのだ。我が日本としても、座視するわけには行かず、積極的に関わるしか無い事案である。何故ならば、日本のシーレーンと大きく関わる問題だからだ。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    直前の記事『インド開催のG20に、習近平氏参加せず』での解説のように、最近の紅皇帝の機嫌はすこぶる悪い。太平洋が”波高し”とならないことを願うばかりだよ。だが、支那が勢力圏の拡大を目論む限り、海洋国家群も対策しないわけにはいかない。バタン島での軍民共用の港湾整備は、大きな対支那牽制になることは間違いないね(当然支那からの嫌がらせも増えるだろうが)。
    本記事から逸れるけど、米国は台湾、フィリピンだけでなく、支那が陥落したソロモン諸島の隣国、パプアニューギニアでのプレゼンスも強化している。豪との共同によるマヌス島ロンブルム港の改修工事も進行中。こちらの戦略的な意味も大きそうだ。https://www.yahoo.com/news/u-hopes-old-wwii-naval-092034756.html

    • 木霊 より:

      映像で見て分かるほど覇気がない習近平氏ですが、どこかで「ぷっつん」と切れてしまうと洒落にならない。
      「追い詰めすぎるのも良くない」というのは、ロシアに対しても随分と言われた話ですが、支那に対してもそういう視点でいるんでしょうね、各国首脳は。
      ただ、対支那の先頭に立っているのが、呆けが進行している疑いのあるバイデン氏ですからねぇ。不安だ。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    これ、九段線だか十段線だか、「中華の舌」の、その舌の根っこを抑えに来てますね。

    ここを抑えられたら、洋上艦はもとより、潜水艦もつらかろう……

  3. 河太郎 より:

    こんにちわ。バシー海峡はかつて日本海軍が本土侵攻を計画する米軍によって、かなりの軍艦が沈められてますね。
    作家の柴田錬三郎氏はここで20時間ほど漂流した事が、戦後に眠狂四郎を創造した原因と語ってました。つまり、ここは日本にとっても、中国にとっても原油など資源を運ぶ結節点な訳で。
    ここに米軍基地が置かれる事は日本の安全保障上、喜ばしい事です。が、同時に台湾有事にもう参加が定められ事である。ここが日本の生命線なのに、台湾有事に参戦しない場合、間違いなく米国に
    見限られるかと。 ま、そこは仕方ない。
    で、気になるのは「布石」なのか、本格的かつ急な戦闘準備なのかですね。
    急発進で前進基地を作るくらい米軍には容易い事で、中長期的な展望ではなく、目前に近づいた戦闘の準備である可能性が高いかと。
    八王子だったかな、総延長10kmの地下施設があるんですが、これ日本軍が終戦前に僅か半年で掘ったものなんですね。
    要塞というより中島飛行機の地下工場で、零戦のエンジンを造っていた。
    ブルドーザーなどの機械を持たない日本軍でも、半年でコレを作ってる。米軍が島を基地化するなんて数ヶ月でやってみせると想うんですよ。そこからすると、
    台湾有事が本当に秒読みになってると想うんですね。ショボンとした習氏だからこそ、逆にキレる時はキレる訳で。
    その時は近いのかなぁ?と。

    • 木霊 より:

      おはようございます。
      バシー海峡は日本にとっても因縁深い場所ですからね。そして、シーレーン防衛にとっても積極的に確保せねばならない場所であります。日本がフィリピンにお金を出してでもしっかりした港があるとイイですよね。

      習近平氏の暴走は、案外洒落にならない段階なのかもしれません。その辺りも踏まえて、やっぱり早めに会談が出来ると良いんですが。