めでたい記事かと思ったんだけど。
韓国航空宇宙産業、2兆ウォン規模の韓国型戦闘機KF-21量産契約
2024.06.26 09:49
韓国航空宇宙産業(KAI)が25日、防衛事業庁と初めて韓国型戦闘機KF-21量産契約を締結したと明らかにした。契約金額はKF-21計20機と後続軍需支援を含めて1兆9600億ウォン(約2250億円)規模。
中央日報より
いや、量産契約をしたのだからやっぱりめでたい記事なんだろうと思う。
予定通りに完成するのか
予定通りのスケジュール
これの関連記事は、2023年5月の暫定戦闘用適合判定だろう。
個人的には2026年に予定されている戦闘用適合判定まで待つのかと勘違いしていたが、過去の記事を見ても製造開始は2024年だということになっている。
防衛事業庁は来年からKF21の量産に入り、26年には最終的な「戦闘用適合」判定を得て、同年下半期に空軍への引き渡しを始める計画だ。
聯合ニュースより
ふむ、予定通りに量産開始を始めるために、冒頭のように量産契約を締結したということか。
そして、報道にあった通り最初は20機製造するよということになっている。
価格はややお高め
20機で1兆9600億ウォン(約2250億円)か。単純に1機あたり980億ウォン(112.5億円)という計算になるので、一見するとお安く出来るのね?という気になったが、本体価格がこれという話ではないのかもしれない。
一方、ハンファエアロスペースはこの日、防衛事業庁と5562億ウォン規模のKF-21量産エンジン供給契約を初めて締結したと公示した。契約期間は2024年6月から27年12月までで、ハンファエアロスペースはKF-21に搭載されるF414エンジン約40基および予備モジュールなどを納品する。
中央日報より
実は、KAIだけではなくハンファエアロスペースも防衛事業庁との契約を行っているのだ(追記で書いたが、ハンファシステムも防衛事業庁との契約しているので、更に謎は深まった)。
エンジン約40基で5562億ウォン。2基で278.1億ウォンという計算になる。もしKF-21戦闘機が本体とは別計上だとすると、エンジン2基搭載する双発機なので980億ウォン+278.1億ウォンということになるね。今のレートだと約138億円か。
報道にもよるがF-35Aは1機あたり1億ドル(約148億円:2023年頃の価格)クラスの価格帯であることを考えると、割高な印象を受けるね。
もちろん仮定の話だし、そもそも戦闘機の価格は、こんなに単純な計算で比較するのはおかしい部分もあるし、製造が始まっていないので、量産が始まればKF-21はもっとコストを下げられる可能性はある。
なので、初期コストがこの程度であっても、寧ろ安い部類に入る可能性はある。
KF-21は2022年7月に試製1号機の初飛行をするなど試験飛行を始めた。今年3月の空中給油飛行に成功し、遠距離作戦能力を確保した。KF-21は最新抗戦装備と先端素材、技術が適用されていて、第4.5世代戦闘機市場で高い評価を受けているというのが、KAIの説明だ。
中央日報より
第4.5世代戦闘機市場というのが一体どういうモノなのかは不明だが、F-16Vとの比較であれば圧倒的にF-16Vの方が支持されている。
F-16V戦闘機の価格は6,400万ドルということらしいので、現代のレートで890億ウォン程度のお値段である。勝負にはならないよね。アメリカから買えないことを除けば、実績的にも安心感が高いF-16Vを選ばない理由はないのだ。
先端航空産業の発展に寄与
まあ、そうはいっても韓国にとっては誇るべき事業なので、多少コストが高くとも強力に推進していくべきなんだと思う。
KAIは「KF-21開発に600余りの国内協力企業が参加していて、国産化率65%を目標に開発中」と説明した。姜求永KAI社長は「KF-21は航空宇宙産業不毛地の大韓民国で生み出された歴史的な成果」とし「KF-21は真の自主国防の象徴物として大韓民国の航空戦力強化と先端航空産業の発展に寄与する」と強調した。
中央日報より
KAIの社長も凄いこと言っているけれど、これくらいの発言をしても許されるレベルで韓国としては快挙なんだよね。
まあ、きちんと使うことの出来る戦闘機が完成すれば、の話なんだけども。
追記
嫌な記事を見かけてしまった。
ハンファシステム、KF-21 AESAレーダー初の量産突入…国内初の航空機用AESAレーダーの戦力化
2024.06.25
純粋な韓国国内技術で開発した航空機用AESAレーダーが戦力化に突入した。
ハンファシステム(代表取締役ウ・ソンチョル)が防衛事業庁と韓国型戦闘機(KF-21)に搭載されるAESAレーダーの初量産契約を締結したことを25日に明らかにした。契約規模は約1100億ウォンで、2025年8月末からKF-21に搭載される予定だ。
KF-21 AESAレーダー量産事業は、初量産と後続量産に分かれて推進される。今回締結された契約により、ハンファシステムは初量産20台を皮切りに、今後後続量産まで安定的にAESAレーダーを供給する計画だ。
ハンファシステム・プレスリリースより
上の記事で、KAIの他にハンファエアロスペースも契約を結んだと紹介したが、ハンファシステムも防衛事業庁との契約を結んでいるらしい。
- 韓国航空宇宙産業(KAI) : 本体製造 1兆9600億ウォン
- ハンファエアロスペース : エンジン製造 5562億ウォン
- ハンファシステム : AESAレーダー製造 1100億ウォン
現在見つけたのは以上の3つだ。
しかし、ここには武器などは含まれていないし、もしかしたら他にも含まれていないものがあるのかもしれない。F-35Aとさほど値段は変わらないなんてことを書いたが、実は大幅に高くなるのでは?あくまで、本体と別契約というのが正しければ、の話ではあるが。
過去に扱った記事では、KF-21の1機あたりの金額は890億ウォンを超えるのでは?という懸念が出ていて、「機体価格を下げるように努力する」という話だったはず。
上で書いたように、KAIが受注した金額を単純に20で割るような計算方法は望ましくはないのだが、それにしたって安くならない感じである。
まあ、そのうち価格も報道されるのだろうけれど……、今のところ価格が下がる要因がないのが辛いよね。それと、上では書かなかったけれど、20機のKF-21戦闘機を作るのに40基のエンジンを作るってどうなのさ!予備はないのかよ!せめて10セット分(20基)くらいは予備作っておこうぜ。
追記2
単独記事にしようか迷ったけれども、しょうもない話なので追記という形でお茶を濁しておきたい。
「ヘリコプタースリオン資料、戦闘機KF-21設計図販売」 テレグラムに登場…韓国軍・国家情報院が捜査
2024.06.24 07:30
国産ヘリコプターのスリオン(KUH-1)関連資料と韓国型超音速戦闘機KF-21の設計図など軍事機密を販売するというコメントがSNSに登場し、軍と国家情報院、警察が合同捜査中であることが確認された。
中央日報より
「そんな設計図、誰が欲しがるんだ」と疑問に思ったが、それはさておき国家としては一大事である。そして、「テレグラムに登場」したという辺り、ロシアの関与が臭わされているのだが、実際どうなのかは不明。
23日の政府筋などによると、スリオンの部品と推定される写真と韓国型戦闘機KF-21設計図などに関連する文書を売るという投稿が昨年からテレグラムに何度か登場した。これに対し韓国航空宇宙産業(KAI)はこの投稿とアカウントを国家情報院など関係当局に通報した。
中央日報より
ただ、それなりに大規模に動いているようで、情報漏洩の疑いがある事案である事は間違いなさそうだ。
コメント
兵器の導入って、本体+搭載武器+予備部品だと思っていたんですけど、今回の記事だと本体(ガワ)+エンジン+レーダーなんですね。まさか、FBWやIFF、ステルス塗装まで別料金なんてことはないよな……
いや-、正直なところ分かりません。
ただ、個別に契約を結んでそれぞれ金額が公開されているのが、ちょっと疑わしいと感じてしまった次第。
我が国に飛来して欲しく無いです。
落ちて被害が出ては大変です。
飛来したら迎撃したいところでありますが、先ずは船から火器管制レーダーを発射するところからでしょうかね。
もちろん、冗談ですけれども。
こんにちは。
まあ、正味な話、量産契約までこぎ着けて良かったね、羨ましいね、って感じではあります。
使い物になるかどうかは知りませんが……
※今時、胴体に半埋め込み式のミサイルなんて絶滅危惧種なので、その意味では貴重かも。
本邦のGCAPも、この程度には順調に(?)行ってほしいものです。
こんにちは。
単独開発をやっていますから、判断は速いですよね。
それが良かったかどうかは、完成してから判断すれば良いと思いますが。