韓国、月周回衛星を8月1日に打ち上げ!

迷走韓国宇宙開発史

え?あれ?

韓国初の月周回衛星、8月1日に打ち上げ…成功すれば世界で7番目

記事入力 : 2022/04/11 10:48

韓国初の月探査船「KPLO(Korea Pathfinder Lunar Orbiter)」が今年8月1日(韓国時間)に米国で打ち上げられる。高性能カメラなどの科学機器を積んだ月周回衛星で、来年1月から1年間の予定で月を周回し、さまざまな科学探査の任務を遂行する計画だ。

「朝鮮日報」より

あー、何だ、アメリカで打ち上げるのか。

てっきり、計画中のナロ号を使って打ち上げる話が進んだと思ってビックリしたが、どうやら別件のようだ。そういえば過去にスペースX社との話があったな。

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月周回軌道への夢

世界で7番目

さて、朝鮮日報には韓国お得意のフレーズ「世界で○番目」ということが真っ先に出てきた。7番目ねぇ。それって偉いの?

韓国が地球軌道を越えて深宇宙の探査にチャレンジするのはこれが初めてで、月周回衛星の打ち上げに成功すれば世界で7番目の月探査国となる。これに先立ち日本、インド、欧州は月周回衛星をすでに打ち上げており、米国、ソ連、中国は月着陸船の打ち上げにも成功している。

「朝鮮日報”韓国初の月周回衛星、8月1日に打ち上げ…成功すれば世界で7番目”」より

えーと、日本、インド、欧州と名前が挙がっているが、何れの国もそれぞれ自分のところのロケットを使って月周回衛星を打ち上げている。

月面着陸に関しては、アメリカ、ソ連、支那と金持ちの3大国(ソ連は過去は宇宙開発をする金があった)が挙がっている。

そう言えば、日本も有人の月面着陸計画が出てはいたな。無人月面着陸の計画は前年度だったはずだが、計画はちょっとずれ込んでいる模様。それについてはまた別の記事に取り上げたいと思う。

インドの宇宙開発計画

で、インドなのだが、実は結構真剣に取り組んではいる模様。

インドの月面探査が失敗 着陸機からの信号途絶える

2019年9月7日 7:02 (2019年9月7日 13:01更新)

インドが7月に打ち上げた無人月面探査機「チャンドラヤーン2号」は7日午前2時(日本時間午前5時半)すぎ、月面から高度2.1キロメートルの地点で着陸機からの信号が途絶えた。インド宇宙研究機関(ISRO)がデータを分析している。モディ首相は同日、「最後に思うようにならなかった」として着陸が失敗したとの見方を示した。

「日本経済新聞」より

2008年に月周回軌道に探査衛星を投入し、成功。ただ、月周回軌道で姿勢制御用のセンサーが故障してしまって制御が難しくなり、そのうち通信途絶。2年間予定されたミッション期間は1年未満で終了したしまった。

2019年には自前のロケットを打ち上げて、月面探査を試みた。が、記事にあるように着陸に失敗してしまった模様。

「チャンドラヤーン2号」着陸機の残骸をLROが発見

2019年12月9日

チャンドラヤーン2号は2019年7月22日に打ち上げられ、8月20日に月周回軌道に投入された。同機は月の周回観測を行う周回機と、「ヴィクラム」と名付けられた着陸機からなる。ヴィクラムには、着陸後に月面を移動探査するローバー「プラギャン」も搭載されていた。

ヴィクラムは9月2日に周回機から分離され、9月6日には月の南極から600kmほど離れた高地の平原に着陸する予定だったが、着陸予定時刻の直前に通信が途絶した。

~~略~~

NASAの月周回探査機「ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)」の搭載カメラ「LROC」を運用するチームは、ヴィクラムの着陸予定地点を9月17日に撮影し、そのモザイク画像を26日に公開した。世界中の人々がこの画像データをダウンロードし、ヴィクラムの痕跡を探した。

インド・チェンナイに住む技術者のShanmuga SubramanianさんもLROCの画像を調べた人の一人だ。Subramanianさんは着陸予定地点の過去の画像と9月17日の画像を比べて、以前にはなかった光点が写っている場所を見つけた。Subramanianさんはこの結果を10月3日にツイッターに投稿し、LROのプロジェクトチームにもメールで報告した。

~~略~~

チャンドラヤーン2号の周回機は高度100kmの極軌道を周回しながら現在も順調に観測を続けていて、10月には分光観測や合成開口レーダーを使った表面の観測も始まっている。

「astroarts」より

尤も、月面着陸に失敗しただけで、月周回軌道にいる周回機は生きていて、順調に作動しているから、インドの技術力もなかなかのものだと思う。

支那がミッション成功

とはいえ、さほど多くの国が月面探査や月衛星軌道に探査衛星を送る計画を実行したわけではない。何故なら、ロケット打ち上げには多額の費用と高い技術力が要求される一方で、月の探査というのはアメリカが熱心にやったために、ある程度の事が分かってきている。

学術的な発見は、月に探査衛星を送ればそれなりに得られるだろうが、世界を驚かすことが出来るかと言えば難しかろう。つまり、今更、月面探査をしても旨味が薄い。

ところが近年、支那がサンプルリターンに成功したというニュースもあって、韓国国内でも俄然盛り上がったわけだ。

中国、月面サンプルリターンミッション「嫦娥5号」地球へ帰還 1731gの試料採取に成功

2020-12-22

月面のサンプルが入った中国の無人探査機「嫦娥5号(じょうがごごう:Chang’e5)」が、23日間のミッションを終え、現地時間12月17日未明、中国北部・内モンゴル自治区に帰還しました。嫦娥5号は、中国として初めて月面サンプルリターンに挑んだミッションで、月のサンプル(試料)を地球へ持ち帰った世界で3番目の国、44年ぶりの快挙となりました。

「SORAE」より

支那も随分と宣伝してたからね。

「ファルコン9お願い!」

で、韓国も打ち上げをやるかと思いきや、残念な事に月周回軌道に衛星を投射するミッションを請け負うのは、スペースX社の「ファルコン9」である。

いや、ファルコン9を使うのだから「残念ながら」というよりは「安心なことに」と言うべきだろう。

韓国航空宇宙研究院は8日、韓国科学記者協会主催の科学メディアアカデミーで「韓国の月周回衛星は8月1日午前8時35分(現地時間7月31日午後11時35分)に米国フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられる予定」と発表した。月周回衛星は米国のロケット、スペースXの「ファルコン9」に搭載されて打ち上げられる。

「朝鮮日報”韓国初の月周回衛星、8月1日に打ち上げ…成功すれば世界で7番目”」より

え?何でって??(棒)

実は、現在韓国国内で「韓国産ロケット」と息巻いて製造しているヌリ号は、初の国産ロケットではあるが、その能力はまだまだ未熟である。

ヌリ号の打ち上げ能力は地球の低軌道(600 – 800 km LEO)に1.5tの物体を投入する程度で、その低軌道への人工衛星投入実験も失敗している。

失敗が問題というより、韓国には月軌道に衛星を投入できるだけのロケットを作る能力が未だにないのである。その計画はあるらしいが、当面は難しそうだ。

固体燃料ロケットの打ち上げを漸く成功したという報道もあったので、これが本当であればブースターを設計可能になって、もしかしたら月軌道にまで辿り着く可能性はある。が、そのためには多額のお金と時間を使う必要がある。

そういう経緯があって、アメリカにお願いしちゃったというわけだ。

でぃーぷすぺーす?

で、お願いした手前、その辺りわきまえて謙虚にしていれば良さそうなモノなんだけど。

どうやらそんなつもりはないようで、いつもの通りホルホルしている。言葉のチョイスを見ると、サモ自分で打ち上げたかのように宣伝したいようだ。

今回の月周回衛星は韓国にとっては深宇宙への初めての打ち上げとなる。韓国の衛星技術は世界的なレベルに達しているが、これまで地球の低軌道(600キロ)や停止軌道(3万6000キロ)は突破できなかった。月は地球から38万3400キロ離れている。月に向かう軌道は太陽や月、地球の重力を利用するBLT(Ballistic Lunar Transfer、月軌道転移)方式を採用した。月に最短距離で向かうのではなく、地球から156万キロ離れた位置までいったん飛び、その後に月に向かうというもの。太陽と地球、月の重力を最大限利用し、燃料消費を最小限に抑えられる方式だ。韓国航空宇宙研究院月探査事業団のキム・デグァン団長は「ブーメランを遠くに飛ばし、自分の思い通り戻らせるということ」と説明した。

「朝鮮日報”韓国初の月周回衛星、8月1日に打ち上げ…成功すれば世界で7番目”」より

「深宇宙への初めての打ち上げ」とか言い始めた。

ん?

実は、調べて見ると「深宇宙」という言葉には定義はないらしい。取り敢えず、国際電気通信連合は地球の表面から200万kmの距離から始まる宇宙を深宇宙と定義しているらしい。

えーと、月までの距離は36万3,304km、太陽までの距離が1億5,000万km。NASAが立ち上げた深宇宙通信情報網は、地球から16,000〜32,000kmとなっていて、これも「深宇宙」と定義されている模様。NASAの定義を採用すれば、月までの距離であっても「深宇宙」ということになるのかな。ちょっと恥ずかしい以外は問題がない。

韓国のメディアは「月に向かう軌道は太陽や月、地球の重力を利用するBLT(Ballistic Lunar Transfer、月軌道転移)方式を採用した。月に最短距離で向かうのではなく、地球から156万キロ離れた位置までいったん飛び、その後に月に向かうというもの。太陽と地球、月の重力を最大限利用し、燃料消費を最小限に抑えられる方式だ。」と胸を張っているが、確かに計算をしたのは韓国だと報じられているものの、実行するのはスペースX社である。

ドヤ顔をさらす必要は無いと思うんだが。

月軌道からBTSの曲を聴くぜ!

ちなみに韓国、月軌道に衛星を打ち上げて何をやりたいのかというと……。

月周回衛星は科学的な任務を遂行するため六つの機器を搭載するが、その中で月の永久影を撮影するNASAの高感度カメラ「シャドーカム」に最も大きな期待が集まっている。地球の自転軸は23.5度傾いているが、月は自転軸が直角になっているため、極地のクレーターには太陽光が永遠に到達しない永久影が生じる。永久影は世界的にも研究がほとんど行われていない未知の領域だ。マイナス200度以下の月で凍った水やメタン、アンモニアなどの物質に関する研究が期待されている。

「朝鮮日報”韓国初の月周回衛星、8月1日に打ち上げ…成功すれば世界で7番目”」より

一番期待しているのは……、NASAのカメラだ!をい、NASAのカメラは韓国製じゃないぞ?

その他はー、色々用意してあるみたいだね。

韓国の研究チームが開発した五つの高性能機器も搭載される。航空宇宙研究院の高解像度カメラ、天文研究院の偏光カメラ、地質資源研究院のガンマ線分光計、慶煕大学の磁場測定器、電子通信研究院(ETRI)の宇宙インターネット装備だ。航空宇宙研究院は高解像度カメラを使い、今回の月周回衛星の次に計画されている月着陸船の着陸候補地点を検討する予定だ。月表面の反射波を分析する偏光カメラは高エネルギー宇宙粒子による風化状態を把握することで月の進化を研究する。磁場測定器とガンマ線分光計は月の磁場やレアアースとなる元素を把握できる。

「朝鮮日報”韓国初の月周回衛星、8月1日に打ち上げ…成功すれば世界で7番目”」より

カメラばっかりなんだけど、ちょっと不思議なアイテムもラインナップしているな。

電子通信研究院は月でも衛星とローバー(探査用ロボット)を連携させ、インターネットが可能かどうか実験する。歌や写真のデータを月周回衛星に積み、地球から指示を出して月からそのファイルを送る予定だ。電子通信研究院は「BTSが許可すればBTSの歌『ダイナマイト』を宇宙インターネットを使って月周回衛星から地球に転送する計画」と明らかにした。電子通信研究院の四季を撮影した写真も転送する予定だという。

「朝鮮日報”韓国初の月周回衛星、8月1日に打ち上げ…成功すれば世界で7番目”」より

え?あー、それセレクトする。

月から送るデータファイルが、月面付近の写真とか、その場所でしか得られないデータを送るのが普通の感覚だと思うんだけど、態々韓国から持ち込んだデータを転送するんだ。オリジナルデータとの差分を比べて劣化の程度を調べるとかそんな目的でもあるのだろうか。

まあ、韓国が満足ならそれで良いんだけど。

個人的にはちょっと恥ずかしいな。

コメント

  1. こんにちは。

    >宇宙インターネットを使って月周回衛星から地球に転送する計画

    これ、最初に思ったのが、
    「このご時世に、やる事が現代版スプートニクかよ……」
    でした。

    どんだけ周回遅れだ。

    • 「スプートニク」と言われると、2号の「ライカ」の事しか思い出さなかったのですが、1号は送信機を積んで衛星の温度情報を0.3秒ごとに発信していたのですねぇ。
      僕自身はこの話を聞いて、北朝鮮が打ち上げたと主張する人工衛星の話を思い出しました。
      「人工衛星「光明星3」2号機から「『金日成(キムイルソン)将軍の歌』と『金正日(キムジョンイル)将軍の歌』が響き渡っている」と述べた」と報じられた事にはビックリした記憶がありますよ。
      やることは一緒なのだと。

      • コメント重ね失礼します。

        ずっと昔、それこそ子供の頃に見たNHKの番組の記憶ですが。

        スプートニク1号の発進する電波は、民間の受信機でも受信出来たらしく、
        「ピー、ピー、ピー、って発信音が、アメリカの上を通る時だけ『はっはっは、はっはっは』って笑い声になるらしいぜ」ってジョークがアメリカ国内で流行ったのだとか。

        K月軌道デブリ、打ち上げるのはスペースXでも、そこから先は面倒見てくれないでしょうから、本当にデブリにならないと良いのですけれど。
        ……って書いてて思ったのですが、どのくらいの人員とコストを割いてオペレーションセンター立ち上げるのでしょうね?地球周回軌道を離脱してから月周囲軌道で姿勢制御に入るまではしばらくじっと待つわけで、そういうの、あの国の人には一番向いていないんじゃあ……

        ※月の裏側の第三帝国の基地でも見つけてくれると大変嬉しいのですが。

  2. いまさら小型月周回衛星で何するの?と私も思いましたが

    「宇宙インターネットで地球に向けて映像ストリーミング配信」 恐らく技術的には『月面インターネット』【ゲイトウェイ】『地球インターネット』の新規【ゲイトウェイ】の現場検証実験だとすると。

     素晴らしい野心的チャレンジで、成功したら特にアルテミス計画への貢献大と思いますよ。

    月ってそこらの通信衛星より遥かに遠い、電波往復2.5秒かかる、小型衛星の貧弱な電源とアンテナだと地球と通信維持するだけでも大変で、インターネット≒TCP/IPプロトコル通信を安定に維持するのは恐らく不可能。

     そこで宇宙専用デジタル通信プロトコルを使い、リトライ繰り返しながら数分の動画を時には数時間かけ片側通信で送るわけですが

     想像するに、アルテミス計画ではステーリンク衛星なんかで月ローカル・インターネットを張るだろうし、だとすると月-地球間【ゲイトウェイ】がボトルネックになりそうな予感。

     そこを前倒して現場実験検証をするとならば非常に価値あるものにな得るのではと。

    、、まあ最近は火星だ小惑星だと感覚麻痺させられてて月から録画動画ストリーミングされても一般インパクトは低いだろうし、失敗可能性の方が高そうだし、NASAカメラメインとか言ってるのかなあ?

    • あー、そういえば月周回軌道からのデータ通信でしたね。
      日本が、月周回衛星「かぐや(SELENE)」でHDTV動画撮影をして、撮影した動画画像をJAXA臼田宇宙空間観測所にて受信したケースがありましたから、そんなに難しくない技術かと思っていましたが、衛星から地球へ向けてのデータ伝送にはXバンドの高速系7.6Mbpsを用い、1分間の動画データを20分間かけて伝送して、地球でデータの復元をやっていました。

      映像ストリーミング配信ということであれば、確かに技術的な難易度は違うハズで。チョイスする映像はアレですが意義はあるのかもしれません。詳細が分からないのではっきりしたことは言えないのですが。
      で、アルテミス計画の参加企業などを眺めてみたわけですが……、あれ?韓国、居ませんね?後でエントリーするつもりでしょうか。今回成功したら加えてくれという事を言い出すかもしれませんね。

      • 木霊さん お返事ありがとうございます。
         韓国アルテミス計画ですが、一応参加してますよ
        https://sorae.info/space/20210530-artemis.html
         何と、ウクライナの次 だったてのが昨今アレですが

        デジタル無線通信の技術力についてですが、例えば5Gでは韓国サムスンは支那Hauwaiに次ぐ特許保有で、チップ等の自社製造能力では支那より上です

        https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2009/17/news030.html

        期待は出来るのですが、いつもの期待の斜め上に進んでしまう習性さえ出てこなければ(苦笑)

      • おー、アルテミス計画に韓国は既に参加していましたか。
        情報収拾が足りませんでした。ありがとうございます。

        韓国の技術力に関してはご指摘頂いた以外の分野も含めてそれなりに高いとは思います。
        日本も負けている分野はありますしね。
        ただ……、ソレを真っ当に発揮してくれないのが韓国なんですよね……。

  3. 木霊様、皆様、今日は。
     最大の期待を集めている?シャドウカムは、NASAが直接関与するものではなく、NASAの通信網を利用させてもらう変わりに韓国が提供するペイロード分を、NASAが募集して米国の大学が選定され、製作したものだと思います。
     また、アルテミス計画に韓国は参加していないのではないでしょうか。アルテミス合意(Artemis Accords)の方には2021年に署名していますが、こちらは宇宙条約の強化版で、特別な計画にかかわるものではないものです。