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アメリカが台湾への無人機・ミサイルの販売を了承

安全保障
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アメリカが台湾に無人機とミサイルをねぇ。

米、台湾への無人機・ミサイル売却を承認 総額3.6億ドル

2024年6月19日午後 12:50

米国防総省傘下の国防安全保障協力局は18日、台湾にドローン(無人機)とミサイルを推定3億6000万ドルで売却することを承認した。

ロイターより

販売する兵器は確かにアメリカが保有するヤツなんだが。

何を意味するのか

物騒な兵器の輸入が許可される

先ずは何を売却できるようになったかについて言及して行こう。

今回売却するのは徘徊型兵器「スイッチブレード300」と関連機器(推定6020万ドル)、無人機「ALTIUS 600M-V」と関連機器(推定3億ドル)。徘徊型兵器は小型の誘導ミサイルで、攻撃指令を受けるまで目標地域上空を徘徊する。

ロイターより

む、また変わったラインナップではあるな。

  • 徘徊型兵器「スイッチブレード300」
  • 無人機「ALTIUS 600M-V」

この2つについてどんな兵器か見ていこう。この2つ実は両方ともウクライナ軍に提供されているらしい。

スイッチブレード300

先ずは、スイッチブレード300だ。

スイッチブレード(飛び出しナイフ)は、兵士が打ち出すタイプの徘徊型ドローンで、目標を見つけると自爆攻撃を仕掛ける。人員や非装甲車両などソフトターゲットを標的とする。

何に使うかと言えば、要人暗殺である。

実は、ウクライナ軍に提供され始めた時には威力が低いことが問題視されていた。そりゃそうだ、戦車や装甲車を撃破するような兵器ではなく、人や車両を攻撃する程度の爆発力しか有していないのだから。弾頭威力が低く、装甲車の装甲は抜けないんだよね。

また、航続範囲は10kmまたは15分ってことになっているので、かなり近接しないと使えないタイプのドローン兵器である。ファミリーにスイッチブレード600ってのがあって、こちらはもうちょっと攻撃力が高く航続範囲が広いのだが。

Altius 600M

こちらはもうちょっとカバー範囲が広いのだけれど。スイッチブレード300に似た兵器だね。

特色は空中や海上からも発射可能であり、航続距離は440kmである。

この写真は無人機XQ-58AからAltius 600Mが射出される様子だ。

ヘリUH-60からも発射可能である。なお、Altius 600は諜報、監視、偵察活動に使うことが出来るのだが、Altius 600Mは自爆モデル。”M”は”Munition(弾薬)”を意味し、ペイロード最大3kgの機体には高性能爆薬または成形炸薬弾頭を取り付けることが可能だ。

どちらも、自動で飛行して自爆攻撃が出来るというなかなかエグい機能を搭載している。

日本はアメリカからミサイル生産を要求されている

一方で、日本はアメリカからミサイルの生産を依頼されて、合意した。

米のミサイル不足、日本が補充へ 企業が受注し共同生産

2024年6月11日 11:31 (2024年6月11日 14:39更新)

日米両政府は9〜11日、都内で防衛装備に関する会合を開き、具体的な協力策の議論を始めた。ミサイルの共同生産を進め、米軍の武器不足を補うことを想定する。防衛力を相互に補完する体制をつくり、安全保障環境の変化へ対応する力を高める。日本が防衛協力で担う役割は一層大きくなる。

日本経済新聞より

具体的に何が生産されるのかに関して、明らかにはされていないが恐らくはパトリオットだろうと言われている。

ミサイルを巡る連携は米軍が使う防空用の迎撃ミサイル「パトリオット」を日本企業が受注し、日本国内で共同生産する案などが浮上している。

日本経済新聞「米のミサイル不足、日本が補充へ」より

いやまあ、パトリオットくらいなら造るけどさぁ。そういえば、日本は輸入する話し出していなかったっけ?伏線回収?

それも前倒しで型落ちを買う話まで出していたのに、日本で造りますか。

米ミサイル生産、なぜ日本が補完? 同盟深化へ議論始まる

2024年6月16日 5:00

日米両政府は防衛装備品の協力を深めるため「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS)」で議論を始めた。主要な論点に据えるのがミサイルの共同生産だ。その背景や今後の方向性を解説する。

日本経済新聞より

なるほど、共同生産ねぇ。取り敢えずは部品の供給を、ということなのかも知れない。

日本も台湾有事で衝突に巻き込まれた場合、今のままでは自衛隊が弾薬・ミサイル不足に陥りかねないといった防衛省内の分析がある。

日本の防衛装備の輸出は防衛装備移転三原則に基づいて決めている。パトリオットのように他国企業の特許を使って国内でつくるライセンス生産品は、特許を持つ国に移転できる。

日本経済新聞より

ただ、別の日の記事にもある様に、台湾有事になると日本もミサイル不足に陥るリスクはある。

生産量を増やせれば日本企業としてもありがたいし、生産体制が整っていれば増産しやすくもある。

防衛装備品の共同開発

更にこんなニュースもあった。

日米防衛装備品の共同開発など協議 初開催で連携確認

2024年6月10日 21時10分

防衛省とアメリカの国防総省は、ことし4月の日米首脳会談で合意した、防衛装備品の共同開発・生産などに関する協議を初めて開催し、技術移転などを通じて、両国の防衛産業分野の強化に向け連携していくことを確認しました。

協議や関連の行事が9日と10日の2日間、防衛省で開催され、日本からは深澤防衛装備庁長官、アメリカからは国防総省のラプランテ次官らが出席しました。

NHKニュースより

こちらの話は「共同生産」ではなく「共同開発」である。

日本とアメリカでの兵器共同開発事例は、幾つかある。が、これまでの共同開発は先ず開発する兵器ありきだった。

ところが今回の話は「双方に技術移転を進める」という防衛産業分野の強化を含む話になっている。

また、 ▽地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」などの共同生産や ▽アメリカ軍の艦船や戦闘機を、日本で整備できるようにするための議論を行う、4つの作業部会を設置することで合意しました。

NHKニュース「日米防衛装備品の共同開発など協議」より

瀕死の日本防衛産業には朗報だが、果たして建て直しにどれだけの時間を要することか。

しかし全体的にはこれからの国内産業に対するプラスになる話と理解して良いだろう。

台湾有事に備える

はい、台湾の話をして日本の話をした理由は、日本もアメリカもかなり台湾有事を意識しているということだ。

中国国防相、米台を強くけん制 独立阻止へ「断固とした行動」

2024年06月02日17時02分配信

中国の董軍国防相は2日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で演説した。習近平政権が「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾問題を巡り、米台をけん制する発言を連発。「台湾独立を阻止するため、中国軍は適時に断固とした行動を取る」と表明した。

時事通信より

こんな話があって……。

軍事介入に再び言及 台湾有事で米大統領

2024年06月05日14時21分配信

バイデン米大統領は4日に掲載された米誌タイム(電子版)とのインタビューで、中国が台湾に侵攻した場合は「米軍の使用を排除しない」と述べ、台湾有事で軍事介入する可能性に再び言及した。具体的な介入方法については「状況次第だろう」と語るにとどめた。

時事通信より

こんな応酬になった。

「台湾有事」と軽々に言うなかれ 日本は壊滅的打撃を受ける | | 田中均 | 毎日新聞「政治プレミア」
日本に駐在する呉江浩・中国大使が台湾問題は中国の核心的利益であり、日本が分断に加担すれば「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言した。  このような日本に対する威嚇的発言は、日本に駐在する...

毎日新聞はこんなアホな記事を書いていたが(有料記事だが読む価値なし)、台湾だけ被害に遭うなんてことにはならない。

何故なら、台湾に対して軍事侵攻するケースを想定すると、どうしたって先島諸島が放置されるシナリオには無理がある。

また、台湾海峡が支那海軍に占拠されるようなことになれば、日本のシーレーンはどうあっても甚大なダメージを受ける。緊張状態にある海峡を民間のタンカーなどが通れるとは思えない。

緊張度合いにもよると思うが、台湾への軍事侵攻をすることにもなれば海上封鎖状態になるだろうから、日本が「他国のことだから」という話にはならない。

そうであるのであれば、兵器の生産を日本国内でガッツリ出来る体制にすると言うのは、必要なことだろうと思う。

そして、今回、台湾に販売許可されたアメリカ製の兵器って、軍事衝突前提というよりは、それ以前に牽制的に使われる可能性の高い兵器なんだよね。つまり、抑止力に使おうという発想のモノだという意味だ。

外交的に平和を希求することはもちろん大切なんだけど、兵力を備えることはその事と矛盾しない話。その辺りはしっかり認識する必要があるよね。

コメント

  1. アバター 河太郎 より:

    ざっくり言ってミサイル生産が国内で進む事は良いかと。それだけ米国の兵器庫が払拭してるのでせうが。
    ミサイルの事は知らないけれど、弾薬に関しては、もともと自衛隊は自己完結できるような配備でないんですよ。小銃弾など豊和工業など2社しか生産してないし。長期戦になると米国の弾薬支援を前提にしているはず。小銃弾でコレだから、ミサイルもそうでせう。
    んで、中国との戦闘に巻き込まれたくないから中立でとか抜かす奴がいます。
    バカ言うなって。在日米軍の基地使用を拒否したら台湾は征服されます。そして、
    木霊様の言う通り「海上封鎖」がキンペー海軍の取れる現実策です。中東からの輸送に原油の97%を依存している日本では、これで封鎖は致命的!!
    参戦しなけれりゃ我身安泰なのて事は絶対に無い!! 台湾征服の軍事冒険に出た中国が、日本のタンカーやコンテナ船だけ通してくれるなんて事は100%ない!
    これは断言できる!
    だから「対話を」とかサヨの連中はほざくのですが、そもそも対話で解決せんから戦争やるのだろうが!バカか?
    もう70年以上、米国を宗主国として西側に属してきた日本には、巻き込まれないなんて可能性は皆無なんです。自国民を護る為なのですよ。反対する奴らは現実というものが見えてない!

    • 木霊 木霊 より:

      良くも悪くも備えなければなりませんし、そんなに長い間保存のきくものでもありません。
      継続的にミサイルの生産をしていかなければならないので、生産量が増えるならそれに対応できるような体制の構築が必要ですね。
      そして、アメリカの製造業の凋落ぶりは酷いものですから、日本がサポートする体制を構築できることは必要だと思います。

      あまりこのブログでは褒めることはない韓国ですが、砲弾の生産に関してはかなり破格の製造能力を誇っているようですよ。ウクライナ向けの砲弾も随分と出しているようで。
      結局、日常的に作れないと、有事に対応することは難しいのですよね。

      対話、対話は重要だと思いますけれど、相手は日本を「対等な相手」だとは見ていません。力の論理でしか対話できない国も結構あるんですよね。

  2. アバター 河太郎 より:

    せっかくなので帰化人に電話して聞きました。Mさん、海軍一家の出でお兄さんが退役まで潜水艦の砲術士官。お父さんは艦長をしていた。
    え〜、習氏が決断をしたときに、現実的なシミュレーションから「止める」人は海軍上層部には皆無。これは独裁とは関係なく海軍の風潮!
    私が海軍人とならなかった(新疆ウイグル自治区でミサイル士官)のは、海軍は伝統的に地位が低かったから。
    もともとランドパワーの国で、日中戦争、国共内戦と活躍したのは陸軍。
    海軍が強力になるのは、江沢民以後に陸軍を大リストラして、海軍装備の近代化に注力してから。それまでは中国の権力機構の中で「外様」なんですよ海軍は。
    なので、実は海軍には「華々しい歴史」や「勝利」や「実績」がない!
    とくに近代、日清戦争の黄海海戦で日本海軍にボロ敗けした戦績しかない!
    なので彼らはとにかく「勝った戦績」が欲しくてならない。陸軍の革命、祖国解放のような実績が喉から手が出るほどに欲しい。そうして見返したい!
    これが陸軍のリストラの中で予算を拡大してきた海軍人の本音である。
    なので現実的なシミュレーションで、中国海軍が不利という結果は報告されないし記録もされない。
    「日本が火につつまれる云々」の発言に関しては、逆に言えば「在日米軍の出動と自衛隊の支援」は、台湾侵攻を失敗させる可能性が高く、それ故に日本国内の親中反日勢力へ「デモしろ」「反対しろ」
    神奈川県某市のように「降伏して戦わない」宣言しろ!というメッセージと思った方が良い。私の母国の事であり、私を受け入れてくれた妻や彼女の一族や、日本人の方々に申し訳ないと思います。
    ただ他の在日中国人や帰化人よりも、海軍一家に産まれ、彼らの「欲望」を知る者として、警告した方が良いと感じて、インタビューに答えます。皆さん恫喝に怯えてはいけません!」
    というお話しでした。

    • 木霊 木霊 より:

      おお、貴重な情報をありがとうございます。

      しかしそうですか。そんな気はしていましたが、やっぱり支那の海軍のブレーキは期待できませんか。
      彼らは最近手に入れた高価な玩具を「使ってみたくてたまらない」のではないかと、そんなふうに疑っていましたが。

    • アバター 七面鳥 より:

      貴重な情報です。ありがとうございます。

      先日、子供とこの件の話になりまして、
      ・まともな頭持ってれば、在日/在韓米軍基地に直接攻撃するバカは居ない
       ※自分の死刑執行書にサインするに等しい。
      ・逆に、先島、尖閣あたりは、領有権主張を盾に間違いなく侵攻して来る
       ※台湾が領有主張なら、それは中共のもの。なんなら、沖縄にも蜂起を求める可能性が高い。
      が大前提ですが、
      ・領海並びにシーレーン確保のためもあり、自衛隊は動かざるを得ない
      ・自衛隊が動けば、在日米軍は支援する口実が出来る
       ※米軍が先に動く事は多分無い、自衛隊が「自分で守る」決意を示すことが重要
      ・地続きのウクライナと違い、海のある台湾侵攻は、兵站という大問題を抱える
      ・軍艦か補給船かに関係なく、台湾海峡は船の墓場になる可能性が高い
      が容易に想像出来、だからこそ
      ・まともな頭があれば、台湾侵攻はリスキーに過ぎる
      と考えるはず、となったのですが……

      まともな頭があるかどうか、あるいは、末端が功を焦って暴走する可能性が、世界中の軍隊で一番高いのが中国じゃないかという……

      ※台湾侵攻の目的がどこにあるか、も、重要ですよね。出来れば無傷で欲しいはず、首狩りに徹するはずですが、いっそ台湾の産業潰す気になられると面倒くさい。
      ※台湾海峡が「殺し間」になる場合、日米の損害もバカにならない事を覚悟すべきではあります。そこまで中国軍も張り子の虎では無いし、何しろ数はある。
      ※とはいえ、ごく最近、潜水艦が台湾の目と鼻の先で故障浮上したとかなんとか……
      https://www.cnn.co.jp/world/35180383.html

      • アバター 河太郎 より:

        そこなんですよ。私が危惧するのは。日米の勝利で終れば習政権は終わりで、また集団指導体制に戻り、
        あの国も少しは懲りるてせうが。
        短期的に観て、Mさんのように帰化して、日本に忠誠を誓い、皇室を敬う元中国人に迫害が及ぶのではないかと恐れているんです!
        皆が木霊様や七面鳥様のように「個人は別」と冷静になれる人ではないから。現実的に私の兄貴分で、安倍さんの後輩の方がいて、万一の時は彼の所有する軽井沢の古民家や別荘に知人の帰化人たちを避難させて下さる約束をしてもらいました。
        たとえシナとの海戦で日本人の殉死者が出たり、民間人の被害が出ても、日本に忠誠を誓った人達への迫害は止めて欲しい。だから開戦はあって欲しくはないのですが、やはりシナとは平穏には済まないでしょうね。残念ながら。

        • アバター 河太郎 より:

          あ、大事な事を忘れた。考えたくないが、もしも自衛官で戦死した方々が出た時には、
          絶対に絶対に、靖国に祀って欲しい。これだけはパヨクが何を言おうと譲れません!!

          • アバター 七面鳥 より:

            七面鳥は
            「日本人か否かは、目の色肌の色ではなく、文化歴史を重んじるかによって決定する」
            と考えてますので、おっしゃる事はまったく同意です。
            その人達の保護も考えないといけない。
            ※これは、他国への帰化にあたっても同じ。
            ※だからこそ、外国人参政権とかは絶対に許しがたい。
            ※「外国に居留し、コミュニティを作って政経に侵略する」やり方は絶対に阻止しないといけない。

            靖国は、法整備上の問題(政教分離とか)もあって難しいかもですが(そこで無理強いして全てをパーにすることは避けたい、次の議論(自衛隊の国軍化など)の呼び水になるならその方が良い)、国葬はしていただかないと。ここは譲れない。
            「国のためにその身を報じた」のは事実なのですから。

  3. アバター 河太郎 より:

    また七面鳥様は悩ましい事を仰る☺
    私は全て賛成なのですが、靖国の件だけね……たしかに政教分離の点で強引に強行すると反動でその先が危ぶまれるのは困るのです。
    私は自衛隊を今のシュネーブ協定も適用サれない(セルフ・ディフェンス・フォースでは「民兵」と変わらず、正規の軍人としてジュネーブ協定が適用範囲されない場合がある)そんな立場を今コマも自衛官に背負わせたくない!!
    国防軍にすべきだ!!
    なので、そのような不幸があった場合、どうしても靖国に英霊としてお祀りしたいが、現実として、やはり七面鳥様が正しいと思います。😮‍💨残念ですが。
    仮にそのような不幸が起きた時に、その方々の魂は後輩たちの碑となる事に御理 解をなさって下さるでしょう。
    ただしやはり七面鳥様も仰る「国葬」は絶対条件です。それだけは譲れませんね

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