具体的にどんな書き込みだったかは分からないが、逮捕者出ちゃったか。
香港、国家安全条例で初の逮捕者 天安門事件の日付を前に
2024年5月29日
香港当局は28日、3月に可決された、香港での破壊行為や外国勢力による干渉などを取り締まる「国家安全条例」をめぐる初の逮捕者を発表した。6人が、ソーシャルメディアに中国政府に対する「憎悪を拡散する」投稿を行ったとして拘束された。
BBCより
逮捕されたのは民主活動家で、天安門事件が発生した6月4日を前にして、関連の書き込みをしたことが逮捕理由だったようだね。
言論が弾圧されたのか
最長で禁錮7年
何を書いたのかは気になるところだが。
拘束されたのは、女性5人と男性1人で、民主活動家で弁護士の鄒幸彤氏も含まれる。
当局によると、この6人は「センシティブな日付」を標的とした投稿を行っていたという。香港メディアは、これは1989年に中国で天安門事件が発生した6月4日だと報じている。
有罪となった場合、6人には最長で禁錮7年が科せられる可能性がある。
BBC「香港、国家安全条例で初の逮捕者」より
言論の自由のない国は大変だね。
とはいえ、日本国内でも不用意なことを書けば罪に問われることはある。みなさんもお気をつけ願いたいが、例えば犯罪を扇動する書き込みや他人の名誉を毀損するような書き込みはNGだ。普通の人は逮捕されるようなことをSNSに書いたりはしないが、実際にたまには日本でも逮捕者が出る。
では、本件はどうだったのか。
香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」の第23条に基づく国家安全条例は、外国勢力による干渉や、反乱などを犯罪行為とし、違反すれば最高で終身刑を科すとしている。
国家安全条例は、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法、2020年6月施行)を補完するもの。国安法ではすでに、香港の分離独立や破壊活動、テロ行為、外国勢力との共謀などの行為を犯罪と規定している。
BBC「香港、国家安全条例で初の逮捕者」より
今回の書き込みが、「天安門をもう一度」とか「民主化を」とかいう内容であれば、もしかしたら反乱などの助長をするという意味合いで逮捕に至るというのは何となく理解できる。賛同はできないが。
そして、禁錮7年はなかなか重いように見えるが、日本の場合、治安維持という観点から内乱予備罪(刑法78条)というのが適用されると、1年以上10年以下の禁錮に処されるし、国家転覆を教唆した者は7年以下の禁錮に処される(破壊活動防止法38条1項)し、内乱予備罪を示唆した者は5年以下の懲役または禁錮に処される(破壊活動防止法38条2項1号)ので、実は量刑だけ考えると妥当なのだ。
注:尤も、内乱罪や内乱予備罪、国家転覆罪などは極めて厳密に判断される、適用ハードルの高いものであることは一言付け加えておく。あのオウム真理教ですら内乱罪の適用はなかったのだ。
実行可能性
ちなみに、今回逮捕された弁護士の鄒氏だが、民主活動を色々と行っている人物のようで、扇動することで人が動く可能性というのはあるようだ。
鄒氏はすでに国安法で有罪判決を受け、現在服役している。
鄒氏はかつて、ヴィクトリア公園で天安門事件の追悼集会を開催する団体に所属していた。香港とマカオはこれまで、中国領内で例外的に天安門事件の追悼行事が行える場所だったが、香港当局は2020年以降、この集会を禁止している。
~~略~~
香港の鄧炳強保安局局長もこれを認めたものの、投稿の内容自体は問題ではないと説明。容疑者らについて、「中央政府と香港政府、そして司法に対する憎悪を扇動した」と述べたと、サウスチャイナ・モーニング・ポストは報じた。
BBC「香港、国家安全条例で初の逮捕者」より
そして、投稿の内容よりも鄒氏の発言だったからこそ、ということのようだ。つまり、前科があるから監視されていたということのようだね。
つまり、鄒氏が民主化のアイコンになることを当局は恐れたということなんだろうと思う。
香港国安条例違反で初逮捕 「天安門事件」SNS投稿
2024年5月28日 21:31
香港の警察当局は28日、国家安全条例違反の疑いで男女計6人を逮捕したと発表した。3月に施行された同条例による逮捕者が明らかになるのは初めて。中国政府が民主化運動を武力弾圧した「天安門事件」を追悼するSNS投稿が、「扇動的行為」に当たると判断した。
日本経済新聞より
香港、国家安全条例で初の逮捕者 扇動の容疑で6人
2024年5月29日午前 2:02
香港の警察は28日、国家安全条例に基づき、すでに収監中の民主派弁護士を含む6人を扇動の容疑で逮捕した。3月に施行されたこの条例に基づく初の逮捕となる。
香港のトウ炳強保安局長は記者団に、6人は交流サイト(SNS)フェイスブックを使って、行政や司法に対する「憎悪を訴えかけた」疑いがあると主張した。
逮捕されたうちの一人、民主化運動家のChow Hang-tung氏は著名な弁護士で、2021年9月以来、収監されている。
ロイターより
しかし、気になるのは鄒氏が収監中だという情報である。鄒氏はどうやってフェイスブックに投稿したんだろうね?他の5人が何らかの手助けをしていたという構図なのだろうか。
収監中の鄒氏が、行政や司法に対するヘイトを訴えかけたことが問題らしいが、しかし書き込みそのものは問題がないというから、フェイスブックに一般人が書き込んだとしても問題なかった内容だという意味になるのだろう。
そうすると、鄒氏には内乱を実行するだけの能力が現時点で無く、言論弾圧だというのもどうやら早計のように思われる。これはいわゆる見せしめとして逮捕したという意味に理解すべきなのだろうね。つまり、不当逮捕であったことは間違いなさそうだ。
内乱が怖い習近平氏
したがって、今回の逮捕劇は、習近平氏が内乱を恐れているからだと解くべきではないだろうか。
こちらの記事にも書いたのだが、デフレモードで経済が停滞していて人々の不満が溜まっており、かつ失業率が高い状況が続いている。不満を持った人は支那国内に沢山いるのだ。
ちょっと話は逸れるがこんなニュースもあった。

EVが売れたらなぜ自転車が爆発するのかと思ったら、どうやら型落ちEVの電池をバラして電動自転車に積むようなやり方をしているらしい。今のところこれ疑いというレベルの話だが、実際にEV電池のリサイクルで新品の電動自転車に積むようなことをやって火災が増えるとなると、社会不安も増大する。
そういうような支那の国内情勢で社会不安が増大している状況だと思うと、習近平氏も悩みは深いのだろう。おそらくは、今回の話はそういう話なのだと思う。
追記
先日の記事だが、こんな話があった。
中国、スパイなど摘発の新「五反」運動 内憂外患で毛沢東時代に回帰か
2024/5/15 06:00
中国の国家安全省が「反スパイ」や「反分離主義」などを含む「五反闘争」を宣言した。「五反」は建国直後の1950年代初頭、社会主義建設の障害となる思想を一掃するために展開された社会改造運動「三反五反運動」になぞらえたものだ。国内での経済低迷、米欧との対立長期化という内憂外患を抱える習近平政権は、権力維持のために、毛沢東時代のような強固な独裁に回帰しようとしているようだ。
「五反闘争」が打ち出されたのは4月29日、共産党幹部の養成機関、中央党校の機関紙「学習時報」1面だ。「国家安全保障の揺るぎない保護」と題する陳一新・国家安全相の論文が掲載された。
産経新聞より
香港の件もこういうことか。
独裁体制を強める習近平氏、支那共産党も原点回帰とは。
コメント
こんにちは。
あーあ……こうなって来ると、おちおち駐在員を置けないから商社や外資企業は撤退。すると金融センターとして香港が集めていた外貨も出てゆく。
2010年代まではフォートブラッグ基地なみに金塊やら保有していた中国ですが、
一帯一路の失敗(誰なんだバスに乗り遅れるなとか言ってた奴は?)と、不動産バブル崩壊で、保有する外貨や金は底を尽き始めてるのでは??
そこでコレはヤバかろうと。
知人の帰化人も前は台湾の友人からの「日本亡命&資産の日本持ち込み」だったのが、今は大陸本土からの「息子や娘を留学と日本就職させて永住権を……」になってる。日本サゲをメディアが騒いでも、個々人の中国人にや「日本良い国」なんすよ今でも!
んで、そういう脱出が露骨になて来てます。それ彼らの「王朝崩壊」への予感なのでないすかね?
中国語では3日ホテルに泊まるも、3年の滞在も、移民して永住するも、全て「住(ジュー)」なんですよ。
つまり移動する時は、一族そろって数千キロ先へでも移住しちやう連中なのす。
そういう連中だからこその「中国共産党王朝の崩壊」への「嗅覚・予感」って馬鹿にならない鋭さがあると想うすね。
んで、こういう事をやると、ますます逃民が加速する思う。同じ漢字国家でも流氓って語句は日本には無いでないすか。
この逃亡が収まらなくなったら、いよいよ危ないすね。
三国志の諸葛孔明やその兄がそうだけど、二人は西南の蜀や港南の呉に仕えますでしょう? 漢中の家系なのに。
そうやってブワーッっと破局の前に一族の若者を脱出させ、あとから親族が押し寄せるんすよ。知人の帰化人に「日本への留学や就職」の相談が押し寄せてるのって、この記事のような危なさを本土の連中こそ敏感に感じ取ってるって話だと想うんですよね。
スターリンの最後って、証言の食い違いを埋めてゆくと、どうも「脳出血で倒れたら側近たちがわざと見捨てた」ぽいんですね。死ぬと解ってて放置したと。
習くんもいずれはそうなるんでは?
それ思うほど先ではない気がしる。
これ、似た話を聞いたことがありますね。
李克強氏が心臓発作を起こして倒れた際に、運び込まれた病院が上海中医(漢方医)大学の附属病院で、急性期対応が出来るところではなかったのではないか?と。
https://gendai.media/articles/-/118464?page=2
何というか、そういう前例があると心配ですね。
こんにちは。
国内向けのアピールと、海外向けのアピールは違うと支那共産党は考えていると思います。今回のことは「国内問題だろう」と考えているのでしょうね。
ただ、危うくはなっても支那経済はまだ低空飛行を続けるでしょうし、部分的に活を入れることで低い位置でも良くなったり悪化したりということになるのでは無いかと。そして、それを狙って外国人投資家も群がることと思います。
とはいえ、駐在する人々の安全は脅かされますから、低調な状態が続くのでしょうが。
鼠が沈む船から逃げ出し始めていますから、どうなることやら。
こんにちは。
言論弾圧、禁書&焚書(電子版含む)、徐々に独裁国家崩壊の「いつか来た道」をバクシーン!しているようにしか思えません。
ここに、ちょっと前の記事の「企業が退役軍人を大量に雇う」話が絡んで、企業は国家から弾圧されていて……ってなると、物語としては簡単に内乱が起こせるのですが……
まあ、そうなる芽は摘んでいるのでしょうが、芽を摘むからこそさらに芽が増えるという、地獄の悪循環が始まっている……かも知れないなと、「竹のカーテン」の向こうが見通せない七面鳥は思ったりしています。
こんにちは。
「竹のカーテン」ですか。何というか、竹のカーテン自体はスケスケで向こう側を見ることは容易いのだと思います。
ただ、向こう側も正確な情報を把握していない可能性が高く、見えているモノが事実かどうか不明なところがキビシイですね。