面白いこと書くなぁ。これが「報道」でなければ、生暖かい目で見ることが出来るんだけど。
もし「先制攻撃」になれば「日本は侵略者」 敵基地攻撃能力 政府は回避策を示さず 国会論戦の状況は
2023年2月22日 06時00分
相手国のミサイル発射拠点などをたたく敵基地攻撃能力(反撃能力)を巡り、岸田政権は具体的な説明を避け続けている。相手国が武力行使に「着手」した時点で日本が反撃する可能性を否定していないため、野党は国際法違反の先制攻撃とみなされるリスクや回避策を繰り返し質問。だが、政府は通常国会が始まって約1カ月が経過しても「ゼロ回答」に終始しており、専門家は説明責任を果たさない姿勢を問題視する。
東京新聞より
野党が、日本が反撃能力を保持することについて質問したとのことなのだが、ハッキリ言って酷い。ポイントはそこなのか?
反撃能力の獲得は必須である
長射程ミサイルの入手
衆議院予算委員会で、立憲民主党の枝野氏が質問に立ったようなのだが、なんとも内容がダサい。
「先制攻撃の恐れが飛躍的に高くなる」。立憲民主党の枝野幸男前代表は15日の衆院予算委員会で、政府が安全保障政策の大転換で保有を決めた長射程ミサイルの危うさを強調。相手がミサイル発射に着手したと判断し、日本が撃つ場合のリスクに関して「実は相手ミサイル(の狙い)は日本の領海外だったなんて間違いを起こしたら、大変なことになる」と指摘した。
枝野氏は国際法違反の回避策として、基準を定めることを提案。相手国のミサイルが日本に着弾することが「外形的に明確になった時」などの例を挙げ、政府の考えをただした。だが岸田文雄首相は「どういった場合に対応するか事前に明らかにすることは、安全保障の観点から控えるべきだ」と取り合わなかった。
東京新聞より
そもそも、長射程ミサイルを入手するという話は、去年末に色々と議論になった話で、パヨクは「型遅れミサイルを買うなんて!」と吹き上がっていた。
このブログでも突っ込みは入れたのだが、おそらく日本が購入するのはトマホークミサイルのブロックVである。
<独自>長射程ミサイル1500基確保 10年後めど
2022/11/6 18:00
相手拠点への打撃力を持つことで日本への攻撃を躊躇(ちゅうちょ)させる「反撃能力」の保有を念頭に、防衛省が導入する長射程ミサイルについて、おおむね10年後までに必要量の1500基規模を確保する方向で検討していることが6日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。当面は米国の巡航ミサイル「トマホーク」を購入、長期的に国産ミサイルの量産態勢を整える方針だ。
産経新聞より
多額の予算を積んで、長射程ミサイルを手に入れる計画を立て、ミサイル開発を進めると共に、当面はアメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」を購入して戦力の穴埋めをしようという計画であった。
だが、「型遅れ」が見当違いであっても、批判の方向性としてはまだマシである。
反撃能力の入手
さて、長射程ミサイルの入手は、主に日本が反撃能力を手にするべきだという発想に基づいたものである。
この反撃能力を手にすることの意味は、「やられたらやり返す能力を手に入れる」ことであり、抑止力的な使い方を期待してのことだ。
その為には、詳細計画を明かすのは下策である。何より、敵に対して使用する基準を明確にするなんてことは以ての外だ。
「あいつはどこでキレるか分からない」と思わせておくくらいが丁度良いのである。
そして、四角四面に運用方法が決まっているなどと分かったら、そこの抜け穴を付かれるに決まっている。
つまり、枝野氏の主張は「相手に手の内を明かせ」といっているようなもので、寝言に等しい。
トマホーク購入数の公表、一転検討へ 岸田首相「大変関心高い」
2023年2月22日 17時00分
岸田文雄首相は22日の衆院予算委員会で、政府が導入を決めた米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入数を公表するかどうかについて「大変関心が高いので、改めて政府で検討したい」と述べた。これまでは「手の内を明らかにしない」と説明を拒んでいた。
朝日新聞より
にもかかわらず、岸田氏はこんなことを言い始めた。オイオイ待ってくれよ。
……と、言いたいところではあるが、正直なところ、コレに関しては、おそらく購入をアメリカに打診して議会にかけられる時点である程度明らかになる項目である。
今明かす必要は無かろうが、何れは明らかになる数字なので、明かしてしまったところでさほど影響はない。型式が分かればアメリカが公開している射程範囲なども明らかになるだろう。
相手の狙いは領海外?
とはいえ、枝野氏のトンチンカン(古)な突っ込みの返答になるかというと、ちょっと怪しい。
購入数を明らかにしたところで、立憲民主党を説得する材料になるのかは怪しい。何しろ、分かっていないのだから。
大体、「相手がミサイル発射に着手したと判断」などという想定をしているが、「実は相手ミサイル(の狙い)は日本の領海外だったなんて間違いを起こしたら、大変なことになる」とアホなことを言っている辺り、どうしようもない。
ミサイル発車前に敵基地を叩き潰せば、相手がどこを狙う積もりだったかなんて、分かるはずもない。相手方が正直に言うはずもないしね。
もう、見当違いも甚だしい意見だ。
そもそも反撃能力とはいえ、トマホーク程度では千発揃えても相手の戦力をすべて叩き潰すことなんて出来ない。つまり、役回りは牽制である。あくまで、日本に手を出すと手痛いしっぺ返しを喰らう可能性があるという事を敵に認知させることなのだ。
立民の泉健太代表も衆院代表質問などで「着手段階における日本の敵基地攻撃は先制攻撃にならざるを得ず反対だ」と追及したが、首相は「国際法の順守は当然」と答えるにとどめた。
東京新聞より
これも残念な話だが、着手段階における敵基地攻撃は、国連法の遵守をした上でも認められる範囲である。
まさか、知らないのだろうか?
国連憲章は敵の「武力攻撃が発生した場合」に自衛権行使を認め、発生の定義は相手の「着手があった時点」と解釈するのが国際法上の主流。このため、泉氏の質問はネット上で「国際法の解釈に誤解がある」などと批判を浴びた。
東京新聞より
実際に、ネットからこの発言について批判を浴びて、恥をかいたようだが。
攻撃着手はどうやって見極めるのか
だが、それでも泉氏は食い下がったようだ。
問題は相手国のミサイルが飛び立つ前の「着手」をどう見極めるかだ。例えば発射ボタンが押され、攻撃が後戻りしなくなれば着手といえるが、押されたことをどう把握するのか。泉氏はツイッターで批判に反論し、現代はミサイル技術の進歩で着手の把握が難しくなったと指摘。先に撃てば「国際法違反とみなされる可能性が高い」と訴えた。
東京新聞より
この議論は一見論理的のように思えるが、やっぱり見当違いである。
防衛大臣の浜田氏が明確に答弁しているが、「着手はその時点での国際情勢、攻撃国の明示された意図等で個別具体的に判断」するしかない。これが着手だ!と万人に分かるようなケースは殆どないのだ。
おそらくではあるが、実際に「何らかの手法」で手を出された後、日本に向けてミサイルを放って来てからの対応にならざるを得ないだろう。「ケースバイケース」としか言えないのも無理はない。
例えば、多数の戦闘機の準備が行われ、空母が出され、日本に向かってきている段階で、ミサイル発射の兆候を捉えれば、先制攻撃でミサイル基地を潰すなんてこともあり得るだろうし、海上で自衛隊と人民解放軍の衝突が起き、更にミサイル部隊が動いているような事態となれば、或いは先制攻撃の必要性を見いだす可能性もあるだろう。
それは専門家が議論したところで、様々な方法が百出するため、コレだと決めることは難しいだろうし、況してや、国会議員は勉強家が多いとは言え、軍事的には素人同然である。素人同士が荒唐無稽な事案分析を国会内でやったところで意味は無い。
その時々の判断で、としか言えないだろう。
予算の使い方について
とまあ、凡そ予算委員会とは思えない(いつもこんな調子ではあるが)議論について触れた上で、防衛力整備計画に関わる予算の内訳についても言及がなされたと報じられている。
浜田靖一防衛相は21日の衆院予算委員会分科会で、昨年12月に決定した2023年度から5年間の防衛費を総額43兆円程度とする防衛力整備計画のうち、公表してこなかった11兆5000億円分の内訳を明らかにした。決定から既に2カ月経過しており、立憲民主党の長妻昭氏は「中身が分からないとチェックしようがない。何兆円か節約できるのではとの強い疑念がある」と批判した。
東京新聞より
……節約と申したか?
予算の使い方が不透明なのは、Colaboでお腹いっぱいなのだが、そもそも防衛予算の中身について、仕分けが出来るような公表のされ方されることが本当に望ましいのだろうか?
過去には、防衛費の使い方についての汚職があって騒ぎになったこともあるので、適切に使って欲しいとは思う。
しかし、「節約」とは。
予算をいかに効率よく大切に使うかという点には心を砕いて欲しいが、「節約」って「減らす」って意味だよね。防衛費をまた削る話なの?冗談じゃないよ。
もっと別のものを購入して防衛力強化に努める、等という話なら分かるが、「あれは不要ではないか」「コレは無駄ではないか」と削っていくだけが野党の仕事なのだろうか?
上にも書いたが「型遅れだ」との批判は、それだけではなく、別の有効そうな兵器の導入を提案するのであれば、まだ建設的ではある。だが、野党からそんな提案は出ない。「それより外交を」と寝言を言うだけだ。
結局、批判したいだけなんだろうね。
追記
探したらJSF氏がミサイル購入数についてTweetしていたので紹介しておく。
まあ、そういうことですな。
コメント
田村装備開発の社長が刺叉を観て、
「襲ってくる犯罪者を優しく制圧しようと考えるのがそもそもの間違いだ」と申されてましたが、同様に、「攻撃され被害が出てから反撃するに止める」というのは「そもそもの間違い」と。
じゃ何だろうか? 東京に核を落とされてから反撃すべき!とか言うわけ??
この手のアホな発言がなされるのは、一つには戦後日本がとにかく武力アレルギーで、冷静に軍事を学ぶ事が不可能になっていた事が主因。
PKO活動で装甲車を白塗りしてきた陸自に対して、「カラーリングで平和的に偽装しようとしている」とアホな事を言ってましたなパヨクは。
昔のモデルガンかっての!?
そもそも迷彩するのが当たり前な地域に、白塗りで乗り込む事は「目立つ」以外の何物でもなく、それは「日常的に命のやり取りしている武装勢力」に対して「私らがこんなに目立つペイントしているのは、戦意がないからです!!」と「表現」している事は、肩の上に乗っているの頭なら、「考えれば解る」事なのですが、パヨクの肩に乗るのは頭ではなかった。
んで、結論を言うと、こういう平和ボケの弊害を無くすには「教育」しかないと言う事です。「軍事」を学校教育で必須科目とする! そうやって「事実を直視」するようになれば、大半の国民が最低限の自衛を理解するようになれば、パヨクが何を言おうが通用しなくなる!
現に今までタブー視されてきた「地政学」が出版でウエブで大流行しているのは、もう御花畑を相手にしているのマジで国が滅ぶ……と民間レベルで考えられるよになって来たからでせう!!
核を日本も持ちたい処ですが、北朝鮮ですらあーやって精度を(年季を重ねて)高めてきたものであり、核には「経験値」が不可欠!
これが80年代までに着手していたならばともかく、今からでは間に合いますまい! 燃料気化爆弾とか、弾頭に積むものについては、対案を練るしかないでせうね。残念ですが。
ご指摘のような「教育」こそが骨抜きにされてしまい、いま、ようやく見直しの機運が出てきたところのようですね。
日本が「戦後」を脱するのは70年以上経過した今なお、難しいようです。
外交と軍事を結びつけるのがタブーというのは、今のウクライナの惨状を見てなお言えるというのは恐ろしい話であります。
いつまで現実逃避を続けるのか。
また、核保有の議論についても、始まってはいません。
保有すること自体は技術的に可能だとは言え、実際にどのように運用していくかも含めて考えると非現実的だと思います。
長射程のミサイルを手に入れるのが、先ずは第1歩となるでしょう。
こんにちは。
>相手ミサイル(の狙い)は日本の領海外だったなんて間違いを
そういう言い訳するに決まってるじゃないですか。ねぇ。
※そういう言い訳しろ、と言っているようにも聞こえますな、エダノンの発言は。
「狙いは領海外だが、たまたまあたっちゃった」と。
日本の領海外に落ちるとしても、日本に狙いを付けているのだとしたら、やっぱり対処は必要なんですけどね。
相手の荒唐無稽な主張に対抗できるだけの論拠を、日本が用意する必要はあるのでしょう。ですが、それはそれ、ミサイルの用意はミサイルの用意ですべきなのです。
日本が最新型トマホークを500発購入というウワサがあるようですが、それにしても
500発は多いのか、少ないのか…
トマホークは陸からも海からも発射可能なので、たくさん購入すべきと思うんですが。
(米軍も今後最新型を相当数量発注するそうです。)
仮に10-20年後に型落ちするとしても、12式地対艦誘導弾・改までの中継ぎだとしても、
いろいろ駒をもっておくほうが抑止力として効果的であるはず。
カムチャツカ半島~朝鮮半島~海南島まで、仮想標的はたくさんあることですし、
原資が必要なら国債を発行すればいいですし。
500発程度では、心許ないとは思います。
ただ、物量で押し潰すのが目的ではなく、日本側が一矢報いる覚悟と手段を持っていることを見せることこそが重要なのですから、そのうち増やすしかありませんね。