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焦げ付く一帯一路構想とお手上げになった支那貴州省

中華人民共和国ニュース
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日本のメディアは報じていない感じなんだけど、支那の地方政府が破綻した。

【時事評論】中国貴州「初の破産省」、債務のドミノ現象が全国に広がるか

2023年4月17日

中国の経済状況は新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)流行時のゼロコロナ政策の影響を受け、特に地方政府の債務問題は深刻です。

Vision times より

武漢ウイルスの影響だとしているけれども、恐らく全く無関係である。

借金で首が回らない

貴州省はどんな省か

支那貴州省は、南部の内陸部にある省で、省域は平均標高 1,000m程度の起伏に富んだ高原となっている。

省の80パーセント以上が石灰岩に覆われ、農業には適さない。一方で、石炭やボーキサイトなどの鉱物資源が豊富に存在するので、鉱業が経済を支え、水力発電資源によって電力供給をになっている。そして、支那南部に多いのだが、貴州省も少数民族が多く暮らす地域となっている。

経済基盤は弱く、貧しい省なんだよね。

インフラ設備に莫大な投資をする

しかし、貴州省では莫大な投資をして、インフラ整備をしているのだ。

Bridges unmistakable feature of transportation infrastructure in SW China’s Guizhou

2023-04-15 07:40:26

This aerial photo taken on April 11, 2023 shows the Yangbaoshan bridge on the expressway linking Guiyang and Huangping in southwest China’s Guizhou Province. Bridges are an unmistakable feature of the transportation infrastructure in Guizhou. With 92.5 percent of its area covered by mountains and hills, the province has built nearly 30,000 bridges since the late 1970s and is now home to nearly half of the 100 tallest bridges in the world.

~~対訳~~

中国南東部・貴州省の交通インフラを象徴する「橋」

2023年4月11日に撮影された航空写真で、中国南西部の貴州省にある貴陽と黄平を結ぶ高速道路の楊宝山橋が写っています。橋は、貴州省の交通インフラの中でも、まぎれもない特徴である。面積の92.5パーセントが山や丘に覆われた貴州省では、1970年代後半から3万本近い橋が建設され、今では世界で最も高い橋100選のうち半分近くを占めるまでになりました。

english.news

貧乏なのに沢山の橋を作っちゃったんだねぇ。

徳余高速道路の烏江特大橋、工事が最終段階に 中国貴州省

2023-04-17 10:18:10

中国交通インフラ大手、中国交通建設傘下の中交一公局集団が貴州省で建設を請け負う徳余高速道路(銅仁市徳江県-遵義市余慶県)の烏江特大橋は現在、工事が最終段階に入っている。同橋は銅仁市の思南、石阡(せきせん)両県と遵義市鳳岡(ほうこう)県の境界地点に架設され、全長は1834メートル。高速道路建設の重要なプロジェクトとなっている。

新華網より

住んでいる人が少ないのに、多数の橋をかける。どう考えても合理性はないわけなんだけど、この地域を移動したいという希望があるということだと理解すればある程度は必要なんだろうと納得するしかない。

だが、地方政府がお金を出して橋を架けるのだから、その原資はどこかから調達する必要があるよね。

金がなければ借金すれば良い

そんなわけで、「金がなければ借金すれば良い」とばかりに、地方債を発行して資金調達をした。そういう時代があったんだよね。

ところが、習近平氏が政権を持った時に、不動産投資が投資家のオモチャになってしまって、若い人達が住居を持てないという現状を知った。そこで、「共同富裕」なるスローガンを掲げて格差是正に乗り出したのである。

その結果、2020年8月に銀行の不動産向け融資規制を強化を打ち出したのである。三道紅線だ。詳しいことは省くが、この規制によって、ソレまで可能だった融資が出来なくなった。

その影響で広大集団の破綻などの騒ぎに繋がったのである。いや、規制すれば当然影響が出るだろうに。

地方政府が支払う債券利息の増加は、利率の上昇ではなく、債務規模の拡大から来ています。新型コロナウイルスのゼロコロナ政策を実施するため、2020年から2022年の3年間に発行された地方政府債券は、14兆元(約272兆円)に達しました。

地方政府の支払う借金の利息の規模が増加するにつれ、償還と利息の圧力も増大しています。中国のある省の財政課の関係者によると、収入面では、同省の税源が昨年縮小し、地方税収の伸び率が低下し、土地(不動産)収入はほぼ半分に減少しました。支出で見ると、地方政府の収入は政府の債務とその利息を返済するのに十分な量しかなく、財政収支の矛盾が非常に顕著です。

Vision times より

もちろん、地方政府も大きな影響を受けた。

恐るべき事に、貴州省の過去3年間の歳入は2000億元で、歳出は5500億元。日本円にして7兆円も赤字なのである。その結果、2022年時点での貴州省の債務残高は1兆2,470億1,100万元(約24兆4,000億円)なんだとか。

もはや、借金を返すとか返さないとかそういうレベルではなくなっている。

中国、貴州省LGFVに債務繰り延べ交渉容認-地方財政巡り懸念拡大

2022年1月27日 15:05 JST

中国国務院は貴州省政府の資金調達事業体(LGFV)に債務繰り延べについて銀行側と交渉することを認める方針を示した。地方政府が債務返済に苦しんでいる可能性があるとの懸念が広がっている。

Bloombergより

2022年の1月には債務繰り延べについて銀行側と交渉することを認める方針を認めたとかニュースになっていたが、失礼ながら、そんなレベルの話ではない。

実際に、貴州省は「自らの能力だけでは効果的に問題を解決することは不可能」と手をあげてしまった。

貴州省政府発展研究センターは4月11日、最近同センターの財政・税務・金融研究部が借金問題の調査のため複数の都市を訪問し、借金問題が「重大で急務」となっていることが判明したが、政府の財政力は限られており、「自力だけでは効果的に解決することができない」と述べました。調査チームはこれから、中国国務院発展研究センターに支援を求める予定です。

Vision times より

まあ、インフラ整備を重点的にやってきたのだから、貴州省に直接的な利益を生む資産が多数あるわけではない。そして、支那共産党の方針で不動産開発が低調になったのだから、鉱業によって利益が上がるわけでもない。

そりゃ、首が回らなくなるのも無理はないのだ。

そして、貴州省だけの問題ではないというのが、これまた問題を深刻にしている。

中国経済は現在、深刻な衝撃を受けており、貴州だけでなく、他の省も同様の状況に直面していると懸念されています。中国経済学者である司令氏は14日、ラジオ・フリー・アジアに対し、貴州省が中央政府に救助を求めた後、他の省も中央政府に支援を求める可能性があると述べました。

これに対し、貴州省が中央政府に助けを求めた後、ドミノ現象が全国に広がる恐れがあると指摘する学者もいます。

また、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙は、新型コロナウイルス感染症の流行期間中、中国の地方政府の債務が持続的に増加しており、S&Pグローバルの統計データによると、3分の1の地方政府が利息すら支払えない状況にあると報じました。

Vision times より

ドボン、第一号が貴州省だったというだけで、これからどんどんお手上げになる省は増えるだろう。中央政府は地方政府を救うつもりはないと表明しているが、流石に無視というのは出来ないだろう。

ただ、あまりに借金の額が大きすぎるのと、その全容が未だ明らかではないという状況なので、どうやって精算すべきかという対策を立てることも難しい。それが支那経済の現状なのである。

債務の罠と方向転換

習近平氏の掲げた一帯一路政策というものが、あっちこっちで(外国でも)焦げ付いて大変なことになりつつあることを考えると、当然ながら支那国内でも起こって然るべきなのである。

海外では「債務の罠だ」と積極的に批判する展開になっている。

中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト、見えた一帯一路の本性

2022.5.23(月)

経済危機に揺れるスリランカが1948年の独立以来、初のデフォルト(債務不履行)に陥った。スリランカ中央銀行のナンダラール・ウィーラシンハ総裁は19日、「債務が再編されるまで支払いはできない」と“先制デフォルト”を宣言した。

JB pressより

記事は、スリランカが支那に多額の借金をして、支払いが出来ないために債務不履行になった事を伝えるニュースなのだが、こういった話はそこかしこで起こっている。

AIIBが「国際闇金」だと揶揄されたのは記憶に新しいが、やっていることはえげつない。

スリランカはアジアと中東・アフリカを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝だ。南端のハンバントタ港は2017年から99年間にわたり中国国有企業に貸し出された。インフラ整備のため中国から湯水のようにお金を借りたものの結局、思ったような利益は出ずに返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなる「債務の罠」の典型例だ。

ドバイ、シンガポール、香港など金融センターに匹敵する港湾都市を目指す「コロンボ・ポート・シティー」の埋め立て工事のため、スリランカは別の中国国有企業から14億ドルの投資を受けた。見返りにその43%が99年間にわたりリースされた。債権者は中国だけではない。米ウォール街やその他の機関投資家からの借り入れも膨張している。

JB pressより

借りる方もどうかとは思うのだが、貸す側は際限なく貸して、ある日、「ところで支払いは」と迫るわけだ。で、重要インフラが開発された後に実質支那のものになると。

あくどい事この上ないが、構図は貴州省も同じ。結局、どこでもやることは同じという事なのかも知れないね。

コメント

  1. アバター 砂漠の男 より:

    支那はそのうち財政破綻かな。(実はすでに破綻しているのかも。)

    そのとき、支那に進出している日本企業はどうなるのだろうか。
    おしえて、((親中))経団連!

    つい先日、マクロンとフランス企業群が支那に賭けたばかりだが..
    果たして結果や如何に。

    • 木霊 木霊 より:

      なんというか、壮大なババ抜きなんですよね。
      支那経済がドボンする前に、利益をどうにかして出そうとしているフランスと日本の経済界。
      徹底的に追い詰めつつ、こぼれて出てくる利益をむさぼるアメリカ。

      世の中って汚い!等と思ってしまいます。
      財政破綻はしていると思いますよ、支那も韓国も。軟着陸が出来れば良いんですがねぇ。

  2. アバター 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >貴州省の債務残高は1兆2,470億1,100万元(約24兆4,000億円)

    ピンとこなかったのですが、ちょっとググったら「政府が12月23日閣議決定した2023年度予算案の一般会計の総額は前年度当初予算比6.3%増の114兆3812億円」だそうで。
    つまるところ、中国の一地方政府の借金が、日本の国家予算のおよそ1/4、と。
    さすが中国兄さん!そこに痺れるあこがれない。

    そもそも、その数字自体どこまで正確かわかったもんじゃ無いですし、負の遺産と化したインフラは継続的に損を吐きますし。

    中国全土に、同じような地雷がどれくらい埋まってるんでしょうね……

    • 木霊 木霊 より:

      支那にどれだけの数の地方政府があるかは知りませんが、調べてみたら、省・直轄市級(22 省 5 自治区 4 直轄市)、 省の下の地区級(236 市)となっています。
      今回の貴州省はおそらく省級で1/22の地区なのだろうと思います。直轄市は恐らく黒字でしょうが、それ以外、自治区や省はちょっと怪しい。半分くらいは赤なんじゃ?と疑っています。
      流石に、今回の貴州省レベルの負債はないでしょうが、直近3年間で発行された地方債約272兆円の数%が焦げ付いているとしても恐ろしい額ですね。経済成長率が5%を切るとヤバイといわれますが、まだまだ予測では高い経済成長率を維持しています。ソレが信頼できるかは別ですが、嘘でも数字が良い方が良いのでしょう。

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