韓国ヌリ号の部品不良によって打ち上げ8ヶ月延長していた【知ってた】

迷走韓国宇宙開発史

とても残念である。コメントを戴いて記事を確認してがっかりした。

が、既にこのスケジュールを知っていたので、改めて延長というわけでは無いのでほっとしたのも事実である。

韓国型ロケット「ヌリ号」打ち上げ8カ月延期…不良部品が原因

2021.03.07 09:54

当初先月の試験打ち上げが予定されていた韓国の国産ロケット「ヌリ号」(KSLV-II)の開発日程が遅延した背景に、ロッテグループ系列会社が納品した不良部品が影響を及ぼしていたことが確認された。韓国航空宇宙研究院は該当部品を他の中堅企業に任せて不良率を改善した。

「中央日報」より

このニュースは、ヌリ号の打ち上げ予定が2021年10月というところを動かす話では無く、「既に延長していた理由」について説明するものだった。

そんな訳で、それ程トピックスも無いわけだけれども。

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技術力不足?

部品2点に問題が発生

ニュースの記事を読んでもよく分からないのだが、どこの部品なんだろうか。

この時、総合点検で問題になった部品は大きく2種類だ。ヌリ号最下段の1段ロケットと2段ロケットをつなぐ部品である前方胴体、ロケット本体とエンジンをつなぐ後方胴体だ。

「中央日報”韓国型ロケット「ヌリ号」打ち上げ8カ月延期…不良部品が原因”」より

えーと、「1段ロケットと2段ロケットを繋ぐ部品である前方胴体」と「ロケット本体とエンジンを繋ぐ後方胴体」なんだそうな。

ん?「前方胴体」って何?

前方胴体は薄く軽い繊維複合材を使って製作する。当初この部品は素材企業のデック航空が製造した。デック航空はロッテケミカルが株式の100%を持つロッテグループ系列の会社だ。

デック航空が納品した部品の不良率が問題だった。当時ヌリ号事業に関与した関係者は、「直径が3.5メートルに達する1段ロケットと直径が2.6メートルの2段ロケットをつなぐには部品の純度が重要だが、デック航空が製造した部品は内部に不純物が多く、ヌリ号の荷重に耐え難く耐久性が落ちるという評価を受けた。あまりに精密な作業のため製作過程である程度の不良率が出ることはあるが、デック航空の不良率は耐えられないほどだった」と説明した。

「中央日報”韓国型ロケット「ヌリ号」打ち上げ8カ月延期…不良部品が原因”」より

読んでも意味が理解できないが、部品の不良の理由はやっぱり冶金の分野らしいことだけは分かった。

韓国政府は結局該当部品メーカーを韓国ファイバーに変更した。供給企業を替えてから2カ月後の先月25日にヌリ号は100秒間燃焼試験に成功した。

「中央日報”韓国型ロケット「ヌリ号」打ち上げ8カ月延期…不良部品が原因”」より

そして、部品を変えたら問題が解決したっぽいぞ。

ちょっと分からない事が多いのだが、この問題の部品を作ったデック航空なるロッテケミカルが株式の100%を持つロッテグループ系列の会社は、相変わらず他の部品を作っているのだとか。

段間部のことだろうか

さてと、どんな部品なのか分からずにモヤモヤするものの、想像するしか無い。

JAXAのサイトを確認していたら、こんな記述があった。

段間部の変更

試験機のフライト時に取得した表面温度データを評価検証した結果、炭素繊維複合材料(CFRP)ハニカム構造で構成されている段間部(右図参照)の熱対策仕様について、2号機では白色塗料(耐熱コーティング)を削除することとし、軽量化による打ち上げ能力の更なる向上を図っております。

「JAXAのサイト」より

この部分はそれなりに技術力を要する部分のようで、H2-Bロケットの構造としても問題になった部分のようである。

この部分を「段間部」と呼ぶらしい。確かに、耐熱性を付与した炭素繊維複合材料を使っているとかなんとか。

後方胴体って何?

もう1つの部品、後方胴体とやらも説明を読んでも意味が分からないが、こちらもまた……。

1段ロケット下段に取り付けられた75トン級エンジン4基を支持しロケット本体とエンジンをつなぐ後方胴体も問題だった。構造試験装備を通じて荷重テストをしたところ、この部品はヌリ号飛行時にかかる荷重300トンをやや上回る荷重がかかるとわずかにゆがむなど破損の兆しがあった。

この作業はS&K航空が担当したが、製造過程で問題はないと明らかになった。航空宇宙研究院は部品設計を補強した後にS&K航空に再製作を依頼した。

「中央日報”韓国型ロケット「ヌリ号」打ち上げ8カ月延期…不良部品が原因”」より

まあいいか。

……えーと、「エンジン4基を支持しロケット本体とエンジンをつなぐ後方胴体」というのが具体的に何処かはハッキリしないのだが、コチラは何となく分かる気もする。

この辺りの写真に多分写っているんだろうと思う。

安全率を見て設計されるはずだから、飛行時にかかる荷重300tを「やや上回る荷重」で歪んでしまうのは問題かもね。

ただ、空間に余裕があるのであれば、ここの部品はゴツくしてやれば問題を解消できる可能性が高い。

ただ……、安全率は1.1~1.25だと想定されているだろうから、「やや」の具合によっては部品が重くなってしまう可能性が高く、重量制限のあるロケットの設計ではなかなか悩ましい話になりそうだ。

新聞の記事を読む限りは「解決したこと」になっているようだけれど。

前回のニュース

そもそもこの話は去年の12月ニュースでそれとなく報じられていた。

科学技術情報通信部は29日に第18回国家宇宙委員会を開き、「韓国型ロケット開発の推進現況と今後の計画」および「静止軌道公共複合通信衛星の開発事業計画」を確定したと発表した。修正された計画によると、ヌリ号は当初予定されたものよりも8ヶ月後退した来年10月に初めて発射される。第二の発射時点もまた、来年10月から7ヶ月後の2022年5月に延期した。

「MK NEWS”韓「1号ロケット」打ち上げ延期…月探査さらに遅れるか”」より

これで、最終打ち上げが延びたよという話が出ていて、しかし、ロケットの打ち上げではこんな話は良くあることだ。

特に韓国のヌリ号は、4基のエンジンをクラスタ化してロケットを打ち上げるというハードルの高い技術に挑戦しているのだから、無理も無いだろう。

ただまあ、韓国としても技術力の向上を狙ってロケットの自主開発を行っている側面はあるのだろうから、今回の様なトラブルを奇貨として寧ろ更なる技術の獲得に励んで頂ければよろしい。それを「ある所から持ってくる」という発想では無く、自分で開発出来ればなお良いだろう。

コメント

  1. >1段ロケットと2段ロケットを繋ぐ部品である前方胴体

    ジョイント部分のフェアリング?
    フェアリングまわりは韓国ロケットの鬼門かも、と個人的には思っていて、過去のナロ号だったか、衛星フェアリングが投棄出来ずに失敗、なんてのがあったかと。
    ※確かあの時は「試験してないけどきっと開くニダ!ケンチョナヨ!」が原因だったかと。

    >供給企業を替えてから2カ月後の先月25日にヌリ号は100秒間燃焼試験に成功した。

    なので、エンジンとは全く無関係だと思うのですが……本体組立してからエンジン試験したわけじゃないし。

    >ロケット本体とエンジンをつなぐ後方胴体

    エンジンマウントですかね?
    そこの強度が足りないとか……フラグ?
    (爆発しちゃいましたが)スペースXの動画とか見ると、ノズルがキュイキュイ回って噴射方向制御してますから、あれほどではないにせよ鉛直方向以外にも相当な荷重がかかるはず。しかもクラスタリングですから、どんな力がどっち向きにかかるやら……
    安全率1.25ってのも、エンジンが100%オーバーで噴いたらすぐに限界来そうで……エンジンは105%位は平気で使うものだし、重量とトレードオフの安全率も低く抑えたいのは当然なのですが……

    笑いをとりに行かなくて良いから、まともに打ち上がってくれる事を祈ります。マジで。

    • そうですね、フェアリングの不具合で失敗したことがあったのはナロ号の方でした。多分ですが先端部分のカバーのことを言っているのですよね。
      そして、ご指摘の様に今回の前方胴体パーツに関してはエンジンのテストには無関係だったはずです。ただ、「遅延理由」にはしたかったのでしょう。
      そして後方胴体の方もよく分かりませんが、エンジンマウント的なモノのような気はしますが、こちらは振動や温度などの影響もあるため、遅延の原因になったのでしょうね。

      本人達には笑いをとりにいっているつもりは無いのでしょうけれど、よくよくお笑いを提供して頂いて助かっております。
      でも、笑い無しで打ち上げて欲しいモノですよね。

  2. コメントの不具合に関しまして。
    Firefox環境だと、コメント文をある程度書くと、下の名前とか送信ボタンとかが下方に強制スクロールされて出てこなくなってどうにもならなくなる、みたいです。
    IE環境だと、ちゃんとスライドバーが出ましたが、Firefoxだと出ないみたいです。
    (なので、上のコメントはIEで送信しました)
    以上、参考になりますれば。

    • ありがとうございました!
      なるほど、FireFoxですか。
      ちょっと試してみて、対策ができれば何とかしてみたいと思います。

      • 状況を確認しました。
        これはソフトウエアの不具合である可能性が高いですね。

        どのように対応すべきかは考えます。
        取り敢えずは、別の窓に入力する方法などを試してみたいと思います。

      • コメント仕様の変更をしました。
        これで書き込めるようになると良いのですが。

  3. 前方胴体、後方胴体では意味不明ですが、原文→英文で見ると、front fuselage、rear fuselage となっているので、胴体前部、後部と理解すればどうでしょうか。前部の(炭素?)繊維複合材が不純物が多く耐久性不足、後部は設計上の安全率不足で脆弱…ならあり得そうです。エンジンの推力が計画より低いので、安全度を下げて胴体等の軽量化を密かにはかった…なんてとこじゃないでしょうか。

    • なるほど、英訳だと「front fuselage、rear fuselage」となるのですか。
      確かに直訳すると前方胴体、後方胴体ですから、その通りなのでしょう。
      しかしそうすると、どこからが前方でどこからが後方なのかよく分からないんですよね。ロケット特有の言い回しでもあるのかと思ったのですが、そうでもなさそうです。
      何れにしても特殊素材の製造技術がションボリであるという結論に変わりは無いのですが。