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習近平氏、ようやく不動産や雇用の改革が必要なことに気がつく

中華人民共和国ニュース
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遅いよ。

中国は不動産や雇用で改革の突破口必要と習氏-3中総会の焦点か

2024年5月24日 14:25 JST

中国共産党の習近平総書記(国家主席)が、国内の主要セクターの一部についてより深い改革を求めた。開催が遅れていた第20期中央委員会第3回総会(3中総会)が7月に開かれるのを前に、投資家は低迷する中国経済を支える新たな政策の手掛かりを探っている。

Bloombergより

支那皇帝の頭の中身の改革が必要なのでは?

中身はこれから?!

重要な経済政策を決める会議

冒頭紹介した記事に出てくる3中総会なのだが、予定通りであれば2023年の9~12月頃に開催されるはずだった。この会議は、支那の中長期の経済政策をまとめる重要な会議として知られている。

ところが、これが去年開催されることは無かった。

会議の時期が前後することは稀にあるらしいのだが、1年近くずれ込む事例は前代未聞なのだとか。

したがって、メディアとしても2023年末までには開催されるだろうと踏んでいたのに、一向に開催スケジュールすら決まらず、その理由を色々と探っていた様子であった。

「3中総会」開催発表されず 更迭人事が影響か―中国

2023年12月04日09時16分配信

中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第3回総会(3中総会)の開催に関する情報が、恒例の時期を過ぎても発表されない異例の事態となっている。国内外の重要日程が重なったことや、経済方針が定まっていない可能性が指摘される。軍などの更迭人事が影響しているという見方も出ている。

時事通信より

これな去年末の記事で、去年初頭から散々更迭人事が吹き荒れていたことがあり、それが原因なのでは?という分析がなされていた。

その後も色々な憶測が流れていたが、理由はさておき開催は今年の7月になるという話が冒頭のニュースである。

欧米と異なる発展様式「中国式現代化」の推進などが主な議題となる。

時事通信「「3中総会」7月に開催」より

しかしまた、トンチキなことを。

「中国式現代化」とは一体……?

「中国式現代化」は習近平・中国共産党総書記(国家主席)が頻繁に使うキーワードである。

何を意味するのか。昨年10月の党大会での習氏の報告は、その特徴について次のように挙げる。①共産党が指導する②人口規模が大きい③共同富裕(ともに豊かになること)を目指す④物質・精神文明の均衡を図る⑤人と自然の調和を目指す⑥平和的発展を歩む。整理すれば、③から⑥のような目標を掲げながら、14億人を擁する大国を共産党が統治すること、と読める。

朝日新聞より

朝日新聞的解説を見てもサッパリ分からないのだが、分かるのは支那共産党の指導は万能だという意識であることだろう。つまり、習近平氏は「俺の言うことを聞け!」ということなんだろうね。

不動産、雇用、育児

さて、内容についてだが、既に多くで語られているような内容について心配しているようではある。

国営新華社通信によると、習氏は山東省で23日に開かれた座談会で、改革の突破口が必要な分野として、不動産や雇用、育児などを挙げた。改革は人々の生活に利益をもたらし、国民に進歩と安全の感覚を与えることを目的としたものであるべきだとも伝えられた。

Bloomberg「中国は不動産や雇用で改革の突破口必要と習氏」より

それにしても不動産は不動産バブル崩壊で首が回らない状態であるし、育児に関しては出生率低下の歯止めがかからない状況である。では、雇用は?というと失業率が高止まりしている状況だ。

確かに、手を付けるべき分野であることは間違いがない。

不動産には色々と手を付けているようだが……、今のところ上手く行く気配がないね。

中国総人口が2年連続減少、23年末は14.09億人 少子化加速

2024年1月17日午後 2:12

中国国家統計局は17日、2023年末時点の総人口が14億0900万人となり、2年連続で減少したと発表した。前年末は14億1175万人だった。

ロイターより

支那はいち早く人口減少のターンに入っていて、合計特殊出生率も1.09(2022年)と危険水域に入って久しい。

色々な指標を見ると、婚姻件数が若干上向きになって、これは歓迎されることのようだけれども、出生率の改善には繋がらないだろうと思われる。

支那は一時期失業率発表を止めていたが、今年の1月に再開した。

中国国家統計局、若者の失業率発表を再開-昨年12月は14.9%

2024年1月17日 12:16 JST 更新日時 2024年1月17日 13:19 JST

中国国家統計局が17日発表した2023年12月の学生を除く若年層の失業率は14.9%となった。

Bloombergより

残念なことに前回の指標とは計算の仕方が異なるらしく、さらにそもそも国際スタンダードから外れた計算の仕方らしいので数字を見たところで余り意味はないようだが、まあ、参考までに。

ただ、こういった大目標はチラホラと見えているのだけれど、肝心の中身はまるで見えてこない。既に分かっていて広く知られている問題を幾つか指摘したところで、何も変わらないのだ。

そういえば農業農村相も更迭

なお、先日こんな記事があった。

中国、唐農業農村相を調査-3期目の習政権で3人目の閣僚追放か

2024年5月20日 16:54 JST

中国の習近平政権は昨年の3期目入りから3人目の閣僚を更迭することになりそうだ。

中国共産党中央規律検査委員会は18日、唐仁建・農業農村相(61)が「規律と法律に対する重大な違反の疑い」で調査を受けていると声明で発表した。それ以上の詳細は示さなかった。

Bloombergより

上の記事と何ら関係ないようにも思える農業農村相の更迭だが、汚職撲滅という意味合いがあると記事では言及されていて、それは間違いないと思う。

そして、それに関連する興味深いポストを1つ紹介。

……犬肉販売?

実は、犬の肉を喰らうのは朝鮮半島だけでは無く、支那でも喰らう。それが美味しいかどうかは知らないのだが、そんなことで逮捕?まさか。

当然ながら習近平氏が対立組織を叩くために行った制裁的な人事だと思うわけだが、秦剛氏や李尚福氏との関係が深かったとの噂もある。しかし、二人との共通点は今のところ報じられておらず、噂の域を出ない。

しかしそういった良く分からない更迭人事をやるということは、習近平氏が周囲の人々を信用出来なくなっているという意味でもある。

裸の皇帝は、いつまでその座に留まるのだろうか?

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追記

コメントを頂いたので、少し人民解放軍の話について掘り下げておきたいと思う。

米、中国軍と関係深い中国企業株の購入禁止

2020年11月13日 15:30 

トランプ米政権は12日、中国人民解放軍と関係が深い中国企業について、米国投資家による株式などの購入を禁止すると発表した。トランプ氏が同日、大統領令に署名した。中国移動(チャイナモバイル)など米国防総省の作成したリストに含まれる31社が対象となる。

日本経済新聞より

人民解放軍が直営の企業を持っていることは割と知られていて、その企業の利益は兵站維持の予算の捻出に利用しているのだと言われている。

これに対してトランプ政権時代のアメリカが、「人民解放軍と関係の深い企業には投資しちゃダメ」という方針を打ち出したわけだ。

焦点:米の中国軍関連企業への投資禁止、先送りで投資家は困惑
バイデン米政権は、トランプ前大統領が政権末期に打ち出した中国軍関連企業への投資禁止命令の実行を先送りしている。このため米国の投資家は新たな行動に出るに出られず、中途半端な状態に置かれたまま、米国籍ない...

ところがこの方針は徹底されず、バイデン政権になってから一部留保された感じになった。

米、中国の半導体メモリー大手とAI企業を軍関連企業リストに追加
米国防総省は1月31日、中国の大手半導体メモリーメーカーと人工知能(AI)スタートアップ企業を人民解放軍に協力しているとされる企業のリストに追加した。

この話、アメリカ側の言い掛かりに近い面もあるにはあるのだが、人民解放軍にとっては外資獲得の機会が奪われてしまい、恨み骨髄である。

とはいえ、こうした話は別の展開を迎えることになる。

戦争準備か、社会不安への備えか? 中国企業が民兵増強

2024.02.23 Fri posted at 17:16 JST

香港(CNN) 中国企業が、1970年代以降ほとんど見られなかった行動を取っている。志願制による自前の軍隊の創設だ。民間の乳業大手を含む中国の大企業少なくとも16社が、過去1年間でそうした軍隊を立ち上げた。CNNが国営メディアの報道を分析して明らかにした。

CNNより

支那企業が自前の軍隊を創設するという話が出てきたのである。

どうやらこの企業が雇用する軍隊を構成するのが、支那人民解放軍の退役者などを中心としている疑いがあるという。無論記事に言及は無いが、経験者を雇わねば軍隊の体をなさないわけだから、無関係ということはあり得ないだろう。

実際、人民解放軍関連の人事は色々と悩みが深いようだ。

退役軍人の再就職支援、中国で全国的に展開

2019年11月3日 13:00

昨年春に正式始動した退役軍人事務部は今秋、全国的に退役軍人の再就職および自主創業の支援活動を展開している。先月28日に中国・広東省広州市で開催された海峡西岸経済区の退役軍人を対象とした大規模な再就職・創業説明会では、およそ3000人の退役軍人に対して1万3000人の雇用の選択肢が用意されていた。

~~略~~

退役軍人は2017年段階で累計5700万人、その生活の安定化が中国社会の安定にかかわる重要テーマとなっていた。この問題を解決するために設立された退役軍人事務部では、保障や権益保護、再就職支援工作などを推進。特に安定した再就職先へのマッチングは、各地方単位でさまざまな試みがなされている。

AFPより

巨大な軍隊を維持する為には多数の軍人を必要とし、当然ながら多くの退役軍人を生み出す。しかし、軍隊という組織は一般企業とは異なる文化を持っており、退役軍人達の悩みは再就職しても解決するとは言い難い。

なかなか退役軍人達が再就職先に馴染めないようなのだ。そして、それ以上に生活の安定性がなく、ややもするとすぐ首にされてしまうらしい。

毎年数十万人増える退役軍人 習政権の重荷に

2021年7月14日 06時00分

「安定した職に就くことだけが望みだ」

中国河南省の30代の退役軍人男性は、北京の退役軍人窓口に陳情を繰り返していた。十数年前の退役時に約束された就職がまだ実現していないからだ。しかし6月以降は地元当局者が北京に行くことを妨害、「陳情を続ければ、子どもの大学受験に影響する」と脅しも受ける。7月1日の中国共産党創建100周年祝賀式典への影響を憂慮したためとみられる。

~~略~~

ただ、単純労働やアルバイトなど短期雇用が多く、不安定でリストラに遭いやすい。河南省の40代男性は「退役後は警備員などのアルバイトで何とか食いつないできた。青春時代を失った」と嘆く。茅原氏は「軍で長年過ごしても、IT技術など企業が求めるスキルは身に付かない。退役軍人は再就職には不利だ」と分析する。

東京新聞より

いつもは、くそみそに貶す対象となる東京新聞だが、面白い記事を書いている。記事の中身は退役軍人達の悩みについてで、なかなか興味深い。実際、支那において退役軍人が職を求めてデモをやるような事態を招いても居るので、社会問題としては深刻なのだ。

したがって、その受け皿として、人民武装部という名の組織を企業内に設けることは、ある意味理にかなっているのだと思う。CNNの分析では、戦争の準備か内戦への備えという側面があるということにしている。それはおそらく間違いあるまい。

「軍の指揮下にある企業民兵の助けを借りれば、共産党はより効果的に社会不安に関わる事案を抑え込むことができるかもしれない。具体的には消費者による抗議デモや従業員のストライキなどだ」

CNNより

だが、僕自身はもっと単純に、企業に退役軍人を雇って貰う窓口を作ったという評価をしている。警備員という役割を果たして貰うなどの側面もあるかも知れないが、もっと切実な企業側の努力なのではないか。軍隊という組織に染まるほど、利益を追求する会社に馴染めないと思うのだが、再就職先でも似たことをやるのであれば有能な社員ということになるハズだ。

単純に失業対策を押しつけた感じのように見える。これが支那共産党へのご機嫌取りという風に考えていくと、何とも歪な風景に見えてしまう。

実情はサッパリ分からないのだが、そういう風にも見ることが出来るのだろうと思う。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    中国の失業率について一つ。
    江沢民地から、350〜400万人いたとされる人民解放軍を100万単位でリストラしてきました。その少なからずが公安や武装警察に吸収されたのですが、胡錦濤時代にすでに飽和している。
    んで、もともと軍閥的な雰囲気の強い人民解放軍では、鉄道、港湾、空港、発電送電システム、ホテルなどを解放軍の経営にして、かつての日本の国鉄→JRみたいな波の中で企業化を図りました。
    それが習近平政権から軍区、戦区の整理の中で、軍のこうした経営権を禁止しましたね。私はこれが失業率上昇に影響してきたのでないかと疑ってるのです。
    まぁ軍の経営する民需企業が上手くゆくかは疑問もあるのですが、規模が大きいから、かつての満洲国のように仕事を増やして需要を作っていた可能性はある。
    ほとんどオランダの総人口より多い解放軍をリストラし、その企業経営を禁じた事が、底流で受皿を潰してしまい、そーが何らかの影響となってる説です。

    • 木霊 木霊 より:

      その視点は、記事を書いているときには気が付きませんでした。
      近い話か否か、ちょっとした追記をさせていただきましたが、教えて頂いた情報は確認中です。
      人民解放軍絡みのニュースって、探すのが難しいんですよね…。

  2. アバター 河太郎 より:

    木霊様ありがとう。いつもながら追跡の嗅覚は鋭いです。この話は医療現場で仲良くなった政治家の息子(日本に留学して医療現場でバイトしていた。その後、重慶で介護ビジネスを始めて成功)から聞いていた話から疑っていたのです。
    2010年代まで中国では毎年800人ほどの退役軍人マフィアの逮捕がありました。
    単純に人口✕1/10として、日本で80人/年の元自の凶悪犯罪があったら大騒ぎでせう?
    あまり表立たないけれど、それ北京の頭を抱える問題で、その後に映画「戦狼」をヒットさせ、中国型の民間軍事企業の話が出てきたのは、実は「経済問題」が背景なのでないかと。
    よくやるんですよ他の国は。
    黄金の三角地帯での麻薬軍閥は、今では国民党系でなく元紅衛兵の連中です。
    ベトナム侵攻の残党ですが、そもそもベトナムと争ったのも単にカンボジアを巡る政治問題ではなく、「余った紅衛兵を戦争で処分」した為でせう。それ知るから残党は帰国せずに麻薬組織になる(笑)

    古い話なら元寇ってのも、要は南宋を滅ぼした後に、その国軍の残党(及び高麗の抵抗勢力の残党)を処分する為に日本に攻めてきた側面もある。
    戦争で在庫処理はないものの、戦後の兵士の行き先さがしは古代から問題なんですよあの国は。よく万単位の敵兵を生き埋めにしたりする。項羽がやってますね。それも戦後の治安維持の為(放置すると故郷へ帰る途中で匪賊化する)なんですね。日本で人気ある三国志はそれが見えませんが、単に三国志時代は6000万人いた(後漢)人口が1/10に減って、兵士の頭数が足りなかっただけ。
    各王朝は拡大した兵員数の復帰に苦労してきていて、屯田兵を発明したりしてます。今の時代、屯田兵も皆殺しも現実的でないですからねぇ。

    • 木霊 木霊 より:

      なるほど、中にいた方の情報は貴重であります。
      あまり考えませんでしたが、退役軍人問題は何処の国にもあるわけですが、支那は巨大な軍隊を抱えていますから、その問題も大きくなるのでしょう。
      非合法な組織を作って力を持たれたら、それはそれで困るというものです。

      項羽の話は迷信みたいなものだと思っていましたが、アレが現実に基づくとなると……、そりゃ何度も帝国が滅びるわけです。

  3. アバター 河太郎 より:

    そうそう…公共建物でしたか、アラビア石油の親会社(子会社でないんだなぁ)が
    90年代に大連に解放軍ホテルを開業しようと動いてましたね。
    現地マネージャーに「どう?」と聞かれて見に行ったら、ドアマンからフロントまで軍人軍人していて、「地元の黒社会に任せる方がマシでないの?」と応えた事があります。その後、私は東南アジアやロシア方面の仕事で移動したのでどつなったのかは知らんのですけれどね。

    • 木霊 木霊 より:

      なんともピンとこない話ではありますが…。
      色々なトライは実際されていたのですね。
      上手く行ったのであれば生き残っているはずですが、業態的に継続できるとは思えないので厳しいでしょうな。

  4. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >「中国式現代化」とは一体……?

    どっかの小中華みたく、
    「頭文字にK付ければ何でも韓国式ニダ!」(あ、国名出しちゃった(笑))
    にならって、C付けときゃ良いのでは?

    ……○Cマークみたいですな……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      あー、なるほどそういう。
      いやしかし、自国の考えが一番優れているという自身は、大中華も小中華も似たりよったり。

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