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KUH-1「スリオン」、不具合発覚により運航停止

韓国陸軍
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ああ、うん、そうなんだ。

「運航停止」スリオンは… 文大統領も乗っていた国産機動ヘリ

記事入力2019.11.05 午後17:36 最終修正2019.11.05 22:30

軍が5日運航を全面中断することにしたスリオン(KUH- 1)は、既存の老朽ヘリ(UH- 1 H、 500 MD)を代替運用するために、国内で研究開発したヘリコプターだ。

この日、陸軍によると、4日、江原道楊口一帯で訓練していた某部隊所属スリオンヘリコプター1台の午後5時50分ごろ、原因不明の微細な振動などの異常の兆候を見せた。

陸軍は、マニュアルに沿って軍飛行場に予防着陸を行い、具体的な状況のチェックのために、すべての部隊のスリオン運航を全面中断した。

「NAVER」より

あ、タイトルに「不具合発覚」と書いちゃったけれど、「原因不明の微細な振動」ってあるね。

韓国型機動ヘリコプター「スリオン」

フランスからの技術移転は失敗?

仏ユーロコプター社(現エアバス・ヘリコプターズ)の技術提携によって韓国型機動ヘリコプターは完成したわけだが、今のところ「国産ヘリコプター」といって憚らない。一応、「共同で開発」と言うことになっているが、韓国側が持ち出した技術はどの程度あったのかは不明だ。

確かに、韓国国内で作ったのは事実ではあるのだけれど、主要部品の殆どは外国製である。

国産といっていたが…韓国型機動ヘリ「スリオン」、核心装置はまだ輸入

2014.12.13 08:56

完全国産化を掲げて開発された韓国型機動ヘリコプター「スリオン」の核心である動力伝達装置が、国産化されていなかったことが明らかになった。技術移転契約をしてから7年経過したが、依然として核心部品全量を海外企業に依存している。監査院は1兆3000億ウォンが(約1400億円)投入された国産化作業が事実上失敗したと見て、調査に着手した。

~~略~~

しかし監査院の調査によると、動力伝達装置を構成する部品約450個のうち国産化するとエアバスヘリコプター側と契約した部品は30%にすぎない134個だった。このうち技術を受け継いで量産可能なレベルで開発されたものはこれまで約80個にすぎない。また、2012年6月に「スリオン」開発が完了した後、これまでスリオンに搭載された動力伝達装置はすべてエアバスヘリコプターの製品であることが確認された。

「中央日報」より

開発費は約1兆3000億ウォンで、予定だと240機を生産する計画なのだが、トラブル続きで巧く行っていない。韓国の技術レベルが高くないため、国産の部品を使うと色々問題が出ちゃうのは仕方が無い。

なお、技術移転失敗の報道が出たのは2014年のことだったので、流石に今はもうちょっと国産化比率は高まっている可能性はあるが。

老朽化した500MDは引退させて貰えない

そんな訳で、技術移転の問題も抱えているが、それ以上にトラブルが多発していて運用も上手くいっていない。

2013年2月から2016年1月まで運行中5回ウインドシールド(前方ガラス)が破損した。また、2014年8月に陸軍航空学校でスリオン16号機がメインローターブレード(プロペラ)と胴体上部ワイヤーカッター衝突で破損、エンジンが停止した。

翌年(2015年)1、2月には陸軍航空学校での飛行訓練中だったスリオン2台(12・2号機)がエンジンスピードの後停止されて緊急着陸し、同年12月には、スリオン4号機が同じ欠陥で墜落した機体が大破した。事故を調査した官民軍合同調査委員会は、事故の主な原因が核心部品である「ローターマスト」破損のためだと結論した。ローターマストは、回転翼と胴体を接続する部品である。

「NAVER」より

記事には出ていないようだが、スリオン14号機も2017年1月に検査中にメインローター作動機連結部分に7cmほどの亀裂が見つかっている。また、凍結試験の結果も101項目中29項目が不合格だった。

また、昨年7月にスリオンをベースに製作した海兵隊マリンオン(MARINEON)のヘリコプターが墜落して、6人の死傷者を出した事故があった。当時も軍当局は、陸軍が運用中のスリオン90台の運航を停止した。

「NAVER」より

そんな訳で、度々運航停止処分になっているKUH-1「スリオン」だが、一応、老朽化してしまった500MDの後継機と位置づけられている。

老朽化が激しくて、100機ほど残っているといわれる韓国軍の500MDは、作戦時間が本来の1/2~2/3になっている始末。積載量も大変残念な事になっている。夜間は危なくて飛べないとか言う話もあるな。

まあ、だましだましでも使えるだけマシかもしれない。

今回のトラブルもメインローターっぽい

で、スリオンに話を戻そう。

この日、陸軍によると、4日、江原道楊口一帯で訓練していた某部隊所属スリオンヘリコプター1台の午後5時50分ごろ、原因不明の微細な振動などの異常の兆候を見せた。

「NAVER」より

原因不明な微細な振動というのが「異常の兆候」という表現で説明されている。

ただ、飛行中に振動を生じる可能性のある場所は2箇所で、1つはエンジン、もう1つはメインローターのシャフトである。

残念な事に、度々、メインローター関連のトラブルに見舞われている事を考えると、エンジンと言うよりはむしろメインローター接続部分辺りの問題である可能性が高かろう。確証は無いんだけどね。

マリンオン墜落は機体欠陥のため? 韓国産ヘリコプター輸出にも悪影響

2018.07.19 08:17

韓国で起きた上陸機動ヘリコプター「マリンオン」墜落事故で5人の人命を亡くした海兵隊は18日、陸・海・空軍と国防技術品質院と共同で事故調査委員会(調査委)を設けて本格的な事故原因の究明に乗り出した。

~~略~~

スリオンとマリンオンの母体は欧州のエアバス・ヘリコプターズ(旧ユーロコプター)社が生産したAS332(スーパーピューマ)だ。AS332の拡大型であるEC225は、2016年4月にノルウェーで墜落し、乗っていた13人全員が死亡した。当時の事故原因はエンジンの動力を伝達するギアに亀裂が入り、ローターブレード(回転翼)が胴体から分離したことだった。スリオンを製造した韓国航空宇宙産業(KAI)は、エアバス・ヘリコプターズから輸入したメイン・ギアボックスをスリオンとマリンオンに装着した。メイン・ギアボックスはヘリコプターのエンジンとローターを繋ぐ部品だ。ノルウェー事故直後、エアバス・ヘリコプターズはスリオンヘリコプターの部品交替が必要だという内容の勧告事項をKAIに送った。

「中央日報」より

この深刻な事故が生じてから、その辺りを気にして「異常な振動」で飛行停止という措置になったと思われる。

大事をとっての措置、という風にも考えられるので、騒ぐ程のことではないという分析も出来るが、そもそも重大事故を起こして対策が未だに功を奏していないという状況は、なかなか深刻である。

これで海外に輸出するというのだから、なかなか気合いが入っているな!欠陥兵器を海外に売りつけないように。

あっちこっちに亀裂が入る

なお、運用中のトラブルは、この異常な振動だけではない。

韓国産機動ヘリコプター「スリオン」(KUH-1)で機体フレームに亀裂が生じ、防風ガラスが割れる瑕疵が発生し、また再び国民の間に国産武器に対する不信が深まっている。

軍当局が数千億ウォンをかけて開発した国産武器は最近まで至る所で性能に欠陥を見せたり、異常の兆候を見せてきた。

~~略~~

スリオン機体フレームに生じた亀裂は、スリオンヘリコプター製作を完了した後、機体の左側に追加装備した振動吸収器が原因であることが分かった。振動吸収器を機体に装着する際、薄いリベット(鉄板の上に打つ一種の釘)周辺に微細な失禁が現れたこと。また、スリオン前面部ガラスが破損した原因は、ヘリコプターが起動したとき、風のために地上にあった石が飛んで機体を衝撃したためと調査されたと放射庁は明らかにした。

biz.heraldcorpより

フレームに亀裂が出来たり、風防に亀裂が入ったり、なかなかトラブルが多かったが、氷結テストと呼ばれる寒冷地でのテストでもトラブルがあったらしい。

【社説】国産ヘリ「スリオン」の欠陥、適当主義が問題だ=韓国

2016.09.24 11:55

国産機動ヘリコプター「スリオン」(KUH-1)にまた欠陥が見つかり軍部隊への納品が全面中断されたが、技術力より慢性的な隠蔽と適当主義がより大きな問題だ。年初に米国で実施した結氷テストの101項目のうち29項目を満たせなかったが、防衛事業庁はこれを国防部に報告もせず、国会の対政府質問の過程で明らかになった。

中央日報より

冒頭に紹介したニュースはこうしたトラブルを乗り越えて納入されたにもかかわらず、全面運行中断になったという話。

尤も、初の国産ヘリコプターの実用化にはトラブルが少々あっても仕方のない部分はある。ただ、質が悪いのは、こうしたトラブルを隠したままで納入して、実際に運用してみたときに色々隠していたことが発覚する点だ。

「アメリカ製のブラックホークよりも高性能だ!」と吠えていた時期もあったが、実際にはブラックホークより性能が低かったことも明らかになっていて、なかなか笑えない感じではある。

頑張って欲しいものだ。

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