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韓国がアメリカに強請る核共有

大韓民国ニュース
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米韓首脳会談が行われて、「拡大抑止」の話題が出てきた。

拡大抑止に特化した韓米ワシントン宣言 「事実上の核共有」=韓国大統領室

2023.04.27 14:29

韓国と米国は26日(米東部時間)の首脳会談後に発表した「ワシントン宣言」に、より実質的な「韓国型」拡大抑止策を盛り込んだ。北朝鮮の核脅威が高まるなか、韓米首脳は韓国に対する米国の拡大抑止公約を具体化・制度化するとともに、拡大抑止への韓国の関与を高めることで一致した。

聯合ニュースより

トランプ氏が大統領であった時代からこの手の話は議論されていたのだが、韓国国内では今まさにこの問題が盛り上がっているようだ。

核の抑止力は機能するのか

核の拡大抑止

「拡大抑止」という言葉が用いられているが、要はアメリカ軍が朝鮮半島に核兵器を持ち込むという意味である。

宣言には、拡大抑止に関する協議体「核協議グループ(NCG)」新設のほか、核兵器を搭載できる戦略原子力潜水艦など米戦略資産の朝鮮半島展開の頻度を増やすといった具体的な拡大抑止の実行策が盛り込まれた。米国の防衛公約が宣言的なものではなく実際の措置を伴うものであることを示し、韓国国内の安全保障不安を和らげる狙いがあるとみられる。

聯合ニュースより

具体的には、核協議グループNCGの設立と、戦略原子力潜水艦などの朝鮮半島展開の頻度を増やすということのようだ。

日本とは異なり、韓国は非核三原則などというアホな原則を掲げていないため、こういった約束はかなり効果的である。流石、と言うべきだろう。

アメリカにとっては少々リスキーなこの約束ではあるが、韓国が独自に核兵器を保有するよりはマシだ。

韓国「独自核武装」なら日本も 米元国防副次官

2023/3/28 21:48

米国のブッシュ(子)政権で国防副次官(東アジア・太平洋担当)を務めたリチャード・ローレス氏が28日までに東京都内で産経新聞の取材に応じた。韓国の尹錫悦政権が核開発計画を進めた場合、日本も核兵器を保有する懸念があると指摘し、「米国は日本をコントロールできないし、するべきでもない」と述べた。同氏は1970年代に韓国の朴正煕政権が秘密裏に構想した韓国独自の核開発を阻止する諜報活動に米中央情報局(CIA)職員として参加した。

産経新聞より

ローレンス氏がどんな積もりで発言したのかは推測するしかないが、韓国単独の核武装は許さないという風にも読めるし、日本が核武装するのであれば朝鮮半島に核が残るのを容認するという風にもとれる。

おそらくは、アメリカは韓国に対して核開発をしてくれるなという主張であろうと理解すべきではないだろうか。

北朝鮮は終焉を迎える

さて、そうした背景があって、核の拡大抑止の話が米韓首脳会談で出てきたということは、日本にとっても歓迎すべき話なのかもしれない。日本政府にとっては頭を抱えたいことかも知れないが。

どういうことかというと、韓国が「事実上の拡大抑止力」を手に入れると言うことは、すなわち日本にもチャンスがあることを意味する。

日本政府にしてみれば、荒唐無稽な非核三原則を撤廃するというハードルを越えなければならないということもあって、なかなか頭の痛い話だろうが、そもそも非核三原則など国益に資さない無意味な原則である。平和のためのスローガンと置き換えても良いが、ハッキリ言って左派のお題目に過ぎない。専守防衛と同じく、危険な思想である。

記者会見でバイデン氏は「核攻撃をすれば、北朝鮮は終焉を迎える」と強硬路線をアピール。尹氏は「韓国人が抱く憂慮は解消される」と歓迎した。

記者会見では、日本を含む3カ国連携の重要性を改めて強調した。5月19日から広島で開く先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)には尹氏も招待されており、日米韓が「一枚岩」であることを演出する。

東京新聞より

バイデン氏の発言で、「核攻撃をすれば、北朝鮮は終焉を迎える」というものがあったが、これも今に始まった話ではない。が、このタイミングで口に出したことに意味がある。

韓国で高まる核保有論

そもそも、バイデン氏率いるアメリカが、何故今回のような決断をしたのか?ということなのだが、アメリカは対支那シフトを鮮明にしつつあり、今、韓国を切り崩されては困るのだという事情がある。

アメリカにとって半導体規制は、将来的な利益という意味で非常に重要な意味を持つ。ここで支那に半導体を抑えられてしまうと、アメリカは支那と対立することで製品を作れなくなってしまうからだ。半導体は今や戦略物資級のアイテムになっているのである。

米韓「ワシントン宣言」で北朝鮮抑止 韓国世論にも配慮

2023年4月27日 20:00 (2023年4月28日 2:15更新)

米韓は北朝鮮の核兵器技術の進展を見据え、拡大抑止を強化する。北朝鮮が戦術核で韓国を公然と威嚇するようになり、韓国内に不安視する世論が広がっている。韓国でくすぶる核武装の議論を抑えつつ、日本を含めた東アジア全体の抑止力を高める。

日本経済新聞より

そこで、韓国に飴を与えた。

ソレが今回の米韓首脳会談の本質である。恐らく韓国は経済的な利益が欲しかったのだとは思うが、それについてアメリカが配慮した気配が、今のところはない。しかし、防衛戦略上のパートナーと意識させることで、米韓の関係を引き締めた。

韓国で高まる核武装論、賛成が7割に…米軍は再配備に否定的でも「軍拡競争を招く」と募る懸念

2023年1月4日 06時00分

北朝鮮の核・ミサイルの脅威を受け、韓国で核武装を求める議論が高まっている。米韓同盟を重視する尹錫悦大統領は慎重だが、与党議員らは「米国の『核の傘』に頼らない国防力が必要」などと主張する。冷戦期に核兵器が配備されていた在韓米軍基地の周辺からは「東アジア全体の軍拡競争を招く」と懸念の声が上がる。

~~略~~

シンクタンク「峨山政策研究院」が昨年5月に発表した世論調査では核武装に賛成する韓国人が70%に上った。米朝や南北の首脳会談が開催されて対話ムードが高まった2018年の54%から大きく上昇した。

東京新聞より

朝鮮半島の非核化を掲げているアメリカにとって、韓国の核保有はすなわち北朝鮮の核保有に他ならない。韓国と北朝鮮の間には多数のスパイによって情報が筒抜けになっている状態なので、下手に渡すと自らの首を絞めかねない技術に関しては韓国に漏れないように心を砕いている。

韓国の尹錫悦大統領は首脳会談後の共同記者会見で、ワシントン宣言について「拡大抑止の強化とその実行策は過去と異なる。北の核に対する国民の懸念はかなり解消されるとみている」と述べた。

聯合ニュースより

ユン君はご満悦の様子だったらしいのだが、ある意味、成功した交渉だったと言えよう。韓国国内で核開発なんぞすれば、相当お金を突っ込まねばならないし、実験もどこかでやる必要がある。とてもではないが、今の状況の韓国では出来ない。それを回避できただけでも大きいことだろう。

合意の意味

ところで、上でも説明したように今回のポイントは2つだ。

  • 核協議グループNCGの設立
  • 戦略原子力潜水艦などの朝鮮半島展開の頻度を増やす

NATOの運営する核計画グループ(NPG)を参考に、核協議グループ(NCG)作ろうという話だが、これに関しては「作ろう」と約束しただけで、出来たわけではない。

米国が北大西洋条約機構(NATO)と運営する「核計画グループ」(NPG)を参考にした枠組みとされ、韓国にとっては朝鮮半島を巡る米国の核対応への関与を高め、これに関する韓米間の継続的な対話の窓口を得たことになる。

聯合ニュースより

そもそもNPGは、アメリカが核兵器を管理しておいて、有事の際に欧州で参加する各国の要請を受けてアメリカ大統領の判断で核兵器を使うという発想である。

が、これ、よく誤解されているようなんだけど、例えばドイツがロシアに攻め込まれ、核兵器が使われるような状態に陥った場合、アメリカ軍はドイツの要請を受けたからといって、大陸間弾道ミサイルをぶっ放す!という訳ではない。爆撃機から前線に核兵器を投下するのである。

つまり、ヨーロッパで核兵器を使うための約束なのである。

韓国にとっては北朝鮮に核兵器を使われた段階で、朝鮮半島内で核兵器を使わない意味はないので、こちらはある意味当然というか、これまでも米軍による反撃は想定されていて、核兵器による反撃は否定されてはいなかった。今までとたいして変わらないのだが、北朝鮮にとっては口約束でもアメリカが「OK」と言ったことが大きいと思う。

では、戦略原子力潜水艦などの朝鮮半島展開の頻度を増やす方は、というと、こちらも、戦略原潜が搭載する核弾頭付きの弾道ミサイルは、朝鮮半島の近くにいなくても北朝鮮を狙うことができる。つまり、朝鮮半島に展開する意味はない。こちらもアメリカのリップサービスであり、北朝鮮にとっては嫌な約束ではあるが今までと変わる話ではない。

つまり、総合的に見て、この首脳会談はどんな意味があったのかというと、韓国をレッドチーム側から足抜けしたように見せる効果と、日本をアメリカの防衛戦略に組み込みたいという狙いがあったのだと思う。韓国にとってはアメリカの回答には理があったので満足ということかも知れないけれど、「何が起こったのか」は把握しておくべきだと思う。

そして、これに呼応して日本政府は立場を鮮明にすべきではないだろうか。確実に言えるのは、今回のこの動きは、新しい枠組み構築の入り口に日本が立たされたと言うことである。

支那は当然文句を言ってくる

ただし、韓国はこれでレッドチームから足抜け出来るか?というと、そんなことはないのだろう。

中国、韓国に厳正な申し入れ 米韓共同声明巡り

2023年4月28日9:56 午前

中国外務省は28日、台湾海峡の平和と安定の重要性に関する米韓共同声明を巡り、韓国に「強い不満」を表明したことを明らかにした。

外務省アジア局の劉勁松局長が韓国大使館幹部と27日に面会し、台湾を巡る中国の立場を強調するとともに、「一つの中国」の原則を厳格に守るよう求めたという。

ロイターより

これ、ワシントン宣言が出てから直ぐに韓国は支那に「こら!」と怒られたという意味である。

韓国の尹錫悦大統領は26日、バイデン米大統領とホワイトハウスで会談した。共同声明では台湾海峡の安定を維持する重要性を強調し、「違法な海洋権益の主張、埋め立て地の軍事化、強制的な活動など、インド太平洋の現状を変えようとする一方的な試みに強く反対する」とた。

ロイターより

表向きは「1つの支那」の原則を守っていないよね、という主張だが、それだけで怒られたわけではない。

だが、これは裏を返せば支那にとっては都合の悪いことだったということであり、寧ろどんどんやるべきことだと言うことの証拠でもある。

コメント

  1. アバター けん より:

    こんばんわ、

    ユンユンは韓国大統領として、韓国の自主核武装の放棄を公表しました。これは、韓国が米国の核戦略に同意することですが、事実は米国に丸め込まれたということになります。
    ワシントン宣言には、「韓国は…米国の核抑止力に永続的に依存する(The ROK … recognizes the importance, necessity, and benefit of its enduring reliance on the U.S. nuclear deterrent.)」と。

    韓国側は、”核の共有”を首脳会談の成果として強調していますが、在韓米軍に核兵器の再配置は行われないということなので、韓国はこれまで通りに米国の曖昧な”核の傘”のカタに嵌められ続けることに。

    ということで、ユンユン、ユーは何しに米国へ?

    • 木霊 木霊 より:

      いやー、けんさんのご指摘通りの展開になっているようですね。
      韓国はもう少し「上手くやった」感触を持っていたのですが、早々に自爆している模様。
      ワシントン宣言の原文にちゃんとあたっておけばもう少し早くそのことに気が付けたかもしれません。

      ともあれ、「核共有」を否定されてしまったので、ユンユンの立場がなくなってしまった模様。
      あんなこと言わずに、「もしかしたら核共有状態」という風に勘違いさせておけばよかったのに。

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