始まったねぇ。
中国製EV課税、欧州委が12日にも発表か 不正補助金に対抗措置
2024/6/12 10:17
欧州メディアは12日までに、欧州委員会が今週、中国製電気自動車(EV)に対する追加関税を発表する予定だと報じた。中国政府の補助金を受けて欧州連合(EU)市場で競争を阻害していると認定し、対抗策をとるもので、関税を20~25%に引き上げるとの見方が強まっている。
産経新聞より
EUとしてもEVの値崩れは困るから、コレはもう仕方がないよね。EUは割と不公正なルールを外に押しつける傾向があるので、納得の展開だ。
制裁関税発動
EV価格が下がる?!
支那製のEVにEUが警戒している話は、以前も扱ったことがある。
支那製のEVは補助金漬けで作られて、支那国内でも随分と売れ行きが落ちているそうで。そうすると在庫が積み上がる問題が発生する。
テスラ、中国と米国でEV値下げ-販売低迷で在庫膨らむ
2024年4月21日 10:41 JST
電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、同社が重視する米国と中国という2大市場で値下げに踏み切った。1-3月(第1四半期)の販売台数が予想を下回り、在庫が膨らんでいた。
中国では販売価格を全面的に引き下げ、大きく改良された「モデル3」は23万1900元(約495万円)と、従来の24万5900元から値下がりした。「モデルY」は26万3900元から24万9900元に値引きされた。
Bloombergより
支那でEVが売れないので、テスラのEVも支那で値下げが行われたというニュースだが、アメリカでも売れ行きが悪いから仕方ないよね。
相殺課税
なお、こうした流れを受けてアメリカがいち早く動いて、高い関税をかけるという話が出てきた。このブログでも扱った記事だね。
関税100%という凄い話があったのだけれど、EUの方は流石に「直ぐに動く」という感じではなかったんだけど。
EU、中国製EVに最大38.1%の相殺関税 中国は対抗措置の構え
2024年6月12日 20時16分
欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は12日、中国から輸入する電気自動車(EV)に最大38.1%の相殺関税を課す方針を発表した。中国政府の補助金で不当に価格が抑えられ、競争がゆがめられていると判断した。中国は対抗措置をとる構え。欧州車への報復関税などが想定され、EU中国間の貿易摩擦が激しくなる恐れがある。
朝日新聞より
意外に早く動いたね。
世界2位のEV市場である欧州では、中国製がシェアを急拡大している。仏コンサルティング会社イノベブによると、欧州での中国ブランドのEV(乗用車)の販売台数は2023年が約14万3千台で前年の2.4倍。販売シェアも4.0%から7.5%にほぼ倍増した。
朝日新聞「EU、中国製EVに最大38.1%の相殺関税」より
冒頭に紹介した記事では20~25%になるという話だったけれども、蓋を開けたら38.1%になったことが判明。
事前予想よりも高いし、「相殺関税を課す」という方針だと言うことが伝えられてちょっとびっくり。この相殺関税というのは、輸出国の補助金を受けた輸入貨物に対し、国内産業保護のために補助金額の範囲内で割増関税を課す制度で、WTOのルールでもOKということになっている。
なお、現行税率は10%なので、上乗せされると48.1%に!
ドイツは反対していたんだが
何故、驚いたのか?といえば、ドイツが相殺関税賦課に反対していたからだ。
ドイツ自動車工業会、中国製EVへの相殺関税賦課に反対姿勢示す
2024年4月15日 12:48 JST
ドイツ自動車工業会(VDA)は、欧州連合(EU)による中国製電気自動車(EV)輸入への追加関税賦課は貿易戦争を引き起こしドイツの雇用を脅かす可能性があるとして、反対の姿勢を示した。
Bloombergより
自国の産業を守るために、という辺りがドイツらしいのだが、自国の産業を守るために支那の利益を優先するというのが、随分と「食い込まれているな」と言わざるを得ない。
部品の購入とか、支那に頼っている部分が結構あるからねぇ。
中国EVへのEU追加関税、ドイツが阻止もしくは緩和に動く-関係者
2024年6月14日 15:37 JST
欧州連合(EU)が発表した中国の電気自動車(EV)に賦課する新たな追加関税について、ドイツ政府が発動を阻止するために動いていると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。完全な発動停止が不可能な場合は、少なくとも緩和を目指すという。
Bloombergより
EUの方針は決定したが、ドイツはこの決定に反対する方針のようだ。個人的にはドイツの反対で方針決定に至らないとの読みだったんだけど、そんなことはなかったようだ。
ドイツ国内の自動車メーカーは、支那製EVの安値攻勢に少なくない打撃を受けているハズなのだが、どうやらドイツは報復関税が課されると、ドイツから輸出するEVの出荷台数が減るという話なのだろうか?調べたがちょっと良く分からない。
WTOへの提訴
んで、支那はさっそくWTOに提訴するもんね!と。
中国、WTO提訴を示唆 EUのEV規制を連日非難
2024年06月13日19時18分配信
中国商務省の報道官は13日の記者会見で、欧州連合(EU)欧州委員会が中国製電気自動車(EV)に追加関税を課す方針を示したことについて、「わが国EV産業の合法的な権利と利益を損なう」と改めて批判した。その上で、「中国には世界貿易機関(WTO)に提訴する権利がある」と強調し、方針の撤回を迫った。
時事通信より
以前から、「そんな補助金は存在しない」などと説明していたからなぁ。
中国製EV、WTOが禁止する補助金ない=外務省報道官
2024年6月6日午後 6:32
中国外務省の毛寧報道官は6日の定例会見で、世界貿易機関(WTO)で禁止されている補助金が国内の電気自動車(EV)メーカーに支払われているとの見方を否定した。
「EVを含む中国の新エネルギー製品は国際市場で幅広い人気を得ている」と述べ、優位性と市場の法則の複合的な効果によるものと指摘した。
ロイターより
この記事は支那がアメリカに対して「補助金はない」と説明していた記事だが、今回も同じことを言っているようだね。
そりゃまぁ、「いや、補助金、あったわ」と今更言えない流れではあるんだが。
WTOが支那の言い分を認めるとも思えないんだけどね。
コメント
EU(つまりドイツ)は、EV(つまり再生可能エネルギー政策)を止めるつもりはサラサラ無く、
一時的にペースダウンさせたいだけですから、相殺関税も一過性の処置でしょう。
ただし、今回の欧州議会選挙の結果をみると、その先行きは不透明になったのではないでしょうか。
いまのEU(つまりドイツ)の混乱は、ほとんどメルケル政権がお膳立てしたものですけど、
今後のEU(つまりドイツ)では、反ドイツ的・反左派的な政策が出てくるんじゃないでしょうか。
(参考)欧州議会選挙2024、「極右」「EU懐疑派」大躍進の理由
… EU市民は何を思って右派に票を投じたのか?
https://gendai.media/articles/-/131799
ペースダウン……。
ドイツ国民はどう考えているんでしょうかね?
ドイツ政府のエネルギー方針はめちゃくちゃだと、そうは思わないのでしょうか?いや、思ったからこそあの選挙結果ということかもしれませんが。
エネルギーの事で(電気じゃないけど)
記事にして欲しいのがありますm(_ _)m
6/9で米国とサウジの間で決められた、
オイルダラー協定が期限切れなったと。
継続の続報がないので、このまま終わり?なのかと。
原油価格をドル建て払いする(原油価格をドルで決める)国際基準は、この米サ間のオイルダラー協定が元になてます。
たしか1973年オイルショックで慌てた米国が、ヘンリー・キッシンジャーとサ王国のアブデルアジズ皇子との間で1974年に「50年の期限」で結ばせたもの。
これでOPEC加盟国の原油はドル建てで決済されるようになりましたと。
それが今月の初旬に期限切れなった!
さて、サウジが原油の人民元決済を始めたのは前に木霊様の記事でも読みました。現在に世界の原油取引の20%はすてにドル決済ではないと申しますが。
そのうち「どれくらい」がロシア産原油(別に中南米でも良いけれど)とか、どれくらいが人民元なのかとか、調べてもよう解らない。
ややこしい時に期限切れとなったものだけれど、それに対して米国もサウジもコレって発表を聞かないんですよね。
電気の元を作るのは石油か原子力なので、中国のEV車問題にも波及してくる話だと想うんですよ。
やはりドルが基軸通貨なのは原油と穀物がドル建て決済できたからでせう?
日本も中国もアメリカ国債を買ってきましたから(そういや売るぞ!とキレた瞬間に日本の首相が退陣した事がありますなぁ)、いきなりドルが基軸通貨から転げ落ちるとは思いませんけれど。
20%てのは調べてみて慌てました!
この話を追求してゆくと、金価格や、
電子マネー、仮想通貨、BRICS諸国の通貨価値などと、無視できない因子がごろごろあって、一度に3つ考えると混乱する
河太郎の頭には負荷が大きすぎました。
また、難しいお題ですね。
電子マネーと仮想通貨の関係も絡んでくる可能性は高いのですが、アメリカ側の思惑とBRICKSの思惑はかなり違うようで。
調べは全く進んでいないのですが、触りだけ記事にしました。
深いところまで切り込んでいくのはなかなかに難しいように思います。経済的な話は得意ではないんですよね…。
もう少し調べてみますが、取りあえずはあんな感じで。
こんにちは。
近代で言うなら、ドイツは中国と根深く結びついてますからね。
日華事変当時も、ドイツは中国を支援してましたっけ。
日独伊三国同盟の前後であっても。
そんな国だから、ドイツと組むのは真っ平御免だし、ドイツは今更中国からは抜けられないでしょう。
さんざん南欧への域内経済回して稼いだ、これからがドイツの贖罪の時代になるでしょう。
こんにちは。
ドイツと組むヤツは負ける!は過去2回で実証されていますから、今回は是非とも支那と組んで欲しいと思っております。