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支那、大規模で総合的な不動産対策発表

中華人民共和国ニュース
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凄いこと言い始めたぞ?

中国、総合的な不動産対策発表 地方政府が住宅購入・人民銀も声明

2024年5月17日午後 7:41

中国政府は17日、総合的な不動産支援策を発表した。地方政府が一部のマンションを買い取ることを認めるほか、住宅ローン規制を緩和する。未完成住宅の建設を進める方針も示した。

ロイターより

地方政府が、一部のマンションを買い取る?!?!支那共産党が経済活性化のための手段として打ち出した今回のこれ、ちょっと理解不能である。

ドンドン空き家を買い取って市場経済を活性化へ!

地方政府の債務をさらに増やす政策

一口で言えば、中央が地方に「空きマンションを買え」と迫ったってことか。物件の売れ行きが悪化しているという報道もあって、苦戦している状況を打破したいということだと思うんだけど。

しかし、地方政府がそれが実行できるのか?というと、正直怪しい。

中国の地方都市 高まる財政破綻リスク 債務1800兆円の衝撃

2023年11月15日 12時12分

不動産大手の「恒大グループ」や「碧桂園」などが相次いで経営危機に陥り、不動産不況の波が押し寄せている中国。

NHKニュースより

この記事は2023年のもので、この時点で地方政府の債務は1800兆円規模だったという恐ろしい事が報じられたのだけれども、この辺りの話は以前も言及しているよね。

で、今回は「手頃な価格の住宅を提供」という意味のわからない政策を、支那当局が打ち出す予定らしい。

何立峰副首相は同日、住宅政策に関するオンライン会議で、手頃な価格の住宅を提供するため、地方政府当局が「妥当な」価格で一部の住宅を購入することを認めると述べた。新華社が伝えた。

具体的な日程や購入戸数の目標、財源などの詳細は明らかにしていない。

ロイター「中国、総合的な不動産対策発表」より

今のところ具体策が出たというよりは方針が示された状況で、流動性の悪化している不動産開発業者を救済する一助になる可能性はある。

あるんだけど、ジリ貧なんだよねぇ。

中国、不動産支援に本腰 価格下げ止まらず

2024年05月17日19時47分

中国で不動産価格が下げ止まらない。国家統計局が17日発表した4月の住宅販売動向によると、新築住宅価格は主要70都市のうち9割超で前月よりも下落し、8割超だった3月からさらに悪化した。政府は大規模なてこ入れ策を公表、支援に本腰を入れる。

時事通信より

同じ日の記事で、支那の不動産市場において住宅価格の値下げが止まらないみたいなニュースが出ていて、これを根拠に不動産開発業者の支援をしろという指摘がある。

冒頭の記事と同じ内容を扱ったものなんだけど、地方政府が余剰住宅を買い取って格安で不動産を持っていない人に売るという流れを作ることで、短期的には住宅需要が高まる可能性はある。でも、かなり質の悪い政策のように思える。

10億人以上が住める空き家

なお、信憑性という点ではかなり怪しい記事ではあるが、こんな話も出ている。

【特別報道】中国の空き家 約10億人以上が住める

2024年5月18日

~~略~~

中国の不動産業界がこれ以上進展しなくなった理由は複数あります。1つは、中国で建設された住宅の戸数が実際の需要をはるかに上回っていることです。これは、過剰供給により市場が飽和していることを示しています。週刊投資金融情報専門紙「バロンズ」の報道によると、現在中国では数百万戸もの完成した住宅が未だ売り残っているとされています。

もう1つの理由は、不動産価格の過剰な上昇が、多くの家庭や投資家にとって手の届かないレベルに達してしまったことです。これにより、住宅の購入や投資が困難になり、需要が低下しています。また、政府の規制強化や金融政策の変更も、不動産市場に影響を与えています。これらの要因が組み合わさり、不動産業界の発展が停滞していると言われています。

また、中国欧盟商会のヨルグ・ウケッテ会長が今年2月、米CBSテレビが放送するドキュメンタリーテレビ番組『60ミニッツ』で、中国に実際にどれだけの空き家があるかを尋ねられた際、次のように答えました。「全ドイツの人口が8200万人で、すぐにここに引っ越して来て住むことができる。(中国には現在)少なくとも8000万から9000万戸の住宅物件が空いており、未完成のままになっている」

さらに衝撃的な発言は、中国国家統計局の元副局長である賀鏗氏が昨年9月の会議で、中国全国の空き家は約10億人以上が住むことができると述べました。

Vision Timesより

現状でどの程度の空き家があるかは明らかになっていないが、一説によると10億人以上が住むことが出来る空き家が存在するともいわれている。以前も、人口の倍の空き家があるというような話もあったので、億単位の空き家が存在する可能性はあるだろう。

こういった空き物件を地方政府に買い取らせて安く供給する、などという話になるとどうなるのか?といえば、当然、巨額の債務を抱えている地方政府は更に債務を積み上げることは確実である。当然ながら、中央政府公認で債務を積み上げるのだから、実質的には中央からの支援がある格好となる。

ただ、住宅価格は?といえば、格安で地方政府が買い取り安値で放出するということになるので、やっぱり値崩れするんじゃないかなと。不動産開発業者が我先に売り浴びせるという事になるだろうからね。

未完成住宅の完成を促進

不安な文言は更に続く。

副首相は、地方政府がデベロッパーに売却した土地を買い戻すことも可能だと発言。未完成住宅の建設を進めるため「必死で戦う」と表明した。

副首相は販売済みにもかかわらず引き渡しが困難な建設途中の住宅プロジェクトを分類し、その処理を進めるよう求めた。

ロイター「中国、総合的な不動産対策発表」より

未完成住宅が完成しちゃったら、買取対象のマンションは更に増えるんでないの?

そして、そもそも支那人民が住宅購入に動いている背景には、資産形成の一環としてという投機商品的な扱いがなされている事がある。もちろん、ここを「経済の目詰まり」と捉えて解消するという試みが全くダメということではないんだろうと思う。

でも、仮に建設途中の物件が完成したとして、不動産開発業者は次のマンションを建設できるのか?といえば、おそらく無理。だって、そもそも資金が枯渇したことで未完成になっているのだから。

地方政府による住宅購入は、売れ残り住宅の在庫圧縮が狙い。

ゴールドマン・サックスによると、販売可能な住宅在庫は昨年末時点で13兆5000億元(1兆8700億ドル)。一部の物件は未完成のため、完工には5兆元の資本投資が必要になる。

ロイター「中国、総合的な不動産対策発表」より

在庫圧縮の効果はそりゃ出ると思うよ。でも、完工の為に必要な資金は何処から調達するのか?というと、これまたおかしな話になってしまう。

不動産開発への強力なテコ入れ

確かに今救わなければならない不動産開発業者は、支那に多数いると思う。

天風証券のアナリストは、全ての売れ残り住宅を買い取るには約1兆ドルが必要だと推計している。

デフォルト(債務不履行)に陥った上海のあるデベロッパーの幹部は「在庫を圧縮する政策は、過去のどの政策よりも強力だと考えられる。心理的には、市場は政府が費用を負担すると考えるだろう。不動産から銀行・地方政府にリスクが移転することになる」と述べた。

ロイター「中国、総合的な不動産対策発表」より

1兆ドル分の資金を「何処かから」調達し、心理的には中央政府がその負担をするものと期待されて一時的な市場の活性化は図られるだろう。

ただ、記事にあるように不動産から銀行や地方政府にリスクが移転するだけで、何も解決はしない。え?解決しないよね?

まあ、支那当局にしてみれば、時間稼ぎをしている間に新しい策を講じるつもりかもしれないんだけど。上手くいくのかなぁ。

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追記

地方政府に不動産を買い取らせる話があまりに衝撃だったので、他の内容についてツッコミを忘れていた。

人民銀は、人民銀の地方支店が独自に商業用住宅ローンの下限金利を決めることができるとし、金融機関は経営状況や顧客のリスクに基づいて金利を適切に決めるべきだとした。

1兆元の内訳については、手頃な価格の住宅向け再貸付制度(銀行融資5000億元相当)を立ち上げるほか、古い住宅が立ち並ぶ都市部の再開発といった政策を支援するため、担保補完貸付制度でさらに5000億元を利用可能にするとしている。

ロイター「中国、総合的な不動産対策発表」より

冒頭ニュースには、こんな下りがある。

政策としては悪くないと感じたのだけれど、「古い住宅が立ち並ぶ都市部の再開発」というのは少しい引っかかる。支那の再開発って力技で立ち退きを迫るやり方で、スクラップ・アンド・ビルドをやるという意味では景気刺激策になっていいと思う。

だけど、人民銀行が1兆元(1380億ドル)規模の貸付制度を確保って、これはなかなか。まあ、バラマキをやるという意味では景気刺激になる。なるんだけども、債務の負担は誰が負担するってことに?

まあ、期待で需要が膨らむような体力がある段階であれば、これでも行けると思うけど。そんな段階なのか?という不安はある。お隣の国のお話なので、生暖かい目で見守っていればいいんだけどね。

コメント

  1. アバター 山童 より:

    こんにちわ。ほほう。8000万〜9000万棟が余ってると。
    たしか共産党員数はドイツ総人口より多かったはずですから、共産党員に全部を買わせれば良いアル。
    ついでに面倒な移民は全て中国に引き取らせるアル。箱物あるから丁度よいアル
    あるブロガーの方が、不動産バブル崩壊と、一帯一路の焦げ付きから、もう台湾侵攻てきないアル〜と申してましたが。
    逆なんでないですかね?
    そういう状況だから武力侵攻という習の大冒険で話を逸らそうとするので、コレはますます近づいた……というのが記事を一読しての感想ですアル。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。
      正確な数は誰も分からないけれど、支那の人口に対してかなりの数の空き物件があるというのは事実のようですね、どこもそういう論調です。
      ただ、安値で住宅が売れても、それはそれで困るというのが支那の現状でありますから、この政策をどこで転換するのか?というのが見物であります。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    不動産業の衰退≒金回りの停滞≒国家存亡の危機、ですからねぇ、あの国の今の状況は。
    是が非でも不動産業、というか建設業をぶん回して、モノとカネを動かしておかないと、なのでしょうね。

    「仕事のない兵士には穴を掘らせろ、掘り終わったら埋めさせろ」
    これを国家単位でやってるのが本中華と小中華。
    それでもGDPに計上できちゃうのが、算出方法上の欠陥だと思うのですが、そこの突っ込みはだいたいスルーされますよね、経済番組では。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      不動産開発でGDPの3割というのは、伊達ではありませんから。なお、鉄道建設はGDPの6%程度を担っているようなので、これも合わせてなかなかエグい話ではあります。
      正に、穴を掘って埋めることでGDPを稼いでいるんですよね。

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