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支那はMMT推進派の提言を実行できるか

中華人民共和国ニュース
この記事は約8分で読めます。

凄い記事が出ていたな。

中国はGDP比5%超の財政赤字容認を、MMT推進派の学者が提言

2023年11月19日 23:14 JST

中国で現代貨幣理論(MMT)推進派として知られる賈元良氏は、欧米諸国による貿易制裁で打撃を受けた国内経済を支えるために、財政支出を圧倒的に増やす必要があると提唱した。

Bloombergより

現代貨幣理論(MMT)ねぇ。僕には理解出来ない理論なんだけど、大丈夫なのかね。本日は、あまり需要がなさそうだけれども支那経済について少し。

習近平氏は「支那経済は健全だ」と胸を張る

MMTは支那を救うか

一応、MMTについて説明しておこう。

現代貨幣理論の代表的な主張をまとめると、以下の3つのことがあげられます。 ・自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはない ・財政赤字でも国はインフレが起きない範囲で支出を行うべき ・税は財源ではなく通貨を流通させる仕組みである

未来創造マガジンより

一定条件下であれば、赤字国債をバンバン出しても問題ありませんよ、というような感じの理論なんだけれど、この「一定条件下」というのが問題なんだな。

「インフレにならない限り」というのがその条件で、インフレにブレーキをかけるためには短期金利を上げる手法が知られている。

今の支那の現状を考えると、通貨の流動性が悪化しているので赤字国債を積み上げて市場に通貨を出すこと自体は問題ない。これはMMTの話を持ち出さずとも、成り立つ理屈ではある。

ただ、それをやると人民元の金利が下がる効果が出るので、外国からの投資を冷やす可能性が出てくる。だから、タイミングを見極めての金利政策が求められているわけだ。

中国、外国企業の投資しやすくすると習氏-世界クラスの事業環境約束

2023年11月17日 9:59 JST

世界2位の経済大国、中国に対する外国企業の信頼感が低下する中で、訪米中の習近平国家主席は外国人が中国でビジネスを行いやすくすると大手企業の最高経営責任者(CEO)らに約束した。

Bloombergより

支那としては外資を呼び込みたいと考えているので、政策金利を上げたいのだが、不動産開発業が傾き個人の債務も積み上がっていることを考えると、政策金利は下げておきたいのが本音だ。

ただ、現状はどちらに転ぶのか分からないので、据え置きを選択しているようだ。

中国、政策金利据え置き 3カ月連続

2023年11月20日 10:45

中国人民銀行(中央銀行)が20日発表した2023年11月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)は期間1年が年3.45%、同5年超が年4.20%だった。両方そろって据え置くのは3カ月連続となる。人民元相場の動向を注視しつつ、緩和的な金融政策で景気を下支えしていく方針だ。

日本経済新聞より

なかなか大変だね。というわけで、MMTに基づいてジャブジャブと人民元を刷って通貨流通量を増やすのは、今の支那としてはなかなか選択できないようだ。

何とか投資してくれ!

で、習近平氏はAPECで外資に投資を呼びかけたのだが、外国人投資家にとっては支那共産党の「気分次第でころころと方針の変わる」政策こそが投資を冷やす原因になっている事に、余り気がついていない模様。

習氏は「外国人の中国入国・滞在に関する政策の改善といったより『心温まる』 措置を講じる」と述べ、金融・医療・電子決済サービスへのアクセスをスムーズにすると説明。「これらは全て外国企業が中国での投資や事業をしやすくするためのものだ」と語った。

異例の政権3期目入りを果たした習氏には権力が集中。同氏が総書記として率いる中国共産党は政策を突然変更するなど、外国人投資家に懸念を抱かせている。新型コロナウイルス禍の際には厳格な入国・移動制限を継続。国家安全保障に絡む摘発も外国企業の不安をあおっている。CEOサミットでの習氏の演説は、そうした懸念の一部に対処することを意図したものだったようだ。

Bloombergより

武漢ウイルス感染症を世界にばらまいたことは、支那にとっても大失態だったと言えるね。

あとは反スパイ法の改正もかなり大きな失敗だったと言えよう。一部では、「反スパイ法改正によって、やってはダメなことが明確になった」という主張もあるのだが、法人拘束の例1つとっても、どんな犯罪に抵触して拘束されたのかが今ひとつ分からない。外国企業にとっても外国人投資家にとっても、リスクが高まったという評価になっているようだ。

中国外貨準備、9月は3兆1150億ドルに減少

2023年10月9日午後 12:04

中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した9月の外貨準備高は3兆1150億ドルで前月から450億ドル減少した。

ロイターがまとめたアナリストの予想(3兆1300億ドル)を下回った。

ロイターより

外貨準備も随分と溶けているようだし、人民元防衛にかなりドルを使っているのではないか?という疑いが出ている。

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不動産部門支援へ

なお、支那国内の不動産問題は何度か言及したように、なかなかキビシイ状況にある。

中国当局、不動産部門支援へ 地方の債務リスク解消で協力

人の住まないコンクリート建造物を多数作っておいて、コレの扱いに困っているのが支那の実情である。

先日は、碧桂園のオフショア債務再編計画について言及したけれども、これがまあ何処から手を付けて良いか良く分からない状態になっている。

中国当局、不動産部門支援へ 地方の債務リスク解消で協力

2023年11月19日午後 5:43

中国人民銀行(中央銀行)と複数の金融規制当局は17日、不動産部門の資金調達の支援を確実に行うと表明した。地方政府の債務リスクの解消についても協力する意向を示した。

中国証券監督管理委員会は、中銀と金融規制当局の会合後、金融機関が不動産会社の合理的な資金調達ニーズに対応し、不動産会社からの融資の引き揚げを控えると表明。銀行融資、債券、株式を通じた不動産部門への与信を安定させる最近の取り組みに弾みがついていると述べた。

ロイターより

こんな話が幾つも出ているが、本当に地方の債務の解消を目指して何とか出来るのかは不明である。

中国の地方都市 高まる財政破綻リスク 債務1800兆円の衝撃

2023年11月15日 12時12分

不動産大手の「恒大グループ」や「碧桂園」などが相次いで経営危機に陥り、不動産不況の波が押し寄せている中国。

経済成長が失速する中で、さらに中国経済の長期低迷を招きかねない大きなリスクが隠されていました。1800兆円を超える、地方政府の債務です。

NHKニュースより

もはや、支那の地方政府は返済不能なレベルの債務を抱えている。記事に出てきている貴州省は、明らかになっている分だけで1兆2,470億元(約24兆2,930億円)に達している。なおこの他に隠れ債務がおよそ1兆3,676億元(約26兆6,877億円)あるので、合計でおよそ2兆6,146億元(約51兆円)程度の債務があると言われている。

特に、貴州省の融資平台の中には、銀行からの融資の返済が困難となり、返済を20年間繰り延べにすると公表したところも出てきているのです。

NHKニュースより

当然、返済不能だ。貴州省には産業が無いからね。

img

なお、債務比率の表が出ているが、ワーストは1089%の天津市らしい。

健全性を強調

ただ、こんな状況であっても習近平氏は「安心してください」とAPECで説明したらしい。

習近平氏、中国経済の健全性強調「長期安定発展に自信」

2023年11月17日 9:24

米国を訪問中の中国の習近平国家主席は16日午前(日本時間17日未明)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連会合にメッセージを寄せた。中国経済について「長期的かつ安定した発展を達成できる自信と能力がある」と述べ、健全性を強調した。

日本経済新聞より

良く分からんが、凄い自信だ。

でも、国内経済はかなりヤバイし、健全性は「ナニソレ美味しいの?」レベルなんだがどうする気なんだろうね。まあ、対応としては間違ってはいないんだけどさ。ここでトップが弱気になったら、もう歯止めがかからないからね。

今回分析できたのは一部ではありますが、中国の地方財政の危機的な状況、そして、従来の投資に頼った成長モデルを変えなければ、中国経済は長期低迷につながりかねないリスクをはらんでいることが見えてきました。

NHKニュースより

流石にNHKも「コレまでと同じではダメだ」と言っているが、何故か日本が支那に協力すべきだという言葉で解説を終えている。

日中首脳会談、習主席が戦略的互恵関係の再確認呼びかけ

2023年11月17日午後 12:03

中国の習近平国家主席は米サンフランシスコで16日に日本の岸田文雄首相と会談し、両国は「戦略的互恵関係」の位置付けを再確認し、新たな意味合いを持たせるべきだと述べた。

ロイターより

支那からも強烈なラブコールが来ているんだけど、「日本はオワコンだ」と言われているのに、未だ日本から技術やお金を毟ろうとしているのかと思うと、彼の言葉は空しく響くね。

5年に1度支那の経済運営方針などについて話し合う三中全会(第3回中央委員会全体会議)が、第3期習近平指導体制が始まってから未だに開かれていない状況で、「健全性があります」とか言われてもね。

深刻な中国経済、対策探る「3中全会」先送りの裏側

2023年11月8日 0:00

中国共産党総書記である習近平を核心とする政権は、この時期、恒例となっている長期的な経済運営の路線を決める党中央委員会第3回全体会議(3中全会)を開く兆しをみせていない。3中全会は、共産党の幹部を意味する中央委員、中央候補委員ら350人以上が、首都・北京に集合する大会議だ。

日本経済新聞より

案外、MMTを実践して大量に人民元を市場にバラ撒けば、短期的には通貨の流動性が高まって経済の活性化が得られるのかもしれない。ただ、長期的にはやっぱり不動産開発業で拡大した歪みを何処かで正さないと、「健全性」を担保できなくて破綻してしまうだろう。

良いんじゃないかな?統制経済下でMMTというのもちょっと面白い社会実験になりそうである。

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追記

なお、支那の負債についてはこんな意見も。

一体、幾ら負債があるのかは、誰にも分からない。

コメント

  1. アバター 山童 より:

    なんか、あの国より日本の事を金利の話で考えてしまいました。
    「インフレにならない前提で」という木霊様のお話……「悪いインフレ」で物価上がるが、金利あげると企業の7割の中小が耐えられない。しかし物価上昇は円の価値が下っているからの原価上昇であり、
    外国の投資を呼び込み、流出を避けるには金利を上げないと。しかし上げると中小を中心に企業が……と、堂々巡りになってしまう。なんか中国経済記事なのに、
    日本のことを考え込んでしまうのでした。う〜む……困った。

    • 木霊 木霊 より:

      僕の理解では良いインフレ、悪いインフレ、というものは概念上でしか存在しません。
      インフレを抑制するために金利を引き上げるという政策はありえますが、逆は無い(実行した国はあるんですが)。

      現状の物価上昇が円安の影響を受けていることは事実ですが、エネルギー価格の高騰は別の理由で起きていて、ダブルで効いてきているから厳しいわけですが、賃金上昇はここから遅れてついていく形になります。日本の場合は積極的に外資の呼び込みを必要としません。寧ろ、円安が進んで国内に製造業が回帰する流れになれば、国内の労働環境の改善など期待もできます。尤も、理屈上はという話でして、実際には人手が足りないことが影響して困る企業もたくさん出るんでしょうけれど。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    経済は疎いので、「MMT理論」も、「一時期、飛ぶ鳥を落とす勢いで勃興して来たけど、鳴かず飛ばずで尻すぼみ」の経済理論という認識しかないです。日本がこれに当てはまるとか言ってましたっけ?記憶違いかな?
    経済屋の言うことは、結局、過去の変動に基づいた予測でしかなく、新しい動きに対応出来ず、事実を追認することしか出来ない、その程度のものと思ってます。

    で、「反スパイ法改正によって、やってはダメなことが明確になった」ですが……
    ・中国に行かない
    ・中国に近づかない
    ・中国にかかわらない
    の三ナイ運動でFA?

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      MMT理論って、リフレ派の焼き直しみたいな話ですからね。
      リフレ派もけっこう能天気な理論ですが、MMTは更に凄い。打ち出の小槌かっ!というレベルです。正しいかどうかはさっぱりわかりませんが。

      反スパイ法ですが……。正直「何が変わったの?」レベルですかね。結局、何の罪で逮捕されたのかは明らかにされませんから。三ナイ運動でFAでしょうか。

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