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日韓の「適切な対応」を切に望む

外交
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腹立たしいニュースのように思ったので、色々調べていたのだが。

日韓財務対話 円とウォンの値下がり懸念 “適切な対応”を確認

2024年6月25日 18時53分

日本と韓国の財務当局者が経済や財政の課題について意見を交わす「日韓財務対話」が韓国で開かれ、日本の円と韓国の通貨ウォンの値下がりに深刻な懸念を共有したうえで、為替の過度な変動に対しては引き続き適切な対応を取ることを確認しました。

NHKニュースより

それなりの思惑はあるようだ。あるようだが、相変わらず見立てが甘いよね。そして、メディアはどうにもおかしい方向に誘導したいようだ。

特に変化なし

通貨市場の動き

そもそも、財務大臣の鈴木氏はどうにも頼りないように思う。韓国に対してももっと毅然とした態度を示すべきなのだ。

この辺りの下り、誰がどう読んでもおかしいと思うのだけれど、NHKは違和感を感じなかったのだろうか。

会合後に発表された共同文書によりますと、円と韓国のウォンが急速に値下がりしていることに深刻な懸念を共有したうえで、為替の過度な変動や無秩序な動きに対して引き続き、適切な対応を取ることを確認しました。

NHKニュース「日韓財務対話 円とウォンの値下がり懸念」より

先ずは最近6ヶ月のトレンドを見ていこう。

対ドルの円、ウォンのトレンドを見ると、じりじりと安値に進んでいる様子が分かる。これは、日本も韓国もFRBの政策金利についていけないから当然といえば当然なのである。

一方で、円ウォンのチャートを見ると、ジリジリと円安方向に進んでいる。

市場原理は冷徹

こうした値動きについて、日本当局も韓国当局も安易に介入すべきではないという立派な建前がある。これは自由市場経済を掲げているのだから、不用意な介入をすることは、その建前を汚すことになるから当然である。

つまり、基本的には日本も韓国も指を咥えてみているより他にないというのが実情なのである。

> 円と韓国のウォンが急速に値下がりしていることに深刻な懸念を共有

微妙な言い回しだが、当然に懸念を共有する必要はあるだろう。

両大臣は、2024 年の世界経済は緩やかな回復基調にあり、域内経済は堅調な内需 と輸出の回復により、世界経済よりも速く回復していることに同意した。しかし ながら、両大臣は、進行中の地政学的紛争、主要貿易相手国の潜在的な成長減速、 及び外国為替市場のボラティリティの高まりを含む不確実性が依然として存在し ていることを認識し、とりわけ、最近の急速な円安及びウォン安に関する深刻な 懸念を共有した。両大臣はまた、経済成長を支え金融の安定性を維持するため、 引き続き警戒し、機動的に政策対応を行うことの重要性を認識した。両大臣は、 為替レートの過度な変動と無秩序な動きに対して、引き続き適切な対応をとるこ とを再確認した。

財務省の資料より

財務省の報道資料の該当部分を引用したが、「機動的に政策対応を行うことの重要性を認識」と言っているので、緊急時には介入も辞さないという今までの姿勢を続けるという意味だろう。

引き続き適切な対応をとる」というのだから、意味合いとしてはこれまでと同じ対応ということになる。

何が言いたいかというと、ウォンが急激に安値に動いたとして、日本の財務省として何かするか?といえば、するわけがないのである。

つまり、財務大臣級の会談をやって、こんなコメントを出したからと言って、日本から何かアクションするか?というお話にはなるわけではないし、すべきでもない。

介入はあるのか

さて、そういう建前論はさておき、それでも日本としては急激な円安にはブレーキをかけたいという思惑はあると思う。

利下げまだ支持できず、インフレ圧力なお高い=ボウマンFRB理事

2024年6月28日午前 4:27

米連邦準備理事会(FRB)のボウマン理事は27日、インフレ圧力が依然として高いことから、FRBの利下げを支持する用意はまだないと改めて表明した。

ボウマン理事はワシントン州銀行協会での講演で、FRBの金利スタンスは現在もなお「制約的」とし、金融政策を据え置いたとしても物価圧力は緩和されるとの見方を示した。

ロイターより

実はFRBが、「まだ利下げしないよ」と発言したので、随分と市場が動揺しているのだ。

財務省 神田財務官 円安“行き過ぎた動きには必要な対応とる”

2024年6月26日 23時06分

外国為替市場で円相場が1ドル=160円台に値下がりしおよそ37年半ぶりの円安ドル高水準となっていることについて財務省の神田財務官は26日夜、記者団に対し、急速な動きだと懸念を示した上で「行き過ぎた動きに対しては、必要な対応をとる」と述べて市場の動きをけん制しました。

NHKニュースより

数日前に、日本が口先介入をしていたのだが、多分これで吹っ飛んでしまったと思う。

かといって、日銀が利上げというのはちょっと無理がある。日銀が利上げするなら、0.1%とかそういうレベルでは話にならないのだが、大幅に0.5%とか上げると市場が大混乱に陥ってしまう。

しかし、円安介入するとなるとそのレベルで金利を動かさないと、あまり効果がない。悩ましいところではあるが、今後小刻みにでも金利を上げていく側面になるとは思うけれども、介入で上げるということはやらないだろう。

ソウルで開かれた「日韓財務対話」の終了後、韓国の企画財政省の担当者は、為替をめぐる協議に関連して「韓国の通貨ウォンと日本の円に対する協調での市場介入については、具体的は話はなかった。それはそれぞれの国の努力の話だ」と述べました。

NHKニュース「日韓財務対話 円とウォンの値下がり懸念」より

当然ながら、「それぞれの国の努力」ということになるわけだ。それは韓国も良く分かっているハズで、協議して見せたところで、実際は特に何も出来ないのである。

でも、「何かあるんじゃないか」というアナウンス効果を狙ったというのが、今回の話なのである。

通貨スワップ協定強化はない

というわけで、こんな記事を書いた理由はこちらのニュースがでていたからだ。

日韓が通貨スワップ協定の強化を検討へ、通貨安に「深刻な懸念共有」

2024年6月25日 16:58 JST 更新日時 2024年6月25日 17:52 JST

日本と韓国は、輸入コストを通じてインフレ圧力を高める持続的な円安とウォン安に対応するため、通貨スワップ協定を強化する方法を探ることで合意した。

Bloombergより

Bloombergは、直接的な対話はなかったことを認めつつも、行間を読んで「やるんじゃないの」という記事に仕立ててある。

声明では、スワップ協定の具体的な強化方法には言及していないが、両相は「特に両国通貨の下落に対する深刻な懸念を共有し、適切な措置を引き続き講じていくことで合意した」としている。

併せて発表された共同声明では、2023年の両国間の通貨スワップ契約の再開が地域金融セーフティネットを強化したことを再確認。「二国間金融協力を維持すること、およびこの協力のあり得るさらなる改善について議論することの重要性に合意した」と明記した。

Bloombergより

いやいや、そもそも日韓通貨スワップ協定というのは、日本にとって何の旨みもない協定である。何故なら、日本が韓国に融通するシーンはあっても、韓国が日本に融通するシーンは想定されていないからである。

それを枠を拡大して韓国の経済安定に資するということが、一体日本にとって何の利益になるというのか。

そんなことは日本の財務省も日銀も百も承知なのだが、日韓関係を改善するという文脈でおかしな協定を結んでしまった。流石に、今このタイミングで協定を終了させることは正しいとは思えないが、しかし、それ以上のことはあり得ない。そして、効果も薄い。国益に資するわけでもない。

そんなわけで、「緊密な連携」というアナウンスをすることは、まあやっても良いとは思うが、実際に何かするかというと、「適切な対応」にはならないのでやらないし、すべきでもない。

おかしな気を起こして、変な約束をしないように、切に願っている。

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