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支那の鉄鋼価格が20%以上下落して生産停止に

中華人民共和国ニュース
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いよいよかな?

景気低迷、過剰生産能力、鉄鋼価格は20%以上下落、労働者は集団的に賃金を要求

2023.06.16 02:41

中国経済は低迷し、不動産市場での鉄鋼需要が激減し、多くの鉄鋼会社が資本循環を停止し、生産停止を余儀なくされている。5月31日、河北省唐山市で年間240万トンの鉄鋼を生産する別の会社が生産を停止したが、工場は賃金を滞納しており、数千人の労働者が自分たちの権利を守るために賃金を要求した。鉄鋼業界の技術者は同局に対し、「今年上半期に鉄鋼製品の価格が25%下落した。これほどの下落は一般企業にとっては耐え難いものだ」と語った。

支那メディアより

以前に、支那の鉄鋼は白菜より安いという衝撃的なニュースがあったから、今回のニュースはそこまで深刻では無いのかもしれないが。

鉄鋼業界の不調は何を意味するのか

世界一の粗鉄生産量を誇る

さて、「白菜より~」という記事を探したら、2016年の話であったようだ。リーマンショック(2008年)からいち早く立ち直るために、支那は不動産開発を加速させたのだが、それがアメリカ経済を過熱させた。

【図解・国際】中国粗鋼生産量の推移(2016年5月)

中国が鉄鋼の過剰生産を続けている。行き場をなくした中国の安価な鋼材が世界に出回り、日本をはじめ各国の鉄鋼メーカーからは悲鳴が上がる。中国の「垂れ流し」が止まる兆しはなく、国際的な紛争に発展しかねない状況だ。

「今や鉄は白菜より安い」。中国の鉄鋼業界でよく耳にする言葉だ。鋼材価格はこの5年間で半値以下になり、鉄鋼メーカーが集まる河北省では「つくればつくるほど赤字が膨らむ」と嘆く関係者の声があちこちで聞こえる。

時事通信より

当然、粗鉄生産量は増えて、支那は建設業界に多額の投資をしていくことになる。

そして令和4年には、世界規模で見ても群を抜いた規模になっている。その額インドの8倍以上というから凄い。

もちろん、粗鉄の生産をすれば使い道が必要となって、そこで不動産開発を色々とやったわけだ。

ここへ来て価格急落

というわけで、生産量は世界一を誇るのだが、コレが何に使われるかといえば、鉄道やマンション建設などの不動産開発ということになる。

ただ、鉄道も延ばせるだけ伸ばしたが、異常なまでの赤字路線となっている。まあ、マンション建設はそれ以上ヤバいんだけど。

支那各地に鬼城が立てられたというのは有名な話。

もはや中国名物、空虚な高層マンション「鬼城」 洛陽にみる中国経済の行き詰まり | JBpress (ジェイビープレス)
中国河南省の都市、洛陽を訪ねるチャンスがあった。洛陽は唐の時代に都になったこともあり、その名は「洛陽の紙価を高らしむ」などのことわざになって残っている。ただ、今は昔日の面影はなく、中(1/3)

当然ながら、2016年頃にも似た話はあったのだが、そこで諦めるかと思いきや、なんと、2022年になっても続いていたというのだから驚きである。

22年の世界粗鋼生産、4.2%減 中国で需要停滞

2023年1月31日 21:05

世界鉄鋼協会は1月31日、2022年の世界粗鋼生産量(速報値)が前の年比4.2%減の18億7850万トンだったと発表した。最大生産国である中国で「ゼロコロナ政策」や不動産市況の悪化などを受けて鋼材需要が減少した。世界的な半導体不足による自動車の減産も響いた。

中国の生産量は10億1300万トンと、2.1%の減少だった。事実上の都市封鎖が広がったことで経済活動が停滞したほか、建築向けの鋼材需要も低調だったとみられる。

日本経済新聞より

で、2023年初頭はまだ2.1%減だったのだが、6月の時点でこれが20%近く低迷しているのだという。

鉄鋼の生産停止

で、流石に作り続けることは無理ってことで、操業停止している事業所も幾つもあるようだ。

中国の鉄鋼業界はここ1カ月ほど、損失削減を目的とした事業停止が相次いでいる。5月31日未明、従業員約3000人、年間鉄鋼生産量240万トンを擁する河北省唐山市の徳隆製鉄所の最後の高炉3基が停止し、高炉は最後に解体された。 6月の。鉄鋼業界にとって、炉の解体は市場からの永久撤退を意味する。6月1日、徳隆鉄鋼の多くの従業員が未払い賃金の支払いを求めて請願に工場を訪れた。関連ビデオでは、警察が秩序を維持するために立ち会っている。徳隆製鉄所は23年の歴史を持つ大規模鉄鋼コンビナートであり、焼結、製鉄、製鋼、圧延を主な業務としています。業界関係者によると、過剰生産能力と環境保護が徳龍鉄鋼工場閉鎖の主な要因だという。

支那メディアより

過剰生産を何年も続けながら、漸く生産停止を決断した背景には、不動産開発の低迷ということがあるのだろう。

今までは無理矢理作ってきたマンションも、もはや作ることが出来ない状況になっているのだろうね。恒大集団など事実上の破綻を迎えてしまったし、不動産開発をやっていた企業は軒並み負債を抱えている。

img

鋼材の価格は、2008年の北京五輪に向けてものすごい勢いで高騰し、そしてあっという間に下落。現在は価格が上昇しているのだが……、支那では生産調整に入っているという。

製鉄するにあたって、必要とされる石炭価格の高騰に連動して鉄筋や鉄骨の価格も高騰しているのだが、需要自体は減退している。

4月中国鉄鉱石輸入、9044万トン 5カ月連続増加

2023年5月11日

中国の4月の鉄鉱石輸入量は9044万トンと前年同月比5・1%増え、5カ月連続増加した。鉄鋼メーカーの増産基調から原料輸入は増加傾向を維持。平均輸入単価はトン120・54ドル(約1万6000円、CIF)と前月比2・4%高で4カ月連続上がり、9カ月ぶりの高値となった。

産業新聞より

にもかかわらず、鉄鉱石の輸入は増やしているというから意味が分からない。いや、コレの意味するところは単純に製鉄所を作りすぎたという事なんだろうね。記事にあるように支那国内に大規模製鉄所が500以上あったので、1割ほど閉鎖しても不思議は無い。

ただ、こうした動きによって失業者は増えるよね。

隠れ債務

今後も支那の不動産開発が好転する見込みは当面なさそうだ。

中国、地方政府の「隠れ債務」1100兆円 深まる財政難

2023年6月14日 20:30

中国の地方財政が厳しさを増している。地方政府傘下の投資会社、融資平台が抱える「隠れ債務」の残高は2022年末に1100兆円を超えた。新型コロナウイルス流行前の19年から5割増えた。過剰な借金でインフラ開発などを進めてきたことが要因となる。

金融不安への飛び火を防ぐには債務圧縮が不可欠だ。ただ地方経済の発展モデルが崩れ、中国景気の重荷になるリスクも高まる。

日本経済新聞より

今まで不動産開発の担い手として地方政府が頑張ってきたが、その債務が膨らみすぎて手に負えない状態になっている。

支那共産党は、これをなんとかひっくり返す次の一手をうたねばならないのだけれど、今のところ有効な手がないようだ。そうすると、不動産開発が牽引してきた支那経済が、かなり厳しい事になってしまう。

中国経済“予想外”の息切れ 今何が起きているの? Q&A

2023年6月16日 17時24分

「『負の循環』から脱することができていない」。中国経済について専門家はこう指摘します。厳しい行動制限をともなう「ゼロコロナ」政策が終了して、経済は回復に転じたはずなのに最近、勢いがないことを示すデータが次々公表され、予想外の息切れをしています。いったい、中国で今何が起きているのか、中国に駐在するエコノミストに聞きました。

NHKニュースより

NHKは「予想外」などといっているのだけれども、何が予想外なのか僕には理解出来ない。コレだけ悪材料があって、寧ろ「良くなる」という予想を出来る方が不思議である。

恐らく、当面はズブズブと不況の方向に足を引っ張られていくだろうと予想される。

世界にも経済的な影響は出てくるんだろうね。

追記

新しい記事にしようとも思ったが、この記事の関係なので。少し時間が空いてからの追記になってしまったのだけれども、言及しておきたい。

中国で大量に放置されるEVの墓場、広大な畑に何千台もの電気自動車は一体なぜ?
YouTuberが、中国の自動車メーカーが販売台数を嵩増しするために不正な手段を使っていると主張しています。大量の新車EVが放置中国は、最近電気自動車の製造・販売台数で世界のトップクラスに躍り出ました...
電気自動車大量流入の恐怖:EUが中国EVメーカーへのダンピング防止手続きを検討へ
米国はすでに、電気自動車のバリューチェーンのすべての段階で中国の市場力に対抗することを決定しています。バッテリー材料、バッテリー、自動車全体の生産を米国または自国のパートナーとともに支援するために、政...

ニュース記事ではないので直接引用することは避けるが、要は支那でEVを作って補助金詐欺をやっているということ、EVを輸出するにあたってもこの補助金が市場を荒らしているという内容だ。

しかしこの話、どこかで見たんだよね。で、探してみたのだが、あった。

約2000台放置…中国“電気自動車の墓場”なぜ?

2021/07/20 18:51

中国・浙江省に「電気自動車の墓場」と呼ばれ、膨大な数の車が放置されている場所があります。現場を取材しました。

300メートル四方の土地に敷き詰められた約2000台の電気自動車。

近所の人からは電気自動車の墓場と呼ばれています。

テレ朝NEWSより

2年前の記事で、放置されたEVは2000台程度なのだが、記事によると政府補助金で作られたEVをカーシェアリングサービスで利用していたのだが、ネットタクシー(おそらく、アプリを使ってタクシーを配車するサービスのことを指すと思われる)の普及で、より不便なカーシェアリングサービスが廃れて廃車になったという経緯だと説明されている。

2年ほど放置されていて問題になったと書かれているので、TESLA Newsさんのところの記事とは若干趣旨は違うのだが、やっていることは同じ。これより以前には電気自転車を使ったシェアサイクルが放置されたという話もあった。

中国の都市への警告か、放置されたシェア自転車の山々

Apr. 19, 2018, 05:45 AM

ここ数年、中国ではシェア自転車のスタートアップがいくつも生まれた。スタートアップは「自転車版ウーバー」と呼ばれ、ユーザーはGPSを搭載した自転車のロックをスマートフォンで解錠し、乗り終わったら好きな場所に乗り捨てることができる。

businessinsiderより

ダイナミックだなー、失敗も。

誰も失敗の責任を取らなかったのだろうね。

そう言えば岸田政権も補助金をばらまくのが好きなんだけど、大抵、補助金バラマキ政策は失敗する。支那と違うところは、他国に迷惑をかけるところまでは行きにくいところかな。

鉄鋼の話の記事に追加した理由は簡単で、鉄鋼もそうだが政府主導で推奨した事業に補助金までつけてエンジンを吹かす。その結果、色々余って大変なことになるというお決まりのパターンに嵌った事例だからだ。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    大躍進待ったなし!と思ったらちょっと毛色が違うようで。
    ※でも大卒の下放は始まってるっぽいですよね。

    鉄は工業の根冠ですから、これ見てると色々想像出来るようで、怖いのは、これが台湾危機に直結しないかって事です。
    何もかもダメになる前にバクチを、ってのは誰しも考える事なので……

    • 木霊 木霊 より:

      なかなかきな臭い感じですよね。
      「まだ」なのか「もう」なのか評価する為のデータが足りませんが、材料としてはかなり拙い。
      それも、失業率が高くなっている状況でコレですから、なかなか。

      台湾危機というのも、アメリカなどの動きを見ても肌感覚では近くなってきているような。

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