スポンサーリンク

核武装を志向する韓国

安全保障
この記事は約7分で読めます。

うーん、物騒だな。

核武装に6割賛成 5割超が日本との軍事同盟に同意=韓国調査

2023.06.05 15:19

韓国政府系シンクタンクの統一研究院が5日に公表した「統一意識調査」によると、韓国の核保有に賛成するとの回答は60.2%となり、2021年10月の71.3%と昨年4月の69.0%に比べ、大きく下落した。

聯合ニュースより

韓国の核武装はアリかナシかでいえば、日本的にはあり得ないのだが、しかしこれは日本として核武装するかどうかも含めて問うべき話でもある。

NPTはもはや有名無実

絵に描いた餅

先ずは記事を読んでいこう。

だが、独自の核開発により直面する可能性がある六つの危機(経済制裁、韓米同盟破棄、安全保障脅威の深刻化、核開発費用、環境破壊、平和のイメージ喪失)をそれぞれ提示し、核保有に同意するかどうかを尋ねると、同意するとの回答は36~37%に下落した。

聯合ニュースより

自国の核武装論を考える場合に、当然考えるべきなのは核兵器不拡散条約(NPT : Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)と呼ばれる不平等条約について、である。

改めて、NPTについて軽く見直しておこう。

日本も加盟しているこの条約は、かなりの国々が加盟している。

img

署名及び批准しているのが濃い緑、加盟または承認しているのが薄い緑、オレンジ色(脱退)やエンジ色(未加入)は、僅かしかいない。

脱退したのは北朝鮮で、未加入なのは、インド、パキスタン、イスラエル、南スーダンである。

では、NPTはどんな条約なのか、といえば、核保有国と定められたアメリカ、イギリス、ロシア、フランス、支那の5カ国が、核軍縮を目指し、非核保有国は核兵器の製造・取得を禁止するという、なかなかふざけた条約である。

不平等にも程があるのだが、それでも加盟国が黙って受け容れていた背景には、アメリカとロシアに誠実に核軍縮交渉を行う義務が課されていたためだ。

誰も核軍縮を目指さなかった

が、条約を守らないことで定評のあるアメリカは、「核軍縮」を掲げて何をやったかというと、古くて使用期限の切れた核兵器を廃棄して、新しく破壊力のある核兵器を作った。トータルでは減ったように見えても、戦力は維持をしている。

ソ連(ロシア)は、核兵器の維持が出来なかったために多少減らしたモノの、ソ連崩壊に伴い、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンに配備されていた各兵器がロシアに移転されたことで、義務の履行に至ってはいない。実数は減っていないのだ。

イギリス、フランスは実数を維持。支那に至っては「軍縮義務は無い」と言い張って、がんがん増やした。

そして、未加入だったインド、パキスタンは核保有し、イスラエルもおそらくはその技術を保有しているし、核兵器も保有しているだろうと見られている。そして、北朝鮮も脱退を機に核兵器保有に至っている。

何より、NPTの核保有国が核軍縮交渉を行ったのは、1991年のSTART Iが最後。一応、START IIや新戦略兵器削減条約の交渉は行われたが、何も変わらずにいる。一応、新戦略兵器削減条約は2021年に5年間延期する話になったが、2023年にロシアが履行停止を表明した。

アメリカとロシアにとって、支那が核軍縮義務を負わずに核兵器を増やしている現状を考えると、減らすメリットは全くなし、という状況であるし、今のロシアにとってはアメリカとの約束などどうでも良い。

つまり、NPTなど最初から実現不可能なモノだったし、いまやどの国も守ろうとしていない条約というわけだ。

それでも経済制裁はありうる

しかしそうであっても、核軍縮に賛同しないとなると核保有国からの経済制裁はありうるのだ。

実際に、イランは核合意を結んでいながら、核開発を続けたとして経済制裁を受けている。

イラン核合意からの離脱の是非、トランプ大統領があす発表

2018.05.08 Tue posted at 12:19 JST

米国のトランプ大統領は米東部時間の8日午後2時(日本時間9日午前3時)、イランとの核合意から米国が離脱するかどうかを発表する。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で7日午後、「イラン合意に関する私の決定を、明日ホワイトハウスから発表する」と表明した。

~~略~~

トランプ大統領は制裁免除措置の延長に反対し、結果的に核合意から離脱する公算が大きいと見られている。トランプ氏は大統領に就任する以前から、イランとの合意を「史上最悪の合意」と酷評し、就任したら即日破棄すると公約していた。

CNNより

トランプ氏はアメリカ大統領であった時に、公約通りにイラン核合意から離脱をし、経済制裁を行った。

イラン核合意「すでに死に体」 米政府高官が大統領発言を釈明

2022年12月21日 9時04分

アメリカのバイデン大統領がイランの核開発を制限する核合意をめぐって「すでに死に体だ」と発言した映像がソーシャルメディアで取り上げられ、両国で合意の立て直しに向けた間接的な協議が続けられる中、政府高官が釈明に追われました。

NHKニュースより

愚かなことに、バイデン氏は再び核合意を結べると思って画策しているのだが、ハッキリ言って無駄だろう。イランは、核保有の有用性を北朝鮮やイスラエルを見て学習したのだ。

韓国では核保有論が活発に

さて、そして韓国の話に戻る訳だが、隣国北朝鮮が核兵器を保有しており、アメリカを交えた交渉で「朝鮮半島の非核化」を目指す約束をした。

しかし、今やその約束も果たせそうに無く、寧ろ核兵器保有をすることで、自国を守ろうという論調になってきた。

米国の核の韓国への再配備を求める世論も53.6%で過半数を占めたが、21年10月(61.8%)と昨年4月(60.4%)を下回った。

聯合ニュースより

何なら、アメリカに核の再配備をしてくれ、と。

韓国としては核の傘のただ乗りを目指していたが、今やその傘が破れていることに気がついたので、じゃあ韓国に再配備してくれと。その方が韓国にとっては安心できることは間違いないだろう。

他人事では無い日本

皆さんご承知の通り、故安倍晋三は、生前、「核共有について議論を始めるべきだ」と、そのように議論を促したが、結局そのような議論はなされなかったし、今なおなされてはいない。

「日本へのコミットは強固」 核共有は否定 前米国防長官

2023/6/3 18:44

エスパー前米国防長官は産経新聞とのオンラインインタビューで、核兵器を含めた米国の戦力で日本を防衛する拡大抑止に関し「米国のコミットメントは強固だ」とした上で、米国の核を日本国内に配備して共同運用する核共有については「必要だとは思わない」と述べた。また、軍事的覇権を目指す中国の核戦力増強には警戒感を示し、米中露の核軍縮協定を構築すべきだと訴えた。

産経新聞より

正直な感想を言うと、核共有に関しては不可能だしメリットが薄いとは考えている。何しろ、核共有とは名ばかりで、核のボタンはアメリカが持つのだから、アメリカ本土に核兵器があっても、日本国内に配備されていても大差ないからだ。

寧ろ、核共有をすると言うことは、日本の領域内での核兵器の使用をアメリカに委ねることを意味する。

それならば、過去に何度か指摘したが、アメリカ軍による核兵器の持ち込みを容認する方がまだマシである。

そして、核兵器の保有議論はすべきだろう。尤も、現実的に核保有で得られるメリット、デメリットを考えると、デメリットの方が大きくなりそうではある。それは、引用した聯合ニュースで指摘される通り、経済制裁、日米同盟破棄、安全保障脅威の深刻化、核開発費用、環境破壊、平和のイメージ喪失など、様々なデメリットが考えられるからだ。

だが、保有した場合にどのような運用が可能で、どれだけの利益が得られるのかということを知っておくことは必要だし、国民に対してもそれについての情報開示をしておいた方が良い。

核保有によるメリットも間違いなくあるからだ。

韓国での議論は、底の浅いモノかもしれないが、それでも議論されるだけマシである。日本はまず核アレルギーを脱するところから始めなければならない。少なくとも隣国でそのような議論があって、万が一保有するようなことがあった場合にどのように対処すべきかも含めて考える必要がある。

コメント

  1. アバター 匿名 より:

    原油高の時期にアメリカは戦術核兵器用核物質の濃縮度を下げて核燃料として売却したので、戦術核兵器を保有していないんだったか。

    • 木霊 木霊 より:

      さて、アメリカは戦略核の弾頭は1419発だと、2023年3月に説明していますけど。
      それが本当かどうかは。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    「ムクゲの花が咲きました」

    他に言うことないです。

  3. アバター 七面鳥 より:

    当方も読んだことないし、今のところ読む気もないのですが……
    あらすじをサクッとググると、「韓国で核兵器開発してた」「な、なんだって~!」の部分と、経済困窮したらしい日本が朝鮮半島に手を出して返り討ちにあって核を撃たれる、が繋がっているようないないような。
    後半の核を使いたいために前半に開発疑惑を持ってきたような印象が……

    やはり、時間の無駄を承知で読まないとダメか……

    ※鈴置氏の「朝鮮半島201Z年」は非常に面白かったです。

    • 木霊 木霊 より:

      粗筋を聞いても意味不明なんですが……。
      何のために核兵器を使ったんでしょうねぇ、小説の韓国軍は。

      まあ、考えても無駄かもしれません。日本に核兵器を落としてやる!というのが小説のコンセプトのような気がしますから。

タイトルとURLをコピーしました