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イギリスのスナク首相が兵役の制度化に言及

北欧ニュース
この記事は約6分で読めます。

これ、徴兵制度を採用しようという話ではないことに注意しなければならないのだが、欧州では流行っているのかな?

兵役復活を提案 18歳対象、総選挙勝利なら―英首相

2024年05月26日14時19分配信

スナク英首相は26日付の日曜紙メール・オン・サンデーに寄稿し、学校を卒業した全ての18歳の国民を対象に、1年間の兵役もしくは警察や医療機関などでの社会奉仕活動を義務付けると表明した。

時事通信より

徴兵制度と兵役制度は何が違うのかと言えば、強制的ではないという点のようだね。

兵役制度は選挙対策だが

イギリスの兵役制度

スナク氏が検討している兵役制度がどのようなものであるか、について言及しているのが、意外なことに毎日新聞であったので引用していこう。

イギリス、兵役導入を検討 スナク首相「総選挙で保守党勝てば」、18歳が対象

2024/5/27 06:35(最終更新 5/27 08:14)

スナク英首相(保守党)は25日夜、英紙メール・オン・サンデー(電子版)に寄稿し、今後は18歳の国民を対象に12カ月間の兵役の導入を検討すると表明した。強制的な徴兵制ではなく、兵役はあくまで複数の選択肢の一つで、警察や消防、医療機関での社会奉仕活動も選べる。

毎日新聞より

一体、スナク氏が何を求めているのか?なのだが。

スナク氏は寄稿の中で、「若者は国のためにもっと貢献すべきだ」と主張。自身の2人の娘も国に奉仕させると述べた。英メディアによると、労働党はこの計画について「財源がない」と批判している。

毎日新聞「イギリス、兵役導入を検討」より

なかなか意味深長なことを言っているね。

過去に採用していた徴兵制度とは異なり、社会奉仕を前提とした兵役復活ということなのだけれども、どうやらイギリスは社会保障制度へ不法移民がただ乗りしている実態を問題視しているようだ。社会奉仕を行わせることで、イギリスという国家への帰属意識を定着させたいと言うことなのかも知れない。

野党・労働党が財源問題を理由に反対しているんだけどね。

選挙対策だが

与党・保守党が「次の選挙に勝てたら、兵役を復活するよ」という公約を掲げたので、ニュースになったというのが冒頭のニュースとの関わりなのである。

【イギリス総選挙2024】保守党、兵役と社会奉仕活動の制度復活を公約

2024/5/27

イギリスの与党・保守党は26日、7月4日に行われる総選挙で勝利した場合、12カ月間の兵役・社会奉仕活動を義務付ける「ナショナル・サービス」を復活させると発表した。

ナショナル・サービスは18歳が対象で、3万枠ある軍隊研修の一つに参加するか、1カ月に1回の週末に行う社会奉仕活動を選ぶことができる。

BBCより

スナク氏の狙いは、表向きは若者への学びの機会を与えるというものである。

スーナク首相は、「イギリスは偉大な国だが、何世代もの若者たちが、ふさわしい機会や経験を得ていない。また、ますます不透明になるこの世界で、社会を分断しようとする勢力がある」と述べた。

「私は、若者の間で目的意識を共有し、この国を誇りに思う気持ちを新たにするため、新しい形のナショナル・サービスを導入する」

首相はまた、ナショナル・サービスの復活により、若者たちが「実社会のスキルを身につけ、新しいことを行い、地域社会や国に貢献する」のに役立つだろうと付け加えた。

保守党は、今回の動きは、雇用されていない、教育や訓練を受けていない、あるいは犯罪に巻き込まれる危険性のある若者を、「失業や犯罪だらけの人生」から遠ざけるのを助けるものだと説明した。

BBCより

先に導入を始めたスウェーデンやノルウェー、デンマークなどの国家が、果たして兵役制度を導入した結果、何らかの効果が得られたのかは不明であるが。しかし、北欧を中心としてそういう雰囲気が出ているのは事実で、その原因はロシア軍のウクライナ侵攻である事は間違いない。

つまり、選挙対策と言うことの意味は、兵役制度導入によって保守色を更に強めようというのが本音なのだと思う。ある意味でスナク氏に対するイギリス国民への問いかけなのだ。アナタは、イギリスという国家に奉仕する気はあるのですか?ということだ。

野党も主要政策を発表

一方の野党・労働党だが、こんな政策を掲げて選挙戦を戦う積もりのようだ。

英最大野党・労働党、「最初のステップ」の政策6項目を発表 総選挙に向け

2024年5月17日

イギリスの最大野党・労働党は16日、今年秋にも予想される総選挙に向け、政権与党となったあかつきに真っ先に実施する6項目の主要政策を発表した。

イングランド南東部エセックスの映画スタジオに集まった党幹部を前に、党首のサー・キア・スターマーは、労働党政権が実現した際の「最初のステップ」として、次の6つの政策を示した。

  • 経済安定性を実現するため、公金支出について厳しいルールを維持
  • 公共のクリーン・エネルギー企業「グレート・ブリティッシュ・エナジー」を設立
  • 公的医療を提供する国民健康サービス(NHS)の診察について、長期にわたる順番待ちが深刻な問題となっているため、イングランドで毎週4万件の予約診療を増やす。この資金源にするため、納税回避や非定住者の税優遇を取り締まる
  • 小型ボートを使った違法移民の密航を手配する犯罪組織を取り締まるため、国境警備の中心となる機関を新設
  • 反社会的行動を減らすため住宅地のパトロールに当たる警察官を増やし、違反者への罰則を強化する
  • 教師を新たに6500人増員。私立学校への税優遇廃止を資金源とする
BBCより

ふーむ、労働党は左派で社会主義方向の政策が色濃いはずなのだが、見る限りは移民問題については手を焼いている感じで、推進していくという方向性ではなさそうである。イギリスとしては右も左も移民の受け入れはもう結構という立ち位置なんだね。

それどころか、社会問題になっている違法移民の取り締まりまで野党側が主張することで、保守党としては政策の差別化が難しくなった。

総選挙が7月に行われる運びになっているので、労働党よりも保守党の方が劣勢な今、強いメッセージを出す必要がある。そういう話なんだと思う、スナク氏の兵役制度導入の話は。

英国、移民30万人削減へビザ厳格化 人手不足拍車も

2023年12月21日 18:24

英政府は移民の流入に制限を設ける。2024年春から、年収3万8700ポンド(約700万円)未満の外国人に技能労働者ビザを発給しない。過去最多の74万5000人となった22年の純流入数から30万人の削減をめざす。

日本経済新聞より

で、移民問題がイギリスにおける社会問題となっていて、人手不足よりも社会の安定を目指すというのが保守党のメッセージなのだろう。

英政府 不法入国者を拘束と発表 7月にもルワンダ移送へ

2024年5月2日 5時44分

イギリス政府は1日、アフリカのルワンダへの強制的な移送の対象となる、不法に入国した人たちを拘束したと発表しました。移送を可能にする法律が先月成立してから初めてで、政府としては7月にも移送を実行する構えです。

NHKニュースより

不法移民が多数いることが、社会不安を増大させているという発想だと思う。ただ、どちらかというとこちらも選挙用のメッセージのようだ。

まあ、こうした兵役制度は国家への帰属意識を高めたりすることに対しては意味があるし、移民問題を考えると移民に対して踏み絵を踏ませるというような効果は出そうである。そういう意味でも今回の話、移民問題と無関係ではないんだよね。

どうやらスナク氏、この兵役制度に応じて兵役に参加したいと考える人は対象者の1割程度であると考えていて、その中で兵役テストを行って合格した人に兵士になって貰うという風に考えているようだ。イギリスの時代の担い手を育てたいという思惑があるらしいね。

尤も、7月のイギリス総選挙は保守党は劣勢であると言われているので、実現性は低そうだが。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    なるほど。上手い手を考えましたな。
    ようするに安易な移民や社会保障のタダノリをふるい落とす為の兵役か。
    日本もやりましょ。それもぞ選択肢ある兵役だの言わずに徴兵制に!!
    もちろん60歳まで義務つける。スイスはやってますでしょ!
    徴兵した素人の大方は兵士としては役に立ちません。でもシゴいて、紛れ込む犯罪者を選別したり、協調性や日本の習慣に馴染む気のない奴を弾き出すシステムと考えたら、費用対効果は低くない!!
    やりましょう!!

    毎年の事ですが、暑くなったので、山童は毛皮を脱いで、お皿と甲羅を身に着けて河童になります。山童ってそういう季節妖怪なので。御了承ねがいます。

    • 木霊 木霊 より:

      割と理に叶った話でして、実行に移せば莫大な予算を要することと、時間を要することになるのでしょうが、ある程度成果は見込めそうです。
      スイスは昔からの傭兵国家ですから、上手いことやっているようですが……。

      しかし、こうした政策はある意味、その国の文化と密接に関わる部分でもありますから、実行して軌道に乗せるまでには多大な努力を必要としそうですね。

  2. アバター 河太郎 より:

    それに足して、引きこもりに通信ゲームさせて、素質ありそうな奴をドローンパイロットにするとかどうでせう?
    全国に山ほどヒッキーやニートいるんで、その中にはハッカーの素質ある奴とか。そういうの退院資格と給食を与えて囲い込み国防利用すると。
    引きこもりを集めるのは、頭脳流出しないからですよ。才能あろうと国外へ渡りたがるような人は稀ざましょ。
    そういう「兵役」も考えて欲しいものですよねぇ。

    • 木霊 木霊 より:

      日本で兵役制度に似た制度を導入する場合には、「グンカノアシオトガー」と噴き上がる人が爆発しそうでう。

      しかし、スナク氏の問いかけはなかなか秀逸だと思いますから、上手いこと組み込めると良いですよね。
      例えば、学生の夏休みの間に参加可能が合宿プログラム的な学びの場を作って、希望者が学べれば良いと思います。言ってみれば、ボーイスカウト的なヤツをもうちょっと本格化させたヤツですな。1週間くらいのプログラムで、簡単な軍事訓練の体験を格安で参加できる様にすると良いかも知れません。こういうときに無料にするとアホが大量に湧きますので、格安でも有料である必要があると思いますが。

      • アバター 河太郎 より:

        ロシアでは兵員不足を補う為に、中学生にAKの実弾射撃や野営技術を教える林間学校が実施されてます。
        ああいうのを低価格で実施すればニーズはあると想うんですよ。
        最初はサバゲー好きの人とかに参加してもらい、彼らに広告塔になってもらって社会に認知させてゆく。
        過日、美人サバゲーマーがピザ屋のデリバリー員に勝手に電話番号登録されて告発した時に、彼女の配信登録者が後だてになり企業が謝罪したニュースが流れました。
        逆に言えばそれだけ力がある!
        彼女のような人気の美女サバゲーマーなどを配して、「萌え」から参加者を集めてゆけば、やれると思うんですね。軍事に「萌え」か……とゲンナリする方もおられようけれど。
        私は現実的に影響力あるなら、どんどん美人ゲーマーでも萌えでも使い
        認知させてしまうべきと思うです。

        • アバター 河太郎 より:

          何が良いと言って、美人&イケメンのサバゲーマーやFPS愛好者を配すると、「性差の存在を拒否する虹色勢力」も、
          それを否定し難い面があると。なんせ岸田首相(麻生さんでないのが笑える)すら「アニメやゲームを基幹産業にする」とか言い出してます。
          また、こういう趣味で集まる人々は結束力が強い。
          これは猟会に属していたからすごく解る。
          別に軍事的戦力ならずとも、その中で優秀な射手に訓練を施して獣害の駆除ハンターを目指してもらうだけでも治安に役立つと想うんですね。

          • アバター 河太郎 より:

            ちなみに市街地での熊や猪駆除に、「市街地での発砲を認める案」が出てきました。
            北海道で自治体から要請を受けた猟会が参加を断った話が出てます。
            自治体の払う報酬が命がけなのに安すぎる点が拡大されてますが。
            猟師から言うと、熊を相手にするのは特殊部隊と戦うのと変わらん! 
            という回答が出てる。
            これは私も狩猟歴から確かと思いますね。ブッシュに潜み、背後から襲ってくる熊とか、猪にしても弾が噛んで、咄嗟にナイフを抜いた事もある。
            ベテランハンターが仕留めてくれて助かりましたが、あの時はビビった!

            結論からすると、獣駆除については、米国のガイドハンターや、民間軍事企業から助っ人を雇う方が効果的とも想うす。
            熊は肉食を覚えると一気に肉食個体が拡大する可能性がある。
            これは生物学的な遺骨調査で、明治までの羆の多くが食料の65%を肉食に頼っていた結果から明らか。現在の羆は食料の大部分9割ちかくを植物性の資源に頼ってますが。
            明治後期から戦後の半世紀あまりの間に、一気に食性が肉食中心→草食性に変わった事が証明されてます。
            ということは、これから逆転の波が熊の世界に起きる可能性は大なのです。金をかけて特殊部隊出身の民間軍事企業を雇のが最も効率的と思われます。

  3. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    「男は、男らしく」を実現する為の義務化かな、と深読みしました。国民全員ということで女性も含まれますが、そちらは医療機関などの奉仕に回すことで「女は女らしく」も出来る、しかも明言しないから「小うるさい小姑」もとりあえず黙らせられる。

    奉仕参加が保証制度受給の必須条件になるように紐付ければ、非国民(あくまで国民ではないの意味ですよ(笑))との差別化も出来てGJ!って感じで、本邦も取り入れてほしいくらいです。

    労働力の問題も、ようは自分探ししてるニートが真面目に働けばかなりの割合で解決すると思っているのですが……
    ※能無しのくせにプライドだけ高い穀潰しは、そのプライドをバキバキにへし折って肉労やらせれば良い、という過激思想です。

  4. アバター 河太郎 より:

    七面鳥様ども。
    別な観点から七面鳥様に賛成!
    虹色がどうのこうのな連中に一つくらわす為に、兵役による色分けは良いかと。
    まぁ私も男でありながら看護師でもあるわけですが、鍼灸師つまり独自判断で治療施術できる医師的な位置でもあるので。別に後方支援の衛生科が男らしくない兵科てんじゃありませんよ。
    が、兵役すれば自ずとして性別に適した分類に分かれると想うんです。
    本題)
    今の虹色運動は、「性差による能力差を認めない」という1970年代のウーマン・リブ運動から来ています。この「男女差を認めん」がキモで。
    ところが、この30年くらいのゲノム解析により、「生物学的性差とは確実に存在する」が定説となり、学界と対立するようになった。現代で科学を否定するのは社会運動としては致命的です。で、窮地に陥った結果、
    「遺伝による能力差、遺伝の影響は語るてはならない。それは社会倫理に反する」
    という方向へ言い逃れするのうなた。
    言うまでもない、この言い分は、
    「地球が丸いと言うな」「地球が自転してると語るな」と押し付けた「異端審問官」と変わりません。
    科学的な真実を語るなと言うのです!!
    科学に対してさえ、それがLGBTQ運動に反する事を言うと「レイシスト」のレッテルを貼り、キャンセルカルチャーで社会的抹殺して口封じする!
    実際、多くの普通の親が、身に覚えのない児童虐待で子供訴えられて刑務所入りしているが、それらは催眠療法などや運動家の精神科医、カウンセラーによって
    誘導され刷り込まれた記憶らしい事が判明してます。
    七面鳥様の仰る通り、現実に兵役制度として用い、そこで性差による適性を実証してしまえば、虹色運動の連中は何も抗弁できなくなる。
    そういう意味で貴殿に大賛成ですね。

    • アバター 七面鳥 より:

      >「生物学的性差とは確実に存在する」が定説となり、学界と対立するようになった(中略)窮地に陥った結果、「遺伝による能力差、遺伝の影響は語るてはならない。それは社会倫理に反する」
      という方向へ言い逃れするのうなた。

      原理主義者の地動説否定とか、創成論者の進化論否定とかと同根ですよね。
      そのあたり、メンツのかぶり具合調べると面白いかもですね。
      ※とはいえ、「神」はソドミーを否定してるはずですけどね。

      10年~30年くらいの周期で、こういう事ってヤジロベーだと思ってます。
      その意味で、退屈しない時代に生きてるなって気はしてます、面倒でしょうがないですが。

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