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要人警護のあり方を変えろ!

安全保障
この記事は約5分で読めます。

現代ビジネスにしょーもない記事が載っていたので、紹介しておきたい。

【岸田首相襲撃事件】「夜は悪夢にうなされる」「一生、強い自責の念に苦しむ」要人警護のあまりに報われない悲壮な世界

2023/4/16

岸田総理襲撃事件はなぜ防げなかったのだ――批判の声もあがるなか、要人警護担当者らは自責の念を抱いているはずだ。一方で、SPの実態について、われわれは知っているようで何も知らない。

現代ビジネスより

SPの過酷な状況を記事にしたものだが、「だから、こうするべき」という内容に触れていない。

構造的な問題が大きい

人数が少ない

そもそもSP(セキュリティポリス)とは何だろうか?日本の場合は警視庁警備部警備課に属する警察官の事を指すもので、アメリカで運用されるシークレットサービス(SS)とは異なる。

アメリカのSSは大統領の警護をする部隊として備えられ、年間予算16億ドル以上(2,100億円以上)も投じられ、人員は6,500人以上の規模で維持されている。SSは財務省の下部組織、つまり国家機関として設置されているのだ。

一方のSPは?というと、身辺警護を専門職務とする警察官である。定員は300人以上という風に報じられている。

警護研修生の訓練初公開 安倍元首相銃撃で受け入れ倍増―警視庁

2023年03月02日13時09分

警視庁警護課は2日、夢の島総合警備訓練場(東京都江東区)で、全国の道府県警から研修生として派遣された警察官の訓練を公開した。

~~略~~

警視庁によると、同課は今春から警護課員を約50人増やして定員を300人以上とし、体制の拡充を図るという。

共同通信より

どう考えても少ない。

警視庁警備部警護課の編制

  • 警護管理係(庶務担当)
  • 警護第1係(内閣総理大臣担当)
  • 警護第2係(国務大臣担当)
  • 警護第3係(外国要人・機動警護担当)
  • 警護第4係(東京都知事・政党要人担当)
  • 総理大臣官邸警備隊 ※総理大臣官邸の施設警備を行う部隊で身辺警護は行わない為、SPではない。
Wikipediaより

しっかりしたソースがあるわけではないので、4つの課があって定員300人というのは幾ら何でも少なかろう。

構造的な問題

警視庁警備部警護課に属するSPだが、警視庁警備部警備課は警視庁に本部が置かれ、警視庁は上部組織が東京都公安委員となっている。

給与は東京都から支払われる構造になっている。

……東京都に指揮権はないんだろうけれど、それっておかしくないか?

東京都公安委員会は、警察の民主的運営と政治的中立性を確保するため、警察法に基づいて都民を代表する委員により構成され、独立した合議制の機関として警視庁を管理しています。

東京都公安委員会のサイトより

独立性が高いことは悪いことではないが、「政治的中立性の確保」と謳っているのは宜しくない。

東京都公安委員会の役割

指揮命令系統は東京都知事ではなく、国家公安委員会及び道府県公安委員会にあることになっている。

しかし、お給料を払うのは東京都知事の裁量になるのだから、影響力がないわけではない。そして、都知事にはおかしな思想の持ち主がなるリスクがある。今の知事が銅という話ではなく、「リスクがある」というところがポイントだ。

「政治的中立性の確保」が聞いて呆れるな。

要人警護だけでも、政府直轄の機関にすべきではないのか。独立性を担保する必要はあるが、給料は国庫から支払われる構造にしないと色々と宜しくないと思う。

生活が壊れる

で、そのツケがどこに来るかというと、直接的にはSPに、だ。

またSPといえば、捜査一課と並んで不規則な勤務や長時間労働がよく知られている。警視庁に23年在籍し、主に公安部外事課でスパイ・テロ対策を担当していた「オオコシセキュリティコンサルタンツ(OSC)」の松丸俊彦氏が話す。

「統計があるわけではありませんが、『警護課は忙しすぎて家に帰れないので家庭崩壊し、離婚率が高い』と警察内ではいわれています。ですから、いざSPになったものの、他の部署に出てしまう人もいます」

現代ビジネスより

しかし、SPに警護される要人に対してもその影響は及ぶし、要人が失われて困るのは選挙で送り出した国民自身なのだ。

忙しすぎるのは人員が足りていないことが理由だし、十分な給与が支払われていないことも大きな問題だ。何より、SPの技量などを維持するために訓練が必須なのだが、そういった時間の確保にも影響が出る可能性すらある。

結果的に十分な警護ができていない

そして、日本の最重要人物となっている岸田氏の警護がどうだったか?というと、この結果である。

前の記事では批判的に書いた。

4月15日午前11時半前、岸田首相が和歌山市の漁港を選挙の応援で訪れていたところ、演説の直前に爆発物が投げ込まれた。岸田首相は現場から避難してけがはなく、警察官1人が軽いけがをした。

またイヤなニュースだった。幸いにも岸田首相にけがはなかったが、鉄パイプ爆弾らしくものが岸田首相のすぐ後ろに投げ込まれた。

背後にいたSPの機敏な対応、犯人をすぐ取り押さえた漁業関係者、警備関係者、そして鉄パイプ爆弾自体が稚拙であったことなどから、結果としては幸運にも大事に至らなかった。

現代ビジネスより

犯人を取り押さえたのは漁業関係者だったが、犯人は爆弾を手にした状態で取り押さえられており、SPはその際に岸田氏の安全を守るために動いた。

が、岸田氏の数m先にパイプ爆弾が投げ込まれ、爆弾が即時爆発したら岸田氏の命は危なかった可能性が高い。結局、今回の事件は「運が良かっただけ」なのである。

SPだけの責任だけだとは思わない。しかし、要人警護は本当に今の態勢で良いのか?という点も含めて今一度考え直して欲しい。どう考えても人数が足りていないことや、十分な給与が支払われていないことは大きな問題なのだ。そこを先ずは改めて欲しい。

コメント

  1. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    本件、安倍元首相の件も含め、何度も言っていることなのですが、「ポリカの盾」を周辺警護は持った方が良い、と思っています。
    いわゆる機動隊の盾、ジュラルミンに替わる新しいものですが、透明なので威圧感は低く、しかし防弾性能は下手するとジュラルミン以上。良い事ずくめです。
    これさえあれば、安倍氏が凶弾に倒れることはなかったと確信しています。

    今回は、特定のSPの動きが良かったために難を逃れた感がありますが、あんな折り畳みではなく(折り畳みが悪いわけではない、適材適所)もう最初から身辺には常に「盾持ち」をはべらせるような警備態勢に切り替える時期に来ている、そう思うのです。

    • 木霊 木霊 より:

      日本の選挙の伝統がどぶ板選挙と呼ばれる手法で、日本人も好んでいるのでしょう。
      ですが、民主主義の根幹を揺るがす事態に対処する為には、選挙のあり方も変えていくべきだと思います。

      ご指摘のポリカの盾(ポリカーボネート製ライオットシールド)はもっと普及させても良いと思います。
      ただ、色々調べてみるとこの盾、支那製のものが結構出回っているんですよね。構造が単純なのでコスト削減のために仕方がないとは言え、防衛のために使うのであれば高くても日本製のものを調達できる態勢にして欲しいですね。